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国連のイスラエル非難決議にカナダのみ反対 [中東]

 パレスチナ自治区ガザにおける、イスラエル軍によるイスラム原理主義組織ハマス掃討作戦に関する国連人権理事会の特別会合は1月12日、イスラエル非難決議を賛成33、反対1、棄権13で採択した。決議は、イスラエル軍の攻撃を「パレスチナ人への重大な人権侵害」と強く非難し、軍事行動の即時停止を求めるいっぽう、ハマスについては名指しせず軍事行動の停止を求める内容にとどまった。決議はさらに、人権理事会議長が任命する国際調査団を派遣し、イスラエルによる「あらゆる国際人権法・人道法違反を調査」させるとしたほか、ガザの国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)施設への攻撃で子どもを含む多数の民間人が死亡した事件の調査と、国連総会への報告を潘基文事務総長に求めた。
 決議案はアラブ・アフリカ諸国やイスラム諸国会議機構(OIC)を代表してエジプト、パキスタンなどが共同提案し、全会一致を目指してEUなどと調整を続けたが、不調に終わり投票に持ち込まれた。
 賛成したのはアラブ諸国、ロシア、中国、ブラジルなど。アラブ諸国は「より強いメッセージが必要だ」と主張し、停戦を求めた安保理での決議後も続くイスラエルによる軍事行動に強い不満を表明した。棄権したのは日本、韓国、ヨーロッパ諸国など。決議案はイスラエルとハマスのバランスが取れていないと判断した。反対したのはカナダ一国にとどまった。なおアメリカは理事会の公平性に疑義があるとして、理事を辞退している。

 カナダ代表マリウス・グリニアスは決議について、「イスラエルは人道主義の危機を招いた」という文言が不必要かつ扇動的だと指摘し、イスラエルへのハマスのロケット弾攻撃が危機を誘発したという文言を追加することに失敗したと語った。
 ポール・ハインベッカー前国連大使は、今のカナダは伝統的な中立外交路線から逸脱していると指摘した。
カナダ・イスラム会議のジジャド・デリク氏は、「今こそガザとイスラエルの罪もない人々が保護されるべき時だ」という声明を発表した。
 保守党を支持するユダヤ人組織「ブナイ・ブリス」のフランク・ディマント副会長は、対立を惹き起こしたハマスの役割に言及しない決議はひねくれたものだと語った。
 外務省は「決議は、今日の危機を惹き起こしたハマスによるイスラエルへの継続的なロケット弾攻撃に言及せず、国家の合法的権利である自衛権についても無視している。カナダは、現在進行中の対立について懸念しており、持続可能な停戦を即時に実現するためのあらゆる外交的努力を続けていく。しかし停戦を実現するために、まずハマスはロケット弾攻撃を中止しなければならない」と発表した。
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