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保守党幹部会、オトゥール党首を不信任 [保守党]

 保守党は2月2日、下院幹部会(119人)でエリン・オトゥール党首の信任投票を行い、信任45票・不信任73票(スコット・リード幹部会議長は投票せず)で不信任した。オトゥール党首は即日辞任し、幹部会はキャンディス・バーゲン副党首を暫定党首に指名した。暫定党首の任期は党首選終了までで、党首選の日程は未定。なお暫定党首は、党首選に立候補できない。
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 2021年9月の総選挙で与党自由党は過半数を獲得できず、解散・総選挙はいつあるかわからない。保守党議員たちは、オトゥール党首のままで再度の総選挙に突入することに不安を覚え、主に党内右派を中心に党首降ろしの機会を狙っていたようだ。反対派は35名の署名を集め、信任投票を要請する文書を1月31日リード議長に提出し、2日に予定されている幹部会の会合で投票するよう訴えた。
 これを受けてオトゥール党首は、保守党には2つの道があると述べた。一つは「包括的で、楽観的で、多様な意見と希望」であり、もう一つは「怒れる、否定的で、極端な」道だと。彼は、前者は自分とともに前進する道であり、後者はデレク・スローンやランディ・ヒラーのような保守党を追放された極右とともに進む道であり、自由党に取って替わるよりむしろ抗議勢力となる「右の新民主党」への道だと語った。
 だが投票結果は、予想外の大差だった。リサ・レイト元副党首は、議員たちは定例の信任投票まで待つつもりもなければ、全党員の意見を聞く必要もないと考えていたのだろうと語った。
 ある保守党議員は、匿名を条件にこう語った。
「これは、彼が自分でしたことの結果だ。」
「彼は、幹部会に支持されることは何もしなかった。総選挙の後、議員たちの反応は、彼への支持ではなかった。それはむしろ、こういうものだった。『諸君、本当にもう一度こうしたいのか?』彼はその後も、彼らを味方につけるために何もしなかった。」
 オトゥール党首に近い匿名のベテラン議員は、今回の反乱は12月の議会を通過した転向療法(同性愛を病気とみなし、異性愛に「転向」するよう「治療」する行為で、医学的根拠はないとされる)禁止法案が原因だと説明した。彼によると、自由党政権提出の転向療法禁止法案に対し、保守党は抵抗せず、上下両院をあっさり通過させたばかりか、そのときオトゥール党首は議場になくラトビアを訪問していたので、いわゆる「転向療法派」、オトゥール党首の言う「極右」が激怒したのだという。
 妊娠中絶に反対する圧力団体「RightNow」のスコット・ヘイワード会長は、オトゥール降ろしを煽動したことを隠さなかった。
「我々は総選挙以来、改正法や党規約に依ると依らないとにかかわらず、議員たちや党評議委員たちや党員たちと、オトゥール氏を党首から引きずり降ろすために活動していた。」
 同じく中絶に反対する「キャンペーン・ライフ連合」のジェフ・ガンナーソン会長も、オトゥール党首への不満を並べ立てた。
「オトゥール氏は、妊娠中絶、LGBT問題、強圧的なロックダウン、有害なワクチンのための自由を破壊するパスポートに対する支持で、保守党の支持母体に対し背信行為を再三再四繰り返した。」
「このニセ保守派が、そろそろクビになってもいいころだろう。」
 マット・ジェネルー議員は、不信任票を投じたことをこう説明した。
「多くのカナダ人は、我々の立ち位置についてわかっていなかったと思うので、問題に関する二転三転が、信用を失うことにつながったと私は思う。」
 引退したトニー・クレメント元大臣は、党の将来を悲観した。
「保守党幹部会でこうなったことに、私は失望している。党は分裂し、混乱し、政権獲得の用意ができているにはほど遠い。」
 同じく引退したモンテ・ソルバーグ元大臣は、オトゥール党首が難問に直面し取り組んだことには同情すると語った。
「スティーブン・ハーパーはかつて、自分がこれまで務めた最悪の任務は最大野党党首だと言っていた。保守党は特にそうだと、私は思う。」
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写真:キャンディス・バーゲン暫定党首(左)とエリン・オトゥール前党首(右)。
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