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ワイルドローズ党、政権奪取か [アルバータ]

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 アルバータ州議会総選挙が、4月23日に実施される。世論調査によると、41年続いた進歩保守党政権を倒し、もう一つの保守党であるワイルドローズ党(2011年に「ワイルドローズ同盟党」から名称変更)が際どく過半数政権を樹立すると予想されている。
 進歩保守党政権は41年もの間、11度の総選挙に連勝してきた。これは、1882年から1925年まで43年間続いたノバスコシア州自由党政権と、1943年から1985年まで42年間続いたオンタリオ州進歩保守党政権に次ぐ記録である。前者は連続10回、後者は連続12回の総選挙に勝利した(※進歩保守党は1985年の総選挙でも第一党だったが、政権を失った)。
 だがカナダではポピュリズムの影響が強く、有権者は移り気である。アルバータ州を除いて、5期以上の長期政権は1980年以降、存在していない。現時点ではブリティッシュコロンビア州、オンタリオ州、ケベック州、ニューファンドランド&ラブラドル州の4州による3期目の政権が最も長期だが、ニューファンドランド&ラブラドル州以外は人気を失っており、4選されそうにない。

 多くの批評家は、ワイルドローズ党の政権は長続きしないだろうと予想している。同党はまだ新しく、その人気はダニエル・スミス党首のルックスに多くを依存しており、その政策は場当たり的だというのである。
 カナダには、伝統的に「良心の自由」という概念がある。出産しようと中絶しようと、同性で結婚しようと、離婚しようと、キリスト教式であろうとなかろうと自由であり、結婚委員会や医師はその自由を拒否できないとする考えである。
 しかしスミス党首は、もし政権を獲得したら現存の州人権委員会を廃止し、それとは別の、州裁判所から独立した「真の裁判所において真の法律家が、真の法律に基づき決定する」システムを構築すると明言している。そして昨年の党大会で採択された綱領には、「結婚委員会や医療専門家の『良心の自由』を確保するため、法律制定に尽力する」と定められている。ワイルドローズ党にとって「良心の自由」とは、結婚や中絶をする個人にではなく、それを審査する委員会に(拒否する自由が)あるというのである。
 スミス党首は4月4日、記者に「良心の自由」について質問されると、
「アルバータ州民が私に望んでいることは、権利のバランスが取れた状態ではないでしょうか。私はそれらの権利を、住民の信託を受けない裁判官の手から取り上げ、真の裁判官に移します。そこでは原告と被告が、平等の権利を持つのです」
と述べ、回答を避けた。
 これを聞いてアリソン・レッドフォード首相は、
「本当に驚きました。私は個人の信条は尊重しますが、それは個人が尊厳をもって扱われる州に暮らしていればこそです。私たちの社会は多様性を尊重しなければならないし、そこでは誰もが安全で、かつその一員に含まれていると理解するものです」
と語った。
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