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「ピーゲート事件」:顧客のカップに放尿した保守党候補、公認取り消しに [2015年下院選]

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 保守党のジェリー・バンス候補が、家屋施工業者だった3年前に顧客のマグカップに放尿していたことが発覚し、公認を取り消された。新たな候補は、まだ発表されていない。
 CBCテレビは2012年、悪質な家屋施工業者を糾弾する目的で、「マーケットプレイス」という番組を放送した。その中で、番組に登場した業者「ジェリー」は、CBCが用意したおとり主婦の家に訪問し、彼女が席を外している間に、隠しカメラがあることを知らず、キッチンシンクに置かれていたマグカップに放尿した(ペニスは映っていない)。彼はそれから尿をシンクに流し、マグカップを水ですすぎ、シンクに置き去りにした。この人物が、トロントのスカボロー=ルージュパーク選挙区に保守党から立候補しているバンス候補だという情報が9月6日に寄せられ、保守党は翌日、公認を取り消した。彼は2006年と2008年にも同じ選挙区から出馬し、2位で落選している。
 バンス候補は、「エクスプレス機器サービス」を25年間経営してきた。彼は声明で、次のように述べた。
「私がその日とった行動を、深く後悔している。私は仕事に誇りを持っている。その日起きたことは、私のプロとしてあるいは人としての評価を反映するものではない。3年前にとった30秒の行いは、私の人生をすっかり変えてしまった。」
「私には健康上の事情があり、緊急を要する状況にあった。」
 だが彼は、「健康上の事情」が何であるかについて、具体的に説明しなかった。そして立候補の辞退は、自主的な決定だったと強調した。

 事件は、ハーパー首相がトロントに遊説に入る前日に発覚した。翌7日には、トロント=ダンフォース選挙区のティム・デュトード候補が身体障害者を嘲る動画をアップロードした件で、公認を取り消された。ハーパー首相は7日にトロントに入ったが、この2人の候補についてコメントを求められ、こう答えた。
「我々は候補には非常に高い基準を求めていて、この2人はもはや公認候補ではないということだ。」
 レイバーデー・パレードのためトロント入りしていた新民主党のマルケア党首は、ユーモアたっぷりにこう述べた。
「これは、保守党からの予期せぬマグショット(※犯罪者の写真)だ。」
「これは、ハーパー首相のトリクルダウン(※したたり落ちる)経済理論に精通した人に違いない。」

 ツイッター上では、この「ピーゲート事件」をめぐり悪ふざけ投稿が相次ぎ、祭になっている。
「6歳の娘がパンツを穿いたまま粗相をしてひどく落ち込んでいたので、マグカップにしなかっただけましだよと慰めてやった」
「今後は、コーンフレークにおしっこしたのは誰かときかれたら、保守党候補だよと答えるのが適切な対応だ」
「こんなことが許されるのは、マイク・ダフィーのキッチンだけだ」
「カナダ保守党(Conservative)は、もはや進歩保守党(Progressive Conservative)ではない。バンス候補は『ラージP』なのか『スモールp』なのか、はっきりさせてもらおうじゃないか」(筆者注※「ラージC」は固有名詞としての保守党員で、「スモールc」は普通名詞としての保守系のこと)
などのほか、しまいにはJerry Bance's Mugを名乗る人物が現れ「インタビューに応じる用意がある」とつぶやく始末である。ほかにも、マグカップを持ったバンス候補とハーパー首相が並ぶ合成写真「マグショット」や、保守党の選挙ポスターのパロディで「ハーパーに投票しよう さもないとお前のマグカップに放尿するぞ!」などの画像も作成された。


写真:番組でマグカップに放尿する寸前のバンス氏。

●問題の動画
http://www.cbc.ca/marketplace/episodes/2012-episodes/when-the-repairman-knocks
23分40秒あたりに放尿シーン。
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ブリティッシュコロンビアが鍵を握る選挙 [2015年下院選]

 カナダは国土が東西に非常に広く、総選挙の開票は東部から順に行われる。中部2州の人口と議席が多いことから、西部では投票する前に結果は決まっていると言われる。
 1974年以降で12回の総選挙があったが、そのうち10回は、ブリティッシュコロンビアの行方に関係なく結果がすでに決まっていた。例外の一つは1979年総選挙で、ブリティッシュコロンビアの開票前では、保守党117議席に対し自由党113議席と接戦だったが、最後のブリティッシュコロンビアの開票で、自由党1議席に対し保守党が19議席を上積みし、勝利を確実にした。もう一つの例外は2006年総選挙で、ブリティッシュコロンビアの開票前では、保守党107議席に対し自由党94議席だったが、最後のブリティッシュコロンビアの開票で、保守党17議席に対し自由党9議席と、あと一歩及ばず逆転はならなかった。
 東部とケベックと中西部の3地域は、それぞれが三大政党の異なる一つずつを支持している。まず最初に東部が開票されると、自由党が頭一つ抜きん出る。それからケベックでは半数以上の議席が新民主党のものになり、オンタリオでは三大政党が三つ巴の混戦を繰り広げ、中西部では大多数の議席が保守党のものになる。かくして今年の総選挙の命運は、ブリティッシュコロンビアに委ねられることになる。
 最近の世論調査に基づくと、新民主党は中西部の開票が終わった時点で約150議席を手中にしている。過半数まではあと20議席である。ブリティッシュコロンビアの定数が42で、新民主党の支持率を考慮すれば、それは決して無理な数字ではない。
 保守党は中西部の開票が終わった時点で、最大で155議席を手中にしている。その場合、過半数まであと15議席足りないが、2011年総選挙においてブリティッシュコロンビアで17議席を獲得したことを考慮すると、あながち不可能な数字でもない。
 自由党は中西部の開票が終わった時点で、最大で113議席を手中にしている。過半数は絶望的だが、少数政権ならありえないでもない。
 いずれにしても今年の総選挙は、ブリティッシュコロンビアが最後の鍵を握る選挙になるだろう。
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【世論調査】新民主党、過半数獲得の見込み [2015年下院選]

