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地球温暖化を否定するカナダ人は2%【世論調査】 [環境]

 インサイトリックス・リサーチ社が5月29日から6月11日まで、1550人のカナダ人を対象に実施したオンライン世論調査は、地球温暖化を否定するカナダ人はわずか2%しかいないことを示した。
 地球温暖化について、人為的な理由で起こっているとする回答者は32%、主に人為的な理由・一部は自然現象が原因で起こっているとする回答者は54%、人為的な理由ではなく自然現象が原因で起こっているとする回答者は9%、地球温暖化は起きていないとする回答者は2%だった。

 地球温暖化に関する意識は、地域により大きく異なっていた。人為的な理由で起こっているとする回答者は、ケベック州で44%、東部で34%、ブリティッシュコロンビア州で32%に対し、アルバータ州とサスカチュワン州で21%、マニトバ州で24%と、保守党勢力の強い州ほど低いことが明確になった。
 2050年になっても、カナダでまだ電力供給のため化石燃料が使われると予想するカナダ人は51%で、最も高いアルバータ州で66%、最も低いケベック州で37%だった。

 2012年4月に実施されたアルバータ州議会選挙では、ワイルドローズ党のダニエル・スミス党首が「地球温暖化が人為的な理由で起こっているとは、まだ証明されていない」と語った。これについてエド・ステルマック前首相は「有権者は、地球温暖化を否定する首相の下でアルバータが石油を売ることを問題視した。スミス党首が地球温暖化を認めなかったことが、敗北につながった」とコメントした。

カナダ、京都議定書脱退第一号に [環境]

 ピーター・ケント環境大臣は12月13日、カナダは温室効果ガス排出削減に関する「京都議定書」から脱退すると、世界で最初に発表した。
「我々は、正式に京都議定書から脱退する法的権利を行使する。この決定は、我々が(政権に就いた)2006年から言及してきた、京都議定書を履行しないということの公式発表である。」
 彼はさらに、こう続けた。
「カナダにとって、キョウトは過去のものである。」
 そして、今後ほかの国々がカナダのあとに続いたとしても、自分は驚かないと述べた。

 彼は、議定書がアメリカと中国を含まず、世界の温室効果ガス排出量の13%未満のための取り決めにすぎないため、実効性に乏しいと批判した。
「京都議定書が、地球温暖化を解決する道程ではないことは明らかだ。それが何かであるとするなら、それは障害である。」
 彼は、京都議定書は「急進的で無責任」であり、脱退すれば罰金140億ドル、1世帯当たり1600ドルの節約になると訴えた。だがCTVのオタワ局長ロバート・ファイフは、京都議定書の罰則は緩いので、カナダがそれほどの罰金を負担することは考えにくいと語った。

 京都議定書は2005年に発効し、カナダは2008年から2012年までの間に、温室効果ガス排出量を1990年の水準より6%下げる目標が設定された。しかし最近の見積りでは、90年比より30%以上も増加している。ケント環境大臣は、自由党の前政権は達成できる見込みなしに目標に同意したと非難した。
 また彼は、カナダは全ての排出国を含む新しい国際協定については交渉すると明言し、こう語った。
「我々は国内で、温室効果ガス排出を減らす努力を続けていく。」

 グリーンピース・カナダのマイク・ヒュードマ氏は、次のようにコメントした。
「ハーパー政権は京都議定書脱退によって、世界の多くの脆弱な人々に死刑を宣告した。これはハーパー政権が、市民よりも公害企業を保護することに心を砕いているという合図にほかならない。」

Wi-Fiの危険性を警告したメイ党首のツイッターが炎上 [環境]

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 緑の党のエリザベス・メイ党首が7月27日に、Wi-Fiなど電子機器から出る電磁波による健康被害を警告したツイッターが、炎上した。
 それは「電磁波とスマート・メーターに関する有益で興味深い議論」と題された論考で、彼女はこう綴っていた。

