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連合保守党過半数、世紀の激戦を制す [アルバータ]

 5月29日に実施されたアルバータ州議会総選挙は、連合保守党49(52.6%)、新民主党38(44.0%)、緑の党0(0.8%)、アルバータ党0(0.7%)(定数87議席、括弧内は得票率)という結果となり、与党連合保守党が「世紀の激戦」を過半数で制した。ウンコ発言のジェニファー・ジョンソン候補は当選したが、連合保守党は過半数を大きく上回っているため、彼女を会派から除いても過半数を維持できる。二大政党以外の諸党は、今回も議席を獲得できなかった。
 ダニエル・スミス首相は、勝利を宣言した。
「親愛なるラルフ・クレインの言葉を言い換えよう。プレーリーにおけるもう一つの奇跡へようこそ!」
 ケニー首相が党首だった1年前まで、連合保守党は支持率で新民主党に大きく差をつけられ、総選挙敗北は必至の状況だった。だが10月にスミス党首に代わると支持率を上げ、両党は抜きつ抜かれつのデッドヒートとなった。テレビ討論を機に頭一つ抜き出た連合保守党が、辛くも逃げ切った。

 (1) 「主戦場」カルガリーの攻防
 新民主党は大都市エドモントンを固めたが、連合保守党は地方に強い基盤を持っている。多くの批評家は最大都市カルガリーを主戦場だと言い、二大政党も時間と資金の多くをカルガリーに費やした。しかし新民主党が勝利するには、カルガリー26選挙区の大多数を制する必要があった。だがカルガリーの12選挙区が850票差以内で決着するという激戦において、連合保守党はカルガリーの12選挙区を死守した。新民主党は躍進を期したカルガリーにおいて、ニコラス・ミリケン精神保健大臣を落選させる戦果を挙げたものの、半数に当たる14選挙区しか取れなかった。なおカルガリー-アケイディア選挙区ではタイラー・シャンドロ法務大臣が7票差で落選しているが、票の再集計になるだろう。
 カルガリーでの得票率は、2008年総選挙では進歩保守党46%・自由党34%・ワイルドローズ党9%・新民主党4%だったのが、2023年総選挙では新民主党49%・連合保守党48%・アルバータ党1%と、新民主党が(おそらく自由党の票を奪い)躍進して第一党となったものの、圧勝できず十分ではなかったのだ。
 マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるロリ・ウィリアムズ准教授は、こう指摘した。
「都市と地方の分裂は、重要だ。アルバータ州民の中に、連合保守党の内にすら、分裂がある。」

 (2) 現首相と元首相、嫌なのはどっち?
 ノトリー党首は、スミス政権が継続すれば公営医療は後退し民間医療がはびこると、彼女のマニフェストを攻撃した。スミス首相は、ノトリー政権になれば炭素税を課され、法人税増税で景気は悪化する、それでもノトリー政権に戻りたいかと警告した。だが政策論争は表向きのことで、選挙運動の実質は互いに相手を攻撃することだった。
 人々は「連合保守党と新民主党のどちらに投票する?」とは言わなかった。彼らは「スミスとノトリーのどちらに投票する?」と言っていた。実際には多くの政党・候補が出馬したにもかかわらず、マスコミは二大政党にばかり焦点を当てた。そして最大野党の党首は期待の新人ではなく、元首相だった。選挙戦は未来への展望ではなく、現首相と元首相の過去の実績を攻撃するものとなった。
 アバカス・データ社は世論調査で、スミス首相を好きな人38%・嫌いな人47%、ノトリー党首を好きな人39%・嫌いな人46%という結果を明らかにした。現首相も元首相も断然嫌われており、選択肢が2つしかない中で、有権者は自分の嫌いな方を阻止するため相手に投票していた。これが「世紀の激戦」の実態だった。
 どんなに嫌われても、スミスは勝った。ノトリー党首は「党首を続ける」と発表したが、総選挙で2連敗を喫した彼女が留任できるかどうかはわからない。
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連合保守党候補、トランスジェンダー生徒を「ウンコ」に喩える [アルバータ]

 連合保守党のジェニファー・ジョンソン候補が2022年9月、フェイスブックでトランスジェンダー生徒をウンコにたとえた投稿をしていたことが発覚した。
「去勢された人々が大学に入ったからと言って、それが何だというのか。クッキーを味わうがいい。私はそこにスプーン1杯のウンコを入れるだけだ。」
 この発言は19日に報じられ、ジョンソン候補は謝罪し動画を削除したが、ダニエル・スミス党首(州首相)は24日、ジョンソン候補が当選しても幹部会に入会させないと発表した。
 同じラコンブ-ポノカ選挙区から出馬する新民主党のデーブ・デイル候補は、スミス党首はジョンソン候補を除名すべきだと語った。
「ジェニファー・ジョンソンの奇怪で憎悪に満ちた見解は、議会に居場所を持たない。」
「私自身が教師として、彼女のコメントは弱い立場の子供たちを危険に晒していると言うことができる。公的に排泄物と比較された生徒たちの苦痛を、私は想像できない。」
 29日に実施される総選挙で、連合保守党は新民主党と未曾有の接戦を展開している。立候補の締め切りは過ぎていて、今の候補を下ろしても代わりの候補を立てることはできない。不適切な候補を立候補辞退させることができず、当選しても会派に入会させないという奇妙な結論は、候補を下ろすと選挙区を新民主党に取られてしまうからだろう。
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アルバータ総選挙、連合保守党が僅かにリード [アルバータ]

 338カナダが5月25日に実施した世論調査によると、政党支持率は連合保守党51%、新民主党45%、アルバータ党1%という結果となった。二大政党は長い間、抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げていたが、18日のテレビ討論以降、与党連合保守党が頭一つ抜け出した。
 ここから導き出される予想獲得議席は、連合保守党47(39~59)、新民主党40(29~48)、アルバータ党0(0~0)(定数87議席、括弧内は最小値~最大値)となり、未曾有の接戦を連合保守党がわずかな差で勝利できそうだ。

 「主戦場」カルガリーでの支持率は、新民主党49%、連合保守党43%、アルバータ党6%と、新民主党が戦いを優位に進めている。新民主党は都市部で強く支持されているが、連合保守党は地方とカルガリー南部で優位を固めており、第一党の地位をほぼ確実なものにしている。連合保守党は、55歳以上の男性に圧倒的に支持されている。女性と35歳以下と大卒以上では、新民主党が支持されている。
 なおアルバータ州では、過去に少数政権が成立したことはない。戦後最も接戦だった1997年総選挙では、与党と最大野党の議席差は19だった。
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アルバータ州総選挙へ、まれに見る接戦か [アルバータ]