 フォーラム・リサーチ社が8月23日と24日、1440人のカナダ人を対象に実施した世論調査は、マイク・ダフィー上院議員の裁判で保守党の支持率が急落する中、新民主党の支持率が史上初めて40%に達し、過半数を獲得する見込みを示した。
 各党の支持率は、新民主党40%、自由党30%、保守党23%、緑の党3%、ケベック連合3%。ここから導き出される予想獲得議席数は、新民主党174、保守党87、自由党76、緑の党1、ケベック連合0(定数338)となり、新民主党が過半数をわずかに上回ることになった。
 世論調査は、ダフィー裁判の公判中かつ世界同時株安の真っ只中で実施された。支持率を地域別に見ると、東部では自由党が47%と失地を回復し、以下新民主党27%、保守党21%と続く。
 ケベックでは、新民主党が54%と圧倒的に支持され、自由党19%、ケベック連合14%、保守党11%に大差をつけた。この数字はケベック連合が1議席も獲れないことを示しており、そうなればケベック連合が獲れそうだった選挙区はあらかた新民主党のものになりそうで、政権死守を期す保守党にとってはより悲惨な結果となる。
 大票田オンタリオでも、新民主党は36%と首位の座を奪い、自由党は33%でほぼ横ばいだが、保守党は首位からすべり落ち26%の3位に転落した。
 保守党のお膝元アルバータでは、保守党は42%と有意なリードを保っているが、新民主党は32%で有力な2位につけ、アルバータで嫌われている自由党ですら22%も支持されている。
 マニトバとサスカチュワンでも、新民主党は41%と首位に立ち、保守党と自由党の28%をリードしている。
 ブリティッシュコロンビアでも、新民主党は39%で、自由党の32%、保守党の21%に対し頭一つ抜きん出ている。

 2011年に保守党に投票した有権者のうち、今回19%が新民主党、19%が自由党に投票する。2011年に自由党に投票した有権者のうち、今回は28%が新民主党に投票する。2011年に新民主党に投票した有権者のうち、今回は17%が自由党に投票する。2011年に自由党に投票した有権者のうち6%と、新民主党に投票した有権者のうち3%は、今回保守党に投票する。ここからわかることは、他党から保守党に流れる票は非常に少ないが、保守党から他党に流れる票は非常に多く、さらに新民主党には自由党から入る票も、出て行く票に比べて多いということである。
 支持する政党に投票すると回答した人は61%で、与党を倒せる党に投票すると回答した人は27%だった。9%は、その他の理由で投票すると回答した。
 与党を倒すために戦略的投票(本来支持していない党への投票)すると回答した人の、40%が新民主党、27%が自由党に投票すると回答した。2011年に保守党に投票した人の19%、自由党に投票した人の29%、新民主党に投票した人の33%は、今回戦略的投票を行うと回答した。
 31%の有権者は今回、2011年総選挙とは異なる党に投票する。この傾向は左派政党支持者の間で顕著に見られ、今回新民主党に投票する人の38%と、自由党に投票する人の38%がそうである。今回保守党に投票すると回答した人の、わずか11%が前回別の党に投票した。2011年と今回の総選挙で、同じ党に投票すると回答した人は、半数以下の49%しかいない。
 政権交代を投票の最大要因と回答した人は18%で、政策で投票すると回答した人は41%だった。党首で選ぶ人は15%、候補者で選ぶ人は11%だった。
 政策を基準に投票する人は、保守党支持者に最も多くその53%で、自由党支持者に最も少なくその35%だった。

 フォーラム・リサーチ社のローン・ボジノフ社長は、次のように述べた。
「これは新民主党にとって、最初の政権だけにとどまらず過半数に手が届くまでに至った、歴史的な日だ。保守党への支持は、以前には想像もできないほどそのベースまで落ちた。保守党の支持率は長い間、28から29%程度で安定していた。これが彼らのベースだろう。保守党は長銃登録制やその他のいろいろで、ベースの支持者に気をつかってきたが、彼らは今様々な問題にいらついているようだ。そして自由党は、死の淵から戻ってきた。彼らにとって残念なことに、支持率回復は、彼らを3位から飛躍させない。我々がここで目にしているのは、ダフィー裁判が保守党ブランドを腐食した結果であり、そしてカナダの全ての左派が新民主党の旗の下に集結している事実である。」
 だが彼は、まだ投票日まで7週以上もあり、まだまだ変わる余地はあると付け加えた。
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【世論調査】新民主党依然首位、保守党は浮動票を見込めず苦しい戦いに [2015年下院選]

 フォーラム・リサーチ社が8月20日、1473人のカナダ人有権者を対象に実施した世論調査は、ダフィー上院議員の裁判の影響か、3党デッドヒートから新民主党が頭一つ抜き出た状態を示した。
 政党支持率は新民主党34%、保守党29%、自由党28%、ケベック連合4%、緑の党4%、その他1%となった。ここから導き出される獲得議席数は、新民主党133、保守党123、自由党79、ケベック連合2、緑の党1(定数338議席)となり、新民主党が少数政権を樹立する見込みを示している。
 最も首相にふさわしい人物のアンケートでは、マルケア党首(新民主党)が29%、ハーパー首相(保守党)24%、トルドー党首(自由党)が21%、メイ党首(緑の党)が9%、デュセップ党首(ケベック連合)が4%、「選択肢の中にはいない」が7%となった。

(1) 地域性の偏り
 地域別の支持率は、東部では新民主党39%、自由党32%となり、自由党は全国唯一の地盤を失った。オンタリオでは保守党33%、自由党32%、新民主党31%と、3党が競り合っている。ケベックでは新民主党40%、自由党23%、ケベック連合17%、保守党16%となり、新民主党が有意な差を保っている。マニトバとサスカチュワンでは保守党42%、新民主党28%、アルバータでは保守党47%、新民主党27%と、保守党が大きくリードしている。ブリティッシュコロンビアでは新民主党39%、自由党28%、保守党24%と、新民主党が頭一つ抜き出ている。

