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売春防止条項違憲判決に、政府が上告 [人権]

 歴史的判決が下った9月28日午後3時、エレクトラ・ウィリアムズ(24歳)は「やった!」と叫んだ。
 彼女はシェルターで暮らし、トロントのジェラード・ストリートで客を取る売春婦である。彼女の右胸から首にかけて、消えることのない深い傷跡が残っている。それは客にチェーンで打たれた跡である。彼女は、客と事前に少しの会話をすることができたら、危険な客を見分けることができたはずだと言う。

 歴史的違憲判決の翌日29日、連邦政府は上告する意向を発表した。ロブ・ニコルソン法務大臣は、下院でこう演説した。
「売春は国民と地域社会を害する問題である。それが政府が上告し、同時に判決が効力を持つことの延期を求める理由である。」
 またオンタリオ州のクリス・ベントリー司法長官は、オンタリオ州政府も上告するとともに、判決から30日が経過した後も、既存の法律が効力を維持するよう要請すると発表した。
 新民主党のレイトン党首は「我々は、女性が保護されるよう法律が改正されるべきだと主張してきた」と述べ、売春合法化を訴えてきた党の姿勢を強調した。
 オンタリオ新民主党のピーター・コモス州議員は、連邦政府は高裁の画期的判決を受け容れ、新時代に順応した視野を持つべきだと指摘し、こう述べた。
「高裁判決と戦うことは、巧妙に偽装された新たなセックス産業を登場させる偽善的行為である。オンタリオ州のあらゆる自治体は、 “rub-and-tug”と呼ばれるマッサージ・パーラーに営業許可を与え、税を徴収している。誰もが、それが事実上の売春宿だということを知っている。もう偽善はやめようではないか。」

 ウィリアムズは自分の人生に満足しており、ただ安全に仕事をしたいだけだと言う。
「私たちには、居場所が必要です。誰にも迷惑をかけるつもりはありません。私たちはここで働き、ここで暮らしているだけです。」
 原告の一人バレリー・スコットは、こう言って笑った。
「セックス・ワーカーと会ったことがないと言う人に、私はこう言います。あなたは会っています。ただ気づかないだけです。もしもあなたがコンドミニアムに住んでいるなら、何人かのセックス・ワーカーがそこにいます。」
 ダニエル・ブラウン弁護士は、違憲判決が下った28日の夜、逮捕された男性から助けを求める電話を受けた。
「私が見るかぎり、警察は高裁判決に従っていないようだ。たとえ30日の猶予があるとはいえ、すでに違憲判決が下っているではないか。」
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