 アルバータ州のダニエル・スミス首相は5月1日、副総督公邸を訪問し、州議会の解散を上奏した。サルマ・ラカニ副総督はこれに同意し、29日の総選挙を公示した。解散時勢力は連合保守党60、新民主党23、無所属2、欠員2(定数87議席)。
 法律で次の総選挙は29日までに実施することが決められていたため、驚きはなく、各党は満を持して選挙戦に突入した。与党連合保守党は、対コロナ政策のまずさから低支持率にあえいでいたが、ケニー首相が辞任してスミス首相と交代すると支持率を上げ、その後は新民主党と抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げている。レジェ社が4月28日から5月1日にかけて1000人を対象に実施したオンライン世論調査によると、政党支持率は新民主党45%、連合保守党43%、アルバータ党4%、自由党3%、ワイルドローズ独立党1%となっており、近来まれに見る接戦になることが予想される。

 新民主党は、エドモントンとその周辺の20選挙区で優勢に立っている。いっぽう連合保守党は、地方の41選挙区で優勢となっている。カルガリーを含む残りの26選挙区が、今回総選挙の主戦場となろう。そのような事情で、連合保守党のスミス首相と新民主党のノトリー党首(元首相)の双方が演説をカルガリーで始めたのは、偶然ではないだろう。
 スミス首相は演説で、年収6万ドル以下のカテゴリーを新設し、彼らに20%の減税を約束した。ノトリー党首は、社会問題化している病院での長い待ち時間に対し、病院の新設、学校の新設、グリーンラインLRTの延伸を公約した。
 前回総選挙で小政党は一掃され、議会は完全な二大政党制となった。アルバータ党のバリー・モリシタ党首は、有権者が嫌っている候補や政党を阻止するため、彼らが好きでもない、最も力があると思われる党に投票するという行為が、小党の進出を阻み、議会をより対立的にしたと語った。
「多くの有権者が、二つのうちのどちらかという二者択一の選挙をしている。」
「真に重要なのは、問題を異なる視点から見るブルー(※保守党)でもオレンジ(※新民主党)でもない議員を議会に送ることだ。」
 自由党から出馬するドンナ・ウィルソン候補も、これに同意する。
「互いに泥を投げ合っている2つの政党より、もっと多くが必要だ。」
「彼らの力学ばかりに、焦点が当てられてきた。政府は本来何をすべきかという観点を、彼らは見失ったと思う。」

 マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるロリ・ウィリアムズ准教授は、総選挙の鍵はカルガリーにあると語った。
「勝利への全ての道はカルガリーを通る。新民主党の地方での支持は強くないので、彼らは相当な議席をカルガリーで獲得する必要がある。連合保守党も同様に、カルガリーでいくつかの議席を拾わなければ、勝利はおぼつかない。」
 カルガリー大学で経済学を教えるリンゼイ・テッズ准教授は、低所得者ほど税に敏感なので、スミス首相の公約は有権者の心に響くだろうと評価した。だが、それは不安定な石油ロイヤリティへの依存を高めることになり、この減税策は長続きしないだろうと警告した。また同じくカルガリー大学のトレバー・トンブ教授は「どこかで減税すれば、どこかで増税される」と懐疑的に語った。
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アルバータ主権法が可決 [アルバータ]

 アルバータ州議会(連合保守党60、新民主党23、無所属2、欠員2)は12月8日、アルバータ主権法案を可決した。
 第一読会から第三読会まで、野党新民主党はその全部に反対票を投じた。第一読会での反対投票は、非常に珍しいことである。与党連合保守党は、全ての読会で審議を打ち切る動議を可決させたため、法案は1週間でスピード可決された。新民主党は第三読会で議事妨害を行ったが、無駄だった。なお多くの批判を呼んだ、内閣が州議会の同意なしに法改正できるとした条項(いわゆる「ヘンリー八世条項」)は、政府の修正案で削除された。

 スミス首相は第三読会で、トルドー政府との関係をリセットするときだと演説した。
「これは、オタワが中央政府であることとは異なる。」
「我々の国が機能する方法は、我々が主権を持ち独立した管区の連邦だということである。それらは憲法の署名者の一つであり、憲法の署名者である我々の残りは、管轄の我々自身の領域で我々の主権を働かせる権利がある。」
 アルバータ主権法の起草者とされる、カルガリー大学で政治学を教えるバリー・クーパー教授はこう評した。
「この法律は基本的に、残りのカナダに我々はもう利用されるつもりがないという政治的アナウンスである。」
 新民主党のレイチェル・ノトリー党首は、何が合憲であり何が合憲でないか、それを裁判所ではなく議会が決めるようになるなら、法案には途方もない欠陥が残り、また連邦法に抵抗するよう地方自治体・保健所・学校・市警に指示する内閣に、幅広い未定義の力を与えると懸念した。
「ダニエル・スミスを支持する多くの人々とバリー・クーパーは、アルバータの過激な極論者のために話す。」
 また彼女は、スミス首相が法案提出前に先住民に意見を聴取することに失敗したと指摘した。
 連邦のトルドー首相は、アルバータ主権法はスミス首相が連邦政府に戦いを仕掛ける政治的ツールにすぎないと語った。
「私は、アルバータ州政府と戦うことに興味がない。」
 彼は、オタワと州の関係は親と子の関係とは違い、各々が異なる管轄と責任を持つから、州政府は連邦政府が同意しない法律を進めることはできるが、最終的な解決は裁判所にあると指摘した。
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アルバータ主権法案を提出 [アルバータ]

 アルバータ州のダニエル・スミス首相は11月29日、公約していたアルバータ主権法案をついに州議会に提出した。
「我々は過去に異なるものを試したが、機能しなかった。」
「それで我々は、新しい何かを試すことにした。」
 だがその「新しい何か」とは、議会の同意なしに政府が法律を改正できる、いわゆる「ヘンリー八世条項」だった。

