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長銃登録制、生き残る [長銃登録制]

 自由党のマーク・ホランド議員が提出した、キャンディス・ヘップナー議員提出の長銃登録制廃止法案(C-391号法案)の議事進行を禁止する動議が、9月22日に下院で採決され、153対151で可決された。これによりC-391号法案は廃案となり、長銃登録制度は存続する。カナダを地方と都市に分断し、新民主党を分断した一大論争は、ここに終結した。
 自由党議員は全員が賛成投票し、新民主党議員は6人が反対投票した。第二読会ではC-391号法案を支持した自由党のスコット・シムス議員は、この日の朝召集された幹部会で、父親が今年6月に銃で自殺を遂げた事実を告白した。
 下院の傍聴席では、モントリオール大学銃乱射事件(1989年)の現場に居合わせて生き残ったハイジ・ラスジェンさんや、ドーソン・カレッジ銃乱射事件(2006年)で3発の銃弾を浴び、今も体内に銃弾を残しているヘイダー・カディムさんらが採決の行方を見守った。

 マーク・ホランド議員は、こう述べた。
「首相にはこう言いたい。今夜の投票結果を受け入れ、今は前進するときだ。カナダ人を分断し、誤った事実を並べてミスリードすることはもうやめなさい。」
 長銃登録制維持に転向した自由党のキース・マーチン議員は、膨大な数の抗議の電話と電子メールを受け取り、ビクトリアの選挙事務所ではピケさえ張られた。彼はこう語った。
「私は警察の要望を無視して職にとどまるくらいなら、長銃登録制廃止の公約を覆して落選する方を選ぶ。」
 同じセッションで同一の法案を提出することは禁止されているが、異なるセッションでは可能である。同性婚廃止投票で敗北したときは「この問題を蒸し返すことは二度としない」と約束したハーパー首相は、こう述べた。
「我が国の銃所持者の圧倒的多数は、有効な銃規制を支持する。彼らはコストが高くつき、効力がなく、銃犯罪ではなく彼ら自身を規制する長銃登録制は支持しない。我々は、それを廃止するため戦い続ける。」
 だが新民主党のレイトン党首は、首相を非難した。
「ハーパー首相は長銃登録制改正の提案を退け、あくまでも廃止に固執した。」
 法案廃案を受けて、キャンディス・ヘップナー議員はこう述べた。
「私たちは、妥協しません。私たちは、長銃登録制を廃止する方針を、決して変えることはありません。」
「ユーコンに暮らす人々にとって、今日は残念な日でした。あなたの選挙区の議員(自由党のラリー・バグネル)は、長銃登録制を維持する方に投票しました。ユーコンの有権者、ノースベイの有権者、ビクトリアの有権者、そしてカナダ全土の有権者たち、あなたたちの代議員がどちらに投票したかを覚えていて下さい。」
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裏切り者への報い [長銃登録制]

 長銃登録制度を廃止するC-391号法案の採決は、9月22日に行われる。保守党は、長銃登録制度に反対すると約束しながらその逆に投票する議員は、次の選挙で報いを受けるだろうと語っている。

 2009年秋の第二読会で賛成投票した自由党議員8人のうち、3人はニューファンドランド&ラブラドル州選出である。ニューファンドランド&ラブラドル州は、全国で最も銃所持率が高く、かつ最も銃犯罪率が低い州となっている。この地で長銃登録制度維持を主張することは、冒険となろう。
 スコット・シムス議員(ビショップス・フォール選挙区)とトッド・ラッセル議員(ラブラドル選挙区)は、2008年総選挙で大差で当選している。スコット・アンドリューズ議員もアバロン選挙区で45.3%を獲得しており、落選の心配はない。
 第二読会で賛成投票した新民主党議員6人と自由党議員1人は、オンタリオ州北部選出である。彼らは、長銃登録制度は選挙区の動向を決定づけるほどの問題ではないと語る。またこの地域では保守党がほとんど支持されていないため、保守党に議席を奪われる心配はないという。新民主党議員6人のうち5人と、自由党のアンソニー・ロタ議員(オンタリオ州ノースベイ選挙区)は、反対投票に転向した。
 新民主党議員のもう一人、ニキ・アシュトン議員のマニトバ州チャーチル選挙区は、1979年以降ほとんど新民主党が独占してきた。彼女は前回総選挙でも、圧勝している。だが彼女は依然として、どちらに投票するかを明かしていない。

 いっぽうデニス・ベビントン議員(ノースウェスト準州西北極選挙区)とジム・マロウェイ議員(マニトバ州エルムウッド=トランスコナ選挙区)は、前回総選挙では接戦だったためか、賛成投票する意志に変わりはない。
 自由党のキース・マーチン議員(ブリティッシュコロンビア州エスカイモルト=フアン・デ・フカ選挙区)は、前回総選挙では保守党候補にわずか68票差で勝利した。彼は明日、反対投票することになる。
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秋のセッション開幕、6人目の転向者 [長銃登録制]

