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ワイルドローズ党の2議員が離党、スミス党首絶体絶命に [アルバータ]

 アルバータ州のジム・プレンティス首相は11月24日、ワイルドローズ党の議員2名が進歩保守党に移籍したと発表した。これにより州議会勢力は進歩保守党63議席、ワイルドローズ党14議席、自由党5議席、新民主党4議席、無所属1議席(定数87)となった。
 首相は、幹部会が2人の移籍を満場一致で承認したことと、2人に何も約束していないし、いかなる形であれ2人に寝返るようそそのかしたことはないと説明した。
 ケリー・トウル議員は、次のように述べた。
「ワイルドローズ党は自由投票であるにもかかわらず、党は私が議会でどのように投票するかを決めていた。それは私に、多大な葛藤をもたらした。すると私の支持者が私のところに来て、与党に行って彼らとともに働く方が、それに反して働くよりずっと多くのことができるだろうと言ってくれた。」
 またイアン・ドノバン議員は、2016年総選挙に敗北したら辞任すると表明したダニエル・スミス党首に幻滅したと語った。
 だがスミス党首は記者会見で、両議員を2010年に進歩保守党からワイルドローズ党に移籍したロブ・アンダーソン議員やヘザー・フォーサイス議員と比較して、批判した。
「ロブとヘザーは信念のゆえに、与党から野党に移った。2人は私利私欲からではなく、アルバータ州民に奉仕するため、権力の旨みを放棄したのだ。だが我々は今日、その正反対を見た。」
 スミス党首はこの件について、記者の質問に回答することを拒否した。

 ワイルドローズ党が10月27日の補欠選挙において、4選挙区の全てで敗北してから、スミス党首への不満が党内で噴出した。彼女とそのスタッフは、プレンティス首相に汚職で辞任したレッドフォード前首相の責任を追及し続け、ネガティブな広告があまりにも多すぎるという批判にさらされた。
 執行部を批判し続けてきたジョー・アングリン議員は、追放される前に自ら離党したが、スミス党首は、彼が長い間密かに幹部会の様子を録音していたと公然と非難した。アングリン議員は疑惑を否定したが、スミス党首はその証拠を持っていないと認めた。
 スミス党首は依然として、みんなのために公正な政治を行うと言い続けているが、アルバータの田舎を拠点とする党は、反同性愛に凝り固まっている。党は1年前に、ゲイとレズビアンを含むマイナリティの権利を尊重する決議をしたが、党員たちは11月14日、これをマニフェストに加えることを拒否する投票を、スミス党首不在の場で行った。するとテリー・ロー議員は、この党は同性愛者と有色人種を差別する秘密結社に支配されていると言って、離党した。ロブ・アンダーソン院内幹事長は23日、党員による特定の方針の拒絶にもかかわらず、幹部会はそれに従うことになると発表した。
 追い詰められたスミス党首は、先週末にレッド・ディアで開催された年次総会で、リーダーシップに関する党員の信任投票を要求していたが、キャンセルされた。
 マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるデュエイン・ブラット教授は、ステルマック元首相やレッドフォード前首相がそうであったように、造反はスミス党首の命とりになることもありえると語った。彼は、政治的見解の相違はよくあることだが、ひとたび議員たちが投票行動に出るとき、それは終わっていると述べた。
 アングリン議員は、党内には報じられているより多くの造反議員がいると明かした。
「私は5人知っている。そして、私に話さなかった人々がほかにもいると思う。」
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アルバータ進歩保守党党首にプレンティス当選、次期首相に [アルバータ]

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 9月6日に実施されたアルバータ進歩保守党党首選で、ジム・プレンティス元環境大臣が当選した。彼は近日中に、アルバータ州首相に指名される。
 投票は一人の候補が50%を獲得するまで行われるが、プレンティス元環境大臣は第1回投票で17963票(76.8%)を獲得し、当選を決めた。2位はリック・マカイバー元運輸大臣の2742票(11.7%)、3位はトーマス・ルカスザック元副首相の2681票(11.5%)だった。
 勝利を決めたプレンティス氏は、こう演説した。
「この党首選の終わりは、アルバータの新しい始まりを意味する。我々は今日、政府への信頼を回復し、アルバータ州民が誇れるようになる仕事を始める。」
 2位に敗れたマカイバー候補は、落選したらワイルドローズ党に移籍するのではないかという噂を一蹴した。
「私がアルバータ進歩保守党の一員であり続けることを、約束しよう。私は、ジム・プレンティス次期首相を支えていく。2016年州議会総選挙で、私の名は進歩保守党候補者リストにあるだろう。」
 投票結果が発表されたあと、会場から姿を消したルカスザック候補は、ツイッター上でコメントした。
「全てのアルバータ州民とすべてのボランティアに、ありがとうと言いたい。私はどんな方法であれ、皆さんのために奉仕し続けて行く。」

