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ダニエル・スミス氏、政界復帰 [アルバータ]

 連合保守党のジェイソン・ケニー党首(州首相)は、新型コロナ対策のまずさから人気を失っている。リサーチ・コ社が3月11日から13日までに実施した政党支持率調査は、新民主党45%、連合保守党30%、ワイルドローズ独立党8%、アルバータ党7%、自由党5%、緑の党3%、アルバータ独立党1%となり、このまま総選挙を迎えれば野党転落は必至の状況にある。ケニー党首は信任投票の前倒し実施に追い込まれ、4月9日にレッド・ディアでの大会で投票が行われる予定だったが、彼はこれを急遽5月18日までの郵便投票に差し替えた。

 このような状況で、ワイルドローズ党元党首のダニエル・スミス氏が4月1日、記者会見で政界復帰を発表した。彼女は連合保守党で、リビングストン-マクラウド選挙区の予備選に立候補し州議を目指すが、それだけでなく党首選出馬も視野に入れているという。
「党員たちが党首選を求めるなら、私は名のりを上げたい。」
 そして彼女は、信任投票の方法が急に変更されたことを批判した。
「党がレッド・ディアでの大会を中止したのは、重大な間違いだった。」
「党首が負けそうになると、党はそれをキャンセルした。」
「私の個人的経験から言えることは、それ(筆者注※郵便投票)は問題が多いということだ。」

 スミス氏は2009年、泡沫政党だったワイルドローズ同盟の党首に就任した。若くて美人で弁の立つ彼女は人気を博し、党を野党第一党の地位に押し上げたが、総選挙で一度も勝利できなかった。
 2014年、スミス降ろしの動きを察知すると、彼女は機先を制し、8人の議員とともに進歩保守党へ電撃的に移籍した。これは有権者への重大な裏切りとみなされ、彼女は進歩保守党の予備選に出馬したが落選し、政界引退に追い込まれた。

 彼女は記者会見で、7年前の決断について謝罪した。
「私がその経験から学んだことは、たとえ私にワイルドローズ党を立ち上げるうえで非常に大きな役割があったとしても、党は党首のものではないということだ。党は党員のものである。」
「それは大きな間違いだった。だがその過ちから学んだという事実が、この選挙区で再び私の名前を出し、この選挙区を代表するために私をより強くすると、私は考える。」

 スミス氏の発表について問われたケニー首相は、「スミス」の名を意図的に口にせず、彼女が党首として敗北した2012年州議会総選挙に言及した。
「私が連合保守党の党首であるうちは、『火の海』事件の再来を許さない。」
「その選挙で一つの保守政党が吹き飛ばされたのは、過激派を抑制すべき党首の怠慢ゆえである。それが、そこから人々が学んだことだ。」
 ワイルドローズ党のアラン・ハンスパーガー候補は、ブログに「同性愛者は死後も永遠に火の海で焼かれる」と書き批判されたが、スミス党首は何の処分も行わなかった。

 スミス氏の次にワイルドローズ党党首となったブライアン・ジーン氏は、党が2017年に合併したとき連合保守党党首選に出馬したが、落選し政界引退した。だがケニー首相の不評を見るや、3月15日の補選に出馬して当選し、政界に復帰した。彼は、ケニー党首は辞任すべきであり、その場合は自分が党首選に出馬すると明言している。
 政治評論家のジャネット・ブラウン氏は、ワイルドローズ党の元党首2人の動きをこう評した。
「ワイルドローズ党の元党首2人が、ケニー党首に反発して出馬するのを見るにつけ、伝統的な進歩保守党支持者とワイルドローズ党支持者の間に大きな溝があることを感じる。」
 レスブリッジ大学で社会学を教えるトレバー・ハリソン教授は、連合保守党内部の動きを次のように総括した。
「我々が今見ているものは、アルバータの保守運動を人々が何と呼ぼうと、持続する分裂である。」
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