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ナニーゲート事件 [自由党]

 トロント・スター紙は2009年5月5日、ルビー・ドーラ下院議員(自由党)の家で雇われた2人のフィリピン人ナニーが、違法に雇用され虐待されたとする記事を掲載した。
 彼女たちはドーラ議員にパスポートを取り上げられたうえ、ナニーの職務ではない洗車や靴磨き、ドーラ家が所有するカイロプラクティック・クリニックの清掃を強いられたと主張した。ナニーの一人リッチェリン・トングソンは、不法労働者だったため強制送還されるのを恐れ抵抗できなかったと語った。またマグダレン・ゴードは、毎日午後11時まで働かされたと語った。彼女たちは、言葉のハンディのあるカナダで家族を養ってゆくため、我慢してきたのだという。もう一人のナニーも後に、名乗り出た。
 ドーラ議員は、雇用者は兄のニールであって自分ではない、またパスポートを取り上げた事実はないと反論した。またナニーたちは、マホガニーの家具と薄型テレビのついたベースメントを提供され、母タビンダーは時々彼女たちに料理を提供したと弁明した。彼女は、雇われてから15か月も経って虐待を告発するのは不自然だと指摘し、母自身が移民であって、自分たちは移民問題をよく理解していると述べた。またニールは容疑を否定し、家族は政治的陰謀の犠牲者だとコメントした。
 ドーラ議員は、ミス・インディア=カナダで準優勝したこともある才色兼備の女性で、2008年には党首選出馬を噂された自由党のホープである。今回の報道で、彼女の政治生命は終わったとする見方が広がった。彼女を支持したのは、党首選で彼女が支持したイグナティエフ党首や、彼女と親しいジュディ・スグロー議員など少数であった。なおスグロー議員は移民大臣だった2004年、この事件に類似した「ストリッパー・ゲート事件」で大臣を辞任している。
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2007-05-21 参照)

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 ドーラ議員は5月6日、自由党の青年問題担当と多様文化主義問題担当を辞任し、潔白を証明するため連邦議会に調査を請求した。
 こうして、マルローニ元首相が委員会で証言した日と同じ5月12日、下院出入国管理委員会でドーラ議員と関係者が証言した。移民者女性を支援する「インターシード」のアガサ・メイソン代表は、ナニーからの苦情を聞き、パスポートを24時間以内に返却するようドーラ議員に要請したら、翌日返却したと証言した。ところがドーラ議員は、インターシードの誰とも話したことはないと語り、証言を否定した。デビッド・ティルソン委員長は「双方は相反する証言をしている。誰が真実を語っているのか、私にはわからない」と述べた。
 ドーラ議員の弁護士は、ナニーの一人は別の雇用者に対し事実無根の告訴をした過去があると公表した。
 ブランプトン・フィリピーノ壮年会は5月20日、ドーラ議員への支持を取り下げると発表した。


図:マルローニ元首相と同じ日に証言するルビー・ドーラ議員。若くて美しい彼女にみんなの目が釘付け。
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ハーバーセンターくん

 アンガス・リード社が5月20日、1004人のカナダ人を対象に実施したオンライン世論調査は、ナニー・ゲート事件でルビー・ドーラ議員を信じる人よりナニーたちを信じる人が3倍も多く、彼女が確実に政治的ダメージを受けていることを明らかにした。

 「ドーラ議員を信じる」人は8%、「ナニーたちを信じる」人は29%、「どちらも信じない」人が21%、「わからない」が41%という結果となった。自由党支持者でさえ、「ドーラ議員を信じる」人が19%、「ナニーたちを信じる」人が22%と、意見が分かれた。
 ドーラ議員への評価を下げたとする回答者は、全国で34%いるが、彼女の選挙区であるオンタリオではさらに厳しく、39%だった。
by ハーバーセンターくん (2009-05-23 20:57) 

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