 2012年の党首選で選挙管理委員を務めたスーザン・エリオットさんは、今回党首選を振り返りこう述べた。
「彼はアウトサイダーで、前政権に関与していない。」
 マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるデュエイン・ブラット教授も、こう述べた。
「求められているのはアルバータ出身の保守主義者であり、かつレッドフォード政権ともハーパー政権とも距離を置く人物で、真っ先にジョー・クラーク元首相が思い浮かぶが、彼はあり得ない。」
 プレンティス氏は、アルバータ州政治に関わったことはなく(1986年州議会選挙で落選)、一貫して連邦政界を歩いて来た。改革党ではなく進歩保守党出身者として、長くハーパー政権ナンバー2の位置にあったが、2010年11月突如引退し、銀行家に転進した。汚職まみれで評判の悪いレッドフォード前政権と関わりがない彼は、党首選をアウトサイダーイメージで戦い抜いた。しかもハーパー政権でインディアン問題担当大臣・産業大臣・環境大臣を歴任した彼の経歴は、アルバータ州政権が現在抱えているインディアン・石油ロイヤリティ・パイプライン汚染問題と、見事に一致する。
 州政治のアウトサイダーとはいえ、カルガリー選出議員として連邦政界のエリート街道を歩んで来た彼は、党首選で大多数の州会議員の支持を集めるとともに、一人で180万ドルもの資金を集め、圧倒的な集金能力を示した。マカイバー候補は42万ドル、ルカスザック候補は30万ドルを集めたにすぎなかった。

 プレンティス次期首相は現在州議会に議席を持っていないため、このままでは党首討論が行えないから、このような場合は若手議員が辞職して補選を行うのが通例である。現在州議会の欠員は、引退したレッドフォード前首相のカルガリー=エルボー選挙区だけだが、プレンティス氏は党首選の期間中、そこからは出馬しないと明言した。カルガリー=マッケイ=ノーズヒル選挙区選出のニール・ブラウン議員が、現在辞職の意向を表明しているが、プレンティス氏は6日、どの選挙区から出馬するかについて回答を拒否した。
 カナダは党首討論を重んじる伝統があり、与党党首である首相と最大野党党首には、公邸・公用車・公設秘書が与えられるなどの特典がある。首相や最大野党党首が補選に出馬したときは、党首討論を実現するため、他党は選挙運動を行わないのが慣例となっている。だが最大野党ワイルドローズ党のダニエル・スミス党首は、プレンティス氏がどの選挙区から出馬しようとも死力を尽くして戦うと語った。

【参照】 「No.2」プレンティス環境相が引退表明
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2010-11-05


写真:勝利のVサインを掲げるジム・プレンティス次期首相。
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アルバータ州の新ナンバープレート案が不評 [アルバータ]

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 アルバータ州は、新しいナンバープレートを来年春までに導入することになっている。州政府は7月8日、新しいデザイン候補を3つ提示したが、そのいずれにも1973年から使用されている“Wild Rose Country”のスローガンがなく、州政府ホームページドメインの“alberta.ca”に置き換えられているため、市民から反発の声が上がっている。

 州政府広報のキャスリーン・レインジさんは、ナンバープレートを交換する理由として、反射コーティングされていない州は北米でアルバータだけだと説明した。
 だがアルバータ生まれでアルバータ育ち、生粋のアルバータンであるケイティン・マドレナーさんは、ナンバープレートから“Wild Rose Country”のスローガンを撤去しないようインターネットで抗議活動を始めた。
「多くのアルバータ州民は、事前に何の相談もなかったことに不満を抱いていることでしょう。新しいデザインは、何の変哲もありません。」
「“Wild Rose Country”のスローガンは、30年間ナンバープレート上にありました。それで誰も困りませんでした。」
「それは私たちの州を象徴するものであり、それは州の花であり、それは私たち自身です。」
「“alberta.ca”のドメインは、州がさほど誇りに思うようなものではありません。」

 彼女はこれは政治的な問題ではないと断ったが、騒動の背景に政治的動機を勘ぐる人が多いのも事実だ。ナンバープレート変更について最も強く反対しているのは、アルバータの最大野党ワイルドローズ党である。ロブ・アンダーソン院内幹事長は、ツイッターにこう綴った。
「ワイルドローズ党は、党名を“Alberta.ca”党に変更すべきだろうか?」
 ワイルドローズ党は、 ナンバープレートの言葉として“Wild Rose Country” “Strong and Free” “Alberta.ca” “TravelAlberta.com”のうちどれがいいと思うかを独自にインターネットで調査しているが、“Wild Rose Country”が圧倒的に支持されている。

