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緊急事態法の適用終了 [新型コロナ]

 トルドー首相は2月23日記者会見で、緊急事態法の適用を無効にしたと発表した。
「状況は、もはや緊急事態ではない。」
「我々はいまや、既存の法律と条例が人々の安全を保つのに十分であると確信している。」
 サイモン総督も同日、緊急事態法の無効化に署名した。
 連邦議会下院は21日に投票を行い、14日の緊急事態法発動を自由党と新民主党の賛成で承認していた。上院では23日、緊急事態法発動について審議していたが、無効化を受けて中止した。
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緊急事態法を巡り議会がヒートアップ [新型コロナ]

 2月14日に緊急事態法が発動されると、「フリーダム・コンボイ」抗議者の強制排除・逮捕が始まった。首謀者と見られるタマーラ・リッチ容疑者とクリス・バーバー容疑者は、17日に逮捕された。

 連邦議会では、緊急事態法を発動した与党自由党と、これに賛同した新民主党への批判の声が高まっている。保守党のメリッサ・ランツマン議員は16日、連邦議会でトルドー首相に質問した。
「総理は、不当に緊急事態を煽っています。」
「総理はいつ、分別を失くしたのですか?」
 トルドー首相は、これに過敏に反応した。
「保守党議員は、鉤十字を掲げる人々の横に並ぶことができる。彼らは、南部連合旗を掲げる人々の横に並ぶことができる。」
「我々は、仕事に取りかかろうとする、そして生活を取り戻そうとするカナダ人の横に並ぶ方を選ぶ。違法な抗議は、止めなければならない。そして彼らは、そうすることになる。」
 ランツマン議員は、激しく反論した。
「私はユダヤ人で、ホロコーストの生き残りの子孫です。今日という日を除いて、これほど侮辱されたことはありません。総理は、私が鉤十字の横に並んだと言うのですか。謝罪して下さい。」
 ここでアンソニー・ロタ議長から「議会では挑発的な言葉を使用しないよう」注意が入った。
 「フリーダム・コンボイ」支持をいち早く表明し、次の党首本命と目されるピエール・ポワリエーブル議員はSNSで、首相の発言を批判した。
「最低のコメントだ。たとえトルドー氏の発言であっても。」

 保守党のキャンディス・バーゲン暫定党首は17日、連邦議会で「歴史は新民主党には寛容でない」と演説し、緊急事態法施行に賛成した同党を批判した。
 彼女は「大鉈」(sledgehammer)という語を用いたが、これは現首相の父ピエール・トルドー首相が1970年に戦時措置法を発動したとき、これに反対した新民主党のトミー・ダグラス党首が「ピーナッツを割るためにsledgehammerを振るう」と語ったことを意識したものだろう。ピエール・トルドー首相は「ケベック解放戦線はピーナッツとは違う」と反論した。
 新民主党のシン党首は逆に、バーゲン党首に尋ねた。
「我が国の民主主義を攻撃し、市民を困らせている運転手たちを支持したことを後悔していますか?」
 バーゲン氏は党首に就任する前、オタワの公道を占拠する抗議者たちのところに行き、ともに写真を撮らせていた。
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フリーダム・コンボイに緊急事態法 [新型コロナ]

 トラック運転手らが米加国境などを封鎖する「フリーダム・コンボイ」が長期化するにおよび、トルドー首相は2月14日、事実上の戒厳令に当たる緊急事態法の施行を宣言した。同法施行により国民の権利の制限が可能となるため、抗議活動者の資産を凍結し、抗議者の実力排除・トラックの強制撤去が目的と見られる。
 同法施行は、1988年の制定以来初めてとなる。同法の前身である戦時措置法は、第一次大戦・第二次大戦のほか、1970年にラポルト労働大臣が誘拐され殺害された「十月危機」で施行された。最後の例は、現首相の父ピエール・トルドー首相が発動した。
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 国境を越えてカナダに入国するトラック運転手は、ワクチン接種を義務付けられた。これに反対するトラック運転手が1月29日、オタワで公道を占拠する抗議行動を開始した。運動は広がりを見せ、オンタリオ州ウィンザーの国境アンバサダー橋や、アルバータ州クーツの国境をトラックで封鎖した。なおカナダトラック同盟によると、大多数の運転手はワクチン接種済みだという。
 抗議者が全てトラック運転手というわけではなく、政府にテロ組織認定されたスリー・パーセンターズのような右翼団体や、ワクチン懐疑論者などもいた。抗議者の一部は鉤十字や南部連合旗を掲げたり、カナダの国旗を上下逆さにしてテリー・フォックス像に貼りつけたり、「無名戦士の墓」で飲んで食べて踊ったり、貧民に給食する慈善団体「良き希望の羊飼い」に食事提供を要求し、暴力を振るった者さえいた。
 カナダ保守党のオトゥール党首(当時)は、抗議活動を支持しない方針を打ち出し、運転手たちの話を聞きたいと語ったが、実際には(直後に党首解任されたため)何もしなかった。キャンディス・バーゲン副党首やピエール・ポワリエーブル議員など、何人かの議員は抗議活動支持を表明した。マイケル・クーパー議員は抗議活動に加わったが、その姿をテレビで映されたとき、背景に鉤十字を掲げている人が映っていた。2月10日にマニトバ州エマソンで3つ目の国境が封鎖されると、暫定党首になっていたバーゲン氏は、封鎖を解き帰宅するよう呼びかけた。
(※カナダ在住日本人のブログ「カナダ人ニュース」は、これらについて意図的に触れていない。)

