SNSの写真が原因で立候補辞退

　ブリテュッシュコロンビア州議会選挙で、バンクーバー・フォルスクリーク選挙区に立候補した新民主党のレイ・ラム候補は、SNSサイト“Facebook”において不適切な写真を掲載したことで、４月21日立候補を辞退した。
　写真の１つは、男性と女性がラム氏のズボンを下げ、下着を見せている。もう１つの写真は、ラム氏が女性の胸をつかんでいる。
「私は、現在公になったその写真と、それに付いたコメントを遺憾に思う。この件で選挙を騒がせたくないので、私は党に立候補辞退を申し出た。」
　ラム氏はそうコメントし、キャロル・ジェームズ党首の幸運を祈ると語った。問題の写真は21日夜に削除された。
　ラム氏は、バンクーバーの同性愛組織「プライド・ソサエティ」やブリティッシュコロンビアの青年同性愛組織「ユースクェスト」で活動してきた。だが彼はバンクーバーのゲイのための新聞「エキストラ」において、「私は持続性と若者の問題に重点的に取り組んでいる。同性愛の議員とは見られたくない」と語っている。
　FacebookのようなSNSは、特にバンクーバー・フォルスクリーク選挙区のような若い有権者の多い選挙区では必須ツールとなっている。ところが近年、SNSにおいてつまずく候補者が続出している。
　2008年の連邦議会選挙では、新民主党のデーナ・ラーセン候補とカーク・タウソー候補が、ネット上でマリファナを吸うビデオが見つかったため立候補を辞退した。またアンドリュー・マッキーバー候補は、SNS掲示板での脅迫的投稿のため立候補を辞退している。


写真：Facebookにおけるレイ・ラム候補の写真。

新民主党、全国的に支持率低下

　ジャック・レイトンが2003年に党首に就任して以来、新民主党は３度の総選挙を戦い、下院議席を19議席・29議席・37議席と増加させてきた。そして人気のなかったケベックとニューファンドランドで議席を獲得し、拠点を築いた。2005年には与党自由党と協議して、「新民主党予算」を成立させた。2008年12月には、新民主党は悲願の政権入り一歩手前まで来た。
　レイトン党首の時代は、自由党凋落の時代と一致している。同じ左派の自由党が退潮気味なのに乗じ、新民主党は党勢を拡大させてきたが、イグナティエフ党首が就任すると自由党は勢いを盛り返している。
　新民主党の支持率は常時20％以下で、依然として下院最少数勢力のままである。自由党をしのぎ左派最大勢力になるのは、夢のまた夢にも思える。レイトン党首の上げ潮も、すでにピークを過ぎているのだろうか。自由党が連立を放棄して世論の評価を受けるいっぽう、レイトン党首は分離主義のケベック連合と取引したという理由で批判された。
　レイトン党首の未来は、決して明るくない。ナノス・リサーチ社の世論調査は、自由党が全国的に支持率を上昇させるいっぽうで、新民主党の支持率がケベックを除く全ての地域で低下していることを示している。オンタリオでは支持率14％で、自由党の44％に大きくリードされている。ケベックでは支持率７％で、昨年10月総選挙時の14％に比べ半分しかない。

「バイ・アメリカン」に対抗し「バイ・カナディアン」

　オバマ大統領が打ち出した「バイ・アメリカン」条項が、カナダでも波紋を呼んでいる。ハーパー首相は、「経済低迷の最中に、保護貿易主義は避けるべきだ」と批判した。カナダは鉄鋼生産量の40%をアメリカに輸出しており、同条項がカナダの鉄鋼輸出の障壁となるため、２月19日のオバマ大統領との会談の際、WTO（世界貿易機関）かNAFTA（北米自由貿易協定）のいずれかにおいて異議を提起する予定であると明らかにした。またマイケル・ウィルソン駐米カナダ大使（GST導入時の財務大臣：通称ミスターGST）も、アメリカ上院に「このような措置は北米の競争力を損ない、雇用を創出するどころか減らすことになるだろう」という書簡を送った。

　新民主党のレイトン党首は２月３日、下院で「バイ・アメリカン」条項に対抗する「バイ・カナディアン」政策について問いただした。
「今こそ、停滞する内需を拡大させる『バイ・カナディアン』政策をとる絶好の機会だ。それはWTOにおいて完全に合法である。またNAFTAにおいても、雇用を創出し自国産業を保護するため政府が国産品を購入することは認められている。メキシコ、中国、日本、韓国も同様の政策を採っている。国際貿易ルールにおいて許されている『バイ・カナディアン』政策の何が間違っているのか、総理は説明してほしい。」
　ハーパー首相は、「それは、我々が採るべき政策ではない」と答弁した。


図：ジャック・レイトンの「バイ・カナディアン」の店。

「議会でポルノ画像閲覧」早とちりで謝罪

　新民主党のイレーヌ・マジッセン議員が12月５日、保守党のジェームズ・ムーア議員が下院の議事進行中に、ラップトップコンピュータで「薄っぺらい黒の下着だけを身に着けたほぼ裸の女性の画像」を見ていたと非難した。マジッセン議員はその後記者団に対し、その画像は「ソフトポルノ」で、ムーア議員は女性を物と見なしていると主張した。
　だが、新民主党で最も攻撃的なことで知られるパット・マーチン議員は、ムーア議員を知っているのでこの話を全く信じていないと語った。
　実際にはムーア議員のパソコンの画像は、彼の犬とガールフレンドだった。マジッセン議員は７日になって、自分が早とちりしたことを認め、ロンドン・ファンショー選挙区で予定されていたイベントを中断し、オタワへ戻りムーア議員に正式に全面的な謝罪を表明した。
　マジッセン議員は、オンタリオ健康連盟、ロンドン反農薬連合、カナダ移民連盟などで活動している１年生議員。

写真左：イレーヌ・マジッセン議員。
写真右：ジェームズ・ムーア議員。