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カナダ軍に「王立」の旧称復活 [保守党]

 ピーター・マッケイ国防大臣は8月16日、カナダ海軍および空軍の名称を、“Royal”(王立)を含む旧称に復したと発表した。
 現在の「空軍」(Air Command:AIRCOM)は「王立カナダ空軍」(Royal Canadian Air Force:RCAF)に、「海軍」(Maritime Command:MARCOM)は「王立カナダ海軍」(Royal Canadian Navy:RCN)に、そして「陸軍」(Land Force Command)は「カナダ陸軍」(Canadian Army)に名称を変更した。これらの名称は、1968年まで使用されていた旧称が復活したものである。
 マッケイ国防大臣は、
「カナダ人は、“Royal”の名称に誇りを抱いていた。兵士たちは“Royal”の名のもとに、フランダースで、ノルマンディで、加平で、そしてアフガニスタンで戦い、死んで行ったのだ。」
と語り、今回の措置は、“Royal”の名称が削除された歴史的誤謬を正すものであり、軍人特に旧名で戦った退役軍人は、今回の変更を歓迎していると自負した。

 だが歴史家、共和制主義者、ケベック人たちは今回の措置を植民地主義・アナクロニズムだとして、非難している。
 オタワ大学のピエール・アンシル教授は、“Royal”の名称は軍隊が大英帝国を防衛していた時代を髣髴させ、イギリスを守る戦いのための徴兵にフランス系市民が反対した苦い記憶を思い起こさせることになると述べた。
「女王がカナダの元首であるというのは、その通りだ。だが“Royal”の名称が削除された理由は、トルドー政権がカナダのために奉仕する軍隊を持つことで、新たなナショナリティを構築しようとしたからではないか。」
 共和制市民団体「カナダ共和国市民」のトム・フリーダは、
「今は1950年代ではない。カナダは植民地主義から旅立ち続けてきた。決してそこに向かってではなく。私には、今回の決定が2011年の大衆の要望だとは思えない。」
とコメントした。
 新民主党のジャック・ハリス議員は、軍の名称を慣れ親しんだ旧名に戻すことには反対しないが、“Royal”の名称復活には同意できないと語った。
「“Royal”の名称は対立を引き起こす。それは避けるべきだ。カナダは近代国家であり、40年以上もカナダ軍を持った独立国である。それはカナダの象徴の一部であるから、我々はそれを維持していくべきだ。」
 いっぽうカナダ君主制連盟のロバート・フィンチ会長は、今回の旧称復活は、軍隊の歴史を祝福する福音だと語った。
「“Royal ”の語があることで、女王が軍隊のトップであるという事実を強調できる。軍隊は党派に属さない、非政治的なものだ。軍隊は首相のものでも、国防大臣のものでもない。それは女王のものだ。」

 海・空軍に“Royal”の称号が付いているのは、海・空軍は国王に指揮権があるとするイギリスの慣習に則ったものであり、陸軍は各自治領の領土をそれぞれの主権に基づき防衛することから、“Royal”の称号は付いていない。
 自由党のトルドー政権は1968年、陸海空の三軍を統合し「カナダ軍」に再編成した。そのとき制服も統一され、名称から“Royal”の称号が削除された。空軍は1975年“Air Command”に、陸軍は1997年に“Land Force Command”に名称を改めた。
 なおカナダは建国以来、戦争に負けたことはない。
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