(2) 年齢と性の偏り
 34歳以下の若年層では、新民主党が44%で最も支持されているのに対し、65歳以上の高齢層では、保守党が41%で最も支持されている。35~54歳の中年層では、自由党が34%で最も支持されている。
 新民主党の支持が男性17%・女性35%と女性に偏重しているのに対し、保守党は男性36%・女性24%と男性優位を示した。自由党支持は、男性38%・女性32%と偏りが見られなかった。

(3) 移ろいやすさ
 過去に保守党に投票したことのある人のうち、今回は12%が自由党、13%が新民主党に投票する。過去に自由党に投票したことのある人のうち、今回は24%が新民主党に投票する。過去に新民主党に投票したことのある人のうち、今回は16%が自由党に投票する。
 過去に自由党に投票したことのある人のうち、今回は保守党に投票するのは5%、過去に新民主党に投票したことのある人のうち、今回は保守党に投票するのは4%と非常に少ない。前者は、革新の新民主党政権を阻止するため保守党に投票する自由党右派「ブルー・リベラル」とでもいうべき存在である。
 連邦議会に議席を持つ党は、大政党3と小政党3の計6つだが、右派政党は保守党しかない。保守党支持者の77%、自由党支持者の63%、新民主党支持者の55%は、それぞれの党を「強く支持する」と回答した。
 保守党を第2候補とした人は、わずか8%だった。これは、保守党の支持率29%と合わせても彼らの最大支持率が37%にしかならないことを意味し、過半数獲得はほとんど不可能である。いっぽう自由党と新民主党は政策的に近いことから、互いの支持者はそれぞれもう一方へのスイッチが容易で、自由党を第2候補とした人は25%、新民主党を第2候補とした人は23%と大きな数字となっている。これは、最大支持率が自由党53%、新民主党57%であることを意味する。
 自由党支持者の17%と、新民主党支持者の18%は緑の党を第2候補とした。
 保守党に絶対に投票しない人は45%で、自由党に絶対に投票しない人13%、新民主党に絶対に投票しない人14%と比べると、異様に多い。保守党支持者のうち、自由党に絶対に投票しない人は30%、新民主党に絶対に投票しない人は40%だった。
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新民主党、エグリントン=ローレンス選挙区でトムソン元財務大臣を擁立 [2015年下院選]

 新民主党は8月14日、サスカチュワン州のアンドリュー・トムソン元財務大臣を、オンタリオ州エグリントン=ローレンス選挙区の候補として擁立すると発表した。彼はこの選挙区で、現職の財務大臣ジョー・オリバー氏と激突する。
 新民主党のマルケア党首は、次のように述べた。
「我々は、議会で予算を作成する役人を首相が罷免できる権限を廃止し、彼らを監査長官のような独立した存在にする。政府が財務情報を国民から隠すことができないよう、法律を透明化する。」
「新民主党のアンドリュー・トムソンは、エグリントン=ローレンスの人々に、ジョー・オリバー財務大臣が成しえなかった均衡財政を提供する。」
「ハーパー首相は、予算庁の独立性を徐々にむしばみ、予算の詳細の公表を妨げるため裁判で争った。」
 予算庁のケビン・ページ氏は2008年、財政赤字の可能性と不況について警告したが、保守党政権はこれらを否定し続けた。彼は2011年には、F35戦闘機は政府の見積もりよりずっと高価であると忠告した。2012年には老齢年金支給条件の厳格化に反対し、保守党政権との対立が決定的になった。すると政府は予算削減・人員削減を含む綱紀粛正を断行したため、彼は保守党政権を告訴した。

 トムソン元財務大臣は、1995年サスカチュワン州議会に初当選し、新民主党政権で要職を歴任した。エネルギー・鉱業大臣としては、石油・天然ガス採掘を活性化させるためロイヤルティを引き下げ、原油価格の引き下げに成功した。情報テクノロジー大臣としては、大学構内に無料wi-fiを導入するなど、州人口の86%に高速ブロードバンドを提供した。文部大臣としては、サスカチュワンの新卒者がサスカチュワンで就職した場合、5年間で最高10万ドルの税額控除を提唱した。そして財務大臣としては、増収にともない州消費税・資産税・法人税の大規模な減税を断行した。野党は財政破綻を懸念したが、彼は州財政を黒字に保つことに成功した。
 2007年に政界を引退し、故郷サスカチュワンを去ってトロントの民間企業に勤めていた。

 エグリントン=ローレンス選挙区は、1979年の創設以来自由党が30年以上保持してきた鉄板選挙区だが、2011年総選挙で保守党が奪取した。新民主党は2位になったことさえなく、2011年の得票率は11.6%だった。
 新民主党が有名候補を擁立すると、左派票の分断を招き、保守党候補の当選をたやすくするだけではないかという懸念を、トムソン元財務大臣は一蹴した。
「世論調査を見ればわかるとおり、今回総選挙は与党保守党と、新たな政権を築く新民主党の戦いである。この選挙区も例外ではない。」
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サイ党がティム・ホートンズの国有化を公約 [2015年下院選]

 サイ党のセバスティエン・コリノ・コリボー(Sébastien CôrRhinô Corriveau)党首は8月17日、モントリオールの路上で記者会見を行い、ティム・ホートンズの国有化と、カナダの首都をその中心であるオンタリオ州カプスケーシング(人口8200人)に移すことを公約した。サイ党が政権を獲得したあかつきには、公約はもちろん反故にされる。
 旧サイ党は1963年、政治を諷刺する目的で結成された。サイ党候補は選挙区でしばしば次点となり、三大政党候補者に恥をかかせた。全盛期には120人の候補を擁立し、1984年連邦議会総選挙では緑の党などを凌ぎ、議席のない党としては最大となる第4位の票を獲得するなど旋風を巻き起こしたが、1993年に選挙法が改正され、候補者一人につき1000ドルの供託金提供が義務づけられたため解散した。
 旧サイ党のフランソワ・ヨグールは2006年「ネオ・サイ党」を旗揚げし、2008年連邦議会総選挙で7人、2011連邦議会総選挙では名称を「サイ党」に改め14人の候補を擁立したが、全員落選している。
 コリボー党首はこの日、モントリオールのティム・ホートンズで記者会見を予定していたが、追い出されたため近くの路上で会見を行った。
「我々にはまだいくつかの選挙区が残っているが、現在75から80人の候補を擁立している。」
「私は、サイ党の安定多数政権を取り戻す。」
 そして、保守党を離党し自由党予備選で敗退したイブ・アダムス議員について、トロントのどの選挙区でも提供可能で、本人が望むならいつでも予備選で不正を行う用意があると語った。また「コリボー党首に近い匿名の関係者」は、現職議員を持てばサイ党は初めてテレビ討論に招待されるだろうと語った。
 なおティム・ホートンズは、カナダのホッケー選手ティム・ホートンが1964年に創業したドーナツ店だが、2014年にバーガーキングに買収されアメリカ資本となっている。
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各州の情勢 [2015年下院選]

