SSブログ

英語を話せないバス運転手がフランス語を話せない乗客に逆ギレ [ケベック]

 モントリオールなどケベック州の都市部では英仏2か国語が話されているが、地方ではフランス語しか通じない。英語を話せないケベック人は就職困難であり、またケベックで英語を話す人は一般に好かれない。カナダ人でありながら外国人より英語が下手だと見られることは、彼らが最も嫌がることである。

 9月4日朝モントリオールで、パキスタンから移住した学生ムハマド・アーマド・ムニールさん(32)がバスに乗り込んだ。彼は時計を忘れていることに気づき、女性運転手に英語で時刻を尋ねたところ、フランス語で応答されたので「フランス語はわかりません」と答えた。すると運転手が“I don’t speak English”と英語で言ったので、彼が「英語を話せるじゃないか」と言うと、運転手は激怒して、警察に「乗客にからまれている」と電話で通報し、バスを停めて20人ほどいた乗客全員をバスから降ろし、職務を放棄した。このトラブルで、ダイヤに遅れが生じた。

 ムニールさんは数か月前パキスタンから移住し、マギル大学でイスラム学を専攻している。彼はパンジャブ語・ウルドゥー語・アラビア語・英語を話すが、フランス語はいくつかの単語を知っているだけで“Quelle heure est-il?”は知らなかったようだ。彼はケベックの言語政策について、
「我々はパキスタンでウルドゥー語を失ったので、ケベック人の言語に関する主張は理解できる。しかし他者に対しもっと寛容であるべきだ。」
と語った。
 モントリオール総合病院に勤めるリンダ・ホワイトホールさんは、このトラブルのため遅刻した。
「自分がケベック人であることを、こんなに恥ずかしく思ったことは初めてだ。」

 モントリオール交通局(STM)のミシェル・ラブレスク代表は、
「仕事で使用する言語は原則としてフランス語だが、我々は観光地とアングロフォン地域には英語を話せる運転手を配置している。」
とコメントしたが、運転手に英語を要求できる規則は存在しないとも指摘した。実際にはモントリオールでは、バス運転手のほとんどがバイリンガルである。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

nice! 0

コメント 0

コメントの受付は締め切りました

トラックバック 0