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カナダ人の3分の1が戦略的投票を考慮 [2019年下院選]

 レジェ・マーケティング社が10月22日から24日までに、カナダ人有権者1503人を対象に実施したオンライン世論調査は、カナダ人有権者の3分の1以上が、2019年連邦議会選挙で戦略的投票を考慮したことを示した。
 回答者の57%は、投票行動は政治的信念に基づくものであり、候補者の当落の可能性については一切考えなかったと答えた。そして回答者の35%は、投票行動の決定に当たり、自分の投票が他党候補の当選を妨げる可能性について考慮したと答えた。

 ほとんどの回答者は、選挙戦の最後の週まで選択を保留していたことがわかった。
 政党支持者の中では、保守党支持者が投票行動を最も早く決定した割合が高かった。保守党に投票した回答者の50%が、選挙戦開始前にすでに投票行動を決定していたと回答した。対照的に左派政党支持者は、選択肢が多いせいか、選挙戦開始前にすでに投票行動を決定していたのは、緑の党支持者の35%、ケベック連合支持者の31%、自由党支持者の30%、新民主党支持者の22%と低かった。人民党支持者では、31%だった。
 戦略的投票を考慮に入れた35%の回答者のうち、保守党支持者は39%、自由党支持者は43%、新民主党支持者は28%、ケベック連合支持者は18%、緑の党支持者は16%、人民党支持者は24%だった。

 また調査は、戦略的投票は投票行動を決める要因ではあったが、主要な要因ではなかったことを示唆した。
 その党に投票することに決めた主な理由として、37%は「マニフェストが自分と一致したから」、9%は「トルドー自由党政権を打倒するため」、6%は「他党に反対するため」、4%は「選挙区の最高の候補者に投票するため」と回答した。

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2019年下院選、世論調査ほぼ的中 [2019年下院選]

 2019年連邦議会選挙での得票率は、自由党33.1%、保守党34.4%、ケベック連合7.7%、新民主党15.9%、緑の党6.5%、人民党1.6%だった。大手世論調査機関14社は、支持率を自由党29~34%、保守党30~33%、ケベック連合5~9%、新民主党14~21%、緑の党6~9%、人民党1~4%と予測した。
 2社を除く全社は、自由党・保守党・新民主党について誤差が3ポイント未満だった。
 保守党と自由党は、ほとんどの社から過小評価された。保守党は全ての社から1~4ポイント過小評価され、自由党は2社を除く全社から1~4ポイント過小評価された。
 いっぽう新民主党・緑の党・人民党は、全社で過大評価された。これら中小政党の支持者は、戦略的投票で二大政党に投票したと考えると、説明がつく。
 保守党支持者は高齢者が多く、高齢者は投票率が高いことから、彼らが投票率を押し上げていることがありえる。CBCの調査は、保守党支持率についてアルバータで9.5ポイント、サスカチュワンとマニトバで8.5ポイントと、許容値を大きく超えるほどの誤差で過小評価した。それは全国では保守党支持率を2ポイント押し上げたが、議席増加にはつながらなかった。
 いっぽう自由党は、オンタリオ・ケベック・東部で予想より多くの票を取った。これらの事実は、自由党が少ない票で効率よく議席を獲得したことをある程度説明する。西部・中西部では予想より少ない票しか取れなかったが、それが統計上の誤差なのか、それとも自由党支持者が棄権したのかはわからない。
 誤差が特に大きかった選挙区は、ノバスコシア州のハリファックス選挙区、サックビル-プレストン-チェゼットクック選挙区、オンタリオ州のトロント-ダンフォース選挙区、アカディ-バザースト選挙区、ハミルトン・イースト-ストーニー・クリーク選挙区、ニッケル・ベルト選挙区、サンダーベイ-レイニー・リバー選挙区の7つである。これらは奇妙なことに、全てが2015年まで新民主党が長年保持していた選挙区で、かつ2015年に自由党に奪われたもので、かつ今回新民主党候補の当選が予想されたが自由党候補が当選したものである。うち6選挙区は2015年総選挙で新民主党現職が敗れ、今回新人候補に代わっている。アカディ-バザースト選挙区だけは、現職が2015年に引退し、同年総選挙で新人候補が敗れ、今回別の新人候補に代わっている。
 新民主党は、これらの選挙区で長年務めたベテラン議員を失ったために票を失っている可能性があり、党の勢力はさほど強くなく、過去の当選はベテラン議員の力に負うところが大きかったことを示唆している。
 世論調査は、自由党と保守党の接戦、選挙戦終盤でのケベック連合と新民主党の追い上げと、緑の党の凋落を示した。そして調査は一貫して、支持率に関係なく自由党が保守党より多くの議席を獲り、少数政権を築くことを予測した。世論調査は、信頼性を回復したと言っていいだろう。
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得票率で負けた自由党、議席では大差で勝つ [2019年下院選]

 ジャスティン・トルドー首相率いる自由党は、投票率では保守党に劣ったが、議席数では勝利した。このような逆転現象は、1979年以来40年ぶりである。このときは首相の父ピエール・トルドー首相が、得票率40.1%でクラーク党首率いる進歩保守党の35.9%を上回ったにもかかわらず、114議席で進歩保守党の136議席に敗れた。
 その前の例は1957年総選挙で、ディーフェンベーカー党首率いる進歩保守党が、得票率38.5%でサン=ローラン首相率いる自由党の40.5%を下回ったにもかかわらず、112議席で105議席の自由党に勝利した。さらにその前の例は1926年総選挙で、キング党首率いる自由党が、得票率42.9%でミーエン首相率いる保守党の45.4%を下回ったにもかかわらず、116議席で91議席の保守党に勝利した。
 このような逆転現象はそれ自体が稀だが、得票率で劣る方が36議席もの大差をつけたという点においても、稀少な例と言える。このような現象は、なぜ起きたのだろうか。

 自由党議員の4分の3は、多くの議席を持つオンタリオとケベックの中部2州選出である。そしてアルバータとサスカチュワンからは、議員が一人もいない。
 この状況もまた、父ピエール・トルドー首相が経験した1980年総選挙に酷似している。サスカチュワン以西の議員がいない自由党は、国家エネルギー計画で地下資源に課税し、産油地帯である中西部の怒りを買っても、失う議席は一つもなかったのだ。同様に息子ジャスティン・トルドー首相もまた、炭素税を課税しても失う議席はないことになる。
 得票率はまだ正確な数字は確定していないが、自由党はケベックでは2015年の35.7%から約34%に、1ポイント程度の低下で済んだ。議席は40から35へ、5議席減らしただけである。
 オンタリオでは44.8%から約41%に、3ポイントほど低下したものの、保守党には十分な差をつけており、議席は1議席減らしただけだ。決定的だったのは、莫大な議席を持つトロントとその近郊だった。自由党はトロント市の25議席で全勝、主戦場とされたトロント郊外も、29議席中24議席を獲得して圧勝した。

 自由党は2015年総選挙で、アルバータに11年ぶりの議席を獲得したが、今回4つの全てを失った。サスカチュワンの唯一の議席と、ウィニペグ周辺の2議席も失った。それでアマルジート・ソーヒ天然資源大臣と、長老ラルフ・グッデイル公安・非常時対応準備大臣の二人の中西部選出の閣僚が落選した。
 保守党は中西部で圧倒的な強さを示し、サスカチュワンで全勝、アルバータでは一つを除き全勝した。アルバータの保守党候補は、ほとんどが得票率70%以上である。
 だがそれらの票は、保守党の議席を「増加」させなかった。2015年総選挙で、サスカチュワンでは1つを除き全勝、アルバータでは4つを除き全勝していたからである。
 激戦地のトロント郊外で、保守党は自由党に小差で競り負け、大量の死票を出したのに対し、自由党は中西部で保守党に大差で敗れ、わずかな死票しか出さなかったのだ。

 新民主党と緑の党の予想外の低調も、自由党勝利に貢献した。両党は伝統的に、世論調査よりも実際の得票率が少ないことで知られる。保守党政権を危惧する両党の支持者が、それを阻止するため自由党に「戦略的投票」をするからだと考えられている。
 緑の党は、解散時には支持率が2桁あったが、シン党首に近親憎悪ともいえる舌戦をふっかけられ、得票率6.5%に終わった。州議会で躍進したニューブランズウィックとプリンスエドワード島、そして根拠地のバンクーバー島で躍進することを夢見たが、幻に終わった。
 新民主党は、投票日直前の世論調査では、支持率18から19%の間だったが、実際の得票率は15.9%に終わった。
 自由党の最大の懸念は、第一にトロント郊外での保守党の躍進、第二にトロントダウンタウンにおける新民主党躍進であったが、実際にはどちらも起こらなかった。新民主党候補はトロント-ダンフォース選挙区で14ポイント、パークデイル-ハイパーク選挙区で16ポイント、自由党候補を下回った。スパダイナ-フォート・ヨーク選挙区で自由党が勝てば自由党政権、自由党が負ければ保守党政権というジンクスは、今回も的中した。