 (1) 法学者の反応
 法案は「既存のあるいは予想される連邦の法または政策が、憲法に反しているかまたはアルバータ州・アルバータ州民・アルバータ経済に有害である場合」に、それを阻止するため「地方自治体、教育委員会、高等学校、地方警察、地域の保健当局、および州政府から資金提供されているあらゆる団体に、州の資金を強制執行に使わせないよう内閣が指示できる」と規程している。ただし法案は、カナダ憲法を無視するのを認めていない。さらに法案は、州議会を経ずに州法を改正できる権限を内閣に与えている。
 このような内容は、州政府が一方的に連邦権限を否定するものであり、また三権分立の原則を覆すものとして、法学者から強い批判を受けている。
 アルバータ大学のエリック・アダムス教授は、次のように述べた。
「州議会が、州の組織に連邦法を遵守しないよう命じる憲法上の権限が存在するかどうかを諮問した例は、これまでにない。」
「連邦法への拒否あるいは不服従を命令する権限が州にあると、憲法が規定している場合にのみ、そうすることができる。」
「『有害な法律』の定義は、広範囲かつ拡張性がある。そう、有害さの基準は、見る人の目にある。そして党派的な世界では、あなたが政治的見解に反すると考えるものは、何でも有害となる。」
 そして「ヘンリー八世条項」については、「これは異常事態だ。前代未聞だ」と一蹴した。
 トロント大学のデビッド・シュナイダーマン教授も、懸念を表明した。
「連邦法を修正することは彼らの権限の範囲内でないと、私には確信を持って思える。それがアルバータ州法なら、彼らはアルバータ州議会を迂回している。」
 彼はまた法案が、アルバータ州議会を連邦法の合憲性を審査する裁判官にすることを懸念すると述べた。
「州は連邦政府と合法的な憲法上の紛争を抱えることがありえるが、それは公平な第三者である裁判所に行く。」
 オタワ大学のカリシマ・マセン教授も、同意する。
「州が連邦法の効力を無効にする根拠は、憲法上明らかに存在しない。」
 カルガリー大学のイアン・ホロウェイ学部長は、一連の動きを「策略」と評した。
「これは、専門家としての私の生涯で初めて見る、明らかな反憲法的策略だ。スミス首相は、政治的なチキンゲームをしている。」
 ジャック・メージャー元最高裁判事は、法案に一定の理解を示した。
「連邦政府が州に意見を聞くことなく、州の反対する何かを導入するなら、州はそれを実行しないとする見解を、アルバータはこの法案で切り開くつもりなのだろう。」
「たとえば連邦政府が炭素税のような何かを強要し、アルバータがこれに反対した場合、裁判所に訴えるかどうかは州しだいである」。
 ブリティッシュコロンビア大学のジェフリー・シガレット准教授は、法案は、有効なはずの法律を無効にするものと予想していた。
「もしそうなら、それは憲法上非常に疑わしいだろう。」
「この法案を読むかぎり、そうではない。それは、連邦法を無効にするものではない。」
「司法判断に従わせないために、州の職員の誰一人にも公的な権限を与えていない。そのかわり、憲法に反すると州が見なす特定の連邦法について、連邦政府に協力しないことを州に可能にする。それは全く合憲である。」
「アルバータ州は、彼らが最終的な仲裁者であるとは言っていない。彼らは、法廷は法案より上に何も持っていないとは言っていない。彼らは、裁判官の言うことをきけないとは言っていない。」
「それは、連邦政府には管轄があり、そして我々にも我々の管轄があると言っている。」

 (2) トルドー首相の反応
 連邦のトルドー首相は翌30日、法案についてはコメントせず「政府はどう対処するか決める前に、これがどう収束するかを注視していく」と語った。
 ナビゲーター・リミテッド社が10月上旬に実施した政党支持率調査は、連合保守党38%に対し新民主党53%と、与党に分が悪いが、総選挙は2023年5月までに実施しなければならない。スミス首相は、あえて成立の見込みのない法案を提出し、州民のために戦っているポーズを取ることで、総選挙を乗り切ろうとしているという見方も強い。スミス首相の売った喧嘩を買うことは、彼女の思う壺になりかねない。トルドー首相は、法案はどうせ成立しないと見切って、あえて対処せず、検討すらしないと考えているように見える。

 (3) 「連合カナダにおいて」
 さて予告されていたアルバータ主権法だが、提出された法案の正式名称は「連合カナダにおけるアルバータ主権法」(The Alberta Sovereignty within a United Canada Act)だった。法案は、連邦政府に対する独立宣言と受け取られるリスクがあり、党内で相当な反対があったものと思われる。
 これは、2006年の「カナダの中の国」騒動を彷彿させる。ケベック連合が連邦議会に「ケベック人は国を構成する」(Quebeckers form a nation)という動議を提出した。この動議は実態としては意味がなく、自党はケベック独立のために努力したが他党が反対したというポーズを取ることで、ケベック州において自党は支持を集め、他党には失わせるという策略だった。そこで与党保守党は「ケベコワは連合するカナダの中で国を構成する」(The Quebecois form a nation within a united Canada)という修正案を作成し、野党自由党と新民主党の同意を取り付け、265対16でこれを可決させるとともに、ケベック連合の動議を否決した。
 自由党は保守党案に賛成投票することに決めたが、元ホッケースターのケン・ドライデン議員が造反し、反対投票した。彼は採決に先立ち、下院で騒動の全てを非難した。
「こうでなければならないというほど深刻な感じではないので、これは間違っていると感じる。これはたちの悪い、印象操作的な、ご都合主義的なゲーム、政治的なゲームのようだ。これら全てのゲームと操作が、みんなのためというわけではない。」
 カナダの歴史は、ケベック独立主義者に妥協した者は例外なく破滅することを示している。妥協案だったミーチレイク協定は、与党進歩保守党の消滅とケベック連合躍進を招き、政界再編をひき起こした。独立ブラフを使ったチキンゲームは、舵取りを誤ると思わぬ結果をひき起こしかねない。

 (4) ケニー前首相、州議を辞職
 法案が提出された同日、ジェイソン・ケニー前首相が州議を辞職した。マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるロリ・ウィリアムズ教授は、次のように語る。
「主権法案が公表されてすぐ辞任したのは、偶然とは思わない。まるで、この法案を一切支持しないと言っているかのようだ。」
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スミス首相、ウクライナ侵攻発言について謝罪 [アルバータ]

 アルバータ州のスミス首相は10月18日、ウクライナ侵攻に関する過去の発言について謝罪した。
 彼女はライブストリーム・チャットで4月29日、西側と歩調を合わせ戸口で核武装するウクライナに対するロシアの懸念を思えば「ウクライナにとっての唯一の答えは中立だ」と投稿した。
 また2月24日には、次のように投稿している。
「ウクライナの2つの地域が、ロシアにより多くの親しみを感じていることについて読んだ。民族は、独立して自身を治めることを許されるべきだろうか?それが本当に人々が望むものであるなら、私もそう思う。」
 なおウクライナは、90年代に核兵器をロシアに引き渡している。
 これらの発言は先週末に見つかり、野党新民主党が謝罪を要求していた。