 ワイルドローズ党への嫌がらせという説について、レインジさんは「この計画は7・8年前からあったもので、当時ワイルドローズ党は存在していませんでした」と否定した。
 アルバータ州政府も、インターネット世論調査を8月19日まで実施する。提示された3つの案は、どれもアルバータの山々を背景とし、“Wild Rose Country”のスローガンを含んでいないが、最も人気のあるデザインが採用されることになっている。


図:左下が現行のデザイン。ほかの3つが州政府の提示したデザイン。
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レッドフォード首相が辞任を表明 [アルバータ]

 アルバータ州のアリソン・レッドフォード首相は3月19日、首相と党首を23日付けで辞任すると発表した。
 ネルソン・マンデラ元大統領の葬儀に出席するのに4万5000ドルを費やした件で、彼女は公然と辞任を要求されていた。レッドフォード党首の支持率は18%と、全ての主要政党党首の中で最も低く、ここ一年半で40ポイントも低下しており、このままでは総選挙を戦えないという声が上がっていた。
 これについて、野党第一党であるワイルドローズ党のダニエル・スミス党首は「レッドフォード首相の辞任は、進歩保守党の問題が、党首が一人辞めるたびに深まっていくことを示している。彼女の29か月という短い任期を通して私たちが目撃したことは、進歩保守党は改善不可能だということだ」とコメントした。
 マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるキース・ブラウンジー教授は、次の党首としてスティーブン・マンデル前エドモントン市長、ダグ・ホーナー財務大臣、ジム・プレンティス元環境大臣、ジム・ディニング元歳入大臣の名を挙げたが、党支持率が低下し、ワイルドローズ党が強力な野党にある状況で、彼らがあえて党首になりたいと思うかどうかはわからないと語った。

 2013年2月には、キャシー・ダンダーデイル首相(ニューファンドランド&ラブラドル州)、クリスティ・クラーク首相(ブリティッシュコロンビア州)、アリソン・レッドフォード首相(アルバータ州)、ポリーヌ・マロワ首相(ケベック州)、キャスリン・ウィン首相(オンタリオ州)、エバ・アーリアック首相(ヌナブート準州)と6人いた女性首相は、アーリアック首相落選(2013年11月)、ダンダーデイル首相辞任(2014年1月)、レッドフォード首相辞任(2014年3月)により3人となった。ケベック州は現在選挙期間中だが、与党ケベック党の支持率は32%と、自由党の37%に5ポイント差をつけられている。
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レッドフォード首相に辞任要求の声上がる [アルバータ]

 アルバータ州のアリソン・レッドフォード首相は3月15日、アルバータ進歩保守党重役会議を開いた。4時間半に及んだ会議の多くは、ネルソン・マンデラ元大統領の葬儀に首相が出席するのに4万5000ドルを費やした問題に関するものだった。費用を払い戻すべきだという有権者の要求に、首相は長い間抵抗してきたが、12日に払い戻しに応じた。
 会議に先立ち、ノースイースト・エドモントン選挙区長は14日、レッドフォード首相が辞任しなければ次の選挙は勝てないと語った。またエドモントン-ビバリー-クレアビュー選挙区長のスティーブ・ロブソン氏は、首相は議員たちの意見を聞かず、保守主義者たちに敬意を払わない愚かで尊大なリーダーだと吐き捨てた。彼は、払い戻しがあまりにも小さくあまりにも遅く、首相はすでにあまりにも多くの損害を党に与えたと痛烈に批判した。
 13日にはレン・ウェバー州会議員が進歩保守党会派を離脱し、無所属となった。彼は、首相は怒りに任せる暴君の傾向があると語った。だがデイブ・ハンコック副首相は、ウェバー議員が入閣できなかった事実を挙げ「かわいそうな人だ」と蔑んだ。
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「犯罪一回見逃しクーポン」に謝罪を要求 [アルバータ]

