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ディオン党首、20日に進退について発表 [自由党]

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 トロント・スター紙は、自由党のディオン党首が16日に辞任すると報じたが、彼の秘書はこれを否定した。各党が総選挙を総括する声明を発表するなか、ディオン党首だけは声明を出さず、人目を避けている。彼の事務所は、20日午後2時(カナダ東部時間)に声明を出すと発表した。
 デビッド・スミス上院議員は「ディオン党首は今自分を振り返り、お茶の葉を数える時を過ごしている」と語り、「彼は党首だ。追い立ててはならない」と語った。だが党首には歴史的に2度のチャンスを与えてきた自由党も、今回ばかりは容赦がない。ある議員は「ディオン党首が辞任するとすぐに発表しないなら、党は彼の事務所から家具を運び出さなければならない」(注※野党第一党党首は「公認反対党党首」としてストーノウェイに公邸が用意されている)と語った。落選した候補も、僅差でかろうじて逃げ切った候補も、ディオン党首が世論調査を無視し、他者の忠告にも耳を貸さず、独断で「グリーン・シフト」を含むマニフェストを作成し、党を未曾有の大敗に導いたことに憤慨している。76議席は史上3番目に悪い成績だが、得票率26.2%は史上最低である。
 自由党は歴史的に「左で選挙を戦い、右で統治する」を実行してきた。だが左派のディオン党首は、あまりにも左寄りのマニフェストで選挙を戦い、中道右派の支持を失った。右翼のカナダ同盟がハーパーによって中道右派に収まり、オンタリオの支持者を奪ったのである。また、新民主党や緑の党のような革新政党との違いを引き立たせることにも失敗した。「グリーン・シフト」は環境学者の間での評価は高かったが、有権者には難解で、さらにディオン党首の英語にも難点があり、理解されなかった。
 そして党首就任から2年もの期間を与えられながら、ディオン党首は少数与党のハーパー政権と戦おうとしなかった。史上最悪の敗北を喫したジョン・ターナー党首の相手は、史上最大211議席を獲得したマルローニ政権だったのである。

 マイケル・イグナティエフ副党首、ドミニク・ルブラン議員ら次期党首の有力候補は、すでに次の党首選に向けて走り出している。イグナティエフ副党首は立場上、ディオン党首へのあからさまな非難を避けた。
「ディオン党首をここでスケープゴートに仕立て上げるのは、私には安直に思われる。党が敗北したときは、あらゆるものを見直し、基本に立ち返るべきだ。マニフェスト、組織、資金、そして広い意味でのリーダーシップ。我々は党の政策が有権者の心に届かず、関心を引きつけなかった理由と真摯に向き合うべきだ。」
 有力候補のボブ・レイ議員も
「私は、次の選挙もディオン党首が導くことを期待する」
と神妙なコメントをしている。


【ディオン党首の今後の進退】
●辞任する
(1)即刻辞任する→暫定党首を立てる→5月に党首選→別の党首を選出
(2)辞任だけ表明し5月まで務める→(a)5月に党首選→別の党首を選出
                     →(b)即刻辞めろと要求される→(ア)即刻辞任し(1)へ
                                       →(イ)5月まで辞めない→党内抗争へ→①5月まで務める
   →②即刻引きずり降ろされる

●辞任しない
(1)5月の党大会で信任投票→(a)51%以上の支持→留任(ありえない!)
                 →(b)51%未満の支持→党首選→(ア)再選(ありえない!)
                                     →(イ)落選・別の党首を選出
(2)辞任しろと要求される→(a)辞任する→上の「●辞任する」へ
               →(b)辞任しない→党内抗争へ→(ア)抗争に勝利し(1)へ
                                  →(イ)抗争に敗北し引きずり降ろされる

 多くの選択肢があるように見えるが、実際には即刻辞めるか、5月に辞めるか、徹底的に戦い玉砕するかの3つしかない。


図:ディオン党首(左)へやけに神妙なコメントのマイケル・イグナティエフ(中央)とボブ・レイ(右)。
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