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ホールフーズ・マーケット、ポピー着用禁止を撤回 [人権]

 ホールフーズ・マーケットは、従業員にポピー着用を禁止した件についての批判を受け、11月6日にこれを撤回した。
 退役軍人会は、寄付した人へのお礼としてポピー(芥子)の花を提供している。この習慣は、カナダの詩人ジョン・マクレーの詩「フランダースの野に」に基づくものである。第一次大戦休戦を記念するリメンバランス・デーの11月11日が近づくと、寄付者が増え、街中至るところでポピーを着用した人を見かけるのが、この時期の風物詩となっている。寄付金は退役軍人の福利厚生に用いられるが、新型コロナウィルスの影響で収益の低下が懸念されていた。
 ホールフーズ・マーケットはアメリカの食料雑貨店で、カナダには14店舗ある。同社は退役軍人会に8000ドル以上寄付し、毎年11月11日午前11時には、従業員が黙祷することを認めている。
 オタワの店舗に勤める匿名の従業員は「一つの主義・主張の表明を認めたら、他の主義・主張の表明への門を開くことになる」と言われたと語った。会社は、制服はエプロン・コートまたはベスト・帽子・名札と決められていて、ポピーは含まれないと説明したという。

 カナダのトルドー首相は6日、これを「愚かな間違いだ」と批判した。
 保守党のオトゥール党首は、ツイッターでこう述べた。
「かつてのカナダ人の犠牲は、アメリカの食料雑貨店が愚かになる自由をもたらした。ポピーは主義・主張ではない。それは敬意の印である。」
 新民主党のシン党首も、次のように述べた。
「従業員に『ブラック・ライブス・マター』と表明するのを禁止しながら、ポピーを禁止するのは間違っている。カナダ人が仕事に行くとき、軍人たちの犠牲を顕彰する権利を失ってはならない。」
 連邦議会はこの日、11月5日から11日まで従業員のポピー着用を認めるよう雇用者に呼びかける決議を、満場一致で採択した。またオンタリオ州ではダグ・フォード首相が、ポピーの着用を禁止する行為を違法化する法案を提出すると発表した。
 オタワの匿名従業員は、こう語った。
「私たちは、命と家族を、夫や妻や父や母や息子や娘たちを犠牲にした人々について話しています。彼らは、我が国の自由と安全を守るために死んだのです。そして今は、私たちが彼らを憲章しありがとうと言う時期なのです。」
 これらの批判を受け同社は、従業員のポピー着用を認めると発表した。

 アレックス・ルシフェロ弁護士は、ポピーなどの着用は政治的信条の表明とみなされることがありえ、それゆえその権利はオンタリオ人権憲章で保護されないと説明した。またポピーには針がついているため、会社には安全のため禁止する正当性がないとは言えないと語った。
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SNSに“All Lives Matter”と書いて大臣罷免 [人権]

5f8071721f000071230c19eb.jpeg ヌナブート準州のパターク・ネッツァー住宅大臣兼ヌナブート北極大学担当大臣は、10月7日フェイスブックに“All Lives Matter”と書き、黒人女性が妊娠中絶することを批判したことが原因で、翌日罷免された。
 彼は、特定の団体・個人を攻撃する意図はなく、言論の自由について練習していたので、後悔していないと語った。
「私はBlack Lives Matter運動を支持している。私は彼らに敬意を表するが、私はただ、中絶された赤子のことを考えていた。」
「私は平等を尊重する。そして、女性とその選択する権利を支持する現行法が、誰にでも等しく適用されることを尊重する。宗教的価値に基づく私の見解は異なるが、それは私見だ。」
「私はカナダ市民として、憲法で保証されている言論の自由について練習した。我々の言論の自由は、少しずつ侵食されている。我が国は、中国やロシアのような国になりつつある。」
 ジョー・サビカターク首相は大臣に電話し「君には2つの選択肢がある。一つは辞任すること、もう一つは罷免されることだ」と告げると、大臣は後者を選んだという。
 首相は、敬意を欠いた攻撃的な言動に寛容になるつもりはないと述べた。
「そのような投稿が、準州議会議員として、また閣僚として掲示されたことに、私は大きな衝撃を受けた。それらは彼の地位だろうが、内閣閣僚の任務は週7日、1日24時間のものである。」
 大臣の娘でイカルイト市会議員のマレヤ・ルカシ氏も、フェイスブックに“All Lives Matter”と書き、Black Lives Matterに類似する運動がなぜカナダ先住民にはないのかと訴えたが、後に謝罪した。
「私の真意は、イヌイットのための変革要求が高まっていないということだった。我々が直面している制度的人種差別と戦うグループやBLM運動から、何かを取ろうというものではもちろんなかった。」

 ヌナブート準州では、22人の準州議会議員の全員を閣僚に任命する超然内閣を組織する。どの議員をどのポストに就けるかは首相が決めるので、首相はポストからの罷免はできるが、議員を閣僚でないことにはできない。準州議会は21日に召集されるので、そのときネッツァー氏の処遇について投票することになる。それまでネッツァー氏は無任所大臣を務め、住宅大臣はサビカターク首相が、ヌナブート北極大学担当大臣はデビッド・ジョナシー文部大臣が務める。
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シン党首、他議員を「差別主義者」と呼び退場させられる [人権]

 下院で6月17日、新民主党のジャグミート・シン党首が提出した「連邦警察(RCMP)には制度的人種差別が存在すると認める」動議は、賛成多数で可決されたが、彼が目指した全会一致ではなく、ケベック連合のアラン・テリエン議員一人だけが賛成しなかった。
 シン党首がテリエン議員を「差別主義者」と言うと、ケベック連合のクロード・ドベルフェーユ下院院内総務が立ち上がり、反論した。
「今提出された動議に賛成しないという理由で、他の議員を公党の党首が差別主義者呼ばわりしていいとは思わない。ラ・プレーリー選挙区の議員を、新民主党は臆面もなしに差別主義者として扱っている。本院において到底受け容れがたい。」
 キャロル・ヒューズ副議長は「私には聞こえなかった」と言ったが、シン党首は「本当にそう言った。私は彼を差別主義者と呼んだし、そう確信している」と主張した。ヒューズ副議長はシン党首に謝罪するよう依頼したが、拒否されたため、アンソニー・ロタ議長はシン党首に、その日議場から退場するよう命じた。

 議場を出たシン党首は、記者会見で次のように述べた。
「一人の議員は恥知らずなことに、単にノーと言わず大声でノーと言い、このような手振りをした。」
 彼はそう言って、右手で蝿を払うかのような手振りをした。
「それを見て私は、長い年月の間何があったのかを、確かに知った。人々は人種差別を、制度的人種差別を、先住民が殺されるのを、黒人が暴力の被害に遭い殺されるのを、大したことだと思っていなかったのだ。私はまさにその瞬間、人種差別の正体を見た。」
「それはあたかも、人々が体験する現実を誰かが排斥するときに似ている。それを見たとき、私には憤りがあった。」
 議員は院内での発言に関し院外で責任を問われないが、院外でも同じ主張をするかと問われると、彼は次のように述べた。
「はい。私は、明確にそう言った。私は、明確にそれを繰り返す。」
「はい、連邦警察には制度的人種差別があると認め、問題を根本的に是正する動議に反対する人は、人種差別主義者である。」

 ケベック連合のドベルフェーユ下院院内総務もこの日、声明を発表した。
「先住民と少数民族に対する差別は重大な問題だが、下院公安委員会は連邦警察における制度的人種差別について調査中である。調査結果が公表される前に、何かを強要するのは不適切だと我々は考える。我々は、議会のプロセスを尊重したい。」
「新民主党党首は、ケベック連合下院幹事長に根拠のない侮辱を加えた。彼はただちに謝罪すべきである。」
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カナダに「制度的人種差別」はあるか [人権]