1297389247056_ORIGINAL.jpg ワイルドローズ党が3月14日、政府を諷刺するために発行した「犯罪一回見逃しクーポン」が、アルバータ州議会で大論争を巻き起こし、ジョナサン・デニス法務大臣から謝罪を要求される騒動に発展した。
 進歩保守党政権が提出した予算案では、執行猶予のついた性犯罪者をモニタリングするプログラムが、段階的に廃止されることになっている。また前科がない人が犯した軽犯罪については、刑事起訴ではなく更正プログラムを選択することができるようになる。そこで野党ワイルドローズ党は、「このクーポンの保有者は起訴されることなく軽犯罪を一度見逃してもらえる」と記載され、アリソン・レッドフォード首相とデニス法務大臣の写真を掲載したジョーク・クーポンを配布した。
 するとこの日の州議会は、大荒れとなった。ワイルドローズ党の法務担当シェーン・サスキュー議員は、こう述べた。
「これは、非常に深刻な問題を気楽に扱う方法だ。法務大臣は方針を変更すべきである。」
 さらにダニエル・スミス党首は、州政府の方針を「無法者への甘っちょろいアプローチ」と言い放った。するとデニス法務大臣は、「甘っちょろい」という言葉に完全に熱くなり、こうやり返した。
「スミス党首は、能力が落ちたドライバーに対するより厳しい処罰について、反対投票をしました。甘っちょろいのはどっちですか、議長!」
 ジーン・ツォーツデスキー議長は、加熱した両者をクールダウンさせた。
「品位を忘れないようにしましょう。礼儀をわきまえましょう。」

 デニス法務大臣は、更正プログラムは選択肢の一つに過ぎず、検察官は今後も訴追することが可能だと説明し、謝罪を求めた。
「クーポンが伝える情報は、明らかに間違っている。そしてサスキュー議員は、刑事事件専門の元弁護士として、偽りの情報を示すことが間違っていると知っているはずだ。彼は謝罪しなければならない。」
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進歩保守党が歴史的12選、ワイルドローズ党を一蹴 [アルバータ]

 4月23日に実施されたアルバータ州議会総選挙は、進歩保守党61議席(66)、ワイルドローズ党17議席(4)、自由党5議席(8)、新民主党4議席(2)(定数87、カッコ内は解散時勢力)という結果となり、進歩保守党が歴史的な連続12選を達成した。進歩保守党の政権は現在41年間続いており、次の解散時には、カナダ史上最長政権であるノバスコシア州自由党政権の43年を超えることが確実視されている。
 世論調査で常にトップに立っていたワイルドローズ党は、総選挙の終盤に来て、ロン・リーチ候補の「シーク教徒やイスラム教徒は同胞にのみ語りかけるが、白人は全ての人に語りかける。私は白人だからアドバンテージがある」発言や、アラン・ハンスパーガー候補の「同性愛者は死後も永遠に火の海で焼かれる」発言によって、偏狭なイメージを持たれた。また、ダニエル・スミス党首がこれらの発言について批判や処分を行わなかったことも、疑問視された。同党はスミス党首のイメージを前面に押し立てて戦ったが、メディアは常に隠しアジェンダがあると疑った。
 若いスミスを党首に担ぎ、フレッシュなイメージで臨んだ同党は、とどのつまりは「田舎の守旧派」に過ぎなかった。カルガリーとエドモントンは44議席を持つ大票田だが、ワイルドローズ党は前者で2議席・後者で0議席に終わり、大都市から完全に閉め出された。対照的に進歩保守党は、カルガリーで20議席・エドモントンで13議席を獲得した。
 レジェ・マーケティング社の世論調査は、有権者の5分の1が最終週になっても誰に投票するかを決めかねていたことを示した。自由党は2008年総選挙では得票率26%だったが、今回はわずか10%に減少している。二つの保守党の争いの中で埋没していた中道・左派の支持者が、右翼のワイルドローズ党政権を阻止するため、戦略的に進歩保守党に投票したことはほぼ確実だろう。これについてスミス党首は「レッドフォード首相は、自由党員と新民主党員の支持を得て党首選に勝利したときと同じことを、今夜もしたのです」と語った。

 エド・ステルマック前首相が辞意を表明したとき、進歩保守党は四分五裂の状態にあった。長期政権への倦怠感、相次ぐ離党者、3年間開催されていなかった委員会の委員に月給1000ドルを支給していたこと、「スミス党首はなぜ自分で子を産まないのか」発言などで、未曾有の混乱にあった。そんななかで党内最左派のアリソン・レッドフォードが党首に当選したのは、ワイルドローズ党を強く意識した結果だろう。彼女は中道・左派の有権者に直接アピールはしなかったが、同性婚や中絶問題を取り上げることで間接的にはアピールしたようだ。
 歴史的な選挙を圧勝で飾ったレッドフォード首相は、こう述べた。
「進歩保守党には進歩的で、かつ保守的な歴史がある。我々は、この2つの伝統を誇りに思う。我々は、アルバータ州のチャンピオンであり、カナダのチャンピオンである。」
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写真:衛視の服装で“STOP HARPER'S GANG!”のプラカードを持ったブリジット・ドパープさん(右)に、投票所で待ち伏せされるダニエル・スミス党首(左)。
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ワイルドローズ党、政権奪取か [アルバータ]