3227ed454372a072abe81e2d0226.jpg 9月20日、連邦議会の秋のセッションが開幕した。このセッションは総選挙前の最後のセッションとも言われているが、冒頭からいきなり22日、長銃登録制度を廃止するC-391号法案の採決がある。この時期カナダには、10年ぶりに国連安全保障理事会非常任理事国になるチャンスがあるが、ハーパー首相とキャノン外相らは渡米した後、この採決のためいったん帰国する。

 新民主党のピーター・ストファー議員(ノバスコシア州サックビル=イースタンショア選挙区)はこの日、6人目の転向者となることを発表した。これにより票読みは151対153となり、法案は否決されることがほぼ確実となった。
「私自身は長い間長銃登録制度に反対してきたが、選挙区において両方の意見を注意深く聞いた結果、この日を終えるに当たり、私は有権者の声を代弁しなければならない。選挙区の62%は、長銃登録制度を支持している。残念なことだが、私は有権者の声を裏切ってきた。これまでの全ての政治歴の中で、これが最も困難な選択であった。」
 ストファー議員はこう述べた後、長銃登録制度に関する議論は節度と妥協を失い、国民をいたずらに分断したと非難した。
「賛成も反対も双方が、この問題について政治をもて遊んだことに疑問の余地はない。双方とも、国民をミスリーディングするために統計をもて遊んだ。私は断固として長銃登録制度に反対する。だが残念なことに、議論はもはや長銃登録制度そのものについてではない。それは、最悪の分断政治である。」

 保守党は、長銃登録制度に反対すると有権者に約束しながら、その逆に投票する議員は次の選挙で報いを受けるだろうと述べた。ハーパー首相は「我々は猟師や農民ではなく、犯罪を取り締まる銃登録制を望んでいる」と語った。


写真:車で議事堂に入るキャンディス・ヘップナー議員。
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新民主党、草刈り場に [長銃登録制]

 新民主党のマルコム・アレン議員(オンタリオ州ウェランド選挙区)は9月13日、長銃登録制度を廃止するC-391号法案に反対することを発表した。2009年秋の第二読会では、彼を含む新民主党議員12人が賛成に回ったが、彼はクロード・グレイベル議員、チャーリ・アンガス議員、グレン・シボルト議員に続き4人目の転向者となる。
 アレン議員のオンタリオ州ウェランド選挙区は、オンタリオ南部の都市と郊外の両方を含んでいる。彼はこの3週間、直接あるいは電話で地元有権者の声を聞いてきた。その結果、有権者の反応はどちら側も多かったが、彼は長銃登録制度を存続させることを決意した。
「保守党は、有権者の声を聞けと言い続けてきた。だから聞いたよ。」

 22日に予定されている採決では、保守党議員144人は全員が賛成投票する。保守党を除名された無所属のヘレナ・ジョージス議員も賛成投票する。第二読会では8人が賛成投票した自由党は、党議拘束をかけて75人の議員全員が反対投票することになっている。ケベック連合は、引退を表明していたジャン=イブ・ロワ議員が投票後まで引退を先送りすることを決定したので、48人が反対投票する。
 アレン議員の転向により、現在の票読みは151対151の同数と考えられている。可否同数の場合は、ピーター・ミリケン議長の投票で決する。ミリケン議長は自由党政権時代から9年務め、最長在任記録を更新しているが、下院の歴史において過去10回あった可否同数のうち、5回がミリケン議長の時代である。ミリケン議長は自由党議員だが、可否同数の場合は廃案にせず継続審議にする慣例があるため、賛成投票することになる。

 保守党は、法案通過を確実にするためもう2・3人の造反が欲しいところである。そこで保守党は、第二読会で賛成投票した8人の自由党議員と12人の新民主党議員の選挙区で、集中的にキャンペーンを展開している。ラジオの広告では「採決は、本当に際どい勝負となるだろう。だがこれだけは覚えておいて欲しい。我々の代議員は、オタワのボスから反対せよと命じられているのだ」と訴えている。
 第二読会で賛成投票した新民主党議員12人のうち、6人は転向しないと明言している。ニキ・アシュトン議員(マニトバ州チャーチル選挙区)は、どちらに投票するかを明確にしていない。キャロル・ヒューズ議員(オンタリオ州アルゴマ=マニトウリン=カプスケイシング選挙区)は、法案を廃案にするような投票はしないと語っているが、賛成するとも棄権するとも受け取れ、判然としない。