 ミネアポリスでジョージ・フロイド氏が5月25日、警官の暴力によって死亡する事件が起きると、行政による「制度的人種差別」に憤る人々が抗議のデモを行い、一部は暴徒と化した。カナダでは3月10日アルバータ州フォートマクマレーで、アサバスカ・チペワイアン・ファーストネーションのアラン・アダム首長が拘束される際、警察に顔面を激しく殴打される様子が動画として公表された。
 連邦警察(RCMP)のブレンダ・ラッキー長官は6月12日、カナダの行政にも人種差別はあり、その解消に取り組んできたと語ったが、後に発言を修正した。
「私は、我が国の行政機関に人種差別があると認めたが、制度的人種差別が連邦警察に存在するとは言っていない。」
 これを受けてリリアン・ディック上院議員(進歩上院の会)は15日、彼女の辞任または解任を要求した。
「彼女の最近の声明は、制度的人種差別が何であるかのかを、完全に理解していないことを示している。連邦警察が制度的人種差別を除去する方法を心に描き、実行することは彼女にはできない。制度的人種差別が、連邦警察に存在するかどうかについての彼女の不可解な転換は、リーダーとして逆説的であり、受け入れがたい。」
 なおディック議員は、クリー・ゴードン・ファーストネーションに属している。

 アバカス・データ社が6月5日から10日まで、18歳以上のカナダ人1750人を対象に実施した世論調査は、制度的人種差別はあると回答した人が61%、ないと回答した人が9%という結果を示した。
 レジェ・マーケティング社が6月5日から7日まで、18歳以上の1523人のカナダ人と1001人のアメリカ人を対象に実施したオンライン世論調査では、「以下の人々のうち誰を支持しますか」という設問に、カナダ人は、差別に抗議する人72%、警察39%、州政府33%、トランプ大統領9%と回答した。対照的にアメリカ人は、差別に抗議する人が63%と少ないのに対し、警察55%、州政府52%、トランプ大統領38%と、行政に対する支持が顕著に高かった。そこでカナダ人回答者に、市民と警察の関係はアメリカに比べて良いかと尋ねたところ、「良い」が77%、「ほぼ同じ」が15%、「悪い」が3%という結果になった。
 また、人種差別は行政において深刻な問題であると回答したカナダ人は、白人で48%だったのに対し、有色人種では61%だった。

 自由党は有色人種の間で強く支持されていて、その基盤であるオンタリオ・ケベック・ブリティッシュコロンビアはいずれも有色人種の多い地域である。有色人種が過半数を占める選挙区が全国で41あり、うち自由党は32議席を持っている。
 アバカス・データ社の統計は、有色人種の有権者の間で自由党支持者が52%、保守党支持者が22%、新民主党支持者が20%であることを示している。これが白人有権者になると、自由党の保守党に対する優位はわずか6ポイントに過ぎない。
 有色人種の有権者では、トルドー首相の支持率が53%なのに対し、不支持率は19%である。2019年秋の総選挙期間中、首相が教師時代に「アラビアン・ナイト」のパーティでブラックフェイスに塗った写真を暴露されたときが最も支持率が低く、43%だったことを思えば、劇的な改善だといえる。人々は首相を、新型コロナウィルス対策に頑張っていると好意的に評価しているようだ。
 今総選挙が実施されれば、自由党が過半数を容易に獲得することに疑いの余地はない。だが新型コロナが完全に制圧されたとは言えない現状において、総選挙を実施すれば、投票所に人々が殺到しクラスターを招きかねない。総選挙が実際に行われるときには、自由党の支持率は下がっていることが考えられる。そこで人種問題は、自由党が総選挙に勝利するための重要なファクターでありえる。

 トルドー首相は人種差別への抗議集会に参加し、膝を屈してこう語った。
「制度的人種差別はまさに、全国的な、警察を含む全ての行政機関の問題である。それは多様な背景を持つカナダ人たちが、世代を超えて直面してきた問題である。これはカナダ人が、我々のシステムには不公平があると認めた瞬間である。」
 対照的に、ケベック連合のイブ=フランソワ・ブランシェ党首は2日、カナダに制度的人種差別があることを否定した。
 ケベック州のフランソワ・ルゴー首相も、制度的人種差別を否定した。
「差別はいくぶん存在する。だが制度的人種差別というものはない。」
 ストックウェル・デイ元国際貿易大臣(元保守党)は2日、レギュラー出演していたCBCのニュース番組で、次のように述べた。
「我々は、カナダの制度が完全ではないと認めなければならない。そう、我々の周囲には少数の愚か者がいるが、カナダは人種差別国ではないし、大多数のカナダ人は人種差別主義者ではない。そして、常に改善される必要のある我々のシステムは、制度的に人種差別主義ではない。」
 彼はスポンサーの意向により、降板させられた。
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選挙管理委員会、投票日を変更せず [人権]

 予定されている総選挙の投票日がユダヤ教の祭日に当たるため、連邦裁判所が日程の見直しを求めていた問題で、選挙管理委員会は7月29日、日程は変更しないと発表した。
 ステファン・ペロー選挙管理委員長は、次のように述べた。
「厳格なユダヤ教徒が投票する権利は、全てのカナダ人の投票機会を確実にすることでつり合いが取られなければならない。」
「カナダほど多様な国において、完璧な投票日などない。投票日に投票できないカナダ人は、常にいる。」
「この遅い時期において選挙の日程を変えることは望ましくないと、私は結論する。」
「これは軽々しく決められる問題ではなく、むしろ多くの人々により広範囲な投票アクセスを提供する視座においての決定である。」
 彼は、投票所を探す準備は2018年初めに始まっていると説明した。全国で13の教育委員会が、学校を投票所として提供し、10月21日を授業のない日と定めている。これらの多くは、投票日が変更された場合、学校を投票所として提供するのは困難だと回答している。
 原告のシャリ・アリエ=ベイン候補とアイラ・ウォルフィッシュさんは、投票日を10月28日に移すよう要請した。だがペロー委員長は、その日はヌナブート準州の投票日だと指摘し、異なる2つの行政区におけるダブル選挙は、有権者に誤解と混同をひき起こすと反論した。
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「投票日が祭日」ユダヤ教徒が変更を要請 [人権]

 連邦議会総選挙は、2019年10月21日に実施される予定になっている。この日がユダヤ教の祭日に当たるため、ユダヤ教徒が日程を変更するよう訴えていた問題で、変更する必要はないとした選挙管理委員会の判断を見直すよう、連邦裁判所は7月23日に要請した。
 選挙法の規定により、総選挙は10月21日までに実施しなければならない。投票日は、首相の助言に基づき総督が公示する。投票日はまだ正式に確定していないが、トルドー首相は10月21日に実施すると公言している。
 投票日はひとたび総督に公示されたら、絶対に変更はできない。選挙管理委員会には投票日を決定する権限はないが、予定を変更するよう勧告はできる。また期日前投票の日程は、決定する権限がある。
 10月21日の投票日は、10月20日から22日にかけて行われるシェミニ・アゼレットと完全に一致する。ユダヤ教正統派は仕事や長距離の移動を禁止されているため、投票はできない。そこでユダヤ教正統派で、オンタリオ州エグリントン-ローレンス選挙区に保守党から出馬するシャリ・アリエ=ベイン候補と、ヨーク・センター選挙区の有権者アイラ・ウォルフィッシュさんは、選挙管理委員会に善処を要請した。また10月11日から14日までに仮設定された期日前投票日は、12日の土曜日が安息日で、14日が仮庵祭に当たる。ユダヤ人の1日は日没から日没までなので、「土曜日の安息日」とは金曜夜から土曜夜までに相当するから、11日の夜も投票できない。ユダヤ系でヨーク・センター選挙区の現職マイケル・レビット議員(自由党)も、予定を変更するよう要請したが、ステファン・ペロー選挙管理委員長は、日程の変更ではなく期日前投票の時間を21時までに延長すると回答したため、アリエ=ベイン候補とウォルフィッシュさんは6月、連邦裁判所に訴えを起こした。
 エグリントン-ローレンス選挙区には、およそ5000人のユダヤ教保守派の有権者がいるが、近年は僅差の勝負になっており、当選者と2位の票差は2015年が3490票差、2011年が4062票差、2008年が2060票差となっている。