 自由党は今回総選挙で、カナダのあらゆる地域で議席を失った。それは彼らから、過半数の安定政権を奪った。だがそれは、彼らを権力から引きずり降ろすには十分ではなかった。
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トルドー首相、連立を否定 [2019年下院選]

 トルドー首相は10月23日記者会見で、ケベック連合を含む諸党とともに働き、プライオリティについて話し合っていくと述べ、連立を否定した。
「いろいろな意見があると思うが、私が皆さんに言えることは、公式であれ非公式であれ、いかなる形式の連立についても全く考えていないということだ。」
 新民主党のシン党首は、投票日の10日前になって、連立するための「6つのプライオリティ」について新政権と交渉すると発表した。だが投票日の翌日「プライオリティについて交渉しない」と発表した。
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2019年カナダ総選挙速報 [2019年下院選]

 10月21日に実施された2019年カナダ連邦議会総選挙は、自由党157、保守党121、ケベック連合32、新民主党24、緑の党3、人民党0、無所属1(定数338議席)でほぼ確定し、自由党の少数政権が確実となった。
 保守党は得票率34.4%で、自由党の33.1%を上回ったが、議席では36差をつけられた。二大政党は直前の世論調査より多くの票を得たが、議席では予想を保守党はやや下回り、自由党は大きく上回るなど、自由党にはツキがあった。
 自由党は、過半数に13足りない少数政権を率いることになる。保守党は内閣打倒するのに最も大きい野党3党の協力が必要なのに対し、自由党政権はそのうちの一つを味方につければ議会の過半数を制することができる。

 事前の予想では自由党は、前回総選挙で全議席を獲った東部で相当数を失うとされたが、実際に失った議席はニューブランズウィックで4つ、ノバスコシアで1つ、ニューファンドランド&ラブラドルで1つ、プリンスエドワード島では全勝し、大多数の議席を維持した。前回圧勝したオンタリオとケベックは、前者では前回80に対し79、後者では前回40に対し35と、ケベック連合躍進にもかかわらず新民主党の不評のため、浅い傷で済んでいる。
 今回総選挙では3つの主戦場があるとされ、一つはトロント郊外、一つはケベックのフランス語地域、一つはブリティッシュコロンビアのローワー・メインランドである。自由党は地盤のトロントの全選挙区を制したほか、トロント郊外でもほぼ全部を制した。ケベックでは地盤のモントリオールでほぼ全勝したが、フランス語地域では苦戦し、州全体では35議席で第一党の地位をかろうじて維持したものの、ケベック連合に32議席を取られた。新民主党は、ケベックでわずか1議席に終わった。
 中部2州で絶好調の自由党は、ブリティッシュコロンビアでは苦戦した。グレーター・バンクーバーで保守党・新民主党とほぼ3等分する結果に終わり、ローワー・メインランドでは保守党躍進を許した。バンクーバー島では緑の党が2議席獲得し、自由党は完全に締め出された。
 自由党が過半数を制するには、3つの主戦場全てを制する必要があった。だがオンタリオを制した自由党は、ケベックではケベック連合と痛み分け、ブリティッシュコロンビアでは第3党に沈み、過半数割れに終わった。
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 保守党は、ハーパー前首相が前回獲得した議席を上回った。サスカチュワンで全勝、アルバータでは1つを除き全勝し、ブリティッシュコロンビアのローワー・メインランドではうまくやった。だがケベックで浸透できず、主戦場のトロント郊外で大敗した。
 SNC-ラバラン問題が発覚してから、保守党はずっと支持率首位を走って来たが、勝ちきれなかった。シーア党首は40歳で政治歴が浅く、下院議長を務めたが大臣経験もなく、知名度が低かった。
 彼が当選した2017年党首選は、17人の候補が乱立した。メディアは、ベルニエやオリアリーやリーチのようなキャラの立つ候補を取り上げたため、彼は目立つのに苦労した。投票は優先順位付き連記投票で行われ、敵のいない彼は大量の「第2候補」票を集めた。彼が当選できたのは、本命のベルニエがあまりに急進的な改革を主張したため、それを危惧した党員が保守的なシーアのもとに集まったからである。だがそのベルニエは党を追われ、もういない。
 シーア党首は選挙戦でも、減税、炭素税反対といった伝統的な保守党の主張に固執し、真新しさをアピールできなかった。彼はトルドー首相を、SNC-ラバラン問題やブラックフェイス問題などで「統治する道徳的資格を失った」と非難したが、トルドー首相はシーア党首ではなくオンタリオ州のフォード保守党政権を批判した。
 しかし彼自身も、道徳的問題から無縁ではいられなかった。無資格で保険を売っていたことや、アメリカとの二重国籍を暴露された。そして2005年に公開した動画で「同性カップルは『自然な』生殖ができず『本来の外観』を持たない」「犬の尻尾を『脚』と呼ぶことにしたら、犬の脚は何本か」(※リンカーンの格言。尻尾を『脚』と呼んでも、尻尾は脚にはならない。ゆえに同性パートナーシップを『結婚』と呼んでも、それは結婚ではない)と述べ、新民主党がケベックから締め出されたのに、ケベックで支持を拡大できなかった。二大政党党首は伝統的にチャンスを2度与えられることになっていて、一度の敗北では降ろされないものだが、シーア党首の地位は決して安泰とは言えない。

 ケベック連合は、ケベック第一党の地位は逃したものの、全体では野党第2党のかつての地位を取戻し、完全に復活した。新民主党がケベックで喪失した議席は、ほとんどケベック連合が奪い取った。2番目に議席の多いケベックでケベック連合が強い勢力を持つことで、何度選挙をやってもどの党も過半数に達しないという21世紀初めの状況が復活し、弱体政権が続くおそれがある。

 新民主党は、解散前には公式政党(12議席)ステータスの維持すら危惧されていたが、20台の議席を維持し、新しい議会ではキャスティング・ボートを握る。「シン党首では選挙に勝てない」と言われ、総選挙後に引きずり降ろされると思われたが、党首の地位には留まれそうだ。
 シン党首は選挙戦の最後の3週間でトロントを5回訪問したが、全ての選挙区を自由党に取られ、カナダ最大の都市から締め出された。東部では、ニューファンドランドの1議席に終わった。2011年総選挙で躍進したケベックでは、一つを除く全議席を失い、ルース・エレン・ブロソー院内総務も落選した。

 緑の党は、東部で初の議席を獲得。一時は支持率が2桁台に達し、2桁議席も夢ではないと言われたが、得票率6.3%で3議席となり、「主要政党」の仲間入りだ。
 大きく成長した党は、様々な人々を含んだ。オンタリオの候補は反イスラム発言で公認を外されたが、ケベックの候補が反イスラム発言をしたときは、謝罪だけで済ませた。メイ党首は「分離主義」の候補を受け容れ、妊娠中絶に関しても「投票は自由」と述べ、新民主党のシン党首に巧妙につけ込まれた。近親憎悪にも似た激しい非難合戦は、選挙戦終盤で緑の党を失速させ、「仁義なき戦い」は新民主党に敗れた形となった。

 人民党はベルニエ党首が落選し、議席0に終わった。

 法務大臣を辞任し、SNC-ラバラン問題を暴露したウィルソン-=レイボールド氏は無所属で当選。与野党伯仲議会では、台風の目になる可能性もある。
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2019年カナダ総選挙の立候補者 [2019年下院選]

21団体・2146人が立候補する。
(人数は候補数、括弧内は解散時勢力)

・自由党 338人(177)
中道左派の現与党。万年与党と言われる。
・保守党 338人(95)
右派のカナダ同盟が中道右派の進歩保守党を吸収して成立。2015年まで与党。
・新民主党 338人(39)
労働組合に支援される革新政党。
・ケベック連合 78人(10)
ケベック独立を目指し結成された。その後ケベックの利益誘導政党に。
・緑の党 338人(2)
環境政党。
・人民党 315人(1)
保守党を追放されたベルニエ氏が結成した右翼新党。人種差別発言が多い。
・クリスチャン・ヘリテージ党 51人(0)
キリスト教的価値観を訴える復古主義政党。
・(マルクス=レーニン主義)共産党 50人(0)
毛沢東主義を掲げるもう一つの共産党。カナダ共産党とは提携も敵対もしないとされる。
・サイ党 39人(0)
選挙をジョークとして楽しむ。選挙公約は全部ネタ。
・カナダ共産党 30人(0)
コミンテルンに加入した、非合法された唯一の政党。かつては連邦議会や地方議会に、議席を有していた。自由党に次いで2番目に古い政党。
・退役軍人連合党 25人(0)
退役軍人を尊重する復古主義政党。
・リバタリアン党 24人(0)
政府による規制を極力撤廃し、自由放任主義を志向する。
・動物保護党 17人(0)
動物愛護の党。肉税を導入し動物産業の規制を訴える。候補者は全員ビーガン。
・ケベック独立党 13人(0)
ケベック独立を主張。
・カナダの第四戦線 7人(0)
「親カナダ」の党。
・マリファナ党 4人(0)
かつてマリファナ合法化を主張していた。今はマリファナをコーヒー並みに安価で提供することを訴える。
・全国市民同盟 4人(0)
移民の制限、不法入国者の追放、「権利と自由のカナダ憲章」の見直しを主張する極右政党。
・連合党 4人(0)
保守とリベラルの架け橋となる。
・カナダ国家主義者党 3人(0)
ヨーロッパ文化とキリスト教文化に則り、多文化主義を放棄しホワイトカナダを実現する極右政党。
・進歩カナダ党 3人(0)
進歩保守党(PC)がカナダ同盟に吸収され消滅することに反対したメンバーが、「PC」の呼称を残すため結成した。
・ストップ気候変動 2人(0)
気候温暖化を阻止するための徹底的な対策を迫る。
・無所属 128人(8)
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明日投票日、自由党少数政権か [2019年下院選]