 スミス首相はツイッターで、次のように述べた。
「私は、ロシアによるウクライナ侵攻を断定的に非難する。そしてロシアは、言いようのない苦しみをもたらし、ウクライナの人々に加え続けている。」
「今年初めに政界に復帰する前、私はロシアによるウクライナ侵攻について、悪い情報に基づくコメントをいくつかした。この問題についての私の知識と見解は、そのときから大幅に進歩している。そして私は、それらの前のコメントについて謝罪する。」
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スミス首相就任「ワクチン未接種者は私の生涯で最も差別された集団」 [アルバータ]

 連合保守党のダニエル・スミス党首は10月11日、アルバータ州首相として宣誓し就任した。最初の任務として、11月8日のブルックス-メディシンハット選挙区の補選を公示した。彼女はこれに出馬すると見られる。
 彼女は、引継ぎのためケニー前首相に会談を呼びかけたが、応じてもらえなかった。ケニー首相は党首選で明らかにトラビス・テーブス前財務大臣を支援していたが、その意に反しスミス氏が当選した。
「彼には党首選で望ましい候補がいたことが明白だったと思うが、それは私ではなかったのだ。」
 ケニー首相は在任中、州民のワクチン接種を事実上義務化しようとしたが、州民の反対に遭った。スミス氏はケニー首相のやり方に、ひどく批判的だった。
 スミス首相は公約どおり、ディーナ・ヒンショー衛生局長を更迭すると語った。さらにアルバータ人権法を改正し、差別の要件として「ワクチン接種状況」を追加すると語った。
「彼ら(筆者注※ワクチン未接種者)は、私が生涯見てきたなかで最も差別された集団だ。」

 ブリティッシュコロンビア州のジョン・ホーガン首相は12日、ラジオでこの発言について「馬鹿馬鹿しい」と一蹴した。
 マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるデュエイン・ブラット教授も「彼女がアルバータ州首相でなかったら、誰も問題にもしないだろう」と語った。教授は、スミス首相の生涯において寄宿学校が存在し、また同性婚は2005年まで認可されていなかったと指摘した。
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ダニエル・スミス復活、次期首相に [アルバータ]

 連合保守党党首選が10月6日に開票され、ダニエル・スミス元州議が当選した。彼女は即日党首に就任し、11日にアルバータ州首相に就任する。なお彼女は現在州議会の議席がなく、近く再開される州議会に入場できないため、与党議員が辞職して補選に出馬するものと見られる。
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 党首選には、ダミエル・スミス元州議、トラビス・テーブス前財務大臣、ブライアン・ジーン元ワイルドローズ党党首、レベッカ・シュルツ児童サービス大臣、トッド・ローウェン州議、ラジャン・ソーニー前運輸大臣、リーラ・アヒア前文化・多文化主義・女性の地位大臣の7人が立候補した。テーブス氏はケニー首相に推されていたが、スミス氏は首相になったら連邦憲法を超越する「アルバータ主権法」を導入すると発表し、レースをリードした。彼女は、第一回投票から40%以上を獲得し首位をキープし続け、第6回の決戦投票で53.8%の票を獲得し、当選した。彼女が予備選に敗れ政界を引退してから8年後の、鮮やかな復活だ。
「私は、戻って来た。」
「アルバータは今こそ、強く統合されたカナダを築く主要なパートナーとしての地位を占めるべきときである。」
「アルバータはもはや、自由に繁栄することの許可をオタワから得ることはない。」
 だが憲法学者らは、その実現性を疑問視している。ケニー州首相はこれを「荒唐無稽」「バナナ共和国独立への道」と酷評した。スミス氏はこれに反論した。
「ノトリー=シン=トルドー同盟は、アルバータ主権法を分離主義だと言うが、それは間違いだ。」
 3位で敗退し、スミス党首の離党後にワイルドローズ党党首を務めたジーン州議は、党員のオタワへの怒りを、スミス氏がアルバータ主権法によって巧妙に取り込んだと語った。
「多くの人々が怒っている。人々は今夜、その怒りを示したかったのだ。」
 スミス氏は、次の総選挙で新民主党を倒すため、全ての党員が団結しなければならないと強調した。
「今は、昔日の恨みをはらすときではない。」
「今は、仲間の保守党員を過去の過ちを理由に罰するときではない。」
 彼女の最初の仕事は、7日の幹部会である。彼女はそこに、ケニー首相を批判して除名されたローウェン州議を招待すると語った。
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ケニー首相、辞意を表明 [アルバータ]

 アルバータ州の与党連合保守党は、ジェイソン・ケニー党首(州首相)の信任投票を5月11日までに郵便で実施した。その集計結果が18日に発表され、信任51.4%・不信任48.6%で信任した。だがケニー党首は同日、信任が少なすぎるとして辞意を表明した。
「51%の信任票は党則上は過半数に達しているが、党首を続けるには明らかに十分な支持ではない。」
 実はケニー党首は事前に「50%プラス1票に従う」と述べ、過半数なら留任する意向を示していた。ケニー党首を批判し続けていた党役員のロブ・スミス氏は、ケニー党首の辞任に驚いたものの、彼の決断は当然であり、歓迎すると語った。
「今日は、アルバータのための素晴らしい夜だ。」
「もしも党員が48.6%あるいは50%近くも反対するなら、それは党を率いるに十分ではない。」
 ワイルドローズ党党首だったブライアン・ジーン州議は、ケニー党首が辞意表明する前から党首選出馬を公言していたが、改めて出馬する意向を強調した。
「連合保守党員は、分断的で独裁的なリーダーシップを拒否することを明らかにした。」
「彼らは、耳を傾け、相談し、効果的な保守政治を思慮深く実行する連合保守党を望む。」

 だがケニー党首は19日、次の党首が選出されるまで党首と首相に留まる意向を表明した。党内からは、一刻も早く暫定党首を指名し、ケニー党首に辞職してもらわなければならないという声が挙がっている。ジーン州議は、即時の辞任を求めた。
「ジェイソン・ケニーが去るまで、治療プロセスは始めることができない。」
 以前からケニー党首に辞任を要求していたピーター・ガスリー州議も、次のように述べた。
「我々はアルバータ州民と信頼を建て直す必要がある。そして、今日はその第一歩になる。」

 閣僚からはトラビス・テーブス財務大臣、ダグ・シュバイツァー雇用・経済・イノベーション大臣、ソーニャ・サベージ エネルギー大臣、ジェイソン・ニクソン環境・公園大臣、ラジャン・ソーニー運輸大臣らが党首選出馬を噂されている。ケニー党首も党則上、出馬できる。
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ダニエル・スミス氏、政界復帰 [アルバータ]

