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【世論調査】新民主党、過半数獲得の見込み [2015年下院選]

 フォーラム・リサーチ社が8月23日と24日、1440人のカナダ人を対象に実施した世論調査は、マイク・ダフィー上院議員の裁判で保守党の支持率が急落する中、新民主党の支持率が史上初めて40%に達し、過半数を獲得する見込みを示した。
 各党の支持率は、新民主党40%、自由党30%、保守党23%、緑の党3%、ケベック連合3%。ここから導き出される予想獲得議席数は、新民主党174、保守党87、自由党76、緑の党1、ケベック連合0(定数338)となり、新民主党が過半数をわずかに上回ることになった。
 世論調査は、ダフィー裁判の公判中かつ世界同時株安の真っ只中で実施された。支持率を地域別に見ると、東部では自由党が47%と失地を回復し、以下新民主党27%、保守党21%と続く。
 ケベックでは、新民主党が54%と圧倒的に支持され、自由党19%、ケベック連合14%、保守党11%に大差をつけた。この数字はケベック連合が1議席も獲れないことを示しており、そうなればケベック連合が獲れそうだった選挙区はあらかた新民主党のものになりそうで、政権死守を期す保守党にとってはより悲惨な結果となる。
 大票田オンタリオでも、新民主党は36%と首位の座を奪い、自由党は33%でほぼ横ばいだが、保守党は首位からすべり落ち26%の3位に転落した。
 保守党のお膝元アルバータでは、保守党は42%と有意なリードを保っているが、新民主党は32%で有力な2位につけ、アルバータで嫌われている自由党ですら22%も支持されている。
 マニトバとサスカチュワンでも、新民主党は41%と首位に立ち、保守党と自由党の28%をリードしている。
 ブリティッシュコロンビアでも、新民主党は39%で、自由党の32%、保守党の21%に対し頭一つ抜きん出ている。

 2011年に保守党に投票した有権者のうち、今回19%が新民主党、19%が自由党に投票する。2011年に自由党に投票した有権者のうち、今回は28%が新民主党に投票する。2011年に新民主党に投票した有権者のうち、今回は17%が自由党に投票する。2011年に自由党に投票した有権者のうち6%と、新民主党に投票した有権者のうち3%は、今回保守党に投票する。ここからわかることは、他党から保守党に流れる票は非常に少ないが、保守党から他党に流れる票は非常に多く、さらに新民主党には自由党から入る票も、出て行く票に比べて多いということである。
 支持する政党に投票すると回答した人は61%で、与党を倒せる党に投票すると回答した人は27%だった。9%は、その他の理由で投票すると回答した。
 与党を倒すために戦略的投票(本来支持していない党への投票)すると回答した人の、40%が新民主党、27%が自由党に投票すると回答した。2011年に保守党に投票した人の19%、自由党に投票した人の29%、新民主党に投票した人の33%は、今回戦略的投票を行うと回答した。
 31%の有権者は今回、2011年総選挙とは異なる党に投票する。この傾向は左派政党支持者の間で顕著に見られ、今回新民主党に投票する人の38%と、自由党に投票する人の38%がそうである。今回保守党に投票すると回答した人の、わずか11%が前回別の党に投票した。2011年と今回の総選挙で、同じ党に投票すると回答した人は、半数以下の49%しかいない。
 政権交代を投票の最大要因と回答した人は18%で、政策で投票すると回答した人は41%だった。党首で選ぶ人は15%、候補者で選ぶ人は11%だった。
 政策を基準に投票する人は、保守党支持者に最も多くその53%で、自由党支持者に最も少なくその35%だった。

 フォーラム・リサーチ社のローン・ボジノフ社長は、次のように述べた。
「これは新民主党にとって、最初の政権だけにとどまらず過半数に手が届くまでに至った、歴史的な日だ。保守党への支持は、以前には想像もできないほどそのベースまで落ちた。保守党の支持率は長い間、28から29%程度で安定していた。これが彼らのベースだろう。保守党は長銃登録制やその他のいろいろで、ベースの支持者に気をつかってきたが、彼らは今様々な問題にいらついているようだ。そして自由党は、死の淵から戻ってきた。彼らにとって残念なことに、支持率回復は、彼らを3位から飛躍させない。我々がここで目にしているのは、ダフィー裁判が保守党ブランドを腐食した結果であり、そしてカナダの全ての左派が新民主党の旗の下に集結している事実である。」
 だが彼は、まだ投票日まで7週以上もあり、まだまだ変わる余地はあると付け加えた。
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高橋幸二

上のフォーラム・リサーチ社による世論調査は、アンチ保守党であるトロント・スター紙の依頼で行われたもので、保守党の支持率が低すぎてにわかに信じがたいですが、新聞社ではなく調査機関による調査であることと、ダフィー上院議員の公判中ということを考えると、ありえない話でもなさそうです。
同じ日、保守党びいきのグローブ&メイル紙は、負け惜しみのような記事を掲載しています。

●Even with NDP leading polls, Conservatives projected to win more seats
http://www.theglobeandmail.com/news/politics/even-with-ndp-leading-polls-conservatives-projected-to-win-more-seats/article26117399/
カナダは比例代表制ではなく小選挙区制であることから、得票率で1位になれなかったにもかかわらず議席数では1位になった例が過去にいくつかあるわけですが、1979年総選挙で、自由党が得票率40.1%を記録したにもかかわらず114議席しか獲得できず、得票率35.9%で136議席を獲得した進歩保守党に敗れた稀な例を持ち出すのはどうでしょうか。支持率40%は、一般に過半数に達するとされており、寝言を言っている場合ではありません。
by 高橋幸二 (2015-08-27 21:40) 

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