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ケベック党の内紛 [ケベック]

 自由党のシャレー政権は、相次ぐスキャンダルの発覚により有権者から見放されている。あらゆる世論調査は、今総選挙が実施されれば、ケベック党が過半数を獲得し、ポリーヌ・マロワ党首が首相になることを示している。
 にもかかわらず、ジャック・パリゾー前党首・ベルナール・ランドリー前党首らハードコア独立派は、独立を強固に主張しようとしないマロワ党首に不満を抱き、ケベック連合のデュセップ党首にケベック党党首になるよう依頼している。党首に対し、その成績ではなくイデオロギーを理由に造反するのは、ケベック党の宿命的な病気とも言える。
 マロワ党首は、ケベックの歴史上初の女性公認反対党党首である。彼女は、物腰が柔らかすぎるという理由で非難される。ときには優雅に着飾りすぎだと非難され、髪がブロンドなのは選挙に不利だ(ブロンド女性は頭が悪いという迷信がある)と非難される。

 ケベック独立への支持は、今では40%以下でしかない。マロワ党首が独立を前面に押し出さないのは、その方が選挙に有利と判断しているからだが、パリゾー前党首とランドリー前党首がマロワ党首を嫌うのは、彼女のやり方では選挙に勝てないからではなく、ハードコア独立派として危機感を抱いているからである。
 奇妙なのは、2007年にボワクレール党首が辞任したとき、デュセップ氏はケベック党党首選に出馬の動きを見せたが、世論調査でマロワ氏に大きく差をつけられているのを見て、辞退していることである。最近の世論調査では、ケベックで人気の高いデュセップ氏を党首に据えれば、ケベック党は歴史的圧勝を収めることが示されているが、独立運動が下火になった今、独立をレゾン・デートルとするケベック党において、デュセップ氏が火中の栗を拾いに行くとは考えにくい。
 ケベック連合創始者のルシエン・ブシャール氏は、ケベック党のパリゾー党首が1996年に突然辞任したとき、離党してケベック党党首に迎えられたが、同党のお家芸であるハードコア独立派と社民主義者の内ゲバでもみくちゃにされ、政界を引退している。彼は今では「ケベック独立は不可能」とさえ言い切り、独立派を失望させている。
 1990年にケベック連合が旗揚げされたとき、多くの批評家は「独立を達成できずに、数年でつぶれるだろう」と冷ややかな目を向けた。だがそれから20年、ケベック連合はケベック独立を達成することなく、ケベック州の第一党であり続けている。それはケベック州の有権者が、ケベック連合はケベック州のために働く党だと信頼しているからである。つまりケベック連合の支持者は、その綱領にもかかわらず、必ずしも独立を支持しているわけではないのだ。

「ケベック党に問題があるというなら、それは彼らの問題であって、私の問題ではない。」
 デュセップ氏は、どこまでも平静を装っている。彼は、次の連邦議会選挙はケベック連合党首として戦うつもりだと明言している。
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