 連合保守党のジェイソン・ケニー党首(州首相)は、新型コロナ対策のまずさから人気を失っている。リサーチ・コ社が3月11日から13日までに実施した政党支持率調査は、新民主党45%、連合保守党30%、ワイルドローズ独立党8%、アルバータ党7%、自由党5%、緑の党3%、アルバータ独立党1%となり、このまま総選挙を迎えれば野党転落は必至の状況にある。ケニー党首は信任投票の前倒し実施に追い込まれ、4月9日にレッド・ディアでの大会で投票が行われる予定だったが、彼はこれを急遽5月18日までの郵便投票に差し替えた。

 このような状況で、ワイルドローズ党元党首のダニエル・スミス氏が4月1日、記者会見で政界復帰を発表した。彼女は連合保守党で、リビングストン-マクラウド選挙区の予備選に立候補し州議を目指すが、それだけでなく党首選出馬も視野に入れているという。
「党員たちが党首選を求めるなら、私は名のりを上げたい。」
 そして彼女は、信任投票の方法が急に変更されたことを批判した。
「党がレッド・ディアでの大会を中止したのは、重大な間違いだった。」
「党首が負けそうになると、党はそれをキャンセルした。」
「私の個人的経験から言えることは、それ(筆者注※郵便投票)は問題が多いということだ。」

 スミス氏は2009年、泡沫政党だったワイルドローズ同盟の党首に就任した。若くて美人で弁の立つ彼女は人気を博し、党を野党第一党の地位に押し上げたが、総選挙で一度も勝利できなかった。
 2014年、スミス降ろしの動きを察知すると、彼女は機先を制し、8人の議員とともに進歩保守党へ電撃的に移籍した。これは有権者への重大な裏切りとみなされ、彼女は進歩保守党の予備選に出馬したが落選し、政界引退に追い込まれた。

 彼女は記者会見で、7年前の決断について謝罪した。
「私がその経験から学んだことは、たとえ私にワイルドローズ党を立ち上げるうえで非常に大きな役割があったとしても、党は党首のものではないということだ。党は党員のものである。」
「それは大きな間違いだった。だがその過ちから学んだという事実が、この選挙区で再び私の名前を出し、この選挙区を代表するために私をより強くすると、私は考える。」

 スミス氏の発表について問われたケニー首相は、「スミス」の名を意図的に口にせず、彼女が党首として敗北した2012年州議会総選挙に言及した。
「私が連合保守党の党首であるうちは、『火の海』事件の再来を許さない。」
「その選挙で一つの保守政党が吹き飛ばされたのは、過激派を抑制すべき党首の怠慢ゆえである。それが、そこから人々が学んだことだ。」
 ワイルドローズ党のアラン・ハンスパーガー候補は、ブログに「同性愛者は死後も永遠に火の海で焼かれる」と書き批判されたが、スミス党首は何の処分も行わなかった。

 スミス氏の次にワイルドローズ党党首となったブライアン・ジーン氏は、党が2017年に合併したとき連合保守党党首選に出馬したが、落選し政界引退した。だがケニー首相の不評を見るや、3月15日の補選に出馬して当選し、政界に復帰した。彼は、ケニー党首は辞任すべきであり、その場合は自分が党首選に出馬すると明言している。
 政治評論家のジャネット・ブラウン氏は、ワイルドローズ党の元党首2人の動きをこう評した。
「ワイルドローズ党の元党首2人が、ケニー党首に反発して出馬するのを見るにつけ、伝統的な進歩保守党支持者とワイルドローズ党支持者の間に大きな溝があることを感じる。」
 レスブリッジ大学で社会学を教えるトレバー・ハリソン教授は、連合保守党内部の動きを次のように総括した。
「我々が今見ているものは、アルバータの保守運動を人々が何と呼ぼうと、持続する分裂である。」
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ウェグジット党が「マベリック党」に改名 [アルバータ]

 ウェグジット党のヒル暫定党首は9月17日、選挙管理委員会に党名を新たに「マベリック党」と登録したと発表した。
 「Wexit」とは西部分離主義を表す語だが、西部分離主義の高まりを受けて、アルバータ独立党やワイルドローズ独立党や西部ブロック党など、近年類似のウェグジット政党が増えてきた。この夏党員にアンケートを取ったところ、3分の2が党名変更を望んだという。
 「マベリック」とはテキサスの開拓者サミュエル・マベリックの名に由来し、「焼印の押されていない牛」「群れから離れた者」「一匹狼」などを意味し、無頼派の政治家や芸術家を指す。1986年の映画「トップガン」では、トム・クルーズ演じる主人公がコールサイン「マベリック」の名で呼ばれた。最新作「トップガン マーヴェリック」が2020年12月に公開される。
 映画が話題になることに便乗した改名ではないかという疑惑を、ヒル党首は否定した。また、彼らにとってのアイスマンは誰かという質問には、回答を拒否した。
 人民党のベルニエ党首は、ツイッターで次のように述べた。
「マベリック党の幸運を祈る。だがカナダでマベリックと言える政治家は、私だけだ。」
 今年初め、連邦組織と4つの州組織を選挙管理委員会に登録したとき、全ての名称は「ウェグジット党」だったが、連邦は「マベリック党」、サスカチュワンは「バッファロー党」、アルバータは「ワイルドローズ独立党」、ブリティッシュコロンビアは「ウェグジットBC党」になっている。

 14日にアンガス=リード社がアルバータ州で実施した政党支持率調査は、連合保守党38%、新民主党38%、アルバータ党9%、アルバータ独立党7%、その他8%という結果となり、与党の不評とともに西部分離主義の高まりを示している。
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ウェグジット党のダウニング党首辞任、後任にヒル氏 [アルバータ]

 ウェグジット・カナダ党は6月23日、創設者のピーター・ダウニング党首が辞任し、ジェイ・ヒル氏が暫定党首に就任したと発表した。
 ダウニング前党首は、次の総選挙まで党を指揮するつもりだと語っていたが、ヒル氏の経験が党をよりよい方向に導くだろうと述べ、今後は運動と資金調達に専念するという。ヒル氏は、次の党首が選出されるまで暫定党首を務める。