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 アルバータ州議会総選挙が、4月23日に実施される。世論調査によると、41年続いた進歩保守党政権を倒し、もう一つの保守党であるワイルドローズ党(2011年に「ワイルドローズ同盟党」から名称変更)が際どく過半数政権を樹立すると予想されている。
 進歩保守党政権は41年もの間、11度の総選挙に連勝してきた。これは、1882年から1925年まで43年間続いたノバスコシア州自由党政権と、1943年から1985年まで42年間続いたオンタリオ州進歩保守党政権に次ぐ記録である。前者は連続10回、後者は連続12回の総選挙に勝利した(※進歩保守党は1985年の総選挙でも第一党だったが、政権を失った)。
 だがカナダではポピュリズムの影響が強く、有権者は移り気である。アルバータ州を除いて、5期以上の長期政権は1980年以降、存在していない。現時点ではブリティッシュコロンビア州、オンタリオ州、ケベック州、ニューファンドランド&ラブラドル州の4州による3期目の政権が最も長期だが、ニューファンドランド&ラブラドル州以外は人気を失っており、4選されそうにない。

 多くの批評家は、ワイルドローズ党の政権は長続きしないだろうと予想している。同党はまだ新しく、その人気はダニエル・スミス党首のルックスに多くを依存しており、その政策は場当たり的だというのである。
 カナダには、伝統的に「良心の自由」という概念がある。出産しようと中絶しようと、同性で結婚しようと、離婚しようと、キリスト教式であろうとなかろうと自由であり、結婚委員会や医師はその自由を拒否できないとする考えである。
 しかしスミス党首は、もし政権を獲得したら現存の州人権委員会を廃止し、それとは別の、州裁判所から独立した「真の裁判所において真の法律家が、真の法律に基づき決定する」システムを構築すると明言している。そして昨年の党大会で採択された綱領には、「結婚委員会や医療専門家の『良心の自由』を確保するため、法律制定に尽力する」と定められている。ワイルドローズ党にとって「良心の自由」とは、結婚や中絶をする個人にではなく、それを審査する委員会に(拒否する自由が)あるというのである。
 スミス党首は4月4日、記者に「良心の自由」について質問されると、
「アルバータ州民が私に望んでいることは、権利のバランスが取れた状態ではないでしょうか。私はそれらの権利を、住民の信託を受けない裁判官の手から取り上げ、真の裁判官に移します。そこでは原告と被告が、平等の権利を持つのです」
と述べ、回答を避けた。
 これを聞いてアリソン・レッドフォード首相は、
「本当に驚きました。私は個人の信条は尊重しますが、それは個人が尊厳をもって扱われる州に暮らしていればこそです。私たちの社会は多様性を尊重しなければならないし、そこでは誰もが安全で、かつその一員に含まれていると理解するものです」
と語った。
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モートン財務相も辞任、党首選出馬を表明 [アルバータ]

 アルバータ州のテッド・モートン財務大臣は1月27日、次の党首選に立候補するため辞任した。彼は2日前、ステルマック首相が赤字予算を計画していることに異を唱え辞任するつもりでいたが、首相がその日先に辞任を表明してしまった。しかしモートン財務大臣は、やはり赤字予算を承認することはできず、また党首選に立候補する以上は閣内に留まるべきでないと判断した。後任には、首相の長年の盟友であるロイド・スネルグローブ歳入委員長が就任する。
 ステルマック首相とモートン財務大臣は、抗争の結果双方が辞任し、双方がそれを当然とコメントする事態となった。モートン財務大臣の辞任により、ステルマック首相は予定通り赤字予算を、2月22日に召集される州議会に上程する。
 進歩保守党のある長老議員は、状況をこう説明した。
「ステルマックは予算を取り、テッドは平議員になった。遅くとも6月15日までには総選挙を行うことになるだろう。もう抗争の余地はないよ。」
 ステルマック首相は25日に辞任を表明したが、それがいつであるかは明らかにしなかった。だが州議会の閉会は4月中旬と見られており、そうなれば党首選は夏に行われる公算が強い。
 モートン財務大臣は、党首選に確実に勝利できるというわけではない。2006年党首選で彼を支持した右派の多くは、すでにワイルドローズ同盟に走っている。彼のほか、ダグ・ホーナー副首相、アリソン・レッドフォード法務大臣、ダグ・グリフィス議員などが立候補すると推測されている。

