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ディオン党首、崖っぷちに [自由党]

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 選挙結果を受けてディオン党首は、力なく語った。
「国民は私に、公認反対党党首の任務を委託した。私は栄誉としてこの任務を引き受ける。」
 スタッフの意見に耳を貸さず、緑の党かと疑いたくなるような「グリーン・シフト」を掲げて総選挙に挑んだディオン党首は、史上3番目の大敗(得票率では史上最低。なおトロント・スター紙の「2番目」は誤報)を喫した。
 史上最悪の敗北を喫したのは、1984年のジョン・ターナー首相の40議席だが、彼には2度のチャンスがあった。すなわち1984年と1988年の総選挙に2度敗北している。だが年配の自由党議員たちは、ディオン党首が辞任しないなら党内で反乱が起こるだろうと予測する。自由党歴代党首は、第2代のエドワード・ブレイクを除き全員が首相に就任しているので、ディオン党首がここで退任すれば121年ぶり2人目となる。
 次の党大会は5月にバンクーバーで開催される。ディオン党首が留任するには、そこで51%の支持を得なければならない。だが2006年党首選で勝利したときでさえ、第一回投票での彼の支持は18%に過ぎなかった。そんな彼が当選できたのは、1位と2位のマイケル・イグナティエフ候補とボブ・レイ候補は敵が多く、辞退した候補の陣営がことごとくディオン支持に回ったためである。つまりディオンの勝利は党内で圧倒的に支持されたものではなく、消去法的なものでしかなかったのだ。
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 だがディオン党首の支持者は、2006年に党首選を行ったばかりであり、新たに党首選を行うことは党の財政を悪化させるだけだと主張する。政党助成金は得票に比例して分配されるので、自由党は2回連続の議席減少で、次年度の助成金はさらに減額されることになる。またジャン・クレチエン元首相派とポール・マーチン元首相派の10年に渡る抗争から党はまだ癒されていないという声もあがっている。
 もしも党首選が行われるなら、それはイグナティエフとレイ(かつてのルームメイトで、今は宿敵)の再戦になるものと思われる。だが両名はともに60歳を過ぎており、カナダのリーダーとしては高齢の部類に入る。新世代のリーダーを探している一部の党員は、ドミニク・ルブラン議員や、トルドー元首相の息子で今回初当選のジャスティン・トルドー議員を宣伝している。ジョン・マンレー元副首相や、前回敗れたホール・フィンドレイ議員も参戦するかもしれない。
 自由党の党首にはアングロフォンとフランコフォンが交互に、また右派と左派が交互に就くというジンクスがある。ディオン党首はフランコフォンで左派だから、このジンクスに従えば次の党首は当然イグナティエフである。

●自由党歴代党首(Aはアングロフォン、Fはフランコフォン)
初 代 アレクサンダー・マッケンジー(A) (1873年3月~1880年4月)
第2代 エドワード・ブレーク(A) (1880年5月~1887年6月)
第3代 ウィルフリッド・ローリエ(F) (1887年6月~1919年2月)
第4代 ウィリアム=ライオン=マッケンジー・キング(A) (1919年8月~1948年8月)
第5代 ルイ・サン=ローラン(F) (1948年8月~1958年1月)
第6代 レスター=ボウルズ・ピアソン(A) (1958年1月~1968年4月)
第7代 ピエール=エリオット・トルドー(F) (1968年4月~1984年6月)
第8代 ジョン=ネイピア=ウィンダム・ターナー(A) (1984年6月~1990年6月)
第9代 ジョゼフ=ジャン=ジャック・クレチエン(F) (1990年6月~2003年11月)
第10代 ポール=エドガー=フィリップ・マーチン(A) (2003年11月~2006年3月)
第11代 ステファン=モリス・ディオン(F) (2006年12月~ )


図上:炭素税の負担が重すぎて大差をつけられてしまう自由党の走者。
図下:「ディオン党首の支持率低下、犬の間でさえ低下!」京都議定書締結時に環境大臣だったディオンは、飼い犬に「キョウト」と名づけている。そのキョウトでさえ炭素税を嫌がっている。
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