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ケベック州総選挙へ、争点は経済 [ケベック]

 ケベック州のジャン・シャレー首相は11月5日、副総督官邸を訪問し、州議会の解散を要請した。これにより12月8日に総選挙が実施されることになった。ケベック州では連邦と併せ、この5年間で6度目の総選挙となる。現有議席は定数125に対し自由党48、ケベック民主行動党39、ケベック党36、欠員2。自由党が勝利した場合は連続3選となり、国民連合が1952年に連続3選して以来初めてとなる。

 モニク・ジェローム=フォルジェ財務相は世界的な金融危機において、ケベック経済への打撃を最小限にするため2億4900万ドルの財政支出を計画した。だが野党は州の財政は赤字であるとしてこれに反対した。シャレー政権は少数政権だが、野党が非協力的だとして、抜本的経済対策を採るためには安定政権が必要だという理由で解散のタイミングを測っていた。10月21日の議長選出では、ケベック党の推すフランソワ・ジャンドロン議員に、民主行動党がシャレー首相に根回しなく同調して野党議長を当選させたことで、与野党間の緊張が高まっていた。ケベック党と民主行動党は先週、シャレー首相に総選挙を実施しないよう勧告する動議を可決させたが、首相はこれを無視した形である。
 シャレー首相は「これは経済の是非を問う住民投票だ。政府が最善の策を採るために必要な安定を委ねたいと思う住民には、『ウィ(イエス)』の一票を投じて欲しい」と、独立を問う住民投票に因んで語った。ケベック州議会選挙ではしばしば、独立派のケベック党が独立問題を争点に持ち出し、持ち出さない場合は自由党の方から「ケベック党が勝利すればケベックは独立してしまう」と「隠しマニフェスト」暴きが行われるのが通例だが、今回はどうだろうか。ケベック党のポリーヌ・マロワ党首は、次のようにコメントした。
「独立問題は今回総選挙の争点ではないが、我々は独立問題を隠すつもりはない。私は、独立したケベックが金融危機において最善だと考えている。なぜならオタワに諮ることなく、我々自身が我々の経済と税制を管理できるからだ」。
 いっぽう民主行動党のマリオ・デュモン党首は、
「シャレー首相は経済第一と言うが、本当は選挙に勝つことが第一で経済は二の次だ」
とコメントした。

 昨年3月の総選挙では、二大政党の一角を担ってきたケベック党が1973年以来初めて第三党に転落し、かわって民主行動党が躍進して初めて公認反対党となった(野党第一党は「公認反対党」として「影の内閣」を組織し、その党首は公邸・公用車・SPなどが支給される公職である)。民主行動党は長らく議員はデュモン党首一人だったが、長くくすぶる独立問題への倦怠感と、ともに左派政党であるケベック党と自由党の両方に不満を持つ層の支持を受け、議席を10倍にした。だが民主行動党は一年生議員ばかりで、この1年半目立った成果をあげられず、支持率は18%にまで低下した。ケベック党はこれを好機とみて、民主行動党の議員に自党へ移籍するよう誘いをかけていた。両党の議席差はわずかで、3人引き抜けばケベック党が公認反対党になるからである。
 このような背景で10月24日、民主行動党のアンドレ・リードル議員とピエール=ミシェル・オジェル議員が自由党に移籍する事件が起こった。二人はデュモン党首のワンマン運営に失望したという。
 いっぽう与党自由党の支持率は50%を超えており、今選挙を実施すれば最大で35議席増が見込め、特にモントリオール島周辺は自由党一色に塗り替えられそうだと見ている。48議席の自由党は、過半数まであと15議席獲得すればよい。
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