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ケベック政治転換、そのとき世論調査機関は [ケベック]

 ケベック州議会総選挙の結果は、またしても世論調査機関を驚愕させた。総選挙直前の世論調査では、ケベック未来連合と自由党の支持率の差はわずかで、最小で1ポイント、最大でも5ポイントしかなく、多くの機関は2または3ポイントだった。しかし実際の結果は、ケベック未来連合37.4%に対し自由党24.8%で、12.6ポイント差があった。つまり信頼できるはずの世論調査に、9ポイント以上の誤差が生じたことになる。それは、全ての世論調査機関が予測を外した衝撃の2013年ブリティッシュコロンビア州総選挙以降の、5年間で14回の総選挙において最大の誤差である。そのとき世論調査で、BC新民主党はBC自由党に7ポイントリードしていたが、実際の得票率では自由党が4.4ポイント上回った。

 世論調査機関は回答者から回答を得たあと、それを実際の有権者の年齢・性別などの構成比に合わせるため、特定の回答に倍率をかける。これがケベックでは言語が重要な要素となるため、回答を実際のフランコフォン(仏語話者)・アングロフォン(英語話者)・アロフォン(英仏語以外の話者)の比率に合わせる必要がある。問題は有権者の構成比が、実際の投票者の構成比と同じとは限らないということだ。
 全体の投票率は66.5%だったが、ケベック未来連合候補が勝った選挙区では69.4%だったのに対し、自由党候補が勝った選挙区では59.3%だった。フランコフォン人口が最も少ない9選挙区のうち8つは、投票率60%以下だった。レジェ・マーケティング社が選挙後に実施した世論調査は、非フランコフォンの47%が棄権したことを示した。自由党支持者には明らかに、長期政権に対する倦怠感があった。
 いっぽうメインストリート・リサーチ社のキート・マギー氏は、投票日の4日前の調査で「投票する党を変えることが大いにありえる」と回答した人が11%もいたと報告した。またレジェ・マーケティング社による選挙後の調査は、回答者の36%が最後の週に(うち11%は当日に投票所で)投票先を決めたことを示した。それは、2014年には8%にすぎなかった。同社の調査はさらに、ケベック州民の54%が実際に投票した党以外の党に投票することを検討し、自由党支持者の5%が最後の週末にケベック未来連合支持に変わったことを示した。

 次の連邦議会総選挙まで、あと1年もない。世論調査は今のままでいいのだろうか。カナダは法律で、投票日当日の世論調査発表を禁止している。メインストリート・リサーチ社のジョゼフ・アンゴラノ氏は嘆息する。
「私は、このような土壇場の翻意をどうやって捕捉すればいいのかわからない。」
 リサーチ・カンパニー社のマリオ・カンセコ氏も、できるだけ遅く調査を実施するくらいしか対策がないと嘆く。
 だがイプソス社のセバスチャン・ダレール氏は、楽観的だ。
「これは、過去50年間のケベック政治のパラダイムを転換する、定型外の選挙だった。独立論争がテーブルから下ろされ、ケベック州民は新しい構図を求めていた。だが連邦議会選挙は、定型のものになるだろう。長く続く現政権に対する、変化を求める強い欲求は見られない。」
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