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迷える無党派たちの感謝祭 [2008年下院選]

 カナダの有権者は、投票日まであと3日を残し感謝祭の食卓に向かう。彼らのうちのおよそ16%が「感謝祭ディベート」で投票を決めるだろう。彼らは特定の支持政党を持たない無党派だが、政治には関心を持ち投票はする。彼らはいつもは小さな政治的影響力しか持っていないが、今回総選挙に関しては、保守党が過半数に達するかどうかの瀬戸際にあり、彼らの行動が運命を左右することになりそうだ。
 社会学者の指摘によると、人々が決心するとき大きな影響を受けるのは、面と向かい合っている人、特に家族だという。トロント大学で社会学を教えるバリー・ウェルマン教授は、この週末に全国各地で夕食時に選挙が話題にのぼるだろうという。
 迷える有権者は誰か。心理学者は、若者、女性、土地を持たない賃借人、低学歴者、そして中道左派を挙げる。彼らは自由党・新民主党・緑の党を自由に選択できるが、また容易に意を翻すことができる。
 保守党とケベック連合の支持者は、14日に何をすればいいかを知っている。「新生」クリスチャン(注※幼児洗礼でなく信仰を自発的に持ったクリスチャン)は投票に迷うことはない。だがバンクーバー・センターのような、若者や賃借人の多い選挙区はどうだろう。自由党の現職ヘディ・フライ議員は、ブリティッシュコロンビア大学で政治学を教えるマイケル・バイヤーズ候補(新民主党)、緑の党副党首エイドリアン・カー候補、BC自由党の元州会議員でゲイのローン・メイエンコート候補(保守党)にその地位を脅かされている。自由党-新民主党-緑の党の緩やかな左派支持者は、誰に投票すべきか悩ましい。彼らの投票が誰かに偏ればその候補が勝利するが、もし彼らがきれいに分散しあるいは投票に行かなかったら、メイエンコート候補が勝利するだろう。彼らの投票はこの選挙区では、決定的な影響力を持っているのである。
 イーコス・リサーチ社のフランク・グレーブスは、新民主党と緑の党の支持者が、保守党少数政権こそが自分の支持政党の存在意義を高めると信じ、自由党よりも本来の支持政党への投票に回帰する「養子フィードバック現象」について説明する。緩やかな左派支持者は、保守党過半数も自由党少数政権も望んでいないことを世論調査は示している。彼らは金融危機、アフガン戦争、地球温暖化などの問題にも心を動かされることがない。彼らはただ現状に満足し、議会勢力の大きな変動に不安を抱くのである。
 グレーブスは、この現象が偶然に保守党過半数を許すことがありえると指摘する。これは保守党にとって最後のチャンスであり、自由党にとっては悪夢である。
 投票日まであと3日。決定的影響力を持ちながらいまだに投票を決めかねている都市部の無党派に対し、各党はどうアプローチすべきだろうか。専門家は指摘する。保守党が最後にすべきことは、過半数への希望を語り続けることである。自由党が最後にすべきことは、自分たちこそが保守党過半数を阻止する唯一の選択だと訴えることである。新民主党が最後にすべきことは、保守党過半数について何も言わないか、自由党を批判することである。
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