 CBCが10月20日に発表した政党支持率調査は、保守党32.0%、自由党31.8%、新民主党18.0%、緑の党7.7%、ケベック連合7.1%、人民党2.5%、その他1.0%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、自由党136(90~190)、保守党124(82~171)、ケベック連合40(21~50)、新民主党36(16~62)、緑の党1(1~6)、人民党1(0~1)、その他0(0~1)(定数338議席、括弧内は最小と最大議席)となる。CBCは自由党少数政権の確率を48%、保守党少数政権の確率を37%、自由党過半数の確率を12%、保守党過半数の確率を2%と予測した。

 トルドー首相が議会を解散し選挙戦が始まったとき、自由党と保守党の支持率は33.8%だった。連邦議会選挙では、得票率38.5%未満で過半数を制した例はない。だが新民主党とケベック連合が低迷していたため、二大政党には過半数への望みがあった。しかし選挙戦終盤で新民主党とケベック連合が支持率を上げたため、過半数獲得の可能性は非常に低い。
 保守党は接戦選挙区の全部を獲らないと過半数に達しないのに対し、自由党は過半数獲得の望みをまだ残している。あらゆるデータは、明日の総選挙は自由党が過半数割れながら政権を維持することを示している。
 ケベック連合は、1993年から2008年までケベックの第一党であり続けたが、2011年総選挙で4議席の惨敗を喫し、その後所属議員が多数離党して「数年で消滅する」と言われてきた。だが民族主義を前面に掲げたアピールがケベックの有権者に受け、選挙戦終盤でケベックでの支持率を序盤より10ポイント以上も上げ、かつての野党第二党とケベック第一党の地位を奪回できそうだ。
 新民主党は、シン党首が英語のテレビ討論で高い評価を受け、支持率を5ポイントほど上げたことで、ブリティッシュコロンビア・オンタリオ・東部で議席を上積みし、30議席以上獲れそうだ。ケベックでは依然として苦戦しているものの、一時は全滅と言われていたが、2人程度は当選の見込みが出て来た。選挙期間中に運動せずカジノで遊んで当選し有名になったルース・エレン・ブロソー議員は、今では下院院内総務だが、ケベック州が選挙区である。
 緑の党は、過去の総選挙にはなかった高支持率だが、新民主党とケベック連合の左派2党が支持率を上げたのに対し、一時は2桁あった数字をじりじりと下げ、当選確実な候補は1人しかいない。

 (1) 3つの主戦場
 今回総選挙には、3つの主戦場がある。トロント郊外、ケベックのフランス語地域、ブリティッシュコロンビアのローワー・メインランドである。
 GTAと呼ばれるグレーター・トロント・エリアは、カナダ10州のうちオンタリオとケベック以外の8州より多くの議席を持つ。トロント市内は自由党の牙城だが、トロント郊外は自由党と保守党が近年接戦を続けており、ほんのわずかな風向きで結果が大きく動く。これら接戦選挙区の大多数を自由党が運良く掴むことができれば、過半数への道が拓けて来るが、保守党に相当数の議席を譲った場合、どちらが勝っても少数政権になるだろう。
 ケベックでの政党支持率は、自由党32.9%、ケベック連合30.3%、保守党14.8%、新民主党12.6%、緑の党6.3%、人民党2.4%となっている。ここから導き出される予想獲得議席は、ケベック連合21~50、自由党23~46、保守党4~14、新民主党0~2、人民党0~1、緑の党0~0(定数78議席)である。
 世論調査は、ケベック州のフランコフォン有権者の間で、ケベック連合が自由党に決定的とも言える15ポイントのリードを保っていることを示した。その事実は、ケベック州の大多数を占めるフランス語地域において、ケベック連合が自由党に有意なリードを保っていることを意味する。保守党の基盤であるケベック市ですら、ケベック連合は保守党現職を脅かしている。
 保守党は歴史的にケベックで弱く、過去の選挙ではケベックを捨ててかかることもあった。今回は新民主党の不評とケベック連合の退潮につけ込み、ケベックで自由党に次ぐ2位につけていて、ケベックで重点的に運動したが、ケベック連合は民族主義的政策を訴え、終盤に追い上げた。
 シーア党首は、首相にふさわしい人物として8月末にはケベックで2位につけ、シン党首を13ポイント上回っていたが、今ではシン党首より4ポイント下の3位である。ケベックで支持拡大に失敗した保守党は、過半数獲得を絶望視されている。
 ブリティッシュコロンビアのローワー・メインランドも、自由党・新民主党・保守党が三つ巴の激戦を近年続けている。自由党が過半数を獲得するには、3つの主戦場の全てを制する必要がある。だが自由党が、ケベックでケベック連合に勝つのは非常に困難と言わざるを得ない。

 (2) 2期目に苦戦する首相
 再選に失敗した首相には、チャールズ・タッパー、アーサー・ミーエン、リチャード・ベネット、ジョン・ターナー、キム・キャンベルの5人がいるが、ベネット以外は総選挙の勝利なくして首相になった人たちだ。野党党首として政権奪取しながら、1期で退任したのはベネット首相だけである。ベネット首相は世界恐慌の直撃を受け、そこから立ち直るための政策をいくつか打ち出したが、裁判所から違憲判決を出され頓挫した。
 カナダ史の大多数の前例は、政権交代の機運に乗り政権奪取した野党党首はしばしば圧勝したが、再選時には失望を買い、総選挙で苦戦していることを示している。マッケンジー・キング首相は、1925年の2度目の総選挙で18議席減らし、第2党に転落したが、進歩党の閣外協力でかろうじて政権を維持した。ルイ・サン=ローラン首相は、1953年の2度目の総選挙で22議席減らした。ジョン・ディーフェンベーカー首相は1957年総選挙で政権奪取したが、過半数に足りなかったため、10か月後に再度総選挙を行い、265議席中208議席を獲得し圧勝した。だが次の1962年総選挙では92議席も減らし、過半数割れとなった。ブライアン・マルローニ首相は1984年総選挙で、282議席中211議席を獲得し圧勝したが、次の1988年総選挙では34議席減らした。ジャン・クレチエン首相は1993年総選挙で圧勝したが、次の1997年総選挙で19議席減らした。
 トルドー首相の父ピエール・トルドー首相も、2度目の総選挙は苦戦した。1972年総選挙で109議席を獲得し、107議席の進歩保守党に辛うじて勝利した。
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二大政党が接戦、連立の是非が焦点に [2019年下院選]

 CBCが10月18日に発表した政党支持率調査は、保守党31.7%、自由党30.8%、新民主党18.8%、緑の党8.3%、ケベック連合6.9%、人民党2.6%、その他0.9%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、自由党133(89~187)、保守党123(82~171)、新民主党41(16~65)、ケベック連合38(22~50)、緑の党2(1~7)、人民党1(0~1)、その他0(0~1)(定数338議席、括弧内は最小と最大議席)となる。CBCは自由党少数政権の確率を48%、保守党少数政権の確率を40%、自由党過半数の確率を11%、保守党過半数の確率を2%と予測した。
 二大政党は2日前よりさらに支持率を下げ、過半数ラインとされる40%を大きく下回っている。情勢は2日前から大きく動いてはいないが、重要なポイントが二つある。一つは、保守党の単独過半数がほぼ不可能になったことであり、連立パートナーがいないため窮地に陥った。もう一つは、左派諸党の予想獲得議席がわずかに増えたため、自由党は新民主党またはケベック連合の一方と提携すれば過半数を得られることである。

 どの党も過半数に達しない可能性が高くなり、記者たちは主要政党党首たちに連立の意向を尋ねた。トルドー首相は連立に関するあらゆる質問への回答を避け、17日にケベック州トロワリビエールで次のように述べた。
「気候変動と戦い、家族に投資する激務を続けることができるようになるための、強力な自由党政権が再選されることに、我々は集中している。選択は、非常に非常に明確だ。」