 連邦裁判所のアン・マリー・マクドナルド判事は23日、選挙法の規定と、憲法上の権利の侵害との間で、ペロー委員長がつり合いを保とうとした形跡が見られないと判断し、8月1日までに日程を見直すよう要請した。
 ユダヤ人民族団体ブナイ・ブリスのマイケル・モスティン理事長は、判決はカナダのユダヤ人コミュニティにとって「大勝利」だと語った。
「選挙権と被選挙権は、カナダ人の最も基本的な人権の一つである。裁判所が、選挙管理委員会は彼らに適切な配慮をしなければならないと判断したのは正しかった。」
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6人いた女性首相、ゼロに [人権]

 アルバータ州議会総選挙で、与党新民主党が敗北し、レイチェル・ノトリー首相の退陣が決まった。これで、2013年には13行政区に6人いた女性首相は、一人もいなくなることになる。その6人とは、ブリティッシュコロンビア州のクリスティ・クラーク首相、アルバータ州のアリソン・レッドフォード首相、オンタリオ州のキャスリン・ウィン首相、ケベック州のポリーヌ・マロワ首相、ニューファンドランド&ラブラドル州のキャシー・ダンダーデイル首相、ヌナブート準州のエバ・アーリアク首相である。

 オタワ大学で政治学を教えるジュヌビーブ・テリエ教授は、これらの女性リーダーたちも他の女性たちと同様に「ガラスの崖」の犠牲になったと指摘する。
 男性が女性を辛辣に批判し、陥れることには強い抵抗がある。そこで党内で対立が深刻化し、分裂の危機に瀕するとき、女性をリーダーに立てることによって党執行部を保護し、団結と一致をアピールすることで党内抗争を回避しようとする知恵が働くのだという。
 テリエ教授は、カナダの女性党首たちのほとんどはそのような理由でリーダーになったと指摘した。そして女性首相たちの大多数は、野党党首が総選挙勝利によってではなく、首相である与党党首が辞任し権力危機が発生したときに誕生している。前者の例はマロワとノトリーであり、後者の例はクラーク、レッドフォード、ウィン、ダンダーデイルと、唯一の連邦首相であるキム・キャンベルである。
 彼女たちの全員が、与党党首として最初の総選挙に挑んだ。何人かは敗れて退陣し、何人かは勝利して留任した。留任したうちのほとんどはさらに次の総選挙に挑んだが、クラークを除く全員が敗北した(クラークは選挙後に辞職を拒否したため、内閣不信任され辞職)。テリエ教授は、女性リーダーには調和と包容力ばかりが求められているため、党内が安定し政権が長期化すると、今度は決断力の不足を批判されるのだという。
 ウィン前首相は、女性首相が増えるにつれ首相会議には、先住民女性の失踪や暴力などそれまでとは異なった議題がのぼるようになったが、やがて女性首相たちが減るにつれ、それらの議論は形式化・儀礼化していったと述懐する。彼女は、人口の半数を占める人々が代表されなくなった今、それほど遠い昔でない時代には半数近くを代表していたことを思い出し、それを取り戻すために戦い続ける必要があると訴えた。
 ノトリー首相も選挙後の演説で、同様のことを訴えた。
「それはしばしば、前に2歩前進したあと後ろへ1歩後退したように感じられるかもしれない。だが前に進むのを、絶対に止めてはならない。」


【参照】 https://canadianhistor.blog.so-net.ne.jp/2011-10-13
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ミニコミ紙の編集長と発行人、ヘイトスピーチで有罪 [人権]

 トロントのミニコミ紙「ユア・ウォード・ニュース」が女性とユダヤ人への差別記事を掲載した事件で、オンタリオ地裁は1月24日、ジェームズ・シアーズ編集長とリロイ・セントジャーメイン発行人に有罪判決を下した。
 同紙は20ページの印刷物で、トロントで年4回発行される。最も多いときで30万部配達されたが、2016年にカナダ郵政公社が配達を取りやめた。シアーズ編集長によると「世界最大の反共主義ペーパー」だそうだが、巷の評価は「カナダ最大の差別ペーパー」である。同紙は、フェミニストは「妊娠中絶を喜ぶ悪魔崇拝者」で、女性を「穴が3つある家財」と評し、「性交の承諾年齢は性交可能な年齢であるべきだ」として、最終的にはレイプの合法化を主張した。さらに、ホロコーストはユダヤ人が世界支配を容易にするための作り話であり、CBCはフェイク・ニュース、自由党は共産主義者の巣窟と、あらゆるたぐいの差別的言辞と陰謀論に溢れている。
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 両被告は法廷で、記事はただの皮肉だと抗弁した。そして被告側弁護人は、記事は女性とユダヤ人の一部を評したものであってその全体を評したものではない、また反フェミニズムの見解は違法化されるべきでないと主張した。
 だがリチャード・ブルーイン判事は、記事は全くおもしろさを感じさせず、これが刑法の「憎悪の促進」に該当しないなら該当するものなどないと断じた。
「両名は、容赦のない憎悪の促進を完全に認識していた。」
「その憎悪が、他に広まることを意図していた。」
 刑の言い渡しは4月26日に予定されており、5000ドル以下の罰金か6か月以下の禁固刑に処せられる。両被告は控訴する意向を述べた。
 判決を受けて、同紙を批判してきたリサ・キンセラさんは次のように述べた。
「これは、本当に歴史的な判決である。」
「刑法第319条に基づく起訴は、女性への憎悪の促進に対してはこれまでなかった。そして彼らは起訴されただけでなく、有罪と評決された。」


写真:ユア・ウォード・ニュース。左の犬を抱いている人物がジェームズ・シアーズ編集長。肩書きが「ドクター」になっているが、女性に猥褻な行為を働き医師免許を剥奪されている。
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トランプ支持の客にサービスを拒否 [人権]

 トランプ大統領を支持する客がレストランでサービスを拒否された事件で、店員が解雇された。
 バンクーバーのスタンレーパーク内にあるレストラン「ティーハウス」に6月26日、トランプ氏が掲げたモットー“Make America Great Again”(アメリカを再び偉大にしよう)の書かれた赤い帽子をかぶった男性が入店した。ウェイターのダーリン・ホッジ氏がテーブルに行き、帽子を脱ぐよう要求すると、客はそれを被る権利があると答えた。ホッジ氏が「帽子を脱がないとサービスしない」と告げると、客は出て行ったという。
 レストランを経営するセコイア社は、ホッジ氏を28日に解雇した。マネージャーのアンディ・クリンプ氏は、次のように述べた。
「我々は、いかなる種類の非寛容も支持しない。」
「我々は人を、政治的信条に基づいて差別しない。」
 ホッジ氏は、会社の決定は受け容れたものの、解雇の翌29日にフェイスブックで声明を発表した。
「MAGAの帽子は、人種差別・偏狭・イスラムフォビア・女性蔑視・白人優位主義・同性愛嫌悪を象徴している。強いモラルを持つ者として、私の職場において、この客の帽子のセンスに対し明確な態度を示す必要があった。少しも後悔していない。」