「私の家にWi-Fiがないのは、大変結構なことだ。私はそのようないかがわしいものに、長年晒されることはなかった。
私は十分な根拠もなしに、この問題を取り上げているわけではない。Wi-Fiや携帯電話から出る電磁波の安全性について、科学的なコンセンサスはまだ存在していない。
我々のスタンスは、単純である。安全性が科学的に確立されるまで、健康上のリスクに対し用心深くあるべきだということだ。」

 この直後、膨大な反論によってメイ党首のツイッターは炎上した。
 sfontaineは、こう反論した。
「@ElizabethMay、あなたは今までは良くやっていた。そして今、イカサマ療法が始まった。あなたはSGI(※サーニッチ&ガルフ・アイランズ選挙区)有権者の票を失った。」
 Kevin Kindredも、次のように非難した。
「@ElizabethMayが似非科学と風評被害を喧伝するとは、実に嘆かわしい。彼女は本来、科学について見識があったはずだ。」
 緑の党は、まもなく記者会見で「ワイヤレス電磁波は、健康と環境に潜在的なリスクを与える。企業から独立した団体による、更なる調査が必要である」と述べ、「スマート・メーター」配布計画の中止を訴えた。
 緑の党の真の標的は、BC電力がブリティッシュコロンビア州で2012年末までに各戸に取り付ける、「スマート・メーター」と呼ばれるワイヤレスの電力量計である。それは1日数回、電力使用に関する情報を電磁波で送信する。なおBC電力は健康上の懸念がある場合、消費者の自己負担で旧来の電力量計の再設置に応じる。

 カナダでは2010年から、「Wi-Fiヒステリア」が社会問題化している。カナダの何人かの研究者が、相次いでWi-Fiから出る電磁波の悪影響を指摘する論文を発表したからである。
 トレント大学のマグダ・ハバス准教授は「マイクロ波、とくに基地局のマイクロ波は癌、心臓疾患、睡眠障害、皮膚疾患、一時的記憶喪失と関係する」という研究を発表している。彼は「もしスマート・メーターが各家庭に設置されたら、発癌性のある電磁波被曝を増加することになる。それは危険で愚かなことだ」と語っている。
 児童が下校すると頭痛・めまい・発疹などの症状を訴え、休日にはそのような症状が見られないのは、Wi-Fiから出る電磁波が原因ではないかと噂されている。オンタリオ州シムコー郡では、Wi-Fiを導入した学校のうち14校の児童が健康被害を訴える騒ぎとなり、ミーフォードのセント・ビンセント・ユーフレイジャ小学校では2010年10月、保護者の投票によりWi-Fiの使用が禁止された。

 我々の日常生活は、コンピュータやテレビなど、電磁波を発生するものに囲まれている。携帯電話が発する電磁波は、Wi-Fiのアクセスポイントに比べ断然近く、その被曝量は非常に大きい。たとえ保護者が学校でWi-Fi使用を禁止したところで、Wi-Fiネットワークは至るところにあり、児童は登下校の途中、いくつかのアクセスポイントに遭遇することになるだろう。
 世界保健機関(WHO)は1987年、1ミリアンペア/平方メートル(磁界レベルでは500マイクロテスラに相当)以下の電磁波に悪影響はないと発表している。

「カナディアンマン」姿でアザラシ猟に抗議 [環境]

peta_tokyo_bodypaint12.jpg PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)メンバーの女性が3月24日、東京のカナダ大使館前で下着姿で、アザラシ猟への抗議デモを行った。
 デモを行ったのは、カナダ人のアシュリー・フローノさん(23)。彼女が身につけていたのはパンティとブラジャーとハイヒールだけで、ほぼ裸に近い状態に赤と白の塗料でカナダ国旗のボディペイントを施した姿は、さながら「カナディアンマン」そのもの。この日はあいにくの雨で、フローノさんは傘をさし寒さをこらえながら「血塗られたアザラシ虐殺をやめろ」と訴えた。
 カナダ大使館では3月24日と25日に、「カナダ留学フェア2010春」を開催している。フローノさんは「留学を希望する学生たちの多くは、このような残虐行為を推奨するような国には行きたくないと思うことでしょう」と語った。

PETA活動家の顔面にパイ攻撃 [環境]

