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保守党議員、12月を「キリスト教文化遺産月」とする法案を提出 [人権]

 保守党のマリリン・グラデュ議員は12月5日、12月を「キリスト教文化遺産月」とするC-369号法案を下院に提出した。
「カナダは、全ての信仰を祝福する国である。」
「最近の国勢調査によると、カナダには何百万人(筆者注※正確には1930万人)ものキリスト教徒がいるから、我々にキリスト教文化遺産月があることは公平で正しい。」
 そう言ってグラデュ議員は、ヒンズー教徒、シーク教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒などカナダの他の宗教には彼らの文化遺産月がある事実を挙げた。

 この法案は、保守党幹部会で採択され党議拘束がかかったものではなく、自由投票となる個人法案なので成立する見込みは薄いが、カナダの祝日にキリスト教の祭日のみが含まれているのは制度的人種差別だとするカナダ人権委員会の答申を意識した動きと思われる。これを受けて保守党は「クリスマスのキャンセル反対」キャンペーンを開始した。
 答申には、こう記されていた。
「カナダの宗教的な少数民族に対する差別は、カナダの植民地主義の歴史に基づいている。明らかな例は、カナダの法定休日である。キリスト教に関連した祝日、クリスマスとイースターは、宗教に基づく唯一のカナダの法定休日となっている。」
 2001年の国勢調査では、キリスト教徒は国民の77.1%だったのが、2021年には53.3%にまで減少した。いっぽう宗教に関係していないと回答した人の数は、2001年には16.5%だったのが、2021年には34.6%まで増加した。同様に2001年から2021年にかけて、イスラム教徒は2.0%から4.9%に、ヒンズー教徒は1.0%から2.3%に、シーク教徒は0.9%から2.1%に増加した。

 ケベック連合のブランシェ党首は先週、下院でカナダ人権委員会の答申を茶化す発言をした。
「カナダ人権委員会によると、ツリー、音楽、プレゼントでクリスマスを祝うのは制度的人種差別だそうだ。」
「私は、サンタクロースが人種差別主義者だろうかと思う。私は、雪が人種差別主義者だろうかと思う。トルドー首相によると、クリスマスは人種差別なのか?」
 ファーガス議長が呆れて「誰の答弁を求めているのか」ときくと、ブランシェ党首はトルドー首相を名指しした。
 トルドー首相は起立して、次のように答弁した。
「私は起立して、全く馬鹿げた質問に答えることを大変光栄に思う。」
「明らかに、クリスマスは人種差別ではない。ここは多様性の国である。単に個人的信仰を祝うだけでなく、隣人のイベントも共有して祝う国である。」
「ケベック連合は、喧嘩をふっかける馬鹿な方法を、常に探している。私には、それをやめさせることはできない。」
 首相はそれから、保守党の「温暖化否定論」が未来のホワイトクリスマスを危機にさらしていると語った。
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