 保守党のシーア党首は17日、オンタリオ州ブランプトンでインタビューに答え、保守党は他党と連立しないし、自由党は第一党になれなかった場合は連立して政権にしがみつくべきでないと語った。
「我々は、強力な保守党過半数政権を築けるようカナダ人にお願いしている。」
「近代カナダ史においては、最も多くの議席を得た党が政権を築くことになっている。」
「他党もまた、最も多くの議席を得た党が政権を築くという事実を尊重すると、我々は期待している。」
 実際には2017年ブリティッシュコロンビア州議会選挙のように、第一党が与党になれず連立政権が樹立された例はいくつか存在する。連邦政治では連立政権が成立した例はないが、1925年下院選で保守党は第一党となったにもかかわらず、自由党が進歩党の閣外協力によって政権を維持した例がある。
 保守党は支持者に電子メールを送り、「自由党は選挙に勝つことなく政権を握る方法を計画している」「カナダで民主主義を破壊する計略」と警告していたことが判明した。

 新民主党のシン党首は「保守党政権成立を阻止するため、必要なことは何でもする」と述べ、自由党との連立に前向きな姿勢を明らかにしてきた。彼はオンタリオ州ウェランドで、次のように述べた。
「カナダ人の60%以上は、保守党に投票しない。それゆえ、保守党が得票率40%以下で議会の過半数を得られると思うのは間違っている。」
「連立は禁句ではない。」
 「保守党政権成立を阻止する」というのは、決して嘘や冗談ではないだろう。だが彼の本心はむしろ逆で、左派有権者の票が保守党政権を阻止するため自由党に流れて行くことを阻止することであり、自由党との連立を明言することで、新民主党への投票は保守党政権阻止の目的に適うとアピールすることだろう。

 緑の党のメイ党首はバンクーバー島で、連立についてこう語った。
「選挙が終わるまで、連立について語るべきではない。」
「カナダ人のため、議会を機能させる方法について我々は備えていた。そのため、少数政権で議会を機能させる方法を見つけたとシーア党首が言うのは、間違っている。自由党とのみ提携すると言うシン党首は、間違っている。」

 ケベック連合のブランシェ党首は16日、政権支持はケース・バイ・ケースであり、制度的に政権を支援することには興味がないと述べた。
「ケベック連合が制度的に、政権の支援や連立はしないことに疑問の余地はない。」
「それがケベックにとってよいことなら、我々も追随する。保守党が我々の税還付を支持するなら、我々も追随する。もしもケベック連合が炭素税廃止を支持すると保守党が思っているなら、そうはならないだろう。」
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自由党と保守党が接戦、少数政権濃厚に [2019年下院選]

 CBCが10月16日に発表した政党支持率調査は、保守党32.2%、自由党30.9%、新民主党18.2%、緑の党8.3%、ケベック連合6.9%、人民党2.6%、その他0.9%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、自由党130(87~184)、保守党130(86~174)、新民主党38(17~63)、ケベック連合38(22~49)、緑の党2(1~6)、人民党1(0~1)、その他0(0~1)(定数338議席、括弧内は最小と最大議席)となる。
 テレビ討論では新民主党のシン党首が高い評価を受け、ケベック連合とともに支持率を大きく上げた。対照的に二大政党は、9月から支持率を低下させ続けている。
 総選挙まであと6日しかないが、どの党も過半数に達しない可能性が非常に高い。CBCは自由党少数政権の確率を48%、保守党少数政権の確率を48%、自由党過半数の確率を8%、保守党過半数の確率を3%と予測した。

 予測では、自由党・保守党ともに過半数に40議席足りない。ところが、それ以外の党はどれも40議席に足りないので、予測より多くの議席を獲らないと安定政権は築けないことになる。
 新民主党は、保守党政権を阻止するため自由党と連立すると公言している。緑の党は「地球温暖化と戦う党ならどことでも連立する」と述べているが、予測で2議席、最大でも6議席にしかならないので、相手にはされないだろう。
 連邦議会に議席を持つ党では、右派政党は保守党と人民党だけで、ほかは全部左派政党である。自由党は数多い選択肢の中から、選挙結果と相手の条件次第で好きなパートナーを選べるが、人民党は保守党を追放されたベルニエ氏の党だから、保守党には組めるパートナーはいない。自由党は保守党に大差をつけられないかぎり、有利な条件にある。
 自由党が第一党なら、過半数割れでも政権続投となる。保守党にパートナーがいない以上、自由党はたとえ第二党でも、他党と組んで過半数になれるなら政権を維持できる。慣例上、与党が敗北したという決定的な結果が出ないかぎり、首相は辞任する必要がない。首相が辞任していない段階で、総督が別人を首相に指名することはない。この場合は、政権続行して議会が召集される。議会冒頭でスローン・スピーチ(所信表明演説)が行われ、その信任投票を行うが、不信任された場合は、理論上内閣総辞職と解散・総選挙の2つの選択肢がある。総選挙が終わったばかりで新たな総選挙は許可されないだろうから、実際は総辞職になるだろう。
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戦略的投票は有効か [2019年下院選]

 市民団体「リードナウ」は5000人の運動員を動員し、2015年連邦議会選挙において、保守党政権を打倒するための戦略的投票を呼びかけた。彼らの考えは、保守党候補を落選させるため、左派有権者は自由党か新民主党のより有力な候補に票を集中させようというものだった。
 彼らは、戦略的投票は効果があったと主張する。その根拠として、彼らが重点的に運動した11選挙区において、9人の推薦候補が当選した事実を挙げる。

 ライアソン大学で政治学を教えるダニエル・ルーベンソン教授は、オンタリオ州パークデイル-ハイパーク選挙区において、著名な現職女性議員ぺギー・ナッシュ候補が自由党の新人に敗れた事実を挙げ、戦略的投票は予想された以上に自由党の得票を上積みしたと考える。
 彼によると、男性より女性、貧困層より富裕層、低学歴より高学歴、若年層より高齢層がより戦略的投票に走りやすいという。

 だが政治評論家のブライアン・ブレゲット氏は、戦略的投票の与える効果を否定する。彼が2015年連邦議会選挙を研究した結果、戦略的投票を考慮する有権者はせいぜい10~15%、実際に戦略的投票をする有権者は5%以下であり、新民主党候補は戦略的投票により平均3ポイントしか上乗せできなかったと結論づけた。

 マギル大学で政治学を教えるエリザベス・ギデンギル教授は、有権者がしばしば支持政党の勝率を過大評価する事実を指摘する。彼女は、自分の支持する候補が世論調査で3位か4位につけているとき、その候補の当選可能性について尋ねると、かなり多くの人が「可能性はまだ半々だよ」と言うのを聞いた。
 また彼女は、有権者が党派心を克服することが非常に難しいことを挙げた。心理学者は、フットボールのファンは贔屓チームの勝利に貢献するためではなく、忠誠心を表現するために応援しているという。同様に有権者は、正しい政策を実現するためではなく、支持政党への忠誠心や愛国心を「表現」するために投票しているのだという。その原因として、投票所が非常に近いので投票のためのコストが低く、また1票の価値が極めて低いので誤った選択の与える影響が微々たるものであることから、有権者は自分の投票が死票になることなど実は恐れてなく、むしろ自分の「信仰」に忠実であろうとするというのである。
「それゆえ、たとえ彼らの支持政党が選挙区において、世論調査で3位か4位につけていたとしても、彼らはまだ自分が純粋に支持する党に投票したいのではないだろうか。」
「それは『表現的投票』と呼ばれている。人々は、自分の本当の好みを表現したいのだ。」
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ジョン・ターメル氏、99回目の立候補 [2019年下院選]

 オンタリオ州にあるブラントフォードの市民が偉大な背番号99を誇っていたのは、それほど昔のことではない。だがブラントフォード市民は今、もう一つの偉大な99を祝うことになりそうだ。それはブラントフォードに住むジョン・ターメル氏が、世界で最も多くの選挙に立候補した人物として、自身の持つ世界記録を99回に更新しようとしているからである。そして彼はまた、世界で最も多くの選挙に落選した人物でもあり、自身の持つ記録を98に更新することが確実視されている。残りの1回は、立候補していた下院補選が下院解散のため中止になったもので、彼は一度も当選していない。