3501992 ニューファンドランド&ラブラドル州セントジョンズで1月29日、アザラシ猟への抗議デモを行っていたPETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)のメンバーが、顔面にパイをぶつけられた。 25日にはPETA活動家によって、ゲイル・シェー水産海洋大臣が顔面にパイ攻撃を受けている。
 PETAのエミリー・ラベンダーさん(21)はこの日、ハーパー首相が演説するホテルの前で、アザラシの着ぐるみを着て「ハーパー、あざらし虐殺をやめろ」というプラカードを持ち、抗議デモを行っていた。すると、“SALTY DOG”と書かれた犬の着ぐるみを着た人物が近寄って来て、彼女の着ぐるみの頭部を脱がせ、その顔面にクリームパイをぶつけた。この人物はすぐに立ち去ったため、身元や背後関係については判明していない。
3501993 ラベンダーさんは、自分の行動ゆえにパイ攻撃を受けたことがうれしいと語った。だがその場に居合わせたウォレス・ライアン氏は、ラベンダーさんに帰れと言い放った。「PETAは長年の間、ニューファンドランド&ラブラドルに暴力と憎悪を向けてきた」と語るライアン氏のTシャツには、「アザラシが醜かったら誰も危害を加えないよ」と書かれていた。



写真上:アザラシの着ぐるみを着たPETA活動家に、パイを持って近寄る犬の着ぐるみを着た人物。反対側にいる男性が持っているのはカメラだろうか。
写真下:パイ攻撃を受けたエミリー・ラベンダーさん。

PETAに「反テロリズム法」適用を要請 [環境]

 ニューファンドランド&ラブラドル州選出のジェリー・バーン議員(自由党)は1月26日、アメリカの動物愛護団体PETAを、カナダの「反テロリズム法」に基づき調査すべきだと主張した。
 バイアン議員はVOCMラジオのインタビューで、こう述べた。
「政治的主張を押し付けるため、カナダ市民への犯罪行為を指揮あるいは訓練する人々は、テロ組織の条件に合致していると思われる。私はカナダ政府に、カナダの法に基づきこのPETAという組織がテロ組織として活動しているかどうか調査するよう要請している。」
 カナダには「反テロリズム法」があるが、それが言論の自由のあるアメリカにおいて効力を持つかどうかは、定かではない。ジョージ・W・ブッシュ大統領は2006年、「動物団体テロリズム法」に署名し、動物愛護運動の取締りを強化した。しかしPETAはこの法律を、テロへの恐怖感を利用して平和的な動物愛護運動を阻止する試みだとして強く批判していた。
 PETAのイングリッド・ニューカーク代表は26日、バーン議員の言動を批判した。
「バーン氏の反応は、馬鹿げた脅しである。それは、動物を愛護する心を持ち、爆弾と豆腐パイを区別できる知性を持った人々に感銘を与えるものではない。」

 シェー水産海洋大臣にパイをぶつけたPETAのエミリー・マッコイ容疑者は、暴行容疑で起訴され、26日に保釈された。

動物愛護運動家、シェー大臣の顔面にパイ [環境]

http://www.youtube.com/watch?v=QiEIX-uirGY&feature=player_embedded
 ゲイル・シェー水産・海洋大臣が1月25日、オンタリオ州バーリントンのカナダ・センターで演説中、PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)のメンバーから顔面に豆腐パイをぶつけられた。
 パイをぶつけたのは、ニューヨークのエミリー・マッコイ容疑者(37)で、彼女はPETAのメンバーだが、今回の犯行は組織の計画ではないという。彼女は犯行直後「恥を知れ、ゲイル・シェー。血塗られたアザラシ猟を禁止せよ。それはカナダの恥、血塗られたアザラシ猟を非難しないのは彼女の恥である」と演説し、警官に取り押さえられた。
 この事件について、PETA副代表トレイシー・レイマンは「シェー氏の顔についた豆腐パイは、彼女の両手に流された血とは比べものにならない」とコメントした。
 シェー大臣には怪我はなく、顔を拭いた後演説を続けた。
「これは、アザラシ猟とカナダの猟師たちを支援するという私の意志を強固にした。アザラシ猟の現実を見ようともせず、この種の行動に向かう人々がいるのは残念なことだ。」