 アバカス・データ社が1月31日から2月2日まで、1410人の成人カナダ人を対象に実施した世論調査は、抗議活動に共感する人32%に対し、共感しない人は68%だった。支持政党別に見ると、共感する人は人民党支持者で82%、緑の党で57%、保守党で46%、自由党で25%、新民主党で23%、ケベック連合で19%と、人民党支持者に顕著に多かった。


図:「またカナダが金メダル獲ったの?」「いや、また別の橋だ。」
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保守党幹部会、オトゥール党首を不信任 [保守党]

 保守党は2月2日、下院幹部会(119人)でエリン・オトゥール党首の信任投票を行い、信任45票・不信任73票(スコット・リード幹部会議長は投票せず)で不信任した。オトゥール党首は即日辞任し、幹部会はキャンディス・バーゲン副党首を暫定党首に指名した。暫定党首の任期は党首選終了までで、党首選の日程は未定。なお暫定党首は、党首選に立候補できない。
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 2021年9月の総選挙で与党自由党は過半数を獲得できず、解散・総選挙はいつあるかわからない。保守党議員たちは、オトゥール党首のままで再度の総選挙に突入することに不安を覚え、主に党内右派を中心に党首降ろしの機会を狙っていたようだ。反対派は35名の署名を集め、信任投票を要請する文書を1月31日リード議長に提出し、2日に予定されている幹部会の会合で投票するよう訴えた。
 これを受けてオトゥール党首は、保守党には2つの道があると述べた。一つは「包括的で、楽観的で、多様な意見と希望」であり、もう一つは「怒れる、否定的で、極端な」道だと。彼は、前者は自分とともに前進する道であり、後者はデレク・スローンやランディ・ヒラーのような保守党を追放された極右とともに進む道であり、自由党に取って替わるよりむしろ抗議勢力となる「右の新民主党」への道だと語った。
 だが投票結果は、予想外の大差だった。リサ・レイト元副党首は、議員たちは定例の信任投票まで待つつもりもなければ、全党員の意見を聞く必要もないと考えていたのだろうと語った。
 ある保守党議員は、匿名を条件にこう語った。
「これは、彼が自分でしたことの結果だ。」
「彼は、幹部会に支持されることは何もしなかった。総選挙の後、議員たちの反応は、彼への支持ではなかった。それはむしろ、こういうものだった。『諸君、本当にもう一度こうしたいのか?』彼はその後も、彼らを味方につけるために何もしなかった。」
 オトゥール党首に近い匿名のベテラン議員は、今回の反乱は12月の議会を通過した転向療法(同性愛を病気とみなし、異性愛に「転向」するよう「治療」する行為で、医学的根拠はないとされる)禁止法案が原因だと説明した。彼によると、自由党政権提出の転向療法禁止法案に対し、保守党は抵抗せず、上下両院をあっさり通過させたばかりか、そのときオトゥール党首は議場になくラトビアを訪問していたので、いわゆる「転向療法派」、オトゥール党首の言う「極右」が激怒したのだという。
 妊娠中絶に反対する圧力団体「RightNow」のスコット・ヘイワード会長は、オトゥール降ろしを煽動したことを隠さなかった。
「我々は総選挙以来、改正法や党規約に依ると依らないとにかかわらず、議員たちや党評議委員たちや党員たちと、オトゥール氏を党首から引きずり降ろすために活動していた。」
 同じく中絶に反対する「キャンペーン・ライフ連合」のジェフ・ガンナーソン会長も、オトゥール党首への不満を並べ立てた。
「オトゥール氏は、妊娠中絶、LGBT問題、強圧的なロックダウン、有害なワクチンのための自由を破壊するパスポートに対する支持で、保守党の支持母体に対し背信行為を再三再四繰り返した。」
「このニセ保守派が、そろそろクビになってもいいころだろう。」
 マット・ジェネルー議員は、不信任票を投じたことをこう説明した。
「多くのカナダ人は、我々の立ち位置についてわかっていなかったと思うので、問題に関する二転三転が、信用を失うことにつながったと私は思う。」
 引退したトニー・クレメント元大臣は、党の将来を悲観した。
「保守党幹部会でこうなったことに、私は失望している。党は分裂し、混乱し、政権獲得の用意ができているにはほど遠い。」
 同じく引退したモンテ・ソルバーグ元大臣は、オトゥール党首が難問に直面し取り組んだことには同情すると語った。
「スティーブン・ハーパーはかつて、自分がこれまで務めた最悪の任務は最大野党党首だと言っていた。保守党は特にそうだと、私は思う。」
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写真:キャンディス・バーゲン暫定党首(左)とエリン・オトゥール前党首(右)。
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