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自由党、内閣不信任へ [自由党]

 少数与党が常態化したここ数年のカナダは、レイバーデーを過ぎると解散風が吹き荒れるのが通例になっている。自由党のイグナティエフ党首は9月1日、テレビで放送された自由党のパーティー席上で「ハーパー首相、あなたの時は終わった。自由党は、これ以上政権を支えることはできない」と述べ、倒閣の意志を鮮明にした。
「我々は交渉しない。それは6月にやった。」
 彼は6月、「失業保険改革なくば総選挙」と対決を煽ったが、ハーパー首相に居直られると腰砕けとなり、失業保険改革の審議会を設置することで譲歩した。だがイグナティエフ党首は、審議会は党派心で踏みにじられていしまい、ハーパー政権が野党と協力して政権運営していくことを信用できないと語った。しかし真相は、審議会は夏の総選挙を回避するための時間稼ぎであり、答申の内容がどうであれ、頃合いを見て倒閣運動を始めるつもりだったのだろう。6月には譲歩してハーパー首相に一本取られたイグナティエフ党首は、今度ばかりは絶対に譲歩はしないだろう。

 しかし倒閣には、新民主党とケベック連合の協力が不可欠となる。新民主党のレイトン党首は、まだ保守党と交渉の余地があると考えていたようだ。失業保険給付拡大、高齢者援助、クレジットカード金利管理などの案件について、同党の主張を支持するなら、彼は保守党政権を支持してもいいと考えている。彼は倒閣するかどうかについて、3日に記者会見で発表する。
 いっぽうケベック連合のデュセップ党首は2日、「我々はケベックの利益に基づき行動する」と語り、態度を保留した。彼は、ケベック州内にある連邦施設におけるフランス語のみの使用の法制化、失業対策、林業支援などを挙げた。
 ところがジェイソン・ケニー移民大臣は2日、カルガリーのラジオでこう述べた。
「新民主党はガチガチの左翼イデオロギー政党だ。穏健な中道左派とは違う。私は我が党が新民主党と現実的な交渉ができるとは思わない。」
 ハーパー首相もまた、新民主党との交渉の可能性をきっぱりと否定した。
「レイトン党首が何度も口にしてきたとおり、新民主党はこの4年間、重要案件では一度も保守党に同調したことがないという事実を誇りにしてきた。そう、それが彼らの立場なのだ。」

 連邦議会の新しいセッションは、9月14日に始まる。失業保険審議会の答申は9月末の予定で、その直後に「野党の日」が設定されるから、常識的にはここが内閣不信任案を提出する予定日となる。ところが議会召集直後に、予算の信任投票が予定されている。そこで保守党政権は、予算のうちに国民に好評の住宅リフォーム控除を含めるのだ。これが否決されれば内閣不信任とみなされるが、自由党が住宅リフォーム控除をつぶしたことになり、自由党が政権に就いてもこれを実施することはできなくなる。もちろん可決すれば内閣は信任されたことになり、自由党は倒閣の大義名分を失うことになるのだ。

 解散・総選挙が実現すれば、この5年間で4度目となる。イグナティエフ党首は就任直後から「ご祝儀」として高い支持率を誇っていたが、ここに来て保守党が盛り返し、政党支持率で両党は拮抗している。たとえ総選挙になっても、また自由党か保守党の少数政権に終わるという見方が強い。
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