 6月22日にはバージニア州レキシントンのレストランで、トランプ政権のサラ・ハッカビー・サンダース報道官が入店を拒否される事件が起きている。店には抗議のデモや嫌がらせが相次ぎ、ネット上でも親トランプ派と反トランプ派が評価の1つ星と5つ星を大量につけ合う「ネットスクラム」が起きる騒ぎに発展した。
 だが今回の事件では、事情はもう少し複雑だ。親トランプ派は、サービス拒否に憤り1つ星をつけるグループと、解雇に賛同し5つ星をつけるグループに両極端に分かれている。そのいっぽう、政治的騒動にうんざりする人々もいる。
「どうして大勢の人々が、食事に関係なく、行ったこともない店に架空のレビューを投稿するのか?」

 アメリカ共和党ブレーンのブレンダン・シュタインハウザー氏は、会社の対応に異議を唱えた。
「もしあなたがゼロ・トレランスの考えを持っていたとしても、ウェイターを無給で2週間自宅待機させるとか、ほかにもっといい方法があったのではないか。この手の人を解雇するのは、教訓になるかもしれないが、より多くの問題を引き起こしかねない。」
 ブリティッシュコロンビア州人権法では、従業員の政治的信条は保護されているが、客はそうではない。
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同性愛禁止のミッション系大学、ロースクール設立取り消しに [人権]

 トリニティー・ウェスタン大学(ブリティッシュコロンビア州ラングレー市)が、異性配偶者以外との性行為を禁じる誓約書を生徒に提出させていることを理由に、ロースクールの設立をブリティッシュコロンビア州とオンタリオ州の法律協会に拒否されていた問題で、連邦最高裁は6月15日、法律協会の措置を認める判決を下した。

 キリスト教に基づく教育を行う同大学は、全ての生徒と教職員に誓約書の提出を求めている。そこには「低俗な言葉の使用、嘘、欺き、盗み、ポルノ等品性を下げるもの、男女間の結婚の神聖さを汚す性行為」を慎むことが記載されている。
 同大学のロースクール設立は、ブリティッシュコロンビア州政府によって2013年に仮認可されたが、後に撤回された。不認可をめぐりオンタリオ州・ブリティッシュコロンビア州・ノバスコシア州で裁判となり、オンタリオ州裁判所ではLGBTに差別的であるという理由で不認可を是としたが、ブリティッシュコロンビア州裁判所では、具体的な危害の証拠がないかぎり大学には信条に従い行動する権利があると認められた。ノバスコシア州裁判所では、誓約書の変更を条件に認可された。
 連邦最高裁は7対2で、不認可措置を認めた。誓約書はLGBT生徒の入学を阻止する効果があるが、彼らのアクセスを確実にするために宗教を制限することは「バランスが取れ合理的である」と判断した。なお少数意見としてスーザン・コート裁判官とラッセル・ブラウン裁判官の2人は、法律協会は大学の管理方針を十分に考慮すべきで、その権限は制限されるべきだと主張した。

 ロースクール認可を進めてきた同大学のジャネット・バッキンガム教授は、大学のプログラムはうまく行っていて、多くの有用な卒業生を社会に送り出して来たと語った。
「我々は、これがカナダの多様性の損失だと思う。カナダは伝統的に、幅広い宗教的見解をもって多様性を支えてきた。今日の最高裁の判決には、非常に失望している。」
 彼女は、大学が取ることのできる対策の一つとして、誓約書の提出をやめることがあると述べた。
 キリスト教系「信教の自由研究所」のアンドリュー・ベネット理事は、最高裁は性的アイデンティティと宗教的アイデンティティの「想像上の対立」を促進したと語った。
「これは宗教的アイデンティティの問題ではなく、性的アイデンティティの問題でもない。これは基本的人権の、そして信仰的に生きる権利についての問題である。」
 彼は、判決は視野が狭く、個人が信仰の自由と良心の自由の間で悩まされることになるだけだと批判した。
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疑惑のムーア議員が写真を公表 [人権]

 新民主党のクリスティン・ムーア議員が、写真を公表した。
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「私は、彼を愛していました。」
「彼は私と、とてもロマンチックな関係でした。それは合意のある関係でした。私はそのことを思い出し、ただ泣くばかりでした。一人の人がどれほど嘘をつけるかを見るのは、恐ろしいことです。彼がなぜこんなことをしたのか、わかりません。」
 彼女は最近、支持者からの励ましのメッセージのほか、いくつか匿名で悪意に満ちたメッセージを受け取ったと語った。

 彼女はそれから、2013年6月5日の行動について詳細に説明した。それによると、彼女はその日オフィスに軍人たちを招き、飲酒した。そのとき、ドアは開けたままだったという。
 18時30分に連邦議会でイベントがあったので、彼女はそれに出席し、軍人たちはスパークス・ストリートのパブに移った。その後カークランド氏に誘われ、彼女もパブに行きそこで再び飲酒した。彼女が「今夜は採決がある」と言うと、彼は彼女をオフィスまで送り、そこで合意のキスをした。それから彼は「服を脱ぐ?」ときいて来たが、彼女は今夜は採決があり、時間がないと答え、連邦議会に向かったという。

 だが、グレン・カークランド氏はCBCの番組で、合意のある関係を否定した。
「彼女は、我々が『関係』を持ったと言っているが、完全に嘘である。9か月間に三度会ったと言うが、歯医者の方がよほど会っている。それは『関係』ではない。その話は、正確ではない。」


写真:スパークス・ストリートのパブで撮影された、クリスティン・ムーア議員所有の写真。右からグレン・カークランド氏、ムーア議員、議会スタッフ。カークランド氏の服装、特に胸にメダルが付けられていることから、2013年6月5日のものと考えられる。
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セクハラ疑惑のムーア議員が反論 [人権]

 新民主党のクリスティン・ムーア議員は5月13日、カナディアン・プレスの独占インタビューに応じ、彼女を告発したグレン・カークランド氏と、それを記事にしたCBCのニール・マクドナルド氏、ナショナルポスト紙のクリスティ・ブラッチフォード氏、トロントスター紙のロージー・ディマンノ氏を相手取り訴訟を起こす意向を明らかにした。
「意見を公表する前に、記事を刊行する前に、矛盾がないかどうか基本的なチェックがあるべきです。」
「私の私生活と性生活は暴露されました。それは、私と家族にとって厳しいことでした。」

 彼女はカークランド氏と、2013年6月から10月まで交際していたと語った。
「私たちは、恋人同士でした。」
「彼はおそらく嘘をついていて、私を愛してはいなかったでしょう。でもそのとき私は、愛し合っていると信じていました。」
image.jpg カークランド氏は2013年6月5日、下院の国防委員会で証言している。二人はその日に出会い、彼の主張によれば、彼女はその夜彼のホテルについて行ったという。だがムーア議員は、彼の主張は全く馬鹿げていると一蹴した。なぜなら彼女はジンを飲まないし、下院の記録は彼女がその夜22時40分には議会に出席していることを示している。その夜は採決があり、約1時間後に終了している。彼女は、彼に電子メールで呼ばれてホテルに行ったのは後のことで、そのとき合意のある性的関係を持ったと説明した。
 彼女の主張によると6月5日、軍人たちをオフィスに招き、飲酒した。夕方には解散したが、カークランド氏に誘われ、彼らと後刻オタワのバーで会った。彼女が「今夜は採決がある」と言うと、彼は彼女をオフィスまで送り、そこで彼女を抱きしめてキスしたという。
「キスしたのは、彼の方でした。私は、彼のキスを受け入れました。でも最初の一歩を踏み出したのは、彼の方でした。」
 彼女は、二人はその後も連絡を取り合い、二度会ったと語った。
 彼は2013年6月21日、彼女の住むケベックへ行くための旅程に関する電子メールを送ったが、この旅行は後に彼がキャンセルした。彼女は二人が交際していた証拠として、電子メールと飛行機のチケットをカナディアン・プレス記者に見せた。
 カークランド氏は、2013年7月、サスカチュワン州ケノシー・レイクに友人たちと滞在しているとき、彼女が呼ばれてもいないのにやって来たと主張する。だが彼女は、カナディアン・プレス記者に「恋人たちの旅行」と称する写真を見せた。どの写真も二人だけで、第三者は写っていなかった。
 カークランド氏は、教えてもいないマニトバの自宅に彼女が押しかけて来たと主張する。だが彼女は、訪問する2日前に予告しており、彼がウィニペグまで迎えに来たと語った。
 彼女は、二人が別れたのは彼の離婚が難しいのと、二人の地理的距離が遠すぎたせいだと説明した。