 ターメルは1951年、ケベック州ルイーヌに生まれた。オタワのカールトン大学で電気工学を専攻するが、ゲーム理論にのめり込み、ポーカーやブラックジャックに夢中になった。彼は賭博に関する法律を学び、法の抜け穴を突いたつもりで私営賭博を開帳した。だが私営賭博は違法であり、懲役刑を受け、大学助手の職も失った。しかし彼は1979年、下院選挙にオタワ・ウェスト選挙区から最初の立候補を果たす。彼が掲げた政策は、ギャンブル解禁、売春自由化、ドラッグ解禁、利息の廃止と地域通貨LETSの導入で、社会信用党からの立候補を望んだが、党から拒否され「無所属社会信用党」を称した。
 1982年には、社会信用党党首選のプロセスに異議を唱えたため除名され、「クリスチャン信用党」を創設し、そこから2度立候補した。だが党は、翌年解散した。
 1984年には、基盤の弱い緑の党のオタワ支部を支配しようと試み、下院選、下院補選、州議会補選、ネピアン市長選とあらゆる選挙での公認を模索したが、得られず無所属で立候補し、85年に党を除名された。
 1985年には「オンタリオ社会信用党」を結成したが、カナダや諸州の社会信用党とは何の関連性もないものだった。彼はそこで3度立候補した。
 1993年には「廃止論党」を設立し、同年の連邦議会選挙で80人の候補を擁立した。これはケベック連合の75人、緑の党の79人を上回り、議席のない党としては3番目に多かったが、得票率0.07%に終わり、全員落選した。党は96年に解散した。
 ターメルは1996年、下院補選に41回目の立候補を果たし、翌年のギネスブックに初めて「世界で最も多く立候補した人物」として掲載された。
 彼は2002年、マリファナ党党首選への立候補を表明した。だがそれが報じられると、党首選は取りやめになった。2003年には、消滅したリバタリアン党を再興しようと試みたが、それを知ったかつての党員たちが「リバタリアン党」の名を再登録して阻止した。
 2011年には「貧民党」を結成した。この党の特長として、アルゼンチンのデ・ラ・ルア大統領に倣った経済政策、特に公務員に国債を支給することが挙げられる。この党はオンタリオ州議会選挙に、候補者を2011年に2人、2014年に3人、2018年に2人擁立し、まだ活動している。

 法廷での証言によると、ターメルは1990年代にはいくつかの違法カジノを経営し、100人の従業員を雇い、年間100万ドル以上の利益を上げたという。2003年にオンタリオ州議会補選でブラントフォードから出馬して以来、この地が気に入り定住している。
 彼は仕事の合間に何度か立候補するが、選挙に立候補するのは人々が思うほど難しくないと言う。かつて立候補には1000ドルの供託金を必要としたが、2017年に違憲判決が出て廃止された。今では、必要とされる推薦人100人の署名を集めて回るだけである。
 候補者や党首の討論が開催されると、彼は戻って来て、自分が招待されない討論会を潰しにかかる。自称エンジニアの彼は、白いヘルメットを被り、ロイヤルストレートフラッシュを表したネクタイを締め、拡声器で大声で話すので、しばしば主催者や警察に排除された。
 ターメルは、こう語る。
「あきらめた者は、決して勝者にはならない。勝者は決してあきらめない。」
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  【ジョン・ターメル氏の立候補全記録】
 ※州の記載がないものはオンタリオ州。%は得票率。★は最高記録。
1.1979年5月22日 下院選(オタワ選挙区)(無所属)193票 0.35%
2.1980年2月20日 下院選(オタワ選挙区)(無所属)62票 0.13%
3.1980年3月24日 下院補選(ケベック州フロンテナック選挙区)(無所属)101票 0.31%
4.1980年9月8日 下院補選(ハミルトン・ウェスト選挙区)(無所属社会信用党)88票 0.28%
5.1980年11月10日 オタワ市長選(無所属)1928票 2.21%
6.1980年11月20日 州議会補選(カールトン選挙区)(無所属社会信用党)95票 0.39%
7.1981年3月19日 州議会選(オタワ・センター選挙区) (無所属社会信用党)376票 1.48%
8.1981年4月12日 下院補選(ロンドン・ウェスト選挙区)(無所属)37票 0.08%
9.1981年5月4日 下院補選(ケベック州レビ選挙区)(無所属)172票 0.51%
10.1981年8月17日 下院補選(スパダイナ選挙区)(無所属)69票 0.31%
11.1982年6月17日 州議会補選(ハミルトン・ウェスト選挙区)(クリスチャン信用党) 173票 0.75%
12.1982年10月12日 下院補選(ブロードビュー-グリーンウッド選挙区)(クリスチャン信用党)19票 0.07%
13.1982年11月4日 州議会補選(ヨーク・サウス選挙区)(無所属)66票 0.27%
14.1982年11月8日 グロースター市議会選(無所属)1193票 1.27%
15.1983年8月29日 下院補選(ノバスコシア州セントラル・ノバ選挙区)(無所属)46票 0.15%
16.1983年12月15日 州議会補選(ストーモント-ダンダス-サウス・グレンガリー選挙区)(無所属)97票 0.46%
17.1984年9月4日 下院選(ビーチス選挙区)(無所属)112票 0.31%
18.1984年12月13日 州議会補選(オタワ・センター選挙区)(無所属)90票 0.46%
19.1985年5月2日 州議会選(オタワ・センター選挙区)(無所属)364票 1.33%
20.1985年11月12日 ネピアン市長選(無所属)1405票 7.25%★
21.1986年4月17日 州議会補選(ヨーク・イースト選挙区)(オンタリオ社会信用党)44票 0.17%
22.1986年8月14日 州議会補選(コックレイン・ノース選挙区)(オンタリオ社会信用党)75票 0.74%
23.1986年9月29日 下院補選(ケベック州サン-モリス選挙区)(無所属)104票 0.31%
24.1987年7月20日 下院補選(ハミルトン・マウンテン選挙区)(無所属)166票 0.50%
25.1987年9月10日 州議会選(オタワ・センター選挙区)(無所属)598票 2.03%
26.1988年3月31日 州議会補選(ロンドン・ノース選挙区)(無所属)115票 0.35%
27.1988年11月3日 州議会補選(ウェランド-ソロルド選挙区)(無所属)187票 0.65%
28.1988年11月14日 オタワ市長選(無所属)3123票 3.88%
29.1988年11月21日 下院選(オタワ・センター選挙区)(無所属)152票 0.31%
30.1990年8月13日 下院補選(オシャワ選挙区)(無所属)50票 0.20%
31.1990年9月6日 州議会選(オタワ・センター選挙区)(無所属)160票 0.53%
32.1990年12月10日 下院補選(ヨーク・ノース選挙区)(無所属)97票 0.23%
33.1991年11月12日 オタワ-カールトン区長選(無所属)3574票 1.81%
34.1993年10月23日 下院選(ケベック州フロンテナック選挙区)(廃止論党)195票 0.63%
35.1993年12月2日 州議会補選(エセックス・サウス選挙区)(無所属)84票 0.46%
36.1994年3月17日 州議会補選(ビクトリア-ハリバートン選挙区)(無所属)123票 0.52%
37.1994年11月14日 オタワ-カールトン区長選(無所属)4563票★ 2.35%
38.1995年2月13日 下院補選(オタワ-バニエ選挙区)(廃止論党)46票 0.23%
39.1995年6月8日 州議会選(オタワ・センター選挙区)(無所属)173票 0.61%
40.1996年3月25日 下院補選(エトビコーク・ノース選挙区)(廃止論党)75票 0.28%
41.1996年6月17日 下院補選(ハミルトン・イースト選挙区)(廃止論党)21票 0.08%
42.1997年6月2日 下院選(オタワ・ウェスト-ネピアン選挙区)(無所属)211票 0.39%
43.1997年9月4日 州議会補選(オタワ・ウェスト選挙区)(無所属)201票 0.93%
44.1997年11月10日 オタワ-カールトン区長選(無所属)4126票 2.50%
45.1998年9月14日 下院補選(ケベック州シェアブルック選挙区)(無所属)97票 0.27%
46.1999年4月12日 下院補選(ウィンザー-セント・クレア選挙区)(廃止論党)106票 0.33%
47.1999年6月3日 州議会選(オタワ・ウェスト-ネピアン選挙区)(無所属)94票 0.20%
48.1999年11月15日 下院補選(ケベック州ハル-アイルマー選挙区)(無所属)51票 0.29%
49.2000年9月7日 州議会補選(アンカスター-ダンダス-フランボロー-アルダーショット選挙区)(無所属)80票 0.24%
50.2000年9月11日 下院補選(ノバスコシア州キングス-ハンツ選挙区)(無所属)221票 0.81%
51.2000年11月13日 オタワ市長選(無所属)677票 0.27
52.2000年11月27日 下院選(オタワ・ウェスト-ネピアン選挙区)(無所属)89票 0.17%
53.2001年3月22日 州議会補選(パリー・サウンド-マスコカ選挙区)(無所属)61票 0.23%
54.2002年5月2日 州議会補選(ダッファリン-ピール-ウェリントン-グレイ選挙区)(無所属)120票 0.37%
55.2003年10月2日 州議会選(ブラント選挙区)(無所属)295票 0.66%
56.2003年11月10日 オタワ市長選(無所属)1166票 0.63%
57.2004年5月13日 州議会補選(ハミルトン・イースト選挙区)(無所属)120票 0.50%
58.2004年6月28日 下院選(ブラント選挙区)(無所属)371票 0.69%
59.2005年3月17日 州議会補選(ダッファリン-ピール-ウェリントン-グレイ選挙区)(無所属)85票 0.31%
60.2006年1月23日 下院選(ブラント選挙区)(無所属)219票 0.36%
61.2006年3月30日 州議会補選(ネピアン-カールトン選挙区)(無所属)112票 0.37%
62.2006年9月14日 州議会補選(パークデイル-ハイパーク選挙区)(無所属)77票 0.27%
63.2006年11月13日 ブラントフォード市長選(無所属)226票 0.84%
64.2007年2月8日 州議会補選(バーリントン選挙区)(無所属)90票 0.40%
65.2007年9月17日 下院補選(ケベック州ウートルモン選挙区)(無所属)30票 0.13%
66.2007年10月10日 州議会選(ブラント選挙区)(無所属)272票 0.57%
67.2008年9月8日 下院補選(ゲルフ選挙区)(無所属)解散のため中止
68.2008年10月14日 下院選(ゲルフ選挙区)(無所属)58票 0.10%
69.2009年3月5日 州議会補選(ハリバートン-カワーサ・レイクス-ブロック選挙区)(無所属)92票 0.26%
70.2009年9月17日 州議会補選(セント・ポールズ選挙区)(無所属)51票 0.19%
71.2009年11月9日 下院補選(ケベック州オシェラガ選挙区)(無所属)71票 0.39%
72.2010年2月4日 州議会補選(トロント・センター選挙区)(無所属)67票 0.25%
73.2010年3月4日 州議会補選(オタワ・ウェスト-ネピアン選挙区)(無所属)230票 0.81%
74.2010年10月25日 ブラントフォード市長選(無所属)61票 0.22%
75.2011年10月6日 州議会選(ブラント選挙区)(貧民党)87票 0.20%
76.2012年3月19日 下院補選(トロント-ダンフォース選挙区)(無所属)57票 0.20%
77.2012年9月6日 州議会補選(キッチナー-ウォータールー選挙区)(無所属)23票 0.05%
78.2013年8月1日 州議会補選(オタワ・サウス選挙区)(貧民党)64票 0.20%
79.2013年11月25日 下院補選(トロント・センター選挙区)(無所属)75票 0.22%
80.2014年2月13日 州議会補選(ソーンヒル選挙区)(貧民党)49票 0.18%
81.2014年6月12日 州議会選(ブラント選挙区)(貧民党)61票 0.12%
82.2014年6月30日 下院補選(トリニティ-スパダイナ選挙区)(無所属)141票 0.41%
83.2014年10月27日 ブラントフォード市長選(無所属)133票 0.55%
84.2014年11月17日 下院補選(ホイットビー-オシャワ選挙区)(無所属)107票 0.30%
85.2015年2月5日 州議会補選(サドバリー選挙区)(貧民党)118票 0.46%
86.2015年9月3日 州議会補選(シムコー・ノース選挙区)(貧民党)46票 0.12%
87.2015年10月19日 下院選(ブラントフォード-ブラント選挙区)(無所属)164票 0.26%
88.2016年2月11日 州議会補選(ホイットビー-オシャワ選挙区)(貧民党)11票 0.03%
89.2016年9月1日 州議会補選(スカボロー-ルージュ・リバー選挙区)(貧民党)37票 0.15%
90.2016年11月17日 州議会補選(オタワ-バニエ選挙区)(貧民党)51票 0.17%
91.2017年4月3日 下院補選(オタワ-バニエ選挙区)(無所属)153票 0.50%
92.2017年6月1日 州議会補選(スー・セント・メリー選挙区)(貧民党)47票 0.18%
93.2017年12月11日 下院補選(スカボロー-エイジンコート選挙区)(無所属)145票 0.80%
94.2018年6月7日 州議会選(ブラントフォード・ブラント選挙区)(貧民党)59票 0.10%
95.2018年6月18日 下院補選(シクティミ-ル・フジョール選挙区)(無所属)98票 0.41%
96.2018年10月22日 ブラントフォード市長選(無所属)128票 0.53%
97.2018年12月3日 下院補選(リーズ-グレンビル-サウザンド・アイランド&リドー・レイクス選挙区)(無所属)111票 0.38%
98.2019年2月25日 下院補選(ヨーク-シムコー選挙区)(無所属)64票 0.40%
99.2019年10月21日 下院選(ブラントフォード・ブラント選挙区)(無所属)
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新民主党と緑の党、連立公約合戦 [2019年下院選]