 「有効政党数=定数+1」というデュベルジェの法則にもかかわらず、小選挙区制のカナダは多党制となっている。国土が東西に広いカナダは、地域ごとに気候や産業の違いが大きく、地域ごとに異なる二大政党の戦いになっているからである。

(1) 東部(大西洋地域)
 東部は移民が少なく、カナダの他地域より保守的である。東部はレッド・トーリー(保守左派)の勢力が最も強い地域である。
 だが保守党は雇用保険の適用を厳格化したため、この地域で支持を減らしている。ニューファンドランド&ラブラドル州からはすでに締め出され、プリンスエドワード島州4議席のうちわずか1議席を持っている。ノバスコシア州では11議席のうち4議席、ニューブランズウィック州は10議席のうち8議席を占めているが、いずれも危険に晒されている。
 自由党は、東部全域で圧倒的に支持されている。
 新民主党は、ノバスコシア新民主党政権の不評が響いているが、保守党が現有するノバスコシア州サウスショア=セント・マーガレッツ選挙区とニューブランズウィック州マダワスカ=レスティグーシュ選挙区、無所属のニューファンドランド&ラブラドル州アバロン選挙区を奪取する望みがある。

(2) ケベック
 コンコルディア大学で政治学を教えるミレイユ・パケ教授は、新民主党の支持の上昇は、ケベック政治の価値軸が分離主義対連邦主義から保守対革新に変わっていることを示しているという。彼女は「多くのケベック人が自らを革新と定義する以上、新民主党支持が自然な選択だろう」と語った。
 保守党は、ケベックで数議席を獲るのがやっとだろう。
 自由党は、カナダの多くの地域では左派と見られているが、ケベックでは保守的と見られている。トルドー党首はケベック人であるにもかかわらず、彼の父が1982年憲法でケベックの期待を裏切ったことで、自由党は牙城モントリオールの外へ進出するのに苦労している。
 ケベック連合は、デュセップ党首の復帰にもかかわらず党勢回復の兆しを見せていない。

(3) オンタリオ
 北部では新民主党が強く、都市部では自由党と新民主党が争い、郊外では保守党が強い。オンタリオ州は今回総選挙から15議席増加するが、そのほとんどは保守党が強い郊外の選挙区である。
 だがヨーク大学で政治学を教えるデニス・ピロン教授は、昨年の州議会総選挙でオンタリオ自由党が勝利したことは、住民の多くがリベラルであることを示していると指摘した。
 保守党を負かそうと思う有権者は、伝統的に自由党に投票してきた。しかし世論調査での新民主党の人気は高く、今回は事情が違うかもしれないとピロン教授は語る。
 オンタリオの趨勢は、というより総選挙自体の命運は、次の2点にかかっている。一つは保守党が議席をどれだけ維持できるか、もう一つは保守党が取りこぼした議席をどの党が拾うか、である。

(4) 中西部(プレーリー)
 ウィニペグ大学で政治学を教えるアレン・ミルズ教授は「プレーリーと言うとあたかも3州が同じであるかのように聞こえるが、マニトバはサスカチュワンでもアルバータでもない」と言う。
 保守党は中西部全域、特に農村で圧倒的な人気を誇る。だがマニトバ州は、今はなき進歩党の根拠地で、左派にも望みはある。
 新民主党は、マニトバ新民主党政権の不評が響いているものの、ウィニペグのエルムウッド=トランスコーナ選挙区は23年間保持した選挙区であり、奪回できる高い可能性がある。
 だがウィニペグは自由党にとっても望みのある地域で、ウィニペグ・サウス選挙区、ウィニペグ・サウス・センター選挙区、サン・ボニファス選挙区は奪取できる可能性が高い。
 サスカチュワン州では従来、都市部と郊外が一つの選挙区として合体しており、それらの選挙区は保守党が優勢だった。ところが区割りを変更した結果、都市部だけの選挙区が創設された。新民主党は大都市レジャイナとサスカトゥーンで、議席増が望めそうだ。
 アルバータ州は保守党の牙城で、接戦になることはほとんどない。2004年は2議席を除く全議席、2006年は全議席、2008年と2011年は1議席を除く全議席が保守党のものになった。
 解散時にはアルバータに非保守党議員が2人だけいたが、どちらもエドモントン選出である。そしてカルガリーは、1968年以降保守党以外の当選者を出していない。
 だが州内屈指の大都市であるカルガリーのカルガリー・センター、レスブリッジ、カルガリー・スカイビューとエドモントンのエドモントン・ミル・ウッズの4選挙区では、自由党が11年ぶりに議席を獲得できそうだ。
 新民主党は、2015年州議会総選挙での躍進に乗じたいだろうが、マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるドエイン・ブラット教授はこれを疑問視する。
「新民主党の躍進はエドモントンではあるかもしれないが、カルガリーであるとは思わない。アルバータ新民主党は、保守票が進歩保守党とワイルドローズ党に分散したことで圧勝できたが、連邦新民主党は統一されたカナダ保守党を相手に戦わなければならない。」

(5) ブリティッシュコロンビア
 バンクーバー島は、緑の党が強固な地盤を持つ唯一の地域である。エリザベス・メイ党首は、サーニッチ=ガルフ・アイランズ選挙区を維持できそうだ。ビクトリア選挙区は、2011年総選挙で当選した新民主党候補の得票率37.17%に対し、緑の党候補が34.3%で惜敗しており、今回も激戦になりそうだ。
 バンクーバーとトロントには、共通性がある。どちらも移民が多い。郊外では保守党が強く、ダウンタウンでは新民主党対自由党という構図になっている。
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新民主党ケベックとBCでリード、オンタリオで3位でも政権奪取 [2015年下院選]

