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アルバータ進歩保守党党首にプレンティス当選、次期首相に [アルバータ]

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 9月6日に実施されたアルバータ進歩保守党党首選で、ジム・プレンティス元環境大臣が当選した。彼は近日中に、アルバータ州首相に指名される。
 投票は一人の候補が50%を獲得するまで行われるが、プレンティス元環境大臣は第1回投票で17963票(76.8%)を獲得し、当選を決めた。2位はリック・マカイバー元運輸大臣の2742票(11.7%)、3位はトーマス・ルカスザック元副首相の2681票(11.5%)だった。
 勝利を決めたプレンティス氏は、こう演説した。
「この党首選の終わりは、アルバータの新しい始まりを意味する。我々は今日、政府への信頼を回復し、アルバータ州民が誇れるようになる仕事を始める。」
 2位に敗れたマカイバー候補は、落選したらワイルドローズ党に移籍するのではないかという噂を一蹴した。
「私がアルバータ進歩保守党の一員であり続けることを、約束しよう。私は、ジム・プレンティス次期首相を支えていく。2016年州議会総選挙で、私の名は進歩保守党候補者リストにあるだろう。」
 投票結果が発表されたあと、会場から姿を消したルカスザック候補は、ツイッター上でコメントした。
「全てのアルバータ州民とすべてのボランティアに、ありがとうと言いたい。私はどんな方法であれ、皆さんのために奉仕し続けて行く。」

 2012年の党首選で選挙管理委員を務めたスーザン・エリオットさんは、今回党首選を振り返りこう述べた。
「彼はアウトサイダーで、前政権に関与していない。」
 マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるデュエイン・ブラット教授も、こう述べた。
「求められているのはアルバータ出身の保守主義者であり、かつレッドフォード政権ともハーパー政権とも距離を置く人物で、真っ先にジョー・クラーク元首相が思い浮かぶが、彼はあり得ない。」
 プレンティス氏は、アルバータ州政治に関わったことはなく(1986年州議会選挙で落選)、一貫して連邦政界を歩いて来た。改革党ではなく進歩保守党出身者として、長くハーパー政権ナンバー2の位置にあったが、2010年11月突如引退し、銀行家に転進した。汚職まみれで評判の悪いレッドフォード前政権と関わりがない彼は、党首選をアウトサイダーイメージで戦い抜いた。しかもハーパー政権でインディアン問題担当大臣・産業大臣・環境大臣を歴任した彼の経歴は、アルバータ州政権が現在抱えているインディアン・石油ロイヤリティ・パイプライン汚染問題と、見事に一致する。
 州政治のアウトサイダーとはいえ、カルガリー選出議員として連邦政界のエリート街道を歩んで来た彼は、党首選で大多数の州会議員の支持を集めるとともに、一人で180万ドルもの資金を集め、圧倒的な集金能力を示した。マカイバー候補は42万ドル、ルカスザック候補は30万ドルを集めたにすぎなかった。

 プレンティス次期首相は現在州議会に議席を持っていないため、このままでは党首討論が行えないから、このような場合は若手議員が辞職して補選を行うのが通例である。現在州議会の欠員は、引退したレッドフォード前首相のカルガリー=エルボー選挙区だけだが、プレンティス氏は党首選の期間中、そこからは出馬しないと明言した。カルガリー=マッケイ=ノーズヒル選挙区選出のニール・ブラウン議員が、現在辞職の意向を表明しているが、プレンティス氏は6日、どの選挙区から出馬するかについて回答を拒否した。
 カナダは党首討論を重んじる伝統があり、与党党首である首相と最大野党党首には、公邸・公用車・公設秘書が与えられるなどの特典がある。首相や最大野党党首が補選に出馬したときは、党首討論を実現するため、他党は選挙運動を行わないのが慣例となっている。だが最大野党ワイルドローズ党のダニエル・スミス党首は、プレンティス氏がどの選挙区から出馬しようとも死力を尽くして戦うと語った。

【参照】 「No.2」プレンティス環境相が引退表明
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2010-11-05


写真:勝利のVサインを掲げるジム・プレンティス次期首相。
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