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国歌「オー・カナダ」の歌詞変更を検討 [保守党]

 3月3日に召集された連邦議会の所信表明演説で、ハーパー首相は国歌「オー・カナダ」の歌詞を、性的に中立なオリジナル英語詞に変更することについて議会に諮問する意向を述べた。
 「オー・カナダ」は、1880年にアドルフ=バジル・ルーティエがフランス語で作詞したもので、その後いくつかの英語詞が作られた。1980年に国歌として制定されるにあたり、ロバート・スタンレー・ウィアの英語詞が国歌に採択されたが、政府は彼の詩の一部を変更している。
 実はウィア自身も、歌詞を何度か修正している。2行目の歌詞“in all thy sons command”は、当初は古風な“thou dost in us command”だったという。彼が1914年に“in all thy sons command”に改めたのは、第一次世界大戦の影響だろう。
 だがウイアの孫スティーブン・ウィリアム・ウィア・シンプソンは、“in all thy sons command”が最初のバージョンだと主張する。彼はその証拠である祖父の自筆の遺稿を持っているという。
「シェークスピアの作品を変えようとする人はいないでしょう。」

 カルガリー大学のリズベス・ドナルドソン名誉教授は、カナダ女子ホッケー代表が金メダルを獲得すると、「ヘイリー・ウィッケンハイザーのような女性たちが、オリンピックの表彰台で“in all thy sons command”と歌うのを見るのは、胸が痛む」という電子メールをハーパー首相に送った。
「人口の51%を占める女性は、選手団の43%に過ぎないにもかかわらず、メダルの80%を獲得しました。今こそ国歌を包括的なものに変更すべき時ではないでしょうか。」
 彼女はまた、多くのカナダ女性は密かに“in all of us command”と歌っていると述べた。
 ハーパー首相の元ブレーンで、カルガリー大学で政治学を教えるトム・フラナガン教授は、この問題を取り上げることはほかの全ての問題を噴出させることになると警告した。
「ひとたび国歌の論争を始めれば、無神論者は“God”を削除せよと主張し、平和主義者は“stand on guard”に異議を唱え、先住民は“native land”とは誰の土地だと言い出して収拾がつかなくなるだろう。」
 クイーンズ大学のアデル・メルシエ教授は、そろそろ歌詞を変更してもいいころだと述べた。
「女性兵士たちはアフガニスタンで男性とともに戦い、ともに死んでいます。そして彼女たちは、野郎どもの命令下(under the guy's command)にあるではないですか。」
 トロント大学で言語学を教えるジャック・チャンバース教授は、こう語った。
「20世期初頭には、“thou dost”などと言っている詩人は笑い者にされていた。“thou dost in us command”は気取った感じがして、不自然だ。それに子音がひどく歌いにくい。」

 かつてトロント市議会は1990年、“in all thy sons command”を“in all of us command”に、“our home and native land”を“our home and cherished land”に修正するよう勧告する動議を可決した。これについてハワード・モスコウ市会議員は、“native land”の歌詞は外国生まれのカナダ人とって不適切であり、“sons”の歌詞は女性を排除していると説明した。フェミニストのビビエン・ポイ上院議員も2002年、“in all thy sons command”を“in all of us command”に修正する法案を連邦議会に提出している。
 なお「オー・カナダ」のフランス語詞は非常に宗教的で、ジェンダーの表現はない。ルーティエの原詩は変更されたことはない。
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