 ナノス・リサーチ社が7月11日から8月7日にかけて、18歳以上のカナダ人1000人を対象に実施した電話世論調査は、政党支持率が保守党31.2%、新民主党30.4%、自由党28.6%、緑の党5.0%、ケベック連合4.2%となり、依然として上位3党による接戦が続いていることを示した。
 ケベックでは新民主党が39.2%で、自由党の28.4%に有意なリードを保ち、ケベック連合の16.9%・保守党の12.5%に対し大きく差をつけている。ブリティッシュコロンビアでは新民主党が40.5%で、自由党の28.7%・保守党の25.6%に大きくリードを広げた。中西部では保守党が55.9%、東部では自由党が48.1%と、一人勝ちの様相を呈している。
 このままの状況で10月19日の投票日を迎えたら、新民主党は、ケベックで前回獲得した59議席のほとんどを維持し、ブリティッシュコロンビアでは前回獲得した12議席にさらに上積みすることになるだろう。だが3党デッドヒートから抜け出すためには、最大の議席を有するオンタリオが鍵となる。
 オンタリオでは保守党37.0%、自由党29.3%、新民主党25.6%と、保守党が頭一つ抜け出た状態で、新民主党は3位に沈んでいる。とはいえ他州の状況に鑑みれば、新民主党は第一党となり政権奪取するには、オンタリオで32議席獲ればいいことになる。
 新民主党のアドバイザーは、グレーター・トロントで彼らが奪取できそうな、おもに保守党が現有するスカボロー、ミシサウガ、ピールの選挙区や、前回州議選で奪取したオンタリオ南西部をターゲットにしている。
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ブルージェイズ22年ぶりに首位、政治との奇妙な符合 [2015年下院選]

 トロント・ブルージェイズは8月12日、オークランド・アスレチックスに勝利し、10連勝を飾った。ア・リーグ東地区の首位ニューヨーク・ヤンキースはクリーブランド・インディアンスに敗れ、5連敗となりブルージェイズに首位を譲った。
 7月28日時点では、ブルージェイズは首位ヤンキースに8ゲーム差を付けられ4位に沈んでいた。ブルージェイズが8月以降で首位に立つのは、ワールドシリーズを制した1993年以来のことである。
 私がトロントに住んでいた22年前、ブルージェイズは常勝チームだった。ワールドシリーズ第6戦、ジェイズの4番ジョー・カーターが9回裏に奇跡の逆転サヨナラ3ランホームランを放ち、シリーズ制覇を決めたのは1993年10月23日のことだった。
 その興奮冷めやらぬ2日後、カナダ人は連邦議会総選挙の投票日を迎えた。野党自由党は地すべり的圧勝を収め、与党進歩保守党はわずか2議席と歴史的大敗を喫し、党勢を二度と回復することなく消滅した。カナダ政治史上に残る、劇的な「逆転サヨナラ」であった。
 自由党はその後、連続3選を果たす。そして西部の新党改革党は、52議席と躍進した。このときマニフェストを作成したのは、若き日のスティーブン・ハーパーである。彼は今連続3選を果たしており、10月の総選挙で4選目に挑む。ブルージェイズはその後22年間、一度も地区優勝することなく、万年Bクラスに甘んじた。
 ブルージェイズがワールドシリーズを初めて制したのは、その1年前の1992年10月25日だった。テレビで解説者が“Welcome to Canada. World series.”と言ったのを、今でも覚えている。そしてワールドシリーズ制覇の翌日、カナダ人は憲法改正を問う「シャーロットタウン協定」の国民投票に向かった。シャーロットタウン協定の骨子は、一つはケベックを「尊重されるべき独自の価値」と認めることと、もう一つは上院改革だった。そして23年後の今も、上院議員の相次ぐスキャンダルにより、上院改革が叫ばれている。

 連邦議会総選挙が実施された22年前、オンタリオ州の首相は新民主党のボブ・レイだった。戦後最大と言われた不況の中で、人々の予想に反し革新政権がスタートした。
 そのとき連邦新民主党は、新しい党首オードリー・マクラフリンを迎えていた。議席を持つ党として初の女性党首となった彼女は、世論調査で支持率1位となり、政権奪取に燃えていた。総選挙に勝つにはケベック進出が重要だと考えた彼女は、シャーロットタウン協定支持に回った。だがケベックに基盤のない新民主党が協定を支持したのは、戦略的に誤っていた。西部を地盤にしているにもかかわらずケベックに媚を売ったため、西部の支持者のかなり多くが右翼の改革党に投票した。そして連邦新民主党は、ケベック新民主党と提携解消するに至り、ケベックでの拠点を失った。オンタリオ州でもレイ州政権の不評が響き、連邦新民主党は総選挙でわずか9議席と、結党以来最低の大敗を喫した。カナダの歴史は、ケベック民族主義者に譲歩した者は例外なく破滅することを示している。マクラフリンは、ケベック進出を目指して民族主義者に媚を売り、オンタリオでも振るわず、政権奪取できなかった。
 それから22年後、原油価格の暴落で不景気に陥ったアルバータ州に、新民主党政権が発足した。そのとき連邦新民主党は、新しい党首トム・マルケアを迎えていた。彼のもとで新民主党は支持率1位となり、政権奪取がささやかれている。
 新民主党は歴史的にケベックに基盤がなく、2008年連邦議会総選挙で(マルケア氏自身が)1議席を獲得したのが17年ぶり2度目だったことが話題になったほどだが、2011年連邦議会総選挙では59議席を獲得し、第一党となっている。
 今回総選挙では、新民主党がオンタリオでどれだけ食い込めるかが勝敗の鍵を握っている。マルケア党首は、かつてケベック連合を支持してきた独立志向の労組ケベック労連の支持を受け入れた。歴史は果たして、繰り返すだろうか。
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17歳の女子高生、史上最年少で立候補を目指す [2015年下院選]