 カークランド氏はムーア議員の釈明を聞き、自分たちの関係は「交際」などではなく、地位と権限を持つ彼女が、弱い立場の自分につけ込んだだけだと主張した。
「『交際』とは、両者が互いに自発的に関係することだ。」


写真:連邦議会で証言するグレン・カークランド氏。
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男性議員をセクハラで告発した女性議員、自身のセクハラ疑惑が浮上 [人権]

 #MeToo運動の先頭に立ち、男性議員をセクハラで告発した新民主党のクリスティン・ムーア議員(34歳・既婚者)が5月8日、自身のセクハラ疑惑により、新民主党幹部会の資格を停止された。
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 (1) ムーア議員、ウィア議員のハラスメントを告発
 ムーア議員は1月30日、新民主党のエリン・ウィア議員が党の女性職員などに嫌がらせをしていると告発した。
 彼が幹部会の役職に就きたがっているのは、同僚議員の誰もが知っていた。彼は支援を得るため、議員たちに電子メールを送っていた。だがムーア議員は、あなたの日頃のふるまいについては知っている、私にではなく他の女性たちへの、と返信した。
「あなたは幹部会の中で、その地位を得るにふさわしいと思う最後の人である。あまりに多くの女性たち(ほとんどは職員だが)からの苦情が、私に来ている。そして女性として、私はあなたと、独りでは会いたくないと感じている。政界で今起きていることに鑑みれば、あなたは面倒を避けるため役職に就くべきでないと、私は考えている。」
 報告を受けてシン党首は、問題はセクシャルな嫌がらせではないと判断したが、ウィア議員を2月1日、調査報告が終了するまで幹部会の資格を停止すると決定した。
 シン党首は「これ以上のアプローチは不要だと言われたとき、ウィア議員はそれに従った」と擁護した。だがウィア議員がその後、メディアを通して「私は何が問題なのかわからない。嫌がらせを受けた人などいない」「幹部会役職への意欲を表明したことへの応答として攻撃が始まったことからして、それには政治的動機があるように思える」と発言したことを、シン党首は問題視した。彼は、ウィア議員は反省と後悔を表明せず、メディアを使って告発者を攻撃しようとしたと断じた。
「重要な第一は、常に犠牲者を信じることである。第二に、前に出て告発したいと思う犠牲者に、安全と思われる居場所を確保することを私は約束する。」
 調査報告を受けてウィア議員は、5月3日に幹部会から除名された。彼は院内で、1961年に新民主党に合流し消滅した前身のCCF(The Co-operative Commonwealth Federation※一部で「協同連邦党」と訳されているが、某カナダ学会からこの訳語を使用しないよう強く要請されている)の会派を称している。かつてCCFが新民主党に合流した前例を、再度実現させるのだという。
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 (2) もう一人の犠牲者
 ムーア議員がウィア議員のセクハラを断罪するのを、一人の退役軍人は2400キロ離れたマニトバ州ブランドンで見つめていた。
 グレン・カークランド伍長は2008年、アフガニスタンで装甲車を運転していたとき、ロケット弾の攻撃を受けた。彼は膵臓と脊椎と右目と脳を負傷し、視覚と聴覚に障害を負った。PTSDも患った彼は、抗うつ薬・オピオイド鎮痛剤・インシュリン・抗生物質などの毎日の服用を欠かせなくなった。
 彼は、負傷した退役軍人の扱いについて証言するよう下院の国防委員会に依頼され、2013年6月、胸にメダルをつけて議会で証言した。彼は「退役軍人の父が、軍人としての責務を果たせば国が最後まで面倒を見ると言っていたが、それは間違いだった」「私は壊れてしまって、もう役に立つことはできない」と、泣きながら語った。
 委員会が終了すると、ムーア議員にカードを手渡され、聞きたいことがあるのでオフィスに来てほしいと言われた。彼は元軍人で、上官には絶対服従することを教えられていたので、何の疑問も持たず言われたとおりにオフィスに行った。するとムーア議員がジンを出し、飲むよう勧めた。彼は、薬を服用しているからと言って固辞したが、看護士の資格を持つ彼女は「大丈夫よ」と言って、さらにもう2・3杯勧めた。彼は次第に、彼女の関心が自分の健康や福祉ではなく、別のところにあると察した。
 彼はその夜ホテルに戻ったが、彼がメディアに語ったところによれば、彼女はホテルについて来て一夜をともに過ごしたという。これについてCBCは、彼女が「不適切な性的関係を持った」と断定的に報じた。
 彼は、彼女との関係は一度きりのものだと考えた。だが彼女はその後、「露骨なメッセージ」を何度も送り続け、住所を教えていないのにブランドンの自宅まで押しかけて来るようになった。
 カークランド氏は、メディアに次のように語った。
「私は、レイプや何かの被害を訴えているわけではない。」
「だが彼女は、不適切だった。彼女は欲しいものを手に入れるため、地位を利用し権力と権限を行使した。」
「そこには確かに、力の不均衡があった。彼女には地位と権限があった。そして彼女がウィア議員と同じ道徳的立場に置かれているのは、何とも皮肉なことだ。」
 資格停止は一時的な措置であり、ムーア議員は調査報告が出るまで幹部会メンバーのままであるが、委員会と党における全ての役職を解かれている。シン党首は、確かな証拠がなくても「常に犠牲者を信じる」と断言した以上、前例と同じ措置を取らなければならないだろう。
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 (3) もう一つの告発
 ムーア議員は、2015年にももう一人の議員のセクハラを告発し、政治生命を奪っている。
 彼女の主張によれば2014年3月、友人とみなしていた自由党のマッシモ・パチェッティ議員が「オタワの家」と呼んでいたホテルに行き、「明確な同意のないセックス」をする羽目になったと訴えた。このとき彼女は、彼にコンドームを渡したという。
 彼は自由党を永久追放され、政界引退に追い込まれた。
【参照】 http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2015-03-20
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図上:#MeToo運動のブーメランを食らったクリスティン・ムーア議員。
写真中左:クリスティン・ムーア議員。
写真中右:エリン・ウィア議員。
写真下:グレン・カークランド氏(車椅子の人物)。
図下:カナダによくいる捕食者。狐・熊・クーガー・下院議員。下院を英語で“House of Commons”と言うのにかけている。
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グールド民主機構大臣、閣僚で初めて出産・産休へ [人権]

 カリナ・グールド民主機構大臣(30歳)は、出産し産休を取る最初の連邦大臣になろうとしている。
 出産予定日は3月上旬で、それまでは政務を続け、出産後は少なくとも5月まで産休を取る予定である。出産後は、スコット・ブライソン予算庁長官が政務を代行する。
 大臣と議員は雇用保険に加入してないため、産休を取得する当然の権利を有しない。病気休暇なら21日まで取得できるが、これを超える休暇は公の制度ではなく、党の裁量の問題である。