 政治家へのパイ攻撃を試みる者がしばしば現れるが、その多くは禁固を含む刑事罰を科せられている。2000年にプリンス・エドワード島でジャン・クレチエン首相にパイをぶつけた犯人は、禁固刑を宣告された。2003年にアルバータ州のラルフ・クレイン首相の顔面にパイをぶつけた犯人は、禁固30日の刑を宣告された。2007年にアルバータ州のエド・ステルマック首相にパイをぶつけそこね、警備員にぶつけた犯人は、禁固30日の刑を宣告された。

カナダ五輪委、アザラシ革ユニフォームを拒否 [環境]

 欧州議会におけるアザラシ製品禁輸措置の衝撃覚めやらぬ翌5月6日、カナダの下院は、2010年に開催されるバンクーバー・オリンピックにおいて、連邦政府に対しアザラシ製品の宣伝に努めるよう求めるとともに、カナダ・オリンピック委員会に対し、選手のユニフォームをアザラシの革で作るよう求める動議を、「全会一致」で採択した。

 先住民団体「イヌイット・タピリート・カナターミ」(ᐃᓄᐃᑦ ᑕᐱᕇᑦ ᑲᓇᑕᒥ/イヌイット協会)のメアリ・サイモン代表も、オリンピック委員会がイヌイットの石の道標「イヌクシュク」をオリンピックのロゴに採用したことを指摘し、オリンピック委員会に対し「我々の文化も含めてイヌイットを最後まで支援すべきだ。そしてアザラシ猟も、我々の文化だ」と語り、動議を支持した。
 しかし、カナダ・オリンピック委員会のクリス・ラッジ会長は「我々はカナダ人の権利を尊重するし、政治家がこのような議論に関与することを尊重する。しかし社会的・政治的な問題に関与することは、オリンピックやオリンピック・チームの役割ではない」と述べ、提案の拒否を表明した。


【参考】
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2006-03-04
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2006-04-08
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2009-05-08
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2009-05-10

アザラシ製品がEUで禁輸措置 [環境]

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 欧州議会(定数785議席)は5月5日、フランスのストラスブールで本会議を開き、アザラシの毛皮製品の輸入や取引を域内27か国で禁止する法案を550対49で可決した。今後は、加盟諸国の承認を経て施行される見込み。なおイヌイットなど先住民が非営利で捕獲したアザラシ製品は、規制から除外する。
2834098 アザラシ猟は世界で年間約90万頭を捕獲しているが、カナダは主にニューファンドランド&ラブラドル州など東部で約30万頭を捕獲し、世界最大規模の猟を行っている。東部の漁業従事者約6000人にとって、年収の約35%を占める冬のアザラシ猟は重大な収入源となっており、2006年にはカナダからEUへ毛皮・肉・脂・オメガ3サプリメントなどを輸出し550万カナダドルの収益を上げた。

 欧州議会による禁輸措置は、関係方面に大きな衝撃を与えた。ストックウェル・デイ貿易大臣は、採決はカナダが国際ガイドラインに従ってアザラシ猟を行っているという事実を無視しており、ノルウェーなどアザラシ猟を行う他国政府と協力し世界貿易機関(WTO)に異議申し立てすると発表した。
 保守党のジェイ・ヒル下院院内総務は、「アザラシ猟は苦痛を伴わない合法的な経済活動であり、欧州議会でこのたび決定されたアザラシ製品禁輸措置は、誤解に基づく、扇動的な、逆効果の、拒否されるべきものである」と語った。
2834097 ケベック連合のジル・デュセップ党首は、「欧州議員たちは、みな藁で編んだ靴を履いているのだろうか。彼らの中には、革靴を履いている人が何人かいるのではないか。それには動物が必要だ」と述べ、彼らを偽善者だと非難した。
 国際人権協会カナダ支部のレベッカ・アルドワース氏は「これは、世界の商業アザラシ猟反対運動にとって歴史的な瞬間だ。何十年もの間叫び続けてきた者たちにとっての、真の勝利である」とコメントした。


