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アルバータ州総選挙へ、まれに見る接戦か [アルバータ]

 アルバータ州のダニエル・スミス首相は5月1日、副総督公邸を訪問し、州議会の解散を上奏した。サルマ・ラカニ副総督はこれに同意し、29日の総選挙を公示した。解散時勢力は連合保守党60、新民主党23、無所属2、欠員2(定数87議席)。
 法律で次の総選挙は29日までに実施することが決められていたため、驚きはなく、各党は満を持して選挙戦に突入した。与党連合保守党は、対コロナ政策のまずさから低支持率にあえいでいたが、ケニー首相が辞任してスミス首相と交代すると支持率を上げ、その後は新民主党と抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げている。レジェ社が4月28日から5月1日にかけて1000人を対象に実施したオンライン世論調査によると、政党支持率は新民主党45%、連合保守党43%、アルバータ党4%、自由党3%、ワイルドローズ独立党1%となっており、近来まれに見る接戦になることが予想される。

 新民主党は、エドモントンとその周辺の20選挙区で優勢に立っている。いっぽう連合保守党は、地方の41選挙区で優勢となっている。カルガリーを含む残りの26選挙区が、今回総選挙の主戦場となろう。そのような事情で、連合保守党のスミス首相と新民主党のノトリー党首(元首相)の双方が演説をカルガリーで始めたのは、偶然ではないだろう。
 スミス首相は演説で、年収6万ドル以下のカテゴリーを新設し、彼らに20%の減税を約束した。ノトリー党首は、社会問題化している病院での長い待ち時間に対し、病院の新設、学校の新設、グリーンラインLRTの延伸を公約した。
 前回総選挙で小政党は一掃され、議会は完全な二大政党制となった。アルバータ党のバリー・モリシタ党首は、有権者が嫌っている候補や政党を阻止するため、彼らが好きでもない、最も力があると思われる党に投票するという行為が、小党の進出を阻み、議会をより対立的にしたと語った。
「多くの有権者が、二つのうちのどちらかという二者択一の選挙をしている。」
「真に重要なのは、問題を異なる視点から見るブルー(※保守党)でもオレンジ(※新民主党)でもない議員を議会に送ることだ。」
 自由党から出馬するドンナ・ウィルソン候補も、これに同意する。
「互いに泥を投げ合っている2つの政党より、もっと多くが必要だ。」
「彼らの力学ばかりに、焦点が当てられてきた。政府は本来何をすべきかという観点を、彼らは見失ったと思う。」

 マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるロリ・ウィリアムズ准教授は、総選挙の鍵はカルガリーにあると語った。
「勝利への全ての道はカルガリーを通る。新民主党の地方での支持は強くないので、彼らは相当な議席をカルガリーで獲得する必要がある。連合保守党も同様に、カルガリーでいくつかの議席を拾わなければ、勝利はおぼつかない。」
 カルガリー大学で経済学を教えるリンゼイ・テッズ准教授は、低所得者ほど税に敏感なので、スミス首相の公約は有権者の心に響くだろうと評価した。だが、それは不安定な石油ロイヤリティへの依存を高めることになり、この減税策は長続きしないだろうと警告した。また同じくカルガリー大学のトレバー・トンブ教授は「どこかで減税すれば、どこかで増税される」と懐疑的に語った。
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