 1921年に初めて女性が連邦議会に立候補して以来、1957年にエレン・フェアクロー(進歩保守党)が大臣になるまで女性閣僚は登場しなかった。グールド大臣は2017年1月、29歳で史上最年少の女性閣僚に任じられている(史上最年少の閣僚はジャン・シャレーの28歳)。
 グールド大臣が生まれた1987年、シーラ・コップス下院議員(自由党)は、現職下院議員として初めて出産した。
 ミシェル・ドックリル下院議員(新民主党)は1999年、投票のため下院議場に赤子を連れ込んだ最初の議員になった。
 クリスティン・ムーア下院議員(新民主党)は、2015年総選挙の選挙期間中に出産し、数日後には選挙運動を再開した。
 ニキ・アシュトン下院議員(新民主党)は2017年、連邦政党党首選に立候補した最初の妊婦となった。投票日は10月1日で、11月に双子を出産し、1月に政務に復帰した。
 ケベック州のポリーヌ・マロワ前首相は、1981年州議会選挙に妊娠中に立候補し、投票日の11日後に出産した。彼女は1985年のケベック党党首選にも、妊娠中に立候補している。
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遺伝子差別禁止法が成立 [人権]

 遺伝子差別を禁止するS-201号法案が、3月8日下院で採決され、222対60の大差で可決された。法案は近日中に、総督の勅裁を得て成立する。
 S-201号法案は、カナダ人権法で保護する対象として遺伝子の特徴を追加し、あらゆる契約・合意の条件として遺伝子検査を求めたり、その結果を開示することを禁止し、罰則として5年以下の禁固または100万ドル以下の罰金を定めている。
 保険業界の陳情を受け、自由党政権はこの法案に反対し、これを骨抜きにする修正案を提出した。大臣全員と政務次官のほとんどは修正案に賛成投票し、かつ法案に反対投票したが、党議拘束がなかったため、自由党平議員のうち4人を除く全員が党首脳に造反し、野党の保守党・新民主党と連携して修正案を218対59で葬り、返す刀で法案を可決させた。

 採決を受けて、カナダ生命・健康保険組合の広報ウェンディ・ホープ氏は声明を発表した。
「カナダ生命・健康保険組合は、S-201号法案が大きな修正なしに本日下院を通過したことに、大いに失望している。いくつかの州と首相と法務大臣によって表明された、法案の主要な要素が違憲であるという見解に、当組合は同意するものである。」
 ジョディ・ウィルソン=レイボールド法務大臣は、法案は保険事業を管轄する州の権限に抵触すると考えたため、州や憲法学者に何度も諮問し、違憲立法の言質を取ろうと試みたが、うまくいかなかった。また自由党政権は、保険契約の除外を企図し、カナダ人権法の禁止条項に遺伝子の特徴を追加する条文以外を削除する修正案を提出した。それは、法案が人口の6%程度にあたる連邦政府職員だけに適用されることを意味するものだったが、8日夕方に超党派によって否決された。
 トルドー首相は、採決の直前に下院で演説した。
「政府は、上程された法案の要素の一つが違憲であるという立場に立っている。政府の立場は法案に反対投票することであり、議員たちにもそのように推奨する。」
 法案を支援してきたロブ・オライファント議員(自由党)は、カナダがG7で唯一遺伝子差別禁止法を持たなかったことについて、この法案はカナダの州と準州が十数年間実現できなかったことへの、連邦の適切な対応であると誇った。
「私は、あらゆる州と準州による補完的な立法を歓迎する。本心だ。私は、そうするなとは言わない。あらゆる州と準州の人権法を改正するがいい。我々には想定内だ。だが我々には、それを上回る連邦政府の権限がある。」
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 この日は国際女性デーで、市民団体「平等の声」は下院本会議場に、338の全選挙区から選ばれた338人の18歳から23歳までの女性を送り込んだ。彼女たちは、党派を超えてS-201号法案を可決したことに拍手を惜しまなかった。

遺伝子差別禁止法案の修正案が否決 [人権]

 遺伝子差別を禁止するS-201号法案の修正案が、3月7日下院で採決され、超党派の反対で否決された。
 この法案はもともと、あらゆる契約・合意の条件として遺伝子検査あるいはその結果の開示を求めることを違法とし、罰則として5年以下の禁固または100万ドル以下の罰金を定めたものである。
 カナダは公営無料医療・国民皆保険が実施されているにもかかわらず、G7で唯一遺伝子差別を禁止する規定がない。それゆえ多くのカナダ人が、結果を悪用されることを恐れ、検査を受けようとしない。その結果、ある種の病気の罹りやすさやを知り、それを予防することができない。
 2015年の総選挙では、自由党・保守党・新民主党の三大政党全てが、遺伝子差別禁止の法制化を公約した。S-201号法案は、「無所属自由党」のジム・カウアン上院議員(当時、現在は引退)が2015年12月に上程した個人法案(※党幹部会で採択されず、党議拘束がない)で、2016年4月に上院で可決され、12月に下院法務委員会を満場一致で通過した。ところが保険業界が激しいロビー活動を行った結果、自由党政権は法案の換骨堕胎を図るようになり、2月以降いくつかの修正案が出されることになった。7日に採決された修正案は、自由党のランディ・ボワソノール議員によって提出されたもので、雇用者が就職希望者に遺伝子検査を受けさせることの禁止と罰則規定を削除するものだったが、党議拘束のない自由投票で、自由党から大量の造反者が出たため、保守党と新民主党の反対で否決された。

 カナダ生命・健康保険組合は、S-201号法案が修正なしに成立すれば、保険料の高騰と保険金の削減につながると警告し、保険契約を除外するよう強く訴え、これまでに73回もの陳情を行っている。同組合は今年1月、保険契約者の85%にあたる、保険金25万ドル以下の契約においては遺伝子検査の結果通知を要求しないというガイドラインを定め、2018年1月1日から実施することを決めていたことを強調した。
「25万ドルの上限設置は、遺伝子検査を通して重要な健康リスクを知った顧客が、これを通知することなく異常に巨額の生命保険契約を申し込むことができないようにするものだ。さもないと、契約者全員の保険料が高騰し、保険金を得る人は少なくなる。」
 だがカウアン元議員は、遺伝子差別が法で禁止されているアメリカ・イギリス・フランス・イスラエルにおいて、巨額の保険金詐欺が起きていない事実を指摘した。
「知っての通り、彼らの論点は、法案が保険業界を壊滅させるというものだ。だが同様の保護法のある国々で、そんなことが起きただろうか。我々が知る限り、保険業界はうまく行っている。」
 自由党のロブ・オライファント下院議員は、引退したカウアン元議員に代わり、S-201号法案の支援者となった。
「カナダにおいて、人権問題を大企業の自主規制に任せるわけにはいかない。」
「子供たちの遺伝子検査を、医師が行いたいのに、将来の差別を恐れて親が拒否することが毎月のようにある。これは特定の病気に対処する医師への足枷であり、最善の治療を受ける子供への足枷である。それは、親がするべき決断ではない。」

 いっぽうジョディ・ウィルソン=レイボールド法務大臣は、連邦議会による法制定は州の権限を侵害するおそれがあると考え、諸州に手紙を送り、意見を求めた。するとマニトバ・ケベック・ブリティッシュコロンビアの3州が、全ての州の意見を聞きたいので法案は保留にしてほしいと回答した。ところが、法務委員会に召致された4人の憲法学者のうち3人が、法案は違憲ではないと答申した。そこでウィルソン=レイボールド法務大臣は、別の憲法学者の意見をさらに求めたが、反応はなかったという。新民主党のドン・デービス下院議員は、自由党政権が始めた憲法問題について「煙幕以外の何ものでもない」と吐き捨てた。またカウアン元議員は、自由党政権が総選挙で公約したにもかかわらず反対していることを「興味深い」と語った。