 またモートン財務大臣はこの日、右派票の分散を警戒し、自分のリーダーシップの下でワイルドローズ同盟との「右派統一」を呼びかけると語った。だがワイルドローズ同盟のダニエル・スミス党首は、この提案を一笑に付した。
「彼が党首選に勝利し、それから私が党を進歩保守党に売り渡す。それは大きな勘違いだ。」
 スミス党首はまた、進歩保守党は完全な無秩序に陥っており、ステルマック首相が以前約束した2012年3月までの総選挙は、時期が繰り上がるかもしれないと予測した。
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ステルマック首相、辞任を表明 [アルバータ]

 アルバータ州のエド・ステルマック首相は1月25日、次の州議会選挙に出馬せず、党首も辞任すると発表した。
 ステルマック首相は1993年、進歩保守党から出馬してアルバータ州議員に当選し、ラルフ・クレイン内閣の農務大臣・運輸大臣などを歴任した。2006年にクレイン首相が辞任すると、彼は党首選でテッド・モートン氏を破り、総理・総裁に就任。2008年州議会選挙では、72議席(定数83)を獲得して大勝利した。
 彼は党内の要望により、公共サービスを切り捨てることより財政赤字を選んだ。そして財政赤字解消の一環として、2007年に石油・ガス会社へのロイヤルティ率を上げることを決定したが、2008年のリーマン不況が直撃し、石油・ガス価格の暴落にみまわれた。
 このころ、草の根保守のワイルドローズ同盟が結成され、「美人すぎる党首」ダニエル・スミス党首のもとで人気を急上昇させた。進歩保守党議員の何人かは離党して、ワイルドローズ同盟に移籍した。ステルマック首相は議会で圧倒的多数を握りながら、住民の間で人気がなく、新興のワイルドローズ同盟に脅かされていたのである。2010年12月の世論調査では、支持率は進歩保守党34%に対し、ワイルドローズ同盟32%と拮抗していた。
 CTVのジャネット・ダークスは、こう語った。
「ステルマック首相には、カリスマ性が欠けていると言われてきた。彼はいつも、カリスマのクレイン前首相と比べられた。」

 この日の11時、ステルマック首相は歳入委員会に出席し、巨大な赤字を計上する次年度予算について協議する予定だった。だがコスト・カッターのテッド・モートン財務大臣は、このような赤字予算を承認することは自分の評判を下げるだけだと考え、予算を絶対に承認せず、この日辞任するつもりでいた。ところが何名かの議員たちは、モートン財務大臣が離党するなら自分たちも離党する覚悟を示し、このままでは党分裂をひき起こしかねない事態となったのである。そこでステルマック首相は、党分裂を回避すべく11時半ころ、突如引退を発表するに至った。
 進歩保守党が分裂を回避して、いちばん喜んでいるのはワイルドローズ同盟のスミス党首かもしれない。彼女たちは、進歩保守党に対する長期独裁政権批判を吸収することで支持を拡大させているからである。彼女は次のように述べた。
「私には、首相が何を言っているのかよくわからない。有権者が我が党を注視するなら、我々がこれまで問題に取り組んでいて、そしてこれからも取り組み続けることに気づくだろう。それこそ、有権者が見たいものである。有権者が見たいものは、決して個人的事情による破壊の政治ではない。それは、我々が進歩保守党に見てきたものである。」
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クッキー発言でアルバータ健康事業委員会会長解任 [アルバータ]

470_duckett__101120_310174.jpg アルバータ健康事業委員会のスティーブン・ダケット会長が、クッキー発言で11月24日に解任された。彼は、アルバータ州のヘルスケア制度改革のため2009年春に新設された委員会に、会長として招聘されていた。
 アルバータ医学協会は先月、病院の慢性的な過密のため、ER(緊急救命室)における医療体制に崩壊の兆しが見られると警告した。そこで委員会は11月20日、ERでの待ち時間を減らす対策として、臨床医たちによる会議を招集した。ところが会議を終えたダケット会長は、その内容についてメディア記者から質問されると、「まだクッキーを食べている最中だ」と言って、回答を拒否した。
 会長のこのような態度はyoutubeなどで広く公開され、国民の非難を呼んだ。
 アルバータ州のエド・ステルマック首相は、こうコメントした。
「金曜日のコメントは、すこぶる不快なものだ。実際に全てのアルバータ州民が、それを不快だと感じている。よい提案がなされたのも事実だが、それらは全て後ろに回され、悪いコメントのみに焦点が当てられることになってしまった。」
 ダケット会長は、次のような神妙なコメントを発表した。
「せっかくの成功も、私のひどい発言によって覆い隠されてしまい、残念に思う。全面的に謝罪する。私は、大衆の関心事についてメディアが質問する権利を尊重したい。」


