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ベリンダ・ストロナック議員、自由党に移籍 [自由党]

1645677  予算案採決を2日後に控えた5月17日、保守党のベリンダ・ストロナック議員が離党し、電撃的に自由党に入党した。与党自由党と新民主党は合わせて過半数に1議席足りない。予算案が否決された場合は、解散か内閣総辞職のどちらかを選ばなければならない。ベリンダには閣僚ポストが与えられる見込みである。

 ベリンダは、移民の父が築いたカナダ一の自動車部品メーカー、マグナ社の元社長で、フォーチュン誌の「カナダで最もパワフルな女性経営者」に選ばれている。ヨーク大学ビジネススクール中退で、2度の離婚歴がある。スタイル抜群の女性で、ブロンドの白人で、年収10億円は下らないと言われる金持ちだが、2004年下院選挙で保守党候補としてトロントのニューマーケット-オーロラ選挙区で当選し、政界進出を果たした。保守党員でありながら同性結婚・妊娠中絶・銃規制に賛成した「レッド・トーリー」で、2004年の保守党党首選では2位に敗れているが、このときも「彼女が党首ならもはや保守党ではない」とさえ言われている。しかし党首に就いたハーパーは、女性差別を主張する圧力団体「国民連合」の元会長であり、この二人が火花を散らすのは時間の問題だっただろう。
 保守党のハーパー党首は、自由党政権が提出する予算案に反対し内閣を打倒しようと、ケベック連合と手を組んだ。ケベック民族主義を唱える同党は西部の利益を主張する保守党にとって天敵であり、またカナダからの分離独立を主張する同党とはどの党も無視して提携しようとしなかったから、つまりハーパーは禁じ手を使ったのである。
 ベリンダは、ハーパーが国政全般について考慮せず、倒閣運動のみに熱心で、その目的のためケベック連合と手を組み国家の統一を危機に晒したと非難した。また保守党は西部の利害に執着しすぎているとも語った。
 なおベリンダは副党首のピーター・マッケイと交際していたが、マッケイは本人から事前に知らされていたにもかかわらず秘密を守ったため、非難に晒されている。

 寝耳に水の彼女の行動は自由党を歓喜させた。政界の混迷からカナダドル相場も下落の一途をたどっており、この日対米レートで79セント台を割り、対円レートでも78.56ドルと7か月ぶりの安値を更新したが、マーチンとベリンダの記者会見のニュースが流れると、途端に上昇を始めた。

写真:「セックスと嘘と裏切り」。自由党のマーチン党首(左)と新民主党のレイトン党首(右)が、ベリンダ(中央)を抱きしめている。
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