image.jpg 17歳の女子高生が、史上最年少で下院選挙に立候補しようとしている。
 彼女の名は、カサンドラ・ポワトラ。総選挙投票日の10月19日に、18歳の誕生日を迎える。彼女は緑の党の候補者として、ケベック州ロンゲイユ=サンテューベル選挙区から出馬しようとしている。
 党の規則により、候補として擁立されるためには有権者100人の署名を集めなければならないが、関係者はそれは難しいことではないという。もし立候補できれば、彼女の誕生日を考慮すると、二度と破られることのない史上最年少の候補となるだろう。
 彼女が政治に関心を持つようになったのは、2013年にケベック州ラック・メガンティックで起きた列車爆発事故がきっかけだった。彼女はそれから、ダニエル・グリーン副党首のボランティアとして働くようになった。
 彼女は、ラジオ・カナダの番組でこう語った。
「私には、失うものは何もありません。でも私には自信があります。私は十分な教育を受けています。私は、変革をもたらすことができます。」
「他候補は、私より少しばかり多くの経験があるでしょう。でもそれは、私の考えが彼らに劣っていることを意味しません。」
 この選挙区の現職は新民主党のピエール・ナンテル議員で、2011年総選挙で51.9%の票を獲得した。緑の党の候補は、得票率1.98%だった。
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ケベック最大の労組が新民主党支持を表明 [2015年下院選]

 ケベック最大の労働組合「ケベック労連」(FLQ:Fédération des travailleurs et travailleuses du Québec)加盟組合の一部が8月11日、長年のケベック連合への支持を取り下げ、新民主党支持を表明した。
 ケベック労連には37の加盟組合があり、会員数は60万人で、ケベックの組合員の44%を占める。ケベック労連は90年代初めから、連邦議会選挙においては常にケベック連合を支持してきた。ところがセルジュ・カデュー事務局長は、ケベック労連自体は公的には特定の政党を支持しないが、加盟組合の2つが新民主党支持を表明したと発表した。
 分離主義のケベック連合を支持してきた労組に支援されると、ケベック以外で反発を買うのではないかという推測に対し、新民主党のマルケア党首は、たとえ彼らが過去に分離主義政党を支持していたとしても、新民主党はすべてのケベック州民を歓迎すると語った。
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ハーパー首相、勝っても負けても辞任か [2015年下院選]

 グローブ&メイル紙のジョン・イビットソン記者は、近く出版される伝記「スティーブン・ハーパー」において、ハーパー首相は総選挙に勝っても負けても辞任するだろうと述べた。この本は9月に出版される予定になっていたが、解散・総選挙によって8月18日電子書籍として発売されることになった。
 著書によると、ハーパー首相は最悪でも少数政権か、場合によっては過半数も可能だと考えているという。もし過半数割れの少数政権の場合は、政権運営は困難なため1年ほどで辞任するという。もし過半数の場合でも、2年ほどで辞任し後任に道を譲るのだという。そしてもし総選挙に敗北し下野する場合は、即座に党首を辞任するという。
 ハーパー首相はすでに3期9年務めており、次の総選挙に勝利すればカナダ史でも稀な連続4選の偉業を達成する。連続4選は1878・1882・1887・1891年のマクドナルド首相(保守党)と、1896・1900・1904・1908年のローリエ首相(自由党)だけだ。なおキング首相とサン=ローラン首相(自由党)が1935・1940・1945年と1949・1953年で連続5選、ピアソン首相とトルドー首相(自由党)が1963・1965年と1968・1972・1974年で連続5選を果たしている。
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ハーパー首相が下院を解散、総選挙へ [2015年下院選]

 ハーパー首相は8月2日、総督公邸リドー・ホールを訪問し、デビッド・ジョンストン総督に下院の解散を上奏した。総督はこれに同意し、10月19日の総選挙を公示した。解散時勢力は保守党159、新民主党95、自由党36、ケベック連合2、緑の党2、力と民主2、無所属8、欠員4(定数308)。なお今回総選挙から、下院定数は338議席となる。
 選挙期間は78日となり、20世紀以降では最長となる。これまでの最長は1872年総選挙の96日で、20世紀以降では1926年総選挙の74日だった。保守党政権はすでに選挙法を改正しており、選挙期間が長くなるほどより多くの政党助成金を受け取れるが、最も多い議席を持つ保守党が最も多い助成金を受け取れる。小政党には、異例の長い選挙は資金的に厳しいものになるだろう。
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【世論調査】保守党少数政権か、左派連立も根強い支持 [2015年下院選]

 フォーラム・リサーチ社が7月27日と28日、1397人の成人カナダ人を対象に実施した電話世論調査は、カナダ人の約半数が新民主党と自由党の連立を支持することを示した。
 連立を支持しない人は40%、「わからない」が11%だった。
 連立支持は若年層に多く、18~34歳では57%だった。新民主党支持者の75%、自由党支持者の68%は連立を支持した。
 新民主党は再三連立を申し入れているが、自由党は拒否し続けている。自由党は新民主党の補完勢力だと思われたくないし、そもそも単純小選挙区制では選挙協力が難しい。だがフォーラム・リサーチ社のローン・ボジノフ社長は「もし保守党少数政権が成立したら、両党はすぐにでも結束するだろう」と語った。
 政党支持率は、新民主党33%、保守党33%、自由党25%、ケベック連合4%、緑の党4%となった。ここから選挙区ごとのシミュレーションを行うと、獲得議席は保守党156議席、新民主党122議席、自由党58議席、ケベック連合1議席、緑の党1議席(定数338)となり、保守党が過半数にわずか足りないことになる。

 CBCが7月27日に実施した世論調査では、政党支持率は新民主党32.1%、保守党31.6%、自由党25.6%、緑の党4.9%、ケベック連合4.8%、その他0.9%となった。ここから選挙区ごとのシミュレーションを行うと、獲得議席は保守党132議席(113~151)、新民主党122議席(114~140)、自由党81議席(62~94)、ケベック連合2議席(0~2)、緑の党1議席(1~1)、その他0議席(0~1)(定数338)となった。
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ハーパー首相、週明けにも解散か [2015年下院選]

