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10月14日総選挙か [2008年下院選]

 ジャン総督は9月6日から10日まで北京パラリンピックに出席する予定だったが、8月27日ハーパー首相がそのキャンセルを依頼したため、首相はこの間に下院解散・総選挙の勅許を得るため総督官邸を訪れるのではないかという噂が駆け巡った。首相官邸スタッフの一人は、匿名という条件で「ハーパー首相が下院解散を奏上する日は9月2日から7日の間で、投票日は感謝祭の翌日10月14日になるだろう」と語った。しかし事情通は、首相が総督に解散を奏上するのは9月7日だと断言した。
 選挙法は選挙期間を少なくとも36日と規定し、投票日はそれ以降の最初の月曜日で、その日が祝日の場合はその翌日に行うものと規定している。10月17日から19までケベック市でフランコフォニー・サミットが開催されるため、10月20日投票日では最も忙しい最後の3日間と重なってしまう。
 だが10月14日投票日は仮庵の祭の初日に当たり、カナダユダヤ人会議はまだ決まってもいない投票日を変更するよう要請している。ユダヤ系住民の多い、トロントのソーンヒル選挙区選出のスーザン・カディス議員(自由党)は「10月14日の投票は不適切で無神経だ」と非難したが、首相官邸筋は「不在者投票すれば済むことだ」と取りあう様子はない。オンタリオ州のマギンティ首相は昨年、投票日がユダヤ教のシェミニ・アツェレットと重なったため、投票日を変更している。

 ハーパー首相は9月15日に再開される連邦議会を間近に控え、議会が機能するかどうかについて野党各党党首と個別に会談している。29日に会談したケベック連合のデュセップ党首は、野党がこれまでハーパー政権と合意できる領域を探してきたことで少数政権が2年半も存続しえたのだと指摘し、
「たとえ野党が多くの問題に関し協力的になったとしても、総理は解散・総選挙に向けて邁進しており、解散するためにはどんな口実でも見つけるだろう。国民にとって最善の利益を探す以前に、総理は自党にとって最善の利益となる総選挙を求めている。総理は選挙がしたいのだ。以上」
と吐き捨てた。
 30日に会談した新民主党のレイトン党首は、議会で優先的に取り組むべき事項として経済、ヘルスケア、環境、食品の安全とリステリア症の4つを挙げたが、
「総理は辞職したがっている。私は総理に、そんなに辞職したいなら、これらの懸案を解決することに失敗したと国民に説明した方がいいと言った」
と語り、
「もし私が首相だったらするであろうことを、ハーパー首相はする意志があるとはまるで感じられなかった」
と首相官邸前で語った。
 この発言を受けて首相広報のコリー・テニーク氏は、
「新民主党は今国会において、内閣不信任動議では一貫して賛成してきた。レイトン党首は政府と同じ立場にない」
と発表した。

 ハーパー政権は、4年ごとの秋に総選挙を実施する「選挙日固定法」を昨年成立させている(http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2007-05-04 参照)。この法律は2009年10月19日の選挙を約束するもので、このとき首相は「政府は早期解散・総選挙を求めていないことを明確にしたい。議会はいつでも内閣を不信任して、選挙を早期に実施することができる。もし野党が無責任に望むならば」とコメントしており、ここで解散・総選挙に打って出るならそれは公約違反と受け取られても仕方がないだろう。ハーパー首相が党首会談を行っているのは、これを紛糾させ解散・総選挙を実施する口実にするつもりなのだろうか。首相は、選挙日固定法は多数政権のみを想定したものだと強弁しているが、オタワ大学で法律を教えるエロール・メンデス教授は、ハーパー首相が下院を解散するのは憲法上疑義があり「あらゆる解散・総選挙を誘発する行為は、あらゆる法廷闘争を誘発することになるだろう」と語った。

 自由党のディオン党首は、多忙なため9月8日の補欠選挙より前には党首会談に応じられないとしているが、首相官邸筋はディオン党首を無視して、その前に解散・総選挙に打って出ることをすでに決意している。
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ハーバーセンターくん

 アンガス・リード社は、1012人のカナダ人有権者にオンライン調査を実施し、今総選挙が実施されれば保守党が過半数を獲得し、安定政権を樹立することを示した。
 政党支持率は保守党36%、自由党28%、新民主党18%、ケベック連合9%、緑の党8%となった。オンタリオでは自由党が37%と、保守党の34%を上回り、以下新民主党20%、緑の党9%と続いている。
 「強いリーダー」という設問では、保守党のハーパー党首は45%もの支持を受け、自由党のディオン党首の10%を大きく上回り、かつてないほどの大差がついている。また「首相にふさわしい人物」という設問では、ハーパー党首は36%の支持を受け、ディオン党首の13%の3倍に達しているが、「どちらもふさわしくない」という回答も35%に達している。
 ハーパー首相の政権運営に関しては、「経済への取り組みを支持するか」という設問には38%が肯定し、14%が否定した。
 「ハーパー首相は複雑な問題を理解しているか」という設問には36%が肯定し、27%が否定した。
 「ハーパー首相はカナダ人が直面する諸問題を理解しているか」という設問には33%が肯定し、23%が否定した。
 「二大政党党首は誠実で信頼できるか」という設問には、ハーパー党首を信頼する人が31%、ディオン党首を信頼する人が30%という結果となった。
by ハーバーセンターくん (2008-08-31 17:22