図:(同性愛に)寛容で…(マリファナを)放任し…(ミサイル防衛システムを拒否して)平和を愛する…カナダ。

アザラシ猟禁止法案を却下 [環境]

 EUがアザラシ製品禁輸措置に踏み切る可能性が高まるなか、自由党のマック・ハーブ上院議員は5月3日、先住民を除き、カナダでのアザラシの商業捕獲を禁止する法案を連邦議会に提出した。
 ハーブ議員は「アザラシ製品の市場がなくなり、圧倒的な国際社会の反対の中、カナダはこの斜陽産業をこれ以上復興させることはできないと認識しなければならない」と語った。この発言について国際動物福祉基金(IFAW)は、世界最大規模の海洋哺乳類の殺害に終止符を打つ法案を提出したカナダで初めての政治家だと述べ、同議員への支持を表明した。
 党幹部会で採択された法案には党議拘束がかかるが、ここで採択されない法案も、議員による個人提出の途が残されている。ただしこの場合は、党議拘束はなく自由投票となる。ハーブ議員の提出した法案は、自由党を含めいかなる会派の議員の誰一人として支持が得られず、第一読会にも上程されず取り下げられた。上院議員は75歳定年制で高齢者が多いが、法案が第一読会に上程されなかった前例を、誰も挙げることができなかった。

「バリ・ロードマップ」を採択しCOP13が閉幕 [環境]

 京都議定書後の温室効果ガス削減策を話し合う国連の「気候変動枠組み条約締約国会議」バリ会議(COP13)が12月3日、インドネシアのバリ島で開催された。国連の合意をアメリカが拒否する意向を見せ、物別れに終わりそうな気配を見せたが、瀬戸際の12月15日、中国に先導された発展途上国の反抗により、妥協案として以下のような「バリ・ロードマップ」の採択を決定した。

●国連の気候変動に関する政府間パネルの「温暖化は疑いの余地がない。排出削減の遅れは、気候変動に伴う危険性を高める」との指摘に対処する
●温室効果ガス排出量の大幅削減が必要だと認識する
●京都議定書後の枠組みは第15回締約国会議(2009年)で合意する
●すべての先進国による検証可能な排出の削減か抑制が重要である
●途上国は持続可能な発展を前提に、技術や財政支援を受けた検証可能な方法で対応をする
●気候変動枠組み条約の下に特別作業部会を新設し、交渉を始める

 カナダや日本などの少数派は、先進国が温室効果ガス排出を2020年までに、1990年の水準の25から45パーセントを削減するという具体的数値目標を掲げることに反対し、批判のターゲットとなった。ジョン・ベアード環境大臣は、カナダがその目標を達成するには、排出量を12年間で38から53パーセントまで削減する必要があり、不可能だと表明した。

 バリ会議の最終局面では、アメリカ代表のポーラ・ドブリアンスキー国務次官が、最終文書の中で発展途上国の約束を明確に盛り込むべきだと強く主張し、さらに先進国が発展途上国に与える支援について「測定可能な、報告可能な、検証可能な」の文言を容認できないと発言するに至り、途上国の非難が噴出した。パプアニューギニアのケビン・コンラッド大使が「アメリカがリードすることを期待している。もし何らかの理由でその意思がないのなら、残りの我々に任せて欲しい。邪魔するだけなら、この会場から早く出て行って欲しい」と発言すると、会場は騒然となった。進展を妨げないとブッシュ大統領が明言したにもかかわらず、ことごとく反対にまわるアメリカに対し、腹に据えかねた各国代表の不満が表面化した瞬間だった。中国代表は机を拳で叩いて怒りをあらわにし、他の発展途上国の歓声を呼んだ。
 ところが、ドブリアンスキー次官が「我々は新しい枠組みを更に進展させるためにバリに来た。我々はビジョンを共有し、前進したいと思う。我々はこのバリにおいて成功を勝ち得たい。一致協力して前進しようではないか」と妥協案を受け容れる劇的な転換を見せるや、ブーイングは歓声に変わった。