 カナダのメディアは一斉に、ハーパー首相が週明けの8月2日か3日にも総督公邸を訪問し、下院の解散と総選挙の公示を上奏する見込みだと報じた。
 法律で、選挙は公示から投票まで最低37日以上なければならないが、最長限度は規定されていない。次の総選挙は10月19日までに実施しなければならないが、もし投票日が最も遅いこの日だと仮定すると、選挙期間は79日となり、20世紀以降では最長となる。これまでの最長は1872年総選挙の96日で、20世紀以降では1926年総選挙の74日だった。
 資格を満たした公党には、政党助成金が交付される。昨年までは、選挙期間の長さは助成額に影響しなかった。ところが保守党政権が制定した新法は、選挙期間が37日を超えた場合、政党に1日超過するごとに37分の1ずつ、2500万ドルを限度として増額する。候補者には、1日超過するごとに2700ドル、10万ドルを限度として増額する。
 8月12日には、マイク・ダフィー上院議員(元保守党、現在は無所属)が経費を不正に受給した詐欺事件の公判が予定されており、ハーパー首相側近だったナイジェル・ライト前主席補佐官がこれを肩代わりして返納した件で、証言することになっている。このタイミングでの解散は、保守党にとって都合の悪い情報が選挙期間中に暴露される可能性を意味する。
 ダフィー議員のほか、パトリック・ブラゾー上院議員とパメラ・ウォーリン上院議員も不正受給容疑のため停職処分を受けているが、下院が解散された場合、連邦議会は上院だけとなり、彼らの停職は解かれることになる。
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新民主党が少数政権樹立の勢い [2015年下院選]

フォーラム・リサーチ社が7月19日と20日、1208人の成人カナダ人を対象に実施した電話世論調査によると、政党支持率は新民主党34%、自由党29%、保守党28%、ケベック連合5%、緑の党4%という結果が出た。ここから選挙区ごとのシミュレーションを行うと、各党の獲得議席は新民主党134議席、保守党121議席、自由党78議席、ケベック連合4議席、緑の党1議席(定数338)となり、新民主党が少数政権を樹立することになる。
また「誰が最も首相にふさわしいか」という設問では、新民主党のマルケア党首が29%、保守党のハーパー首相が25%、自由党のトルドー党首が20%という結果となった。
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世論調査で新民主党首位に [2015年下院選]

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 イプソス=リード社が6月19日から23日まで、2003人のカナダ人を対象に実施したオンライン政党支持率調査は、新民主党35%、自由党29%、保守党28%、ケベック連合6%、緑の党2%という結果となり、3党伯仲から新民主党が頭一つ抜け出た状態になった。
 ウィルフリッド・ローリエ大学のバリー・ケイ教授率いるローリエ研究所が、これをもとに選挙区ごとのシミュレーションを行ったところ、予想される獲得議席数は新民主党130、自由党86、保守党119、ケベック連合2、緑の党1(定数338)という結果が出た。
 イプソス=リード社のダレル・ブリッカー最高経営責任者は、保守党は支持率を10ポイント近く下げており、新民主党がアルバータ州議会選挙での勝利によって保守党の支持を奪ったと分析した。
 ケイ教授は、新民主党の高支持率が続くことに懐疑的な見解を述べた。
「新民主党は上げ潮だ。だがそれは、まだ早い。選挙は10月まで実施されないだろうし、その間に有権者は翻意することがありえる。」
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 保守党は、第二次大戦以降で最も低い支持率を示した。支持率28%は、ジョン・ブラッケン率いる進歩保守党が1945年総選挙で得票率27.6%を記録して以来の、悪い数字となっている。ブリティッシュコロンビアとアルバータでは、1960年代以降で最悪の数字である。東部でこれより悪い数字を探すには、プリンスエドワード島とニューファンドランド&ラブラドルがカナダ連邦に参入する前の、ノバスコシアで反連邦の党が大きな勢力を持っていた1867年の第1回連邦議会選挙まで遡らなければならない。だがオンタリオとケベックでは、今より悪い数字を見つけるためには2004年総選挙まで遡るだけでいい。これはすなわち、保守党の支持基盤が西部一辺倒から中部にシフトしつつあることを反映している。
 東部では自由党が圧倒的に強く、保守党は2004年には7議席だったが、現在は6議席獲得する見込みである。
 アルバータでは保守党は、票の4分の1以上を失ったにもかかわらず、2004年に獲得した26議席を1つ上回る議席を獲得できる。ただしアルバータの定数が28議席から34議席に増加するため、実質的には議席減となる。
 ブリティッシュコロンビアでは保守党は、2004年に22議席を獲得している。しかし新民主党の支持率が上昇したため、定数が36から42議席に増えるにもかかわらず、15議席しか獲得できない。
 保守党は2004年と比較すると、西部と中西部で計11議席を失うことになる。だがオンタリオとケベックで32議席増加するので、十分お釣りが出る。
 保守党はオンタリオで2004年、31.5%の得票率で24議席を獲得した。それが現在は、32.3%で51議席を獲得できる。その理由は、左派票の分散にある。2004年にはオンタリオでの得票率は、自由党45%と新民主党18%とに非対称に分かれていた。それが現在は、自由党31%に対し新民主党30%と、きれいに等分されている。
 支持率だけを見ると、保守党は苦境に立たされたように見えるが、状況がいいためまだ勝てる見込みはあると、スリーハンドレッドエイト・コム社のエリック・グルニエ氏は分析する。
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自由党、躍進するもまたもや第3党か [2015年下院選]