Jay-Hill-696x911.jpg ヒル氏は2010年に政界引退するまで、ブリティッシュコロンビア州プリンスジョージ-ピースリバー選挙区の下院議員を17年間務めたベテランで、ハーパー政権では下院幹事長と下院院内総務の重責を担った。改革党・カナダ同盟・進歩保守党=民主議員の会・保守党の4会派で下院幹事長を務めたのは、彼だけである。
 現在アルバータ州カルガリーに暮らす彼は、幼い孫娘の将来に不安を覚えるという。
「財政赤字の増大を、深く憂慮している。それでも政府は、人々が大変な思いをしているこの時期に、対外的に何億ドルも捨て続けている。」
「誰が保守党党首選に勝ち、誰が次の首相になろうと、西部にとって問題ではないと気づいた。政府は結局、トロント・モントリオール・オタワの黄金の三角形の要求に応じなければならず、西部は絶対に公平には扱われないのだから。」

 「ウェグジット」は、ダウニングがイギリスのブレグジットに触発されて創設した西部独立運動で、2020年1月10日に政党登録された。アルバータ・サスカチュワン・マニトバ・ブリティッシュコロンビアの西部4州にも地方組織が創られ、次の総選挙では西部で104人の候補を擁立するという。なおウェグジット・アルバータ党は6月29日、アルバータ自由保守党と合併し「ワイルドローズ独立党」を結成した。


写真:ジェイ・ヒル暫定党首。
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【世論調査】政府はウェグジットを統制できない [アルバータ]

 ナノス・リサーチ社が11月29日から12月2日まで、1010人の成人カナダ人を対象に実施した、固定電話と携帯電話およびインターネットによる世論調査は、カナダ人の半数以上がトルドー首相はウェグジット(西部分離主義)を統制できないと考えていることを示した。
 ウェグジット運動の盛り上がりについては、「憂慮する」が20%、「多少憂慮する」が30%、「憂慮しない」が31%、「あまり憂慮しない」が15%で、半数が憂慮していた。
 分離主義がケベックでも盛り上がることを、「憂慮する」は14%、「多少憂慮する」は23%で、60%は「憂慮しない」または「あまり憂慮しない」と回答した。
 政府はウェグジットを統制できるかについて、中西部では「信頼していない」が64%、「あまり信頼していない」が15%だった。全国では、「信頼していない」が19%、「あまり信頼していない」が38%だった。
wexit.jpg

 アルバータ州のケニー首相は、アルバータ独自の年金制度や税務署の創設や、連邦警察の州警察との入れ替えを主張している。調査では、カナダ人の3分の2は「反対」または「どちらかというと反対」に回答した。


写真:カナダ国旗を天地逆に掲げて侮辱する、ウェグジット創設者のピーター・ダウニング。
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アルバータ州総選挙で連合保守党が過半数 [アルバータ]

 4月16日に実施されたアルバータ州議会総選挙は、連合保守党63議席、新民主党24議席(定数87)という結果となり、新党連合保守党が初めて政権を獲得した。新民主党は、長期政権が常態化しているアルバータで史上初めて、再選されない政権となった。なお過去に長期政権を築いた諸党は、その終了後に消滅している。議席が2党のみになるのは1993年以来のことで、アルバータ党・自由党・自由保守党の小党は議席を失った。
 投票率は極めて高く、戦後最高になることが確実視されている。進歩保守党44年の長期政権に終止符を打ち、史上初の革新政権を誕生させた前回総選挙では、期日前投票は23万5000票だったが、今回はそれを大幅に上回る70万票が前日までに投じられており、世界初の社会信用政権が誕生した1935年総選挙の81.8%に迫る勢いとなっている。

 連合保守党のジェイソン・ケニー党首は、カルガリーで勝利を宣言した。
「アルバータ州民は、憤慨の政治より自由な企業活動を選んだ。」
 4週間の選挙戦は専ら、高い失業率と、低調な石油価格と、そして個人攻撃に終始した。石油価格の下落により政府の収入が減少すると、レイチェル・ノトリー首相は法人税の増税に踏み切った。ヘルスケアと教育費の削減を拒否し、むしろ児童手当を支給し、学校の増改築を行い、最低賃金を時給15ドルに引き上げ、革新らしい政策を採った。
 だが連合保守党は、ノトリー政権の悪政が増税・財政赤字・失業率の増大につながったと厳しく批判した。これに対しノトリー首相は、ケニー党首の言うとおりに支出を削減すれば、児童や患者たちに重大な影響を及ぼすことになると警告した。
 ケニー党首は、その政治キャリアを改革党から始め、カナダ保守党政権の閣僚として中心的役割を果たした重鎮である。その彼がアルバータ進歩保守党の党首に当選したときは、右翼の彼による中道右派乗っ取りとも中傷された。連合保守党の候補たちの何人かは、穏健な中道右派の進歩保守党とは異なり、白人優位主義・反イスラム主義・アンチゲイなどの失言で謝罪させられたり、立候補取りやめに追い込まれたりした。ケニー党首自身も、デビッド・スズキ(※日系の生物学者。カナダ生まれで移民ではない)財団を挙げ「外国に支援された利益団体」と戦うと公言した。これらの発言に対する批判を、ケニー党首は「財政赤字から目を背けさせる目くらまし」と批判した。
 財政赤字と失業率への有効な対策が、パイプライン建設であることは明らかだった。だがブリティッシュコロンビアとケベックとアメリカの各地で、先住民や環境保護団体の強い反対を受けた。ノトリー首相は、アルバータ州政府が気候温暖化に真剣に取り組む姿勢を見せれば、パイプライン建設を実現できると考えた。それは具体的には、炭素税導入とオイルサンド輸送上限設定を意味した。連邦政府のトルドー首相との関係も良好で、トランスマウンテン・パイプライン拡張の合意に達すると、彼はこう述べた。
「ノトリー首相の気候温暖化へのリーダーシップなくして、我々はこのプロジェクトに合意することはできなかった。」
 だが、パイプライン計画は連邦裁判所によって中断され、彼女は4年の任期中にパイプラインを通すことができなかった。アルバータ州の失業率は、全国平均の5.7%を大きく上回る7.0%に達し、州の債務は500億ドル以上にまで増大した。

