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グレイハウンド、カナダのバス事業を廃止 [経済]

 グレイハウンド・カナダは5月13日、休止していたバス事業を同日廃止すると発表した。同社はカナダの長距離バス運行を92年間続けてきたが、2018年10月サドバリー以西の路線を廃止し、2020年5月には新型コロナ流行に伴う利用者数減少のため、残るオンタリオとケベックの路線を休止していた。有効なチケットについては、6月末まで払い戻しを受け付ける。

 広報のスチュアート・ケンドリック氏は、次のように述べた。
「残念なことに、収入のない一年は、運行の継続を不可能にした。」
「当社のスタッフと顧客の皆様に、ならびに長年運行してきた地域の皆様に与える影響について、心から遺憾に思う。」
 同社が昨年5月に運行を停止したあと、約260人の従業員がレイオフされた。今回の事業廃止によって、さらに45人が解雇されると彼は語った。
 グレイハウンドUSAは元親会社で、グレイハウンド・カナダを1987年に売却し別会社となっていたが、その後も業務提携はしていた。同社の事業廃止後も、アメリカとカナダを結ぶ5つの国際路線(バッファロー-トロント間・ニューヨーク-トロント間・ニューヨーク-モントリオール間・ボストン-モントリオール間・シアトル-バンクーバー間)は、グレイハウンドUSAが継続する。ただし現在は、新型コロナ流行のため運行停止している。

 グレイハウンドの長距離バスは100年近くの間、小さな町の住民にとって大都市との往復で、また労働者や学生やバックパッカーに至るまで、重要な交通手段だった。だが新型コロナ流行以前から、地方から都市への人口流出、マイカーの普及やLCC(格安航空会社)の参入により、長距離バスのシェアは徐々に侵食されていき、同社は路線廃止を繰り返していた。
 サイモン・フレイザー大学で都市問題を教えるアンソニー・パール教授は、グレイハウンド・カナダの経営は長期低落していたので、今回のニュースに驚かなかったと語る。
「彼らは営利企業である。そして、少ない人口を抱える路線では利益を上げることができないということを、彼らは何十年も試した後に証明したのだ。」
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