 CBCが9月27日に発表した政党支持率調査は、保守党33.9%、自由党33.7%、新民主党13.9%、緑の党10.1%、ケベック連合4.9%、人民党2.8%、その他0.6%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、自由党162(106~219)、保守党139(97~182)、新民主党17(1~44)、ケベック連合15(4~34)、緑の党4(1~7)、人民党1(0~1)、その他0(0~1)(定数338議席、括弧内は最小と最大議席)となる。
 トルドー首相が、過去に顔を黒く塗った「ブラックフェイス」問題で謝罪に追い込まれたが、支持率に大きな影響はなく、自由党は依然として支持率では劣っているものの最多の議席を獲得しそうで、CBCはその勝率を64%としている。人民党は、ベルニエ党首が議席を獲得できそうだ。

 政策的には近いとされる新民主党と緑の党は、激しい3位争いを繰り広げている。両党は候補者の奪い合いから、党首どうしの激しい非難合戦をひき起こした。そして争いは今、どの党も単独過半数に満たない可能性が高い現状において、どの党といかなる条件で連立を組むかという新たなステージに移行している。
 緑の党のメイ党首は7月、気候温暖化への対策を取るならどの党でも支援すると述べ、9月25日には「パイプライン延伸を推進するなら支援しない」と断言した。いっぽうシン党首は、保守党のシーア党首が2005年に同性婚を非難した映像を見て「シーア党首を総理の座に就けてはならないと、強く確信する。それが正しいと信じるメイ党首とは異なり」と語った。
 メイ党首はあえて保守党を除外しないことで、幅広い選択肢を保持したように見えるが、実際には自由党と保守党のどちらが政権に就いても、パイプライン延伸を覆すことは難しい。いっぽうシン党首が「パイプライン延伸に反対する州に、それを押し付けることはしない」と述べたのは、自党はあくまでも反対するポーズを維持するが、与党による押し付けは黙認する道を残したようにも思える。彼は「少数政権を支える条件として、比例代表制の導入を求める」とも述べたが、選挙制度改革はすでに一度断念しており、トルドー氏が首相の場合は難しいだろう。
 重要なことは、どの党も過半数に達しないことが確定したわけではないということである。いずれかの党が単独過半数になれば、新民主党と緑の党による連立公約合戦は空手形に終わる。さらに政権与党が過半数に達しない場合、過半数に必要な議席を両党が持っていなければ、パートナーになることはできない。
 緑の党の予想議席は4で、最大でも7しかない。緑の党がパートナーになれるのは、政権与党の不足議席が1~4の場合に限られ、可能性としては低い。新民主党なら、予想議席は17、最大で44あり、パートナーになれる可能性はありそうだ。
 新民主党と緑の党の論争は、表向きは連立パートナーになるための条件闘争だが、実際には左派有権者の争奪戦だから、連立するための条件が自由党もしくは保守党にとって受諾可能かどうかは、問題の本質ではないのだろう。CBCは、両党があまりに無理難題ばかり言うので「犬が尾を振ることはあっても、尾が犬を振ることはあるのか」と報じた。
 新民主党と緑の党がオンタリオとブリティッシュコロンビアで激戦を展開し、無理難題合戦を繰り広げているとき、ケベックだけに候補を立てているケベック連合が十数議席を獲得することが見込まれている。ケベック独立派である同党との提携は、禁じ手とされてきた。だがハーパー政権の1期目は、少数政権だったにもかかわらず案件ごとに提携相手を変える「パーシャル連立」で乗り切り、予算案もケベック連合の合意を得て成立させた。
 自由党と保守党のどちらが政権与党になっても、提携パートナーとして3党のうちよりよい条件の党と組むという選択肢を、保持することができる。
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新民主党がナンテル議員の選挙区に刺客、緑の党元党首を擁立 [2019年下院選]

 新民主党は9月16日、ケベック州ロンゲイユ-サンテュベール選挙区の候補に、ケベック緑の党のエリック・フェルラン元党首を擁立すると発表した。新民主党は同選挙区で、現職のピエール・ナンテル議員の擁立を決めていたが、彼が緑の党に鞍替えしたため除名していた。
 両党は政策的に近いとされるが、同じ有権者を奪い合う関係でもある。両党は全国的に激しい3位争いを展開しているが、8月にナンテル議員の鞍替え、9月にはニューブランズウィックで大量の党移籍があり、両党首も激しい舌戦を繰り広げ、泥試合の様相を呈している。
 今回の動きは、環境主義者にアピールしようとする「裏切り者」ナンテル議員に対し、古巣新民主党が強烈な刺客を放ったと言えるだろう。