 各国代表の中には、温室効果ガス削減について具体的数値目標の設定が回避され、あいまいな表現に差し替えられたことに失望の色を隠せない者も多い。だがベアード環境大臣はこの会議を、効果的な地球的気候条約に向けての前向きな最初の一歩として評価した。
 「我々は、弱められトーンダウンされた合意に失望している。だが合意が成立しないよりは良かった。」
 自由党のディオン党首は、今回の合意を気候変動への戦いの進展として評価したが、カナダ政府の演じた役割について遺憾の意を表明した。
 「カナダがより大きなリーダーシップを見せていたら、事態はもっと良くなっていただろう。もしカナダがブッシュ大統領ではなくヨーロッパと同じ側にあったら、事態はもっと良くなっていただろう。」

 京都議定書に規定のない2013年以降について、日本政府は「全世界が道のりを共有しない限り、削減目標の変更は議論すべきではない」と発言して議定書の延長に反対し、目標引き上げの議論には加わらない意向を表明し、また法的義務のない各国の自主目標設定を提案した。これは、アメリカや中国など削減義務を免れている大量排出国の参加を促す狙いもあるが、経団連を筆頭に財界から削減目標設定など地球温暖化対策に対し強い抵抗があるのも事実である。財界筋では、温室効果ガス削減の具体的数値目標をロードマップに盛り込むことを阻止できただけでも十分な成果だと評価する向きもある。日本は、京都議定書で世界に約束した温室効果ガスの1990年比での6%削減という目標を達成するどころか、逆に6.4%も増やしているのが現状である。


ハーパー首相・福田首相・ブッシュ大統領を風刺する広告が登場 [環境]


 「目標はない。氷山もない。ただ地球的災害が目前に迫っている。」

 インドネシアで「気候変動枠組み条約締約国会議」バリ会議(COP13)が開催されるなか、国際政策研究NGO団体の「アバズ(「声」を意味する)」は12月14日、インドネシアの英字紙「ジャカルタ・ポスト」に、日本の福田康夫首相、アメリカのブッシュ大統領、カナダのハーパー首相の顔写真を並べ、国際合意を妨害する三大抵抗勢力を風刺する意見広告を掲載した。
 この意見広告は、三首脳が乗り込んだタイタニック号を思わせる船は、温室効果ガス排出削減目標はないので氷山もなく、何の問題もないように思えるが地球的災害がすぐそこに迫っているのだと警告し、さらに「我々はアメリカ、カナダおよび日本に対し、2020年までの排出削減目標設定の妨害をやめ、他国に対しこれ以上の譲歩を拒否するよう強く求める」「この陳情には掲載24時間前までに178か国の5万3139人が署名した」と訴えている。


日本・カナダ・アメリカがCOP13の「化石賞」を独占 [環境]


 インドネシアのバリ島で開催された国連の「国連気候変動枠組み条約締約国会議」バリ会議(COP13)において12月5日、日本が「化石賞」の1位から3位までを独占した。
 「化石賞」は、最もネガティブな言動をした上位3カ国をCAN(Climate Action Network)が表彰することになっている。

1位:日本
2位:日本
3位:アメリカ、カナダ、日本

 CANはその理由として、
1位獲得理由…京都議定書を廃棄するような発言
2位獲得理由…京都議定書誕生10周年を開催国の日本が先頭に立って祝福しなければならないようなときに、自ら廃棄するような態度であること
3位獲得理由…発展途上国への技術移転の議論を実施レベルに持ち込むことを阻むような発言をしたこと

を挙げた。


カナダのノーベル賞 [環境]


 2007年のノーベル平和賞は、アメリカのゴア元副大統領に授与された。共同受賞者として有力候補に挙げられながら、受賞を逃したイヌイットの女性活動家シェーラ・ワットクルティエ氏は、CBC放送に対し「共同受賞者に名を連ねることができなかったのは残念」と胸の内を明かしながらも、地球温暖化への取り組みが取り上げられたのは喜ばしいと語った。
 ワットクルティエ氏は「私はゴア前米副大統領とペアで平和賞に推薦されていた」と指摘。受賞していれば「(北極地方の問題が)注目を集めることになっただろう」と述べ、「この点を考えると、やや落胆していることを認めなければならない」と語った。
 ただ、「私にとっては(気候変動の問題が)受賞したことに意味がある。我々の地球が受賞者なのだ」と語り、ゴア氏と国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の受賞を評価した。
 カナダの女流作家マーガレット・アトウッド氏は、今年も文学賞を得られなかった。

