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クレメント元産業相、セクスティングで離党 [保守党]

 厚生大臣・産業大臣・予算庁長官・北オンタリオ経済開発イニシアチブ担当大臣を歴任した保守党の重鎮トニー・クレメント議員は、SNSで複数の女性にセクスティング(猥褻な画像・動画・文書を送ること)を行った事実を認め、11月7日保守党幹部会から離脱した。彼はツイッターを頻繁に更新し、SNSのヘビー・ユーザーとして知られていた。彼は今後、無所属議員となる。

 (1) 事件発覚、除名は免れる
 彼は5日、アンドリュー・シーア党首と会談した。その席で彼は、最近「一人の合意ある女性」に猥褻な画像を送ったところ、画像を公表されたくなければ5万ユーロ(約640万円)支払えと恐喝され、警察に通報したと報告した。シーア党首は、彼が国家保安情報委員会メンバーと下院法務委員会副委員長と影の法務大臣の職務を続けるのは無理と判断し、これらの辞職を促すとともに、隠蔽は不可能とみて事態の公表に踏み切ったが、セクスティングの対象は一人だけだったという報告を受け、幹部会からの除名はしないと発表した。
 クレメント議員は6日、国家保安情報委員会メンバーと下院法務委員会副委員長と影の法務大臣を辞職し、次のように説明した。
「私は粗末な判断を下し、間違った道に進んだと認める。」
「私は、インスタグラムのあらゆる種類の画像に『いいね』を押している。私は決して、頼まれてもいない迷惑メッセージを送っていない。」
「外国人俳優たち(※原文は“actors”:複数男性名詞)がごく最近、私の無分別を恐喝に使おうとしたので、連邦警察にすぐ通報した。」

 (2) 「インスタグラムのキモ男」
 だが事態が公表されるや、複数の女性たちから、ネット上でクレメント議員につきまとわれたという報告が相次いだ。

 CBCで働いていたキム・フォックスさんは3・4年前、インスタグラムでクレメント議員にフォローされていることに気づいた。彼がその後、画像に大量の「いいね」をつけて行くので、彼はインスタグラムの使い方をわかっていないのか、たちの悪いスタッフに管理させているのか、それともロボットなのかと思ったという。その後「いいね」の数は増え続け、知人の女性たちからも同様の報告を受けるようになった。
 夫はそれはちょっと積極的すぎないかと言って、二人で画像を見たら、「いいね」がついているのは自分一人の写真ばかりで、風景やそれ以外の写真にはついていなかった。
「彼は、私にメッセージは送っていない。彼は私に、不適切な画像も送っていない。多くの知人女性が私と似たような経験をしているが、不適切な画像を送られたという話は聞いていない。」

 オンタリオ州トロント在住のクレア・マクワットさんは、ツイッターでトロント青年部の委員長を務めていると表示していた。するとクレメント議員は2014年、地方政治について語り合いたいというメッセージを送ってきた。
「彼は私のタイムラインを遡り、多くの画像に『いいね』をつけた。彼はいつも、女性または女性たちの画像に『いいね』をつけていた。」
 彼女はこのころ、tonyclementcpc名義のアカウントが「インスタグラムのキモ男」として、党の若い女性スタッフの間で広く知られていたことを知った。

 オンタリオ州ハミルトン在住のソフィ・ジェフロスさんは、こう綴っている。
「私はインスラグラムで6人をブロックしていて、トニー・クレメントはその一人だ。私たちは、若い女性のための政治集会で知り合った。彼は私のページを数年遡り、画像に『いいね』をつけ始めた。彼は年をとりすぎていて、気持ち悪いと思ったので、彼をブロックした。」

 オンタリオ州パリー・サウンド在住のある女性は、クレメント議員からのメッセージは最初は問題ないが、その後親密になると性的になると語った。
「彼は私に性的な画像や動画やメッセージを送ってきて、私につきまとった。私がいないと寂しいとか、私がどれほど素晴らしいかとかを書いて送ってきた。」
 ポート・シドニーの自宅に来てお茶を飲まないかと誘われたが、彼女は断ったという。
「私は自分が話をする唯一の女性であり、この件は秘密にしておいてほしいと彼はいつも言っていた。」
 彼女は2か月前、クレメント議員はほかの女性たちにもネット上でつきまとっていると知らされた。

 ハンドルネーム「クロニカリー・セーラ」さんは、ツイッターにこう綴っている。
「インスタグラムは、彼のデートサイトだ。彼の好みは、
カナダ人
20~26歳
ロングヘアか肩までの髪
彼は最初は友人のように装い、その後性的に変わる。妻はこのことを知っている。」

 (3) 幹部会を辞職、無所属に
 シーア党首は、記者会見で「幹部会からの除名はしない」と発表した4時間後、再度会見を行い、クレメント議員に幹部会を辞任するよう要請したと発表した。
「私は、これが唯一の事件であるという彼の言葉を信じていた。その後、多数の事件の報告があったので、彼がこれらの申し立てに対応できるよう、幹部会を辞任するよう依頼した。」
 さらに問題は一議員としてのみならず、彼が国家保安情報委員会メンバーを務めていたため、安全保障上の国家機密が漏洩したのではないかという懸念すらひき起こしている。連邦警察と枢密院は、これについても調査している。ラルフ・グッデイル公安大臣は、クレメント議員への恐喝は、彼が国家保安情報委員会メンバーだったことと関係あるとは思わないと語った。
 クレメント議員は改めて声明を発表し、被害を訴えた女性たちと妻に謝罪した。
「私は、関わった女性たちに謝罪する。そして私が知らなかったとしても、一線を越えたことで不快にさせたいかなる人々にも、謝罪する。心から申し訳なく思う。」
「人生で最も大切な人、順調なときも逆境のときもそばにいてくれた妻を、私は裏切った。彼女は素晴らしい家庭を築くため、多くの犠牲を払ってきた。私にできることは、どれほど長くかかろうとも、自分がしたことを白状して、我々の信頼関係を建て直すと約束することだけだ。」
 彼は、自分が犯した個人的過ちは下院議員としての職務には影響しないと述べたが、自分が求める基準を満たさないと認めた。
「下院議員としての任務を遂行し続ける間、このような事件が二度と起こらないことを確実にするため、私生活で必要とする援助と処置を求めることを、私は約束する。」
 彼の妻、作家で弁護士のリン・ゴールディングさんは事件を受けて、7日に声明を発表した。
「トニーが声明で言及したとおり、彼は援助を得るための行動を起こしています。私たちが家族や友人たちと過ごした幸せな生活を回復することを、望んでいます。あなたにはわかるでしょうから、この件についてこれ以上言うことはありません。」

 クレメント議員は2010年、演説で「我々にはより多くのサクセス・ストーリーが必要だ」と言おうとして「我々にはより多くのセックス・ストーリーが必要だ」と言い間違えている。
https://canadianhistor.blog.so-net.ne.jp/2010-11-23 参照)
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高橋幸二

コートジボワール当局は、トニー・クレメント議員を脅迫した容疑で2人の男性を逮捕したと発表した。
by 高橋幸二 (2019-01-21 12:21)