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オンタリオ高裁、売春防止条項の無効を宣言:売春宿合法化へ [人権]

600_prostitution_law_100928.jpg オンタリオ高等裁判所は9月28日、カナダ刑法の売春防止条項について無効の判決を下した。同時に連邦政府に対し、30日の猶予を与え、状況を改善するための新たな法制定を促した。判決は、連邦政府が効力を停止しない限り30日後に有効となる。
 2003年の同性婚に続き、オンタリオの法廷がまたも画期的判決を下した。判決はオンタリオでのみ有効だが、同性婚のときと同様、諸州がいっせいに続くことも予想される。判決はまた、ニュージーランド、ドイツ、オランダ、ネバダ州、オーストラリアの一部の州に続き、売春宿公営化への道を拓いた。

 カナダでは売春自体は合法だが、スーザン・ヒメル判事は、刑法の売春防止条項のうち、売春を目的とした交渉の禁止、売春に付随して収入を得ることの禁止、売春宿の経営の禁止の3つの条項全てを無効とした。これにより、カナダでは見られることのなかった売春宿が街のどこででも営業でき、刑事罰を科せられるおそれなくボディガードを雇い、売春婦は顧客と路上で自由に交渉できることになる。
 ヒメル判事は、売春婦を保護するために規定された条項は、実際にはかえって危険にさらしていたと判断した。交渉の禁止は、売春婦たちに危険な客を識別する機会を奪った。売春に付随して収入を得ることの禁止は、売春婦たちに個人での営業を強要し、ボディガードを雇う機会を奪った。売春宿の経営の禁止は、売春婦に見知らぬ人と二人だけで、人目を避けた場所での営業を強要した。かくして判事は「売春婦が直面する危険は、公衆が直面する迷惑をはるかに上回っている」と述べ、売春防止条項は憲法に規定された「表現の自由」および「国民の安全」を侵害するものであり無効と判断した。

 この判決は、連邦政府に衝撃を与えた。30日の猶予は、上告のための戦略を再検討するには、あまりにも短すぎるからである。ローナ・アンブローズ女性の地位担当大臣は「連邦政府は、高裁の決定に非常な懸念を抱いており、上告を検討している」とコメントした。新民主党のリビー・デイビス副党首は「高裁の判決は、これらの条項がセックス・ワーカーたちと地域社会を保護しているという神話を打ち砕いた。これらの条項はセックス・ワーカーたちを保護しなかっただけでなく、有害でさえあった」という見解を述べた。
 原告側のアラン・ヤング弁護士は、「ロバート・ピクトンがバンクーバーのイーストサイドで売春婦を多数殺す事件が発覚したことで、状況が変わった」と語ったが、「カナダがドイツのように、5階建ての公娼宿を持つようになると考えるのは時期尚早だ」とも述べた。
 原告の一人バレリー・スコットさんは、こう語った。
「私たちはこれで、もうレイプ・強盗・殺人の心配をしなくてもよくなりました。これは驚くべき勝利です。」
「全国のセックスワーカーたちは、健康保険証を持ち、所得税を納める善良な市民でありたいと思います。皆さんどうか、私たちを怖がらないで下さい。私たちはエイリアンではありません。」
 原告の一人テリー=ジーン・ベッドフォードさんは、椅子から立ち上がり両手を上げて「今日は、カナダにとって素晴らしい1日です。セックス・ワーカーのための解放記念日です」と語った。「勝訴を祝う予定はありますか」ときかれた彼女は、鞭をしならせてこう答えた。
「これから客どものケツをひっぱたきに行くわ。合法的にね!」

 アンガス・リード社による2009年の世論調査は、カナダ人の約半数が売春宿合法化を支持することを示した。


写真:勝訴に歓喜する原告のベッドフォードさん。右はヤング弁護士。
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hisanorikun

日本で、このような裁判が行われて、売春婦に自由を

もたらす時は、きっとやってきます。ただ一人の旦那様にしか

体をささげることを、したくない女性がいるのですから。

                              ヒサノリ
by hisanorikun (2010-10-25 18:37) 

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