 緑の党のメイ党首は「(ケベック)分離主義者(separatist)は公認しない」と公言してきたが、ナンテル候補は12日「私は(ケベック)主権主義者(sovereigntist)だ」と語った。
 「主権主義」とは、レベック元首相が提唱した「主権・連合」論に由来する。それは、主権を持つケベックがカナダと対等のパートナーシップを結ぶという構想で、過去の独立運動はこの路線に沿って展開された。それでいわゆる「(ケベック)独立派」は、自身を「主権主義者」と呼ぶが、独立に反対する「連邦主義者」はこれを「分離主義者」と呼ぶ。「カナダ英語話者のためのオックスフォード・ガイド」は、separatistを「ケベック独立を嫌う人々に用いられる用語」、sovereignist(sovereigntistと同義)を「ケベック独立を支持する人々に用いられる用語」と定義している。
 メイ党首は13日、記者会見で次のように述べた。
「彼は分離主義者ではない。彼はカナダの文脈における、強いケベック人である。」
「この国を解体するために働く候補は、我が党にはいない。」
 緑の党広報も、声明を発表した。
「緑の党には、ケベックの独自の文化に対する最大級の敬意があるが、独立運動を支持することはない。我が党は、投票を強制しない。個々の議員は、この問題に関し独自の見解を表明することが許されている。」
 ナンテル議員は、ラジオでこう語った。
「緑の党は両手を広げ、ケベック国家主義者、ケベック主権主義者などあらゆる種類の人々を歓迎する。なぜなら我々は、次の連邦議会選挙は気候問題に関する国民投票だと考えているからだ。」
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サイ党、ベルニエ党首の選挙区に同姓同名候補を擁立 [2019年下院選]

 サイ党は9月10日、人民党のマクシム・ベルニエ党首のケベック州ボース選挙区に、同姓同名のマクシム・ベルニエ氏を立候補させると発表した。
 サイ党のセバスティエン・コリノー(CoRhino/サイの仲間)党首は、次のように述べた。
「多くの人がベルニエ党首に投票したいと言うが、同時にサイ党にも投票したいと言っている。私はそんな人々に、その両方をかなえるチャンスを提供したい。」
 「マクシム」はケベックではよくある名前で、「ベルニエ」姓も珍名ではなく、アイスホッケー選手にジョナサン・ベルニエやスティーブ・ベルニエがいる。コリノー党首は、フェイスブックでモントリオール在住のマキシム・ベルニエ氏を見つけ、出馬するよう説得したという。
 人民党のベルニエ党首は「有権者は、彼らがよく知っている方のマクシム・ベルニエに投票すると確信している」と述べた。彼はさらに、候補名は投票用紙にアルファベット順に掲載され、同姓同名の2人は党名がアルファベット順に掲載されるから、人民党(People’s Party of Canada)候補はサイ党(Rhinoceros Party)候補より上に掲載されるので心配していないと説明した。
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 サイ党は1963年、選挙をジョークとして楽しむために結成された。1993年に選挙法が改正され、立候補に巨額の供託金が必要となったため解散。2006年、サイ党元メンバーのフランソワ・ヨグール(YoGourd)(本名はグール/Gourd、「ヨグール」はフランス語でヨーグルトの意)によって「ネオ・サイ党」が再興され、2010年ころ「サイ党」の旧名に復した。現在の党首はセバスティエン・コリノー(本名はコリボー/Corriveau)で、上院の民営化とティム・ホートンズの国営化や、女王をケベック州バッキンガムに常駐させるなどのマニフェストを掲げている。
 旧サイ党は1988年、自由党のジョン・ターナー党首(元首相)のバンクーバー・クォドラ選挙区に、同姓同名のジョン・ターナー氏を立候補させ、得票率1.4%で5位になっている。

【参照】 https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=1611536&page=1&id=19476830 の15・16・17


写真:セバスティエン・コリノー党首(左)とマクシム・ベルニエ候補(右)。
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下院を解散、10月21日総選挙へ [2019年下院選]

 ジャスティン・トルドー首相は9月11日、ソフィー・グレゴワール=トルドー夫人とともに総督公邸リドー・ホールを訪問し、ジュリー・パイェット総督に下院の解散を上奏した。総督はこれに同意し、10月21日の総選挙を公示した。第42回連邦議会は、ここに閉会する。解散時勢力は自由党177、保守党95、新民主党39、ケベック連合10、緑の党2、人民党1、CCF1、無所属8、欠員5(定数338議席)。
 法律では次の総選挙は10月21日までに実施しなければならず、選挙期間は最短でも36日以上なければならないから、遅くとも9月15日までに解散しなければならなかった。マニトバ州議会総選挙の投票日が10日だったため、2つの総選挙が同時に進行することがないよう、首相はその終了を待っていたものと思われる。
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自由党勝利の鍵は若年層の投票率 [2019年下院選]

 2015年総選挙の投票率68.3%は、1993年以降で最高の数字で、1770万人が投票した。それは、投票率61.1%だった2011年総選挙より、290万人多かった。
 18~34歳の投票率は、2011年には42.5%だったが、2015年には57.0%にのぼり、120万人増加した。選挙後の世論調査は、若年層でかなり多くの有権者が自由党に投票したことを示している。政権交代は若年層の投票が原動力になったとみられ、“youthquake”(若者による激震)と言われた。
 いっぽう55歳以上の投票率は、2015年は74.0%で、2011年より140万人増えた。投票した人は、18~24歳は2011年より55万人多く、75歳以上は38万人多かった。自由党は2015年総選挙で、2011年より420万票多く獲得した。

 2004年、55歳以上の人は人口の31.0%で、有権者の38.0%だった。それが2015年になると、人口の38.5%、有権者の43.0%となり、ウェートが増した。いっぽう35歳未満の人は、人口で2004年の29.0%から2015年の27.5%に低下したが、有権者に占める割合は2015年に23.8%で、2011年より3ポイント増加している。
 ハーパー保守党が三度目の正直で過半数を獲得した2011年総選挙は、若年層の投票率が顕著に低かったことがわかっている。

 最近の世論調査は、自由党と保守党の支持率がほぼ同じであることを示しているが、世代別に見ると、興味深いデータが見えて来る。
 政党支持率は、18~34歳では自由党35.0%、保守党23.5%、新民主党19.5%、緑の党13.0%。35~53歳では保守党32.5%、自由党30.5%、新民主党14.5%、緑の党13.0%。54歳以上では保守党38.5%、自由党33.0%、新民主党11.0%、緑の党9.5%となる。高齢になるほど保守党が支持されていることが一目瞭然だが、高齢層は若年層より人口が多いものの、高齢層で保守党が自由党に保つリードより、若年層で自由党が保守党に保つリードの方が大きいことがわかる。
 そこで、もしも各年代層の投票率が2015年総選挙と同様だったら、結果は世論調査が示すようなものになるだろう。しかし若者は誘惑されやすく、投票日に誘われると投票に行かないことがしばしば起こる。もしも各年代層の投票率が2011年総選挙と同様だったら、保守党の得票率は自由党を1ポイント上回るだろう。その結果保守党は、10議席程度多く獲得することになる。ゆえに自由党は、選挙に勝つには若年層の票を掘り起こす必要がある。
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新民主党のナンテル議員、緑の党から立候補のため除名 [2019年下院選]

 新民主党は8月16日、ケベック州ロンゲイユ-サンテュベール選挙区の現職ピエール・ナンテル議員を「他党からの立候補を企図した」という理由で除名した。これを受けて緑の党は19日、ナンテル議員を次の総選挙で候補として擁立することを発表した。ナンテル議員は任期切れまで無所属議員となるが、解散・総選挙が目前に迫っており、連邦議会は総選挙後まで召集されない見込みである。14500WEB-1566248120-320x180.jpg

 ナンテル議員は、地球温暖化に真剣に取り組んでいるのは緑の党だけだと語った。
「気候問題を体現している人は、明らかにメイ党首だけだと思う。私が立候補するのは自分のためではなく、地球のためである。」
 新民主党のメリッサ・ブルーノ理事長は、声明で次のように述べた。
「ロンゲイユ-サンテュベール選挙区の新民主党候補ピエール・ナンテル氏は、他党から立候補する交渉をしていたことが確認されたため、候補から除外した。」
 ナンテル議員は以前にもケベック連合への移籍を噂されたが、5月に断念したという。
 緑の党のメイ党首も、ナンテル氏を擁立すると声明で発表した。
「ピエール・ナンテル氏は気候問題のリーダーで、彼は私が下院で出会った最も情熱的な議員の1人である。」

