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トルドー首相に辞任の声 [自由党]

 338カナダ社が11月5日に発表した政党支持率調査は、保守党40%、自由党27%、新民主党18%、ケベック連合7%、緑の党4%、人民党3%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、保守党205(169~226)、自由党83(58~114)、ケベック連合28(23~36)、新民主党20(12~34)、緑の党2(1~3)、人民党0(0~0)(定数338議席、括弧内は最小~最大)となり、今総選挙が実施されれば保守党が過半数を獲得するのが確実な情勢である。またレジェ社が10月29日に実施した世論調査では、トルドー内閣支持率30%・不支持率63%となった。一般に支持率30%以下は危険水域とされ、また不支持率63%はありえないほど高い。

 2022年の緊急事態法発動は、現行法で取り締まり可能であり不要だったとする意見が大勢となった。2021年の連邦議会総選挙では、中国による選挙干渉があったと認定されたにもかかわらず、首相の対応が十分でないという批判がある。ジョンストン前総督による調査が行われたが、前総督は首相と親しく、その答申も追及が足りないという声が挙がり、ジョンストン氏は辞任した。新民主党との閣外協力の条件だった歯科保険への対応は、まだ取りかかれていない。次の総選挙は、最も遅い場合で2025年10月20日だが、与党自由党は過半数割れで、新民主党が閣外協力を取り下げればいつ総選挙になるかわからない。

 自由党はあらゆる年齢層において、そしてケベックを除く全ての地域で保守党に差をつけられている。また女性は自由党支持者が多いことが知られているが、最近の調査は女性有権者も保守党を好んでいることを示している。自由党内からは、トルドー党首で次の総選挙は戦えない、辞任すべきだという声も挙がり始めた。
 仮に辞任するとしたら、次の党首は「トルドー政権で唯一有能な人物」フリーランド副首相だろうか。だが彼女はアルバータ生まれで、オンタリオ選出である。
 ケベック州での予想獲得議席は、自由党35、ケベック連合28、保守党14、新民主党1、緑の党0、人民党0(定数78議席)となり、ケベック州だけは自由党が首位に立っている。ケベック出身のトルドー首相を辞任させ、非ケベック人を党首にすることは、ケベックにおける優位を失うリスクと隣合わせだ。たとえ負けるにしても、トルドー党首なら大敗を免れるかもしれない。長く務めた首相が支持率低下のため辞任し、新しい首相に代わった場合、しばしば大敗することをカナダの歴史は示している。ボーデン首相の次のミーエン首相、ピエール・トルドー首相の次のターナー首相、マルローニ首相の次のキャンベル首相がそうだ。
 トルドー首相は、51歳でまだ若い。党首を辞任すればそこで終わりだが、たとえ負けても90議席以上獲れたら、党首に留まれるかもしれない。
 次もケベック人を党首にするなら、メラニー・ジョリー外務大臣や、フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ産業大臣が該当する。だが自由党には左派と右派があり、またケベック人と非ケベック人が交互に党首に就くジンクスがあり、現在は左派でケベック人のトルドーが党首だから、次は右派の非ケベック人になりそうだ。
 もしトルドー首相が辞任するなら、党首選を行う十分な時間を確保するため、2024年春までには決断しなければならないだろう。
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