 与野党の壮絶な草刈り場となった新民主党のレイトン党首は、党の分裂を逆に、幅広い勢力に支持された自由な党というイメージに変えようと、「我が党は自由党や保守党のような上意下達政治を拒否する」と述べたが、ナノス・リサーチ社のニック・ナノス氏はこう分析している。
「都市部の新民主党支持者は、長銃登録制度が廃止されそうになると慌てて自由党支持に走るだろう。そして地方の新民主党支持者は、長銃登録制度廃止を望んで保守党支持に回るだろう。新民主党はどちらに投票しようと、必ず負けるゲームをやっていることに変わりはない。」
 だが新民主党のジョー・コマーチン議員は、このような見方に反対する。
「あらゆる調査は、長銃登録制度は投票行動を決定する動機の1%に満たないことを示している。しかし我が党のどの議員も、選挙区で1%以上得票している。」
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レイトン党首、長銃登録制廃止法案への支持を撤回 [長銃登録制]

20100904.jpg 新民主党のレイトン党首は、長銃登録制度を廃止するC-391号法案について、保守党への協力を撤回すると発表した。
 長銃登録制度は1995年、銃犯罪を抑止するため当時の自由党政権が創設したものだが、地方では狩猟が日常的に行われているため、評判が悪い。2006年に成立した保守党政権は、凶悪犯罪の厳罰化を公約しながら、支持者は地方在住者が多いため、長銃登録制度廃止も公約していた。

 保守党のキャンディス・ヘップナー議員が個人提出したC-391号法案は、新民主党を二分する騒動を巻き起こした。個人提出の法案には通常党議拘束がかからないので、議員は自由に投票することができる。だがこの法案は個人提出であるにもかかわらず、保守党の大多数は賛成、自由党の大多数は反対、ケベック連合は全員が反対と、党派性が強く表われている。ところが新民主党は、下院議員36名のうち12名が地方選出である。そのため2009年秋の第二読会では、新民主党議員12人と自由党議員8人が賛成票を投じたため、保守党政権が過半数割れしているにもかかわらず、164対137で通過した。
 第三読会の投票は9月22日に行われる予定だが、自由党のイグナティエフ党首は党議拘束をかけ一丸となって反対すると明言しているので、法案成立のためには新民主党議員8人の造反を必要とする。そこで保守党議員たちは、新民主党の特に地方選出議員に手紙や電子メールを送り、造反を呼びかけている。保守党のジェームズ・ベザン議員はYouTubeに、カウボーイハットと格子縞のシャツを着て馬に跨り「今こそレイトン党首に、引き下がれと言う時だ。ここはあんたがいるトロントのダウンタウンじゃない」と語る動画を掲載したが、あわてて削除した。

 レイトン党首自身はトロント選出で、長銃登録制度の支持者だが、党内に地方選出議員を多く抱えている現状では、反対投票を強制できない。地方選出議員たちも、反対投票すれば次の選挙に差し支えるというジレンマを抱えている。オンタリオ州ティミンズ=ジェームズベイ選挙区のチャーリー・アンガス議員は、かつて法案に賛成していたが、先週になって反対に転向した。
「保守党のゲイリー・ブライトクロイツ議員は、我々のために働いている警察官を指して『おじいちゃんの銃を取り上げようとしている』と言っている。それは悪質なレッテル貼りだ。それはティーパーティの主張だ。」
「保守党議員たちは、地方の住民はみんな頭が悪いとでも思っているのか。こんな連中と同じ側についているなんて、気分が悪い。」
「うちのおばあちゃんは、『ケンカは勝つまで絶対逃げちゃいけないよ』と言って、私を育ててくれた。だから私は、最後まで保守党と戦う。」
 新民主党議員の中には、法案が否決されれば、保守党は地方選挙区で新民主党の批判を続けられるので、かえって好都合だと考えているのではないかと疑う者すらいる。新民主党のブラッド・ラビーン議員は、こう分析した。
「自由党の議員は91%が都市部選出で、地方選出は9%しかいないから、保守党に奪われそうな議席はほとんどない。しかし新民主党は都市部選出と地方選出に割れているから、保守党に奪われそうな議席が多く、もし奪われたら、保守党は過半数に達してしまう。」

 板ばさみに悩んだレイトン党首は先週、地方と都市の間の妥協案を探るよう要請したが、ハーパー首相に拒否された。ハーパー首相はこう語った。
「それは、妥協案ではない。それは、猟師と農民に長銃登録制度を続行するという要請だ。」
 これについてレイトン党首は、次のように述べた。
「これは、ハーパー首相が乗せたトラックから、我々を降ろそうという試みだ。オール・オア・ナッシングを迫り、国民が国民に対立するよう迫るのは、カナダのやり方ではない。」


図:ゲーム「レイトン教授と不思議な町」(Professor Layton and the Curious Village )のパロディで「レイトン教授と騒々しい長銃登録制度」。
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