 ナンテル議員は、新民主党がケベックの79%の議席を獲得し、野党第一党に躍進した「オレンジ旋風」の2011年総選挙で初当選した。彼は2015年にも再選されたが、2位の自由党候補との差はわずか703票、3位のケベック連合候補との差は2298票という僅差の勝利だった。
 政党支持率は2019年の初め、新民主党は15%で、緑の党は7%だった。だが緑の党はその後、プリンスエドワード島州議会総選挙で野党第一党に躍進、ブリティッシュコロンビアの連邦議会補選でも勝利して意気揚々、最近の世論調査では6つのうち5つで新民主党を上回り、残りの1つも並んでいる。
 いっぽう新民主党は、ケベックで人気が振るわない。公共の場では宗教的表示をしないというフランスの「ライシテ」の影響が強く、頭にターバンを巻いたシーク教徒のシン党首が、不評をかっているのだ。新民主党はこのままでは、ケベックの議席の大多数もしくは全部を失うと予想されている。
 自由党はロンゲイユ-サンテュベール選挙区に、ケベック州で厚生・社会サービス大臣を務め知名度の高いレジャン・エベール氏を擁立すると発表した。なお緑の党は同選挙区ですでに、別の候補の擁立を決めている。

 ナンテル議員の行動は、他の新民主党議員たちの士気に大きな影響を与えるだろう。ただし、総選挙直前に緑の党に移籍した議員は過去に3人いたが、全員が落選している。
 自由党のブレア・ウィルソン議員は、総選挙での支出に不明な点があるとして党を除名され、緑の党に移籍して2008年総選挙を戦ったが、得票率は2006年の37.5%に対し、2008年は14.4%の4位で落選した。
 新民主党のブルース・ハイヤー議員は、党の方針に反し長銃登録制廃止法案に賛成投票して処罰され、2012年に離党して無所属となり、翌年緑の党に移籍して2015年総選挙を戦ったが、得票率は2011年の49.9%に対し、2015年は13.8%の4位で落選した。
 新民主党のジョゼ・ニュ=ニェメロ議員は2015年の総選挙で、選挙区の区割りが変わったせいもあり、現職なのに自動的に候補擁立されず、予備選で落選したため、緑の党から立候補した。得票率は2011年の43.3%に対し、2015年はわずか2.4%の5位で落選した。
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【世論調査】自由党少数政権か [2019年下院選]

 CBCが8月12日に実施した政党支持率調査は、保守党33.8%、自由党32.8%、新民主党13.8%、緑の党10.8%、ケベック連合4.3%、人民党3.1%、その他1.5%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、自由党157(215~106)、保守党144(183~100)、新民主党18(42~3)、ケベック連合14(29~0)、緑の党4(11~3)、人民党0(1~0)、その他1(1~0)(定数338議席、括弧内は最大と最小議席)となる。
 自由党は全国の支持率では保守党にわずかに劣っているが、ケベックで大きなリードを保つほか、オンタリオと東部でも保守党をリードしており、議席では上回る見込み。CBCは、自由党の勝率を59%としている。
 新民主党はケベックで支持率が1桁台に伸び悩み、議席の大多数もしくは全部を失う見込み。全国でも議席を半分以上失い、場合によっては野党第4党に転落することもありえる。
 緑の党はブリティッシュコロンビアで支持率18.2%に達するほか、東部で13.8%、オンタリオで10.7%と2桁に達し、初の複数議席獲得が濃厚である。
 ケベック連合はケベック州での支持率が18.4%に達し、公式政党ステイタスの12議席は超えられそうだ。
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【世論調査】自由党、支持率トップに [2019年下院選]

 投票日まで3か月弱、解散・総選挙突入まで約1か月に迫った7月30日と31日、メインストリート・リサーチ社が2463人のカナダ人を対象に実施した政党支持率調査は、自由党と保守党が、そして新民主党と緑の党が並んだことを示した。
 全国では自由党34.5%、保守党34.1%、新民主党11.1%、緑の党11.1%、ケベック連合4.4%、人民党3.3%、その他1.5%となり、2月にSNC-ラバラン問題が発覚してから首位を奪われていた自由党が、ついに首位を奪回した。
 地域別に見ると、東部では自由党38.6%、保守党36.1%、緑の党13.1%、新民主党7.9%、人民党3.5%、その他0.9%と、自由党が保守党をわずかに上回っている。
 ケベックでは自由党34.5%、保守党23.3%、ケベック連合18.6%、新民主党9.3%、緑の党8.9%、人民党4.4%、その他1.0%となり、自由党がかなりの議席を獲得しそうだ。
 オンタリオでは自由党43.2%、保守党30.5%、新民主党12.5%、緑の党9.8%、人民党2.8%、その他1.2%となり、自由党がリードを拡大している。
 マニトバとサスカチュワンでは保守党54.1%、自由党19.9%、新民主党11.7%、緑の党6.7%、人民党3.0%、その他4.6%と、保守党が圧倒的に支持されている。
 アルバータでは保守党56.4%、自由党20.3%、緑の党9.7%、新民主党8.4%、人民党2.9%、その他2.2%と、保守党が圧倒的に支持されている。
 ブリティッシュコロンビアでは保守党33.8%、自由党26.3%、緑の党21.0%、新民主党14.1%、人民党3.6%、その他1.3%と、自由党は前回総選挙から支持率を9ポイント近く下げている。緑の党はブリティッシュコロンビアで信じられないほどの高支持率を集め、その勢いは新民主党を上回っている。

 メインストリート・リサーチ社のキート・マギー社長は、次のように分析した。
「自由党はオンタリオでリードを広げたが、ブリティッシュコロンビアと東部で相当数の議席を失うことになる。これらのデータから、投票日に何が起きるのかを正確に言い当てることは難しいが、自由党が過半数をわずかに超えるか、または2011年のオンタリオ州総選挙でオンタリオ自由党が過半数をわずかに下回ったのと同様の結果になるものと予想する。」
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ウィルソン=レイボールド議員とフィルポット議員、無所属で出馬 [2019年下院選]

 ジョディ・ウィルソン=レイボールド議員(前復員軍人大臣)とジェーン・フィルポット議員(前予算庁長官)は5月27日、それぞれの選挙区で記者会見を行い、次の総選挙に無所属で出馬する意向を明らかにした。緑の党は両議員を取り込むため熱心に交渉したが、入党は幻に終わった。

 ウィルソン=レイボールド議員は、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー・グランビル選挙区で語った。
「私は自分がどういう人間かわかっている。私は党の人ではない。」
「四角い釘を取って丸い穴にはめ込むのは、私の性分ではない。」
 フィルポット議員も、オンタリオ州マーカム-スタフビル選挙区で語った。
「私は、政党政治を越えて活動したい。」
「人々は、限度を超えた党利党略にうんざりしていると言っている。」
「自分の心の中の心に問うてみると、自分は100%緑の党だとは言えなかった。」
「何を言うべきかを助言する党も、採決でどちらに投票するかを助言するスタッフも、もういない。私がどの方向に行くべきか導くロビイストも、もういない。私を導いてくれるのは、あなたたちだけである。」

 緑の党のメイ党首は、両議員が党首選出馬を望むなら辞任してもいいとさえ約束したにもかかわらず、入党を拒否された。
「率直に言って、彼女たちは間違った判断をしたと思う。」
 彼女は、今後も両議員と緩やかに連携していきたいと語ったが、党則では全選挙区に候補を擁立することになっており、両議員の選挙区にダミー候補を擁立するかどうかを検討すると語った。
 自由党を離党した無所属のセリーナ・シーザー=シャバンヌ議員は、次の総選挙に出馬しないと表明していたが、同日無所属で出馬すると発表した。

 カナダの歴史上、政党から立候補して当選しながら、その後無所属で立候補した下院議員は74人いた。そのうち再選されたのは24人で32%、1945年以降では26%となっている。1974年以降では、再選された議員は4人だけである。
 ジル・ベルニエ議員(マクシム・ベルニエ党首の父)は進歩保守党議員だったが、詐欺容疑を持たれたため党公認を得られず、1993年無所属で当選した。
 ジョン・ヌンツィアータ議員は自由党議員だったが、自由党政権の予算案に反対投票したため除名され、1997年無所属で当選した。
 チャック・キャドマン議員はカナダ同盟から出馬して当選したが、党が合併してカナダ保守党になると、予備選に敗れ公認を得られなくなり、2004年に無所属で当選した。その後保守党から復党の誘いがあったが断り、2005年の予算案では賛成投票して、可否同数となりマーチン内閣を窮地から救った。
 ビル・ケーシー議員は保守党議員だったが、保守党政権が大西洋協定に違反したとして、予算案に反対投票して除名され、2008年無所属で当選した。2015年には自由党から出馬して当選した。
 マーカム-スタフビル選挙区は、自由党と保守党が何度も奪い合っている接戦選挙区である。前回総選挙では、両党が92%の票を獲得し、フィルポット氏は6ポイント差で競り勝った。
 もしも彼女が前回の3分の2の票を獲得するとしたら、得票率は33%で、保守党の支持率が上がっているのに、両党候補がその数字を下回るとは考えにくく、苦戦は必至となる。
 それに比べバンクーバー・グランビル選挙区は、自由党・保守党・新民主党の3党鼎立となっている。前回総選挙で44%の票を獲得したウィルソン=レイボールド氏は、次回に3分の2の票を獲得すると仮定すると得票率30%となり、前回の新民主党27%・保守党26%をともに上回る。
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