 政府の依頼により、もう一つの修正案が3月8日に投票にかけられる。この日は奇しくも、国際女性デーである。
 BRCA遺伝子に異常がある女性は、乳癌になる確率が85%、卵巣癌になる確率が60%とされている。異常のない女性では、それぞれ11.7%と1.4%である。特にヨーロッパ系ユダヤ人(アシュケナージ)の女性は、BRCA遺伝子に異常を持つ人がそうでない人の10倍いるとされている。こうして発癌リスクの高い女性は、職場で昇進する芽を摘まれるかもしれない。また、悪い遺伝子を持っている可能性とその開示を強要されるリスクを回避するため、遺伝子検査を回避し、その結果早期の治療を受ける機会を逃すことがあり得る。
 遺伝子差別を禁止するのは、女性に利するところが多いだろう。法案の骨子を骨抜きにする修正案は、おそらく超党派の反対で否決されることだろう。

宗教差別非難動議、「イスラモフォビア」の語が物議 [人権]

 連邦議会は2月15日、人種差別・宗教差別を非難する103号動議(M-103)の審議に入ったが、その文中に「イスラモフォビア」(イスラム嫌悪)の文言があることが議論の的になっている。
 この動議は2016年12月、自由党のイクラ・カリッド議員(オンタリオ州ミシサウガ-エリン・ミルズ選挙区選出)によって提出されたもので、ケベック市モスク銃撃事件を受けて審議されることになった。
 カリッド議員はパキスタン生まれのイスラム教徒だが、1990年代にカナダに移住したとき、近所の子供たちに「ムスリムは帰れ」と言われ心を痛めたという。

 だが問題は、「政府はイスラモフォビアとあらゆる形式の構造的な人種差別および宗教差別を非難し」とあることである。
 ナショナル・ポスト紙のコラムニスト、バーバラ・ケイ氏は、表現の自由への影響と、一宗教団体への特別扱いに懸念を表明した。彼女は政府の統計を引用し、2013年に起きたヘイトクライム326件のうち、イスラム教徒に対するものは65件で、ユダヤ教徒に対するもの181件の方が多かった事実を指摘した。また、イスラム法を批判した彼女のコラムのいくつかがイスラモフォビアと見なされ、カナダ刑法で罰せられるのみならず、イスラム教批判を萎縮させた結果、報復や女性迫害を含むシャリア法が事実上カナダに導入されることにもなりかねないと警告した。

 保守党内は、動議に批判的な意見が多い。保守党党首選に出馬しているピエール・ルミュー議員は、103号動議は「言論の自由への攻撃」であり、「一宗教への特別な保護を提唱する」と批判する手紙を支持者に送った。
 同じく保守党党首選に出馬しているケリー・リーチ元労働大臣も、動議に反対するとツイッターで述べた。
「言論の自由は、基本的なカナダの価値である。イスラム教、キリスト教、ユダヤ教、ヒンズー教、無神論、その他いかなる信仰であろうと、それを信じまた批判する権利があることを、我々は再確認しなければならない。」
 同じく保守党党首選に出馬しているリサ・レイト前運輸大臣も、不支持を表明した。
「103号動議は、論争の的となり適切とは思えない『イスラモフォビア』の文言に焦点を当てている。それゆえわたしは、これを支持しない。」
 同じく保守党党首選に出馬しているマクシム・ベルニエ元外務大臣は、「イスラモフォビア」の語が削除されないかぎり反対するとフェイスブックで述べた。
「この動議は、イスラム教を批判する我々の権利を制限する第一歩だろうか?」
 同じく保守党党首選に出馬しているエリン・オトゥール前退役軍人大臣も、「イスラモフォビア」の文言に危機感を抱き、その文言を含まない同様の「e-411号請願」を発表して、7万人のカナダ人の署名を集めた。彼はカリッド議員に、論争を巻き起こしている103号動議を取り下げ、e-411号請願に加わるよう呼びかけた。
「『イスラモフォビア』の文言が拡大解釈され、イスラム教あるいはその過激派に対する純粋な批判がイスラモフォビアとみなされると、相当な数のカナダ人が考えていることは明白だ。」
「私たちは良い話し合いの機会を持った。そして彼女は、私の提案を考慮すると言った。」
 同じく保守党党首選に出馬しているマイケル・チョン元政府間関係大臣は、下院がすでにユダヤ教・ヤジディ教・コプト教など他宗教への憎悪を非難したことを評価し、条件付きではあるが103号動議への支持を表明した。彼は、言論の自由に対するより大きな脅威は、あらゆる定義可能な集団に対する憎悪の表明を犯罪と規定した刑法第319条であると述べ、その廃止を主張した。彼は、不快な意見でさえ公共の場で議論され、自由な言論の「消毒剤」で反論されるべきであり、民主主義社会において言論の自由を制限するバーは非常に高いものでなければならないと、CBCニュースで訴えた。
「ヘイトスピーチに対抗する正しい方法は自由な言論であり、刑法ではない。」
「刑法第319条は、危害があまりに広く解釈されている。しかも第319条は、議論を萎縮させ、問題を地下に潜行させることになる。」
 ロナ・アンブローズ暫定党首は、修正されないかぎり動議を支持しないと述べた。だが具体的にどのような修正を求めているかについては、明言しなかった。
 保守党は16日、「あらゆる形式の構造的な人種差別、宗教上の非寛容、そしてイスラム教徒・ユダヤ教徒・キリスト教徒・シーク教徒・ヒンズー教徒およびその他の宗教コミュニティへの差別を非難する」という内容の新たな動議を提出した。だが自由党は、それは103号動議を水で薄めたようなものだとして反対することを決めた。アンブローズ暫定党首は、これを「党派ゲーム」だと非難した。

 トルドー首相は、イスラム教が一般に女性に抑圧的であることに鑑み、フェミニストである自身の信条と動議はどのように整合するのかと問われ、憲法に規定された個人の権利は、社会において他者の権利と調和していなければならないと回答した。
「混雑した映画館で『火事だ!』と叫ぶ権利はなく、それを言論の自由とは言わない。それは人々を危険にさらすことになる。そして我々が10日前にケベック市で見たように、我々の社会を危険にさらすほかのものがある。我々はそれに対し、強く立ち向かう必要がある。」

 103号動議は拘束力のない動議であるにもかかわらず、インターネット上ではこれを法案と勘違いして、過敏に反応する人々が続出した。中には、動議がただちにイスラモフォビアの非合法化や、シャリア法の導入を意味するものと誤解する者もいた。
 動議には、73のムスリム団体やその他の団体が支持を表明しているが、もちろん全ての団体が支持しているわけではない。イスラエル・ユダヤ問題センターのシモン・フォーゲル会長は、宗教への憎悪を非難するという本来の意図を実現するため、「イスラモフォビア」の文言を削除するようカリッド議員に申し入れている。
「そのような提案が、意図された目的にかない、誠実で合法的な市民の会話を抑制する別の意図に乗っ取られないことが、不可欠である。」
「イスラム教への全ての批判は、イスラモフォビアか?もちろんそうではない。ユダヤ人コミュニティは、四面楚歌だと感じているムスリム・コミュニティへの支援と連帯を望んでいるが、カナダの価値とは相容れないだけでないイスラム教の性質に関する建設的議論を、犠牲にしてまで替えることはできない。」