【動画】http://www.youtube.com/watch?v=5DxeCK5Ne_Q&feature=player_embedded
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ワイルドローズ同盟のスミス党首、カルガリーから出馬の意向 [アルバータ]

 ワイルドローズ同盟のダニエル・スミス党首は1月5日、CTVの「カナダAM」に出演し、自身が早期に議席を獲得し、州議会入りしたいという意向を述べた。
「私はカルガリー出身で、そこには23選挙区がありますが、当面空席はありません。地元選挙区から出馬したいと考えていますが、もし補欠選挙があった場合、党首として立候補すべきかどうか真剣に検討しなければならないでしょう。」

 党首に議席がない場合、カナダでは若手議員が辞職して補欠選挙を行い、党首を立候補させるのが通例である。この場合、他党は選挙運動をしないことが多い。日本人には議席を私物化しているようで馴染みにくいが、カナダでは第一党の党首が総督から首相に指名されることになっているため、前の首相が辞任して次の党首を首相に指名するとき、その人が議員でないと議場に入れないので不都合が生じる。また野党第一党党首は「公認反対党党首」として影の内閣を組織し、公邸と公用車があてがわれることになっていて、公認反対党党首は首相と党首討論する義務があるから、議席がないと都合が悪い。このような事情から、カナダでは党首には易々と議席を与えるのである。
 カナダの現職首相では、マッケンジー・キング首相が1925年、キム・キャンベル首相が1993年の総選挙で落選している。後者は政権を失ったが、前者は第一党党首として首相に再任されたため補選を行った。なお日本では現職首相が落選した例はなく、首相経験者として片山哲が1949年と1963年、石橋湛山が1963年、海部俊樹が2009年に落選している。

 ところでワイルドローズ同盟は、2009年9月の補選で最初の議席を獲得している。この議員を辞職させると議席なしになってしまうし、新しく移籍した議員を辞職させることは、辞職するために移籍するはずもないからあり得ない。何よりスミス党首は絶大な人気で、確実に当選できる駒だから、わざわざ一人辞職させるメリットがない。
 次の補選がスミス党首の最初のチャンスになるだろうが、カルガリー地区でない場合は悩むことになるだろう。
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進歩保守党議員2名がワイルドローズ同盟に移籍 [アルバータ]

3459231 1月4日、アルバータ進歩保守党の元児童サービス担当大臣ヘザー・フォーサイス議員(カルガリー-フィッシュクリーク選挙区)と、ロブ・アンダーソン議員(エアドリー-チェスタメア選挙区)がワイルドローズ同盟に移籍した。ワイルドローズ同盟はこれで3議席となり、2議席の新民主党を抜いて州議会の第三党となった。
 2人は、ステルマック首相が赤字予算を組み、社会保険費用を削減していることへの危機感を表明した。そして2009年7月、社会保険プログラムへの懸念を表明したガイ・ブティリエ議員が党から除名されたことにも触れた。フォーサイス議員が「ステルマック首相の下で、この政権は道を失った。私はもうこれ以上、我慢も黙っていることもできない」と語ると、アンダーソン議員も「マントと剣、中傷と二枚舌で決定されるこの政権は機能不全に陥っている。この政権は救いようがない」と語った。
 ステルマック首相は11月、党員の77%の支持を受け、党首として続投することになった。だが各種世論調査は、首相の人気が低下しているのを示した。アンガス・リード社の調査では、彼は全国で最も人気がない州首相だった。
 首相広報のトム・オルセン氏は、2人が離党した理由は個人的なもので、彼らが閣僚ポストを得られなかったからではないかと語った。マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるデュエイン・ブラット教授は、今後もさらに離党が続くだろうと予測した。
 だがダニエル・スミス党首は、昨年秋の党首選に勝利したときも大規模な移籍があると言われたことを指し、他党からの移籍を期待しているわけではないと語った。
「我が党に参加しようとする者は誰でも、自分の選挙資金と運動員と訣別する覚悟がなければならない。我々が与党になる前から、権力や閣僚ポストを提供することはできない。」

