SSブログ

保守党の望みは「新民主党の支持率上昇」 [新民主党]

 ナノス・リサーチ社が11月16日、1000人のカナダ人有権者を対象に電話で実施した政党支持率調査は、自由党39.4%、保守党28.7%、新民主党17.2%、緑の党7.3%、ケベック連合2.4%、人民党1.1%という結果となった。
 与党自由党と最大野党保守党は、長い間抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げていたが、今回の調査では自由党が頭一つ抜きん出た形となった。保守党の前回総選挙での得票率は31.9%で、同党支持率はそれ以降ほとんど変化していない。変化しているのは自由党支持率の方だが、保守党にとって特別に気になるもう一つの数字は、新民主党の支持率であろう。

 新民主党は2017年10月1日、ジャグミート・シン党首が新たに就任したが、支持率は上がらず、補選でも8戦して全敗している。新民主党の低支持率が、そのまま自由党の高支持率につながっていると考えられる。
 1961年の新民主党結党以来、18回の総選挙が行われたが、自由党が勝利したときの得票率は平均で14.8%だった。ところが、保守党(または進歩保守党)が勝利したときの得票率は平均で19.6%と、5ポイント近くも高い。保守党が勝利できる分岐点が「新民主党の得票率17%以上」であることは、秘密でも何でもなく、批評家たちにすでに指摘されていることである。
 新民主党の得票率が17%以下だった総選挙は8回あったが、そのうち7回は自由党が勝利した。唯一の例外は1962年総選挙で、新民主党の得票率が13.6%のとき、進歩保守党が定数265議席のうち116議席を獲得し、過半数割れながら辛勝した。
 新民主党の得票率が17%以上の総選挙では、保守党が6回勝利し、自由党が4回勝利した。後者の4回のうち2回は、自由党少数政権が成立している。
 1961年の新民主党結党以来、保守党過半数は1984年・1988年・2011年の3回あったが、新民主党の得票率が、2011年の30.6%は史上最高、1988年の20.4%は史上2番目、1984年の18.8%は史上5番目の好成績である。サンプル数が少なすぎるとは言え、新民主党が低迷しているときは自由党が勝ち、新民主党が好調のときは保守党が勝つことは、広く知られた事実である。顕著な例はオンタリオ州スパダイナ選挙区(現スパダイナ-フォートヨーク選挙区。チャイナタウンを含み、中国系有権者が多い)で、1980年以降、総選挙で自由党候補が当選したときは自由党政権になり、自由党候補が当選できなかった(新民主党候補が当選した)ときは保守党政権になっていて、ジンクスの的中率は100%である。
 保守党が総選挙で勝つとき、新民主党はブリティッシュコロンビアとケベックで得票率が自由党より6ポイント以上高い。同様にオンタリオでは、得票率が自由党より4ポイント以上高い。
 自由党が次回総選挙で有利になっているのは、新民主党がケベックで支持率低迷しているからだ。前回総選挙の得票率25.4%から9ポイントも低下しており、これで自由党はさらに14議席も拾うことができる。ケベックでの支持率低下の原因が、シン党首のターバンにあることは明らかだ。

 自由党と保守党が毎年激戦を繰り広げる選挙区が、国中至るところに、特にトロント郊外に多くある。それらの選挙区において、新民主党票のわずかな変動さえ、結果を大きく左右することがありえる。
(ただし、緑の党の支持率7.3%は前例がないほど高く、次の総選挙では予想外の結果を招くかもしれない。今年のニューブランズウィック州と去年のブリティッシュコロンビア州の総選挙では、緑の党の健闘が全党過半数割れの事態をひき起こし、連立交渉による政権樹立という予測不能の結果を招いた。ただし緑の党は、選挙区で当選困難と悟ると他党にスイッチする「戦略的投票」のため、投票日が近づくほど支持率を下げることが知られている。)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:地域

nice! 0

コメント 0

コメントの受付は締め切りました