 新民主党は、前回総選挙で得た地方の議席のほとんどを失い、主にノトリー首相の地盤であるエドモントン周辺の存在となった。ラリビー児童サービス大臣、アンダーソン自治体関係大臣、マクエイグ=ボイド エネルギー大臣らの閣僚も落選した。世論調査では新民主党は不人気で、同党の敗北は必至だったが、党首の個人的人気では、ノトリー首相はしばしばケニー党首を上回った。彼女は党首に留まり、最大野党を率いて行くと約束した。
「これは後退のように感じられるかもしれないが、我々が大きく前進したことを忘れないでほしい。」
 自由党のデビッド・カーン党首は落選し、唯一の議席を失った。
「政治的な振り子は、穏健なポジションからより保守的なポジションへと振れた。それが人々の意志だ。」
 そしてケニー次期首相に、差別的発言をした候補たちへの対処を訴えた。
「大きな責任が、あなたの勝利とともに来る。あなたは、全てのアルバータ州民の首相となる。それは障害者やLGBTQ2S+の、弱い人々を含んでいる。」
 アルバータ党は87の全選挙区で候補を擁立したが、全員落選した。スティーブン・マンデル党首は、惨敗をも苦にせず堂々と語った。
「私は本気で、我が党こそがこの州の未来の党だと考えている。人々が分極化から離れ、我々の州がどうなり、どの党がふさわしいかを考え始めるとき、人々は違う方向を探し始めて、アルバータ党がその答えであることに気づくだろう。」

 CBCは4月11日、連合保守党の2017年党首選で、詐欺的な電子メールアドレスがケニー候補に投票するために用いられ、連邦警察が捜査していると報じた。
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ケニー党首、補選出馬へ [アルバータ]

 連合保守党のデイブ・ロドニー州議(カルガリー=ローヒード選挙区選出)は10月29日、ジェイソン・ケニー新党首に補選で議席を与えるため、11月1日に辞職すると発表した。
 彼は何か月も前から辞職することを提案していたが、ケニー氏の党首選当選が実現したことで正式に決定された。
 ロドニー州議は、次のように述べた。
「今こそケニー氏が、我々の刺激的な新しい連合保守運動の勇敢なリーダーとして、議会に驚異的なビジョンを導入するのを見る機会である。」
 ケニー党首は、以下のように語った。
「最大野党党首が議会への参入を求めているとき、ノトリー首相が滞りなく補選を公示する、長年続いたウェストミンスター議会慣例を尊重するものと、私は確信している。」
 次の総選挙は、2019年5月までに実施される。ロドニー州議が出馬するかどうかは、明言しなかった。
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連合保守党党首選でケニー当選 [アルバータ]

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 10月28日に連合保守党の党首選が行われ、第1回投票でジェイソン・ケニー候補(進歩保守党前党首・前国防大臣)が3万5623票(61%)を獲得し当選した。2位はブライアン・ジーン候補(ワイルドローズ党前党首・州議)で1万8336票(31.5%)、3位はダグ・シュワイツァー候補(弁護士)で4273票(7.3%)だった。
 元国会議員で重要閣僚を歴任したケニー前党首は、現職国会議員23人のほか、現職州議10人、元州議11人に支持された。だが同じ元国会議員のジーン前党首は、現職州議11人に支持されたものの、現職国会議員1人・元国会議員1人からしか支持を得られなかった。弁護士のシュワイツァー候補は、支持者が現職国会議員0人、元国会議員1人、現職州議1人、元州議1人しかいなかった。
 落選したジーン前党首は、落胆しコメントを拒否したが、彼のスポークスマンはこう述べた。
「我々が少しも落胆していないと言うのは、正直ではないだろう。だがこれは、明らかにケニー氏が圧倒的に信任されたことであり、我々は彼を祝福する。」
 ケニー前党首は、生徒がゲイ=ストレート同盟に加入した場合、保護者にすぐ通知すべきだと主張して物議をかもした。だがシュワイツァー候補は、若者や新民主党支持者を取り込むため党はより進歩的な政策を採るべきだと主張し、それが「正しいこと」だと主張した。ケニー前党首はこれに反論せず、「シュワイツァー氏の主張は党の多様性を示すものだ」と応えた。シュワイツァー候補は落選を受けて「党が政策論争を前進させ、新しい人々を連れて来ることを楽しみにしている」と語った。
 3人の候補の中で、州議会に議席を持っているのはケニー前党首だけである。ケニー新党首とシュワイツァー氏は、州議会に議席を求めると語った。

 与党新民主党は、エドモントンではまだ支持されているが、それ以外では支持率を下げている。各種世論調査は、今総選挙が行われれば連合保守党が政権奪回することを示している。
 セーラ・ホフマン副首相は、ケニー新党首の言う支出削減は、90年代にラルフ・クレイン元首相が実施したものよりさらに過激なものになるだろうと警告し、彼がこれを断行すると言うなら、アルバータ州民は2年前の総選挙時に見たものを思い出すことになるだろうと語った。

 (※以下のコメントは、CBCの報道によるものである)
 モロッコ出身で、カルガリーでタクシー運転手を務めているヒチャム・サーラーさんは、これまでの2年間は景気は良くなかったが、上向く気配を見せ始めていると指摘し、カルガリーの人々は物事がうまくいってないとすぐ政府を批判するが、経済は急には良くならないものだから、新民主党政権を長い目で評価すべきだと語った。
「政府にうまくやってほしいなら、彼らに少し時間を与えてやるべきだ。」
 カルガリーでバリスタを務めるミーガン・ドナヒューさんは、カルガリアンには強い保守性志向があるが、年代によって考え方は少し違うと語った。
「私たちいわゆるミレニアム世代の多くは、新民主党政権のすることに本当に何の問題も感じていないと思います。私は、完全に満足しています。」


写真:右からブライアン・ジーン前党首、ジェイソン・ケニー前党首、ダグ・シュワイツァー氏。
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アルバータの保守新党、クーパー氏を暫定党首に選出 [アルバータ]

 ワイルドローズ党とアルバータ進歩保守党が合併した新党は、7月24日に最初の幹部会を開催し、ワイルドローズ党のネイサン・クーパー院内総務を新党の暫定党首に選出した。任期は2017年10月28日までとなる。
 だがこの日幹部会が開催される前に、進歩保守党のリチャード・スターク州議が離党した。彼は以前から、ケニー党首の方針に異を唱えていた。ケニー氏は、生徒がゲイ=ストレート同盟に加入した場合、保護者にすぐ通知すべきだと主張した。またケニー氏は、プライド・パレードに参加しなかった。スターク州議は、彼のこのような政治的スタンスを批判するとともに、新党がそこから脱皮するような兆しがないと説明した。
 スターク州議は、新党結成後も「進歩保守党」として議員活動を続けると語った。アルバータ選挙管理委員会は、「進歩保守党」が登録抹消されないかぎりは可能だとコメントした。クーパー党首は、新党の政策はまだ決定されてなく、これから議論され、党員によって採決されると強調した。