 進歩保守党のロブ・レンナー環境大臣でさえ、地球温暖化の存在は否定しないし、アルバータのオイルサンドを抽出することがそれを促進していることも、否定しない。彼は、経済に深刻な打撃がない限り何らかの対策が必要だと考えている。ところがカルガリー・ヘラルド元編集記者のスミス党首は今週、同紙上でのコペンハーゲン気候サミットに関する発言で注目を集めた。「真の保守」を標榜する彼女は、ローレンス・ソロモンの著書「否定者たち」から、地球温暖化の原因が人為的なものであることを否定する論文を引用し、連邦政府はいかなる協定にも署名すべきではないと大胆に主張したのである。


写真:左からダニエル・スミス党首、ロブ・アンダーソン議員、ヘザー・フォーサイス議員、ポール・ヒンマン副党首。
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ワイルドローズ同盟、支持率トップに [アルバータ]

 アンガス・リード社が11月23日から29日にかけて、1000人のアルバータ州民を対象に実施したオンライン世論調査は、ワイルドローズ同盟が初めて支持率トップに立ったことを示した。
 ワイルドローズ同盟は都市部でも地方でも圧倒的な支持を集め、全州での支持率は39%となった。この数字は今総選挙が実施されれば、同党が過半数政権か少数政権を築くボーダーライン上にいることを示している。与党進歩保守党は自由党と並んで25%、新民主党は9%、その他2%だった。
 カルガリーでの支持率は、ワイルドローズ同盟38%、自由党30%、進歩保守党23%、新民主党6%となった。
 エドモントンでの支持率は、ワイルドローズ同盟36%、自由党26%、進歩保守党25%、新民主党12%となった。
 歴史的に進歩保守党の固い地盤である地方では、ワイルドローズ同盟44%、進歩保守党25%、自由党21%、新民主党7%となった。

 アルバータ州はポピュリズムがとりわけ強い土地柄で、選挙は時として極端から極端へと走ることがある。政治の中心オンタリオから地理的に遠く、気候や産業構造も異なることから、アルバータは二大政党とは異なる第三政党を生み出してきた歴史がある。
 カルガリー大学で政治学を教えるデビッド・タラス教授は「世論は変わりうる」と述べ、次に総選挙が行われると思われる2012年まで時間はたっぷりあり、ワイルドローズ同盟とその党首には、党の政策について答えなければならない質問がまだいくつか残されていると指摘した。
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アルバータ政界に野薔薇咲く:新党首にスミス [アルバータ]

3270615 10月17日に行われたワイルドローズ同盟党首選で、カルガリー・ヘラルド元編集記者のダニエル・スミス候補(38)が、マーク・ディアホーム候補を破り当選した。スミス候補は6295票を獲得し、1905票のディアホーム候補を大差で下した。
 両候補は政策的にはさほど差はないが、スミスが同姓婚・妊娠中絶容認を打ち出したことから、この問題が必要以上にクローズアップされたきらいがある。ディアホームはアルバータの宗教右翼クレイグ・チャンドラーに支援されており、批評家はディアホームが勝利すれば、上げ潮の新党は狭量で非寛容な極右政党になってしまうだろうと指摘した。ポール・ヒンマン党首ですら「1人の候補は勝つために小さな問題に固執しており、もう1人の候補は大きな構図を描いて州民全てを惹きつけようとしている」と語った。

3250707 ワイルドローズ同盟は2008年、アルバータ同盟とワイルドローズ党が合併して成立した新党である。当初は泡沫政党と見られていたが、9月の補欠選挙において、進歩保守党が1971年から独占しているカルガリー=グレンモア選挙区で勝利し、人々を驚かせた。最近の政党支持率調査では、与党進歩保守党が38.4%で相変わらずトップを維持しているものの、ワイルドローズ同盟が21.5%で2位につけている。若いスミスを党首に据えたことで、ワイルドローズ同盟の政権獲得もいよいよ視野に入ってきた。

 進歩保守党は、スミスが生まれた1971年から、40年近く政権を独占している。スミスは、現在わずか1議席の党を、進歩保守党にとって代わるもう一つの保守勢力に変えてみせると約束した。
「我々が正しく行動すれば、2012年には我々が与党になっているだろう。」


写真上:右からヒンマン党首、スミス新党首、ディアホーム候補。
写真下:「ワイルドローズ同盟の方程式」。
自由党(ベリンダ・ストロナック)+レッド・トーリー=穏健リバタリアン(ダニエル・スミス)
「レッド・トーリー」とは、福祉を重視する伝統的中道右派のこと。中絶・同性婚容認の保守党員は「ピンク・トーリー」と言う。
保守党党首選に出馬し、中絶容認をぶち上げながら、落選すると自由党に移籍したベリンダのイメージと、スミスを重ねる意見は多い。
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