【世論調査】カナダ人は意外と移民に非寛容? [人権]

 トロント大学で政治学を教えるマイケル・ドネリー教授による最近の研究は、カナダ人が彼らが思うほど移民や難民に寛容ではないことを示すとともに、カナダにおいて反移民感情が増加する可能性があると結論づけた。
 論文は「カナダ例外主義:我々は善良かそれとも幸運か」というタイトルで、イプソス社が1月18日から27日までの間に1522人のカナダ人を対象に実施したオンライン世論調査に基づいている。調査は、トランプ大統領によるイスラム7か国民入国禁止令や、ケベック市モスク銃撃事件より前に、英語またはフランス語で行われた。

 被験者の約3分の1は、移民を誘致するにあたりイスラム教徒は差別すべきだと回答し、3分の1は白人の移民を有色人種に優先すべきだと回答した。
 被験者の半数は「多くの移民たちはカナダの社会に溶け込んでいるように見えない」、被験者の65%は「移民はよりカナダ人らしくなるため習慣を改めるべきだ」と回答した。
 移民の受け入れを終了することには、被験者の20%が賛成し、45%が反対し、35%は賛成も反対もしないと回答した。
 これについてドネリー教授は、「これらの結果は、深刻な反移民運動がカナダで決して不可能ではないことを示唆する」と語った。
 彼はまた、2010年の調査でアメリカ人の43%が国境閉鎖に反対だと回答したにもかかわらず、トランプ氏が大統領に当選した事実に注目した。各種世論調査は、トランプ氏に投票した人々は経済よりも移民やテロ問題に関心を抱いていたことを示した。だが彼は、移民が政治で重要な争点になったことはカナダではほとんどなかったと述べた。

新10ドル札の肖像に「カナダのローザ・パークス」ビオラ・デスモンド [人権]

ViolaDesmondHR.jpg ビル・モルノー財務大臣は12月8日、2018年に発行される新しい10ドル札の肖像に、ビオラ・デスモンドを採用すると発表した。これまで紙幣の表の肖像は国王か元首相で、民間人が描かれるのは初めて。黒人やカナダの女性としても最初となる。
 デスモンドは1914年、ノバスコシア州ハリファックスに生まれた。彼女は、黒人女性のためのヘアケアやスキンケアが地元にないことを憂い、美容師になることを志したが、ノバスコシアには黒人が入れる美容学校がなかったため、モントリオール・アトランティックシティ・ニューヨークで学んだ。卒業後はハリファックスに戻って美容師となり、黒人女性も学べるデスモンド美容文化専門学校を設立した。
 彼女は1946年11月8日、ノバスコシア州ニューグラスゴーのローズランド劇場に行き、メイン席に座ったが、従業員からそこは白人専用席で、黒人はバルコニー席に座るよう指示された。彼女が拒否すると、暴力的に排除されたうえ、逮捕された。彼女は、席の料金の差について遊興税1セントを脱税した容疑で起訴され、罰金20ドルと法廷費用6ドル(※現在の価値ではほぼ10倍)の支払いを命じられた。ローザ・パークスがバスで白人に席を譲るのを拒否する、9年前のことだった。
 1965年に死去したデスモンドは、2010年ノバスコシア州のメイアン・フランシス副総督(※黒人女性)によって恩赦された。カナダで死後に恩赦されたのは、彼女が最初である。

 モルノー財務大臣は語った。
「勇気、強さ、決断、我々皆が日々必要とすることを、彼女は体現している。」
 長年彼女の偉業を語り続けてきた妹のワンダ・ロブソンさんは、記者会見のその場にいた。
「紙幣の肖像に女性を載せることができるとは、何とすばらしいことでしょう。でも、紙幣の肖像になる女性を姉に持つことは、格別にすばらしいことです。」

 政府が3月、新しい紙幣の肖像としてカナダの女性を採用すると発表すると、2万6000件以上の要望が寄せられた。そして最終的に残った候補が、ポーリン・ジョンソン(インディアンの詩人)、エルシー・マギル(世界で初めて航空工学の学位を取った女性)、イドラ・サン=ジャン(婦人参政権を推進)、ファニー・ローゼンフェルド(女性金メダリスト)とデスモンドだった。そしてカナダ銀行の諮問委員会は、障壁を克服した人、人々に影響を与えた人、長く続く偉業を達成した人を探していたという。デスモンドは、そのいずれにも合致した。
 人気のあったルーシ・モード・モンゴメリ(女流作家)、エミリー・カー(女流画家)、ガブリエル・ロワ(女流作家)は最終的にノミネートされなかった。世論調査では、婦人参政権を推進したネリー・マクラングが最も人気があったが、彼女を含む「フェイマス5」は、2004年に発行された50ドル札の裏にすでに描かれていたため、今回は採用されていない。なお彼女たちは、2011年に発行された現行紙幣には掲載されていない。
 現在10ドル札に描かれているジョン・マクドナルド(初代首相)と、5ドル札に描かれているウィルフリッド・ローリエ(元首相)は、50ドル札か100ドル札に描かれる。現在50ドル札に描かれているマッケンジー・キング(元首相)と、100ドル札に描かれているロバート・ボーデン(元首相)は、紙幣から消える。ATMで最も使用される20ドル札は、これまでどおりエリザベス女王が描かれる。

アナルセックスを禁じた刑法条文、撤廃へ [人権]

 トルドー政権は11月15日、アナルセックスに刑事罰を科す刑法第159条を削除する法案を上程する。
 刑法第159条第1項は、アナルセックスに対し10年以下の禁固を科している。それから第2項では免責事項について述べており、(a)夫と妻、(b)合意のある18歳以上の二者、の間によるものは第1項が適用されない。そして第3項では合意について、(a)二人を超える参加者がいた場合、および公共の場で行われた場合、(b)(i)強制や脅迫あるいは詐欺や錯誤に基づく合意、(ii)精神的障害ゆえに合意できなかったという合理的疑いを越えて裁判官を納得させられない場合は、合意があったものと解さないと述べている。
 カナダでは、合法的に性行為ができるのは16歳以上(※2008年までは14歳以上)である。ただし、教師やコーチなど指導的な立場の人との性行為や、ポルノ出演、売春は18歳以上である。
 第159条の撤廃は、ゲイ・コミュニティにとって悲願であった。同性婚がすでに認可されているにもかかわらず、第2項(a)は異性配偶者間のみを合法としているからである。また第2項(b)に従うと、16歳以上の未婚の異性カップルは(アナルに挿入しないかぎり)性行為が合法であるにもかかわらず、16歳と17歳の同性カップルにとっては挿入行為が非合法のままである。さらに第3項(a)に従うと、16歳以上の未婚の異性カップルは3者以上(※原文:more than two persons take part or are present)での性行為が合法だが、16歳と17歳の同性カップルにとっては非合法となる。
 オンタリオ州裁判所は1995年、すでに刑法第159条を無効と判断した。だが条文は刑法に残ったままであり、2008年から2014年までオンタリオで22人が起訴された。新民主党のジョー・コマーチン議員は2011年、第159条を削除する個人法案(※党幹部会で採択されなかった法案。採択されると党議拘束がかかる)を提出したが、議会では審議すらされなかった。なお2005年にブリティッシュコロンビアで結成された「セックス党」は、党綱領に刑法第159条の削除を掲げていたが、2012年に解散している。
 政府の動向に対し、保守派はすでに行動を起こしている。保守系女性団体「REALウーマン」(REALはRealistic, Equal, Active, for Lifeの略)のグウェン・ランドルト氏は、「159条を改正ではなく撤廃するというなら、誰もが何歳でもアナルセックスできることになります」と警告した。


セックス党については以下を参照。
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2009-03-31
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2008-01-18