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フリーダム・コンボイに緊急事態法 [新型コロナ]

 トラック運転手らが米加国境などを封鎖する「フリーダム・コンボイ」が長期化するにおよび、トルドー首相は2月14日、事実上の戒厳令に当たる緊急事態法の施行を宣言した。同法施行により国民の権利の制限が可能となるため、抗議活動者の資産を凍結し、抗議者の実力排除・トラックの強制撤去が目的と見られる。
 同法施行は、1988年の制定以来初めてとなる。同法の前身である戦時措置法は、第一次大戦・第二次大戦のほか、1970年にラポルト労働大臣が誘拐され殺害された「十月危機」で施行された。最後の例は、現首相の父ピエール・トルドー首相が発動した。
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 国境を越えてカナダに入国するトラック運転手は、ワクチン接種を義務付けられた。これに反対するトラック運転手が1月29日、オタワで公道を占拠する抗議行動を開始した。運動は広がりを見せ、オンタリオ州ウィンザーの国境アンバサダー橋や、アルバータ州クーツの国境をトラックで封鎖した。なおカナダトラック同盟によると、大多数の運転手はワクチン接種済みだという。
 抗議者が全てトラック運転手というわけではなく、政府にテロ組織認定されたスリー・パーセンターズのような右翼団体や、ワクチン懐疑論者などもいた。抗議者の一部は鉤十字や南部連合旗を掲げたり、カナダの国旗を上下逆さにしてテリー・フォックス像に貼りつけたり、「無名戦士の墓」で飲んで食べて踊ったり、貧民に給食する慈善団体「良き希望の羊飼い」に食事提供を要求し、暴力を振るった者さえいた。
 カナダ保守党のオトゥール党首(当時)は、抗議活動を支持しない方針を打ち出し、運転手たちの話を聞きたいと語ったが、実際には(直後に党首解任されたため)何もしなかった。キャンディス・バーゲン副党首やピエール・ポワリエーブル議員など、何人かの議員は抗議活動支持を表明した。マイケル・クーパー議員は抗議活動に加わったが、その姿をテレビで映されたとき、背景に鉤十字を掲げている人が映っていた。2月10日にマニトバ州エマソンで3つ目の国境が封鎖されると、暫定党首になっていたバーゲン氏は、封鎖を解き帰宅するよう呼びかけた。
(※カナダ在住日本人のブログ「カナダ人ニュース」は、これらについて意図的に触れていない。)

 アバカス・データ社が1月31日から2月2日まで、1410人の成人カナダ人を対象に実施した世論調査は、抗議活動に共感する人32%に対し、共感しない人は68%だった。支持政党別に見ると、共感する人は人民党支持者で82%、緑の党で57%、保守党で46%、自由党で25%、新民主党で23%、ケベック連合で19%と、人民党支持者に顕著に多かった。


図:「またカナダが金メダル獲ったの?」「いや、また別の橋だ。」
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