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同性愛禁止のミッション系大学、ロースクール設立取り消しに [人権]

 トリニティー・ウェスタン大学(ブリティッシュコロンビア州ラングレー市)が、異性配偶者以外との性行為を禁じる誓約書を生徒に提出させていることを理由に、ロースクールの設立をブリティッシュコロンビア州とオンタリオ州の法律協会に拒否されていた問題で、連邦最高裁は6月15日、法律協会の措置を認める判決を下した。

 キリスト教に基づく教育を行う同大学は、全ての生徒と教職員に誓約書の提出を求めている。そこには「低俗な言葉の使用、嘘、欺き、盗み、ポルノ等品性を下げるもの、男女間の結婚の神聖さを汚す性行為」を慎むことが記載されている。
 同大学のロースクール設立は、ブリティッシュコロンビア州政府によって2013年に仮認可されたが、後に撤回された。不認可をめぐりオンタリオ州・ブリティッシュコロンビア州・ノバスコシア州で裁判となり、オンタリオ州裁判所ではLGBTに差別的であるという理由で不認可を是としたが、ブリティッシュコロンビア州裁判所では、具体的な危害の証拠がないかぎり大学には信条に従い行動する権利があると認められた。ノバスコシア州裁判所では、誓約書の変更を条件に認可された。
 連邦最高裁は7対2で、不認可措置を認めた。誓約書はLGBT生徒の入学を阻止する効果があるが、彼らのアクセスを確実にするために宗教を制限することは「バランスが取れ合理的である」と判断した。なお少数意見としてスーザン・コート裁判官とラッセル・ブラウン裁判官の2人は、法律協会は大学の管理方針を十分に考慮すべきで、その権限は制限されるべきだと主張した。

 ロースクール認可を進めてきた同大学のジャネット・バッキンガム教授は、大学のプログラムはうまく行っていて、多くの有用な卒業生を社会に送り出して来たと語った。
「我々は、これがカナダの多様性の損失だと思う。カナダは伝統的に、幅広い宗教的見解をもって多様性を支えてきた。今日の最高裁の判決には、非常に失望している。」
 彼女は、大学が取ることのできる対策の一つとして、誓約書の提出をやめることがあると述べた。
 キリスト教系「信教の自由研究所」のアンドリュー・ベネット理事は、最高裁は性的アイデンティティと宗教的アイデンティティの「想像上の対立」を促進したと語った。
「これは宗教的アイデンティティの問題ではなく、性的アイデンティティの問題でもない。これは基本的人権の、そして信仰的に生きる権利についての問題である。」
 彼は、判決は視野が狭く、個人が信仰の自由と良心の自由の間で悩まされることになるだけだと批判した。
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高橋幸二

 トリニティー・ウェスタン大学理事会は8月9日に投票を行い、異性配偶者以外との性行為を禁じる誓約書の提出を、次年度から生徒に要求しないことを決定した。
 教職員は引き続き、誓約書を提出しなければならない。
by 高橋幸二 (2018-08-17 16:34)