 自由党は、トルドー党首就任直後は非常に高い支持率を示したが、2014年10月から支持率をじりじりと下げ、最近の世論調査では保守党・新民主党との3党接戦となっている。
 イプソス=リード社のダレル・ブリッカー氏は、自由党がこの国のどこかで、特にケベックで強固な地盤を持たないかぎり、総選挙勝利はおろか野党第一党になることも難しいと指摘する。
 保守党は中西部に強固な地盤を持ち、その議席の大多数を獲得する。ここで自由党が議席を獲ることは、非常に難しい。自由党はトロントとその郊外に強固な地盤を持ち、その多くを獲得できる。新民主党はケベックで強く支持され、その議席の3分の2を獲れそうだ。東部では、進歩保守党出身のマッケイ法務大臣が引退したことにより、保守党の議席獲得は困難になってきた。新民主党も、ノバスコシアの新民主党政権が不評を買い政権を失ったことで、苦しい戦いとなる。自由党は東部で、大多数の議席を獲得できそうだ。
 問題は、議席の数がケベックが78、中西部62に対し、東部は32しかないことだ。総選挙に勝つには、東部の地盤だけでは足りないことは明らかで、自由党はケベックかオンタリオで食い込む以外に活路はない。
 自由党は、現有議席36の全てを維持できそうだ。さらに東部で、保守党の現有議席13の全てを奪取できそうだ。
 ケベックでは、自由党が強いモントリオールとウタウェ(オタワ郊外)で、新民主党から10議席を奪う。
 オンタリオでは、自由党は強固な地盤であるトロントの議席の大多数を手中にし、トロント周辺で保守党と激戦を繰り広げ、約20議席を新たに獲得する。さらに、ロンドン・キッチナー・ウォータールー・オタワで新たに約6議席を獲得する。
 中西部では、自由党は1979年以降議席をほとんど獲れていないが、ウィニペグ・カルガリー・エドモントンで約6議席増やせそうだ。
 ブリティッシュコロンビアでは、多くの選挙区が保守党対新民主党の構図になるだろうが、自由党は約6議席を新たに獲得する。
 次の総選挙では、定数が308から338に拡大する。オンタリオで15議席、ケベックで3議席、アルバータで6議席、ブリティッシュコロンビアで6議席増加する。自由党はオンタリオで6議席、ケベックで3議席、アルバータで0議席、ブリティッシュコロンビアで3議席を新たに獲得するだろう。その結果、自由党の獲得できる見込みの議席は109で、2006年以来実に9年ぶりに3ケタ議席を獲得することになる。
 だがブリッカー氏はこれを踏まえたうえで、自由党は新民主党がケベックで票を失えば野党第一党になれるが、そうならなかった場合、または新民主党が残りのカナダで票を維持すれば、再び第三党の地位に逆戻りするだろうという。
 自由党が与党だった1990年代、右派は分裂していたので、自由党は最も多くの議席を持つオンタリオでその大多数を獲ることができた。だが今は、右派は統一され左派が自由党・新民主党・ケベック連合・緑の党に分裂している。2011年総選挙では、オンタリオで左派票が自由党と新民主党に分散し、保守党が漁夫の利を得た選挙区が多かった。
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過去のデータは保守党逆転勝利を示唆【コラム】 [2015年下院選]

 ハーパー保守党は、次の総選挙まで最大1年に迫っているが、その支持率は31%に低迷している。過去35年間において、これより支持率が低かった与党は2つしかなかった。うち一つは、1993年のキム・キャンベル進歩保守党政権で、同年10月の総選挙でわずか2議席という壊滅的大敗を喫した。もう一つは1988年のブライアン・マルローニ進歩保守党政権で、同年11月の総選挙で野党が共倒れとなり、過半数を獲得した。
 1979年以降、11の連邦議会選挙が実施された。その内訳は自由党与党が6、進歩保守党与党が3、カナダ保守党与党が2であった。
 過去35年間において、与党は総選挙からその1年前まで平均37%の支持率を記録した。総選挙からその1年前までの支持率が、現在のハーパー政権より低かったのは、2度しかない。
 最初は、1987年であった。ブライアン・マルローニ進歩保守党は、1988年総選挙の1年前、支持率27%を記録した。これは最大野党自由党を10ポイント下回り、新民主党をも下回っていた。だがマルローニ首相はその1年後、得票率43%で過半数を獲得した。
 いっぽうキム・キャンベルの進歩保守党は、1993年総選挙の1年前、1992年10月に(党首はマルローニだったが)支持率15%を記録し、自由党・新民主党に次ぎ改革党と並んで第3位にあった。1年後の総選挙では自由党が圧勝したが、新民主党は1年間で支持率をひどく低下させ、大敗を喫した。進歩保守党は、世論調査と同等の得票率16%を記録したにもかかわらず、惨敗した。
 過去35年間において保守系の5つの与党は、総選挙の1年前には平均支持率30%程度である。1992年の悲惨な例を除くと、平均33%となる。現在のハーパー保守党31%は、さほど悪くない数字といえる。だがハーパー保守党は、2008年総選挙の1年前には支持率35%、2011年総選挙の1年前には支持率33%を記録していた。そしてトルドーの自由党は、この2か月の平均支持率は39%である。
 過去35年間において野党が、総選挙の得票率より、その1年前の支持率の方が高かったことは2度しかない。
 最初の例は、1979年の世論調査である。1979年総選挙では、勝利した進歩保守党が得票率では自由党を下回ったことや、わずか9か月後に実施された1980年総選挙では勝者と敗者が入れ替わったことから、評価が難しい。
 2度目の例は、1983年の世論調査である。マルローニの進歩保守党は、1984年の圧勝の1年前にいた。クレチエンの自由党も、1993年の圧勝の1年前は、同程度の支持率があった。

 二大政党の、総選挙における得票率とその1年前の支持率には、平均して6.2ポイントの差があった。与党は平均して、世論調査から1年後の総選挙で平均2.1ポイント低下した。野党第一党は逆に、平均3.4ポイント上昇した。
 ところが、自由党政権と保守党政権には際立った違いが見られる。世論調査から1年後の総選挙で、保守党政権が平均4.5ポイント上昇したのに対し、野党自由党は平均1ポイント低下した。いっぽう自由党政権が平均7.5ポイント低下したのに対し、野党保守党(進歩保守党・改革党・カナダ同盟・カナダ保守党)は平均4.4ポイント上昇している。
 これらの過去のデータは、1年後の2015年総選挙において、与党保守党は現在の支持率より大きい得票率を記録し、勝利することを示唆する。しかし過去のデータは、決して絶対的なものではない。
(政治評論家エリック・グルニエのコラムより)

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