 2000年の連邦議会選挙で、カナダ同盟の得票率は25.5%、進歩保守党は12.2%で合計すると37.7%となり、自由党の40.9%に匹敵した。両党は2003年に合併しカナダ保守党となったが、2004年の最初の総選挙での得票率は29.6%と、単純な合計にはならなかった。世論調査は、2000年にカナダ同盟か進歩保守党に投票した5人に1人は、2004年に他党に投票したか棄権したことを示した。2000年総選挙でカナダ同盟に投票した人の88%と、進歩保守党に投票した人の68%が、2004年に保守党に投票したにすぎず、進歩保守党に投票した10人に1人は自由党に投票し、また10人に1人は棄権した。
 それでも30ポイント近い取りこぼしにもかかわらず、保守党は票を分散させないことで躍進した。2000年にカナダ同盟が得た議席66と進歩保守党が得た議席12を足すと78議席になるが、保守党は2004年総選挙で99議席を獲得した。
 2015年アルバータ州議会選挙時の世論調査では、ワイルドローズ党支持者の33%と進歩保守党支持者の19%が、次善の選択として(合併相手ではなく)新民主党を挙げていた。この事実は、保守系有権者ですら進歩保守党の再選を阻止することが必要だと考えていて、新民主党政権を阻止する必要を感じていなかったことを示す。
 現在の新民主党支持率は20%台中ごろで、ノトリー政権支持率は約30%である。これは、就任時のおよそ半分に当たる。もし保守の2党が合併しなかったら、支持率低下にもかかわらず新民主党は、保守票の分散で再選されることも夢ではなかった。新民主党はエドモントンで獲得した議席のほとんどを死守して、残りの選挙区でいくつかの議席を獲得して何とか第一党に留まるシナリオを書くことができた。
 合併した新党の得票率は、必ずしも旧党の合算にはならない。だが2015年州議会選挙における、進歩保守党の得票率27.8%とワイルドローズ党の得票率24.2%を足した52%に、カナダ保守党と同じ変数をかけると41%となり、新民主党の得票率40.6%に匹敵する。
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ワイルドローズ党と進歩保守党、合併を承認 [アルバータ]

 ワイルドローズ党とアルバータ進歩保守党は7月22日、それぞれ党員による投票を行い、両党合併をともに承認した。
 ワイルドローズ党では賛成2万3466票・反対1132票で、95.4%の同意を得た。進歩保守党では賛成2万5692票・反対1344票・無効24票で、94.9%の同意を得た。合併を承認するのに、ワイルドローズ党は75%、進歩保守党は50%の同意を必要としていた。

 ワイルドローズ党のブライアン・ジーン党首は、レッドディアの会場で興奮しながら語った。
「今日は、アルバータ人にとって何とすばらしい日だろう。保守党員にとって、そしてワイルドローズ党員にとって、何とすばらしい日だろう。」
「今日はワイルドローズ党の終わりではなく、アルバータの普通に働く人々の手に権力を取り戻すため一歩前進する始まりである。」
 進歩保守党のジェイソン・ケニー党首も、カルガリーの会場で演説した。
「今日なされたこの民主的な決定により、我々はアルバータの優位性を新たにした。何万ものアルバータ州民は、分断することよりも団結することに集中するため、未来を過去の前に進めることを決断した。」

 いっぽう合併に反対する党員たちも、次の行動を起こしている。ワイルドローズ党の一部の支部長たちは、新党結成するため今月会議を招集する。進歩保守党でも、ケニー党首が当選すると10人の委員が辞職した。一部の党員たちは、次回総選挙で中道の新党結成を目論んでいる。
 正式な党首は10月28日、党員による党首選で決定される。それまでは、22人のワイルドローズ党議員と8人の進歩保守党議員による合同幹部会が24日に開催され、選出される暫定党首が就任する。
 ジーン党首もケニー党首も、党首選出馬を表明した。ワイルドローズ党のデレク・フィルデブラント議員も出馬の意向を表明したが、新しい執行部が党首選の規則を発表するまで待つと語った。彼は、ジーン現党首を「何があっても支援しない」と強調した。

 保守合同は、2つの保守党が10年間骨肉合い争った歴史の重大な転換となる。進歩保守党は、44年間政権を維持した万年与党だった。いっぽうワイルドローズ党は、進歩保守党に見捨てられた社会保守主義と小さな政府の支持者が立ち上げた新党で、進歩保守党の離党者をしばしば吸収してきた。進歩保守党も2014年、ワイルドローズ党の党首を含む9議員を引き抜いた。だが二つの保守党に票が割れることは、新民主党革新政権を利することになるという危機感が、長い抗争を終わらせることになった。
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進歩保守党とワイルドローズ党が合併に合意 [アルバータ]

 5月18日、アルバータ進歩保守党のジェイソン・ケニー党首とワイルドローズ党のブライアン・ジーン党首が、合併に合意したと発表した。
 両党は7月22日、党員による投票を行う。進歩保守党は50%以上、ワイルドローズ党は75%以上の同意で承認される。10月28日には党員による党首選を行い、それまでは幹部会が選出した暫定党首が就任する。そして2018年の初めに、結党大会を開催する予定となっている。ケニー党首とジーン党首は、いずれも党首選に出馬する意向を示した。

 ジーン党首は、次のように述べた。
「これは、保守合同である。」
「これは、権力を目的とし権力を握るためではない。それ以上のものだ。」
 ケニー党首は新党結成について、革新政権を打破し保守新政権を樹立することの意義を強調した。
「この合意は、この壊滅的な新民主党政権の敗北と、アルバータの優位性を新しくする自由企業制政権の選出を確実にする。」
 ケニー氏が3月に党首に就任して以来、両党は協議を重ねてきた。中道右派の進歩保守党の中には、社会保守主義のワイルドローズ党との合併に難色を示し、離党する者が出ている。

 レイチェル・ノトリー首相(アルバータ新民主党党首)は同日、声明を発表した。
「それがワイルドローズ党だろうと保守党だろうと、彼らが、上位1%の富裕層に減税するため公共サービスの切り捨てに合意したのは明らかだ。」
「彼らは、LGBTの権利に同情的でもなければ支援もしないという点に合意した。」
「彼らは、学校給食がいいことだということには合意できないようだ。少なくとも彼らは、我々とは合意できない。」
 アルバータ党のグレッグ・クラーク党首は、保守合同を「敵対的買収」と評した。
「進歩保守党を離党する流れは、それがもはやピーター・ローヒード(元首相)のものではなく、彼が戦ってきたものへの回帰であると悟り、すぐに洪水になるだろう。」
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