写真左:シェーラ・ワットクルティエ。
写真右:マーガレット・アトウッド。


カナダが京都議定書の目標達成断念を表明、主要国で初 [環境]

 カナダの保守党政権が、温室効果ガスの排出削減について定めた京都議定書の国別目標を、期限の2012年に達成するのは不可能と表明した。AP通信が伝えた。議定書批准国のうち主要国で目標達成が不可能と正式表明したのは初めて。
 新たな目標としてカナダは、現在の排出量を2020年までに20%削減するとしている。同議定書のカナダの目標値は「1990年より6%少ない排出量」だったが、その達成は大幅に遅れる見通しだ。
 カナダの排出量は現在、90年より30%も多いうえ、アルバータ州で進むオイルサンド開発によってさらに急増が見込まれている。ベアーズ環境相は「失われた10年への責任までは負えない」と、自由党の前政権の無策を批判した。
 しかし、同州などを支持基盤とする保守党政権は地球温暖化対策に消極的で、新たに打ち出した政策も、石油業界などの削減義務は緩やかになっている。このため、野党などから強く批判されている。


アザラシ猟止めたら1600万ドル進呈 [環境]

 動物愛護運動に熱心な会社経営者が2006年4月、アザラシ猟を止めたら1600万ドル(約19億円)を進呈するとカナダ政府に申し入れたが、拒否された。
 申し出たのはコネチカット州の化粧品会社社長で、国際動物愛護基金(IFAW)などと連携して動物愛護運動に取り組んできたキャシー・カンガスさん。カンガスさんはハーパー首相に公開書簡で「あなたがたは赤ちゃんアザラシを殺して得られる1600万ドルがセントローレンス湾およびニューファンドランドの漁民にとって死活的に重要だと繰り返し主張しているが、今年の猟を直ちに中止すれば、我々は1600万ドルを進呈する」と呼び掛けた。資金は世界の動物愛護団体からの寄付で賄うとした。
 しかしロヨラ・ハーン漁業海洋大臣の報道官は「我々はこの申し出に関心がない。もっと別の価値あることにお金を使うよう望む」と語った。

マッカートニー夫妻、アザラシ猟反対キャンペーン [環境]

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 全米動物愛護協会(HSUS)とイギリスの「レスペクト・アニマルズ」は、ポール・マッカートニー夫妻によるアザラシ猟反対キャンペーンを企画した。
2846352 2006年3月2日、ケベック州マドレーヌ諸島を訪れたマッカートニー夫妻は、流氷上でホワイトコートを抱き「アザラシ猟はカナダ人の偉大さにとって汚点となるものだ」と述べた。なお狩猟許可書を持った者以外は、法律でアザラシに800メートル以内に近づくことを禁じられているが、監視員はこれ以上事態を大きくするのを避け、告訴を断念した。
 続いてCNNのトーク番組でマッカートニー氏は「大成功しているホエール・ウォッチングのようなエコ観光に切り替えれば、地元住民の生活も安定するだろう」と主張した。この番組でマッカートニー夫妻と討論したニューファンドランド&ラブラドル州のダニー・ウィリアムズ首相は、「夫妻はアザラシ猟の実態を知らず、キャンペーンは反対運動のプロパガンダだ」と反発した。またカナダ漁業海洋省はマッカートニー夫妻が現地入りする前日、ホームページで「アザラシ猟の神話と現実」というコンテンツを掲載して、反対論者の主張に反論した。
 80年代の世界的なアザラシ猟反対運動の中で、マドレーヌ諸島の人々は「世界で最も残酷な人々」というありがたくない異名をとった。


写真:ポール・マッカートニー(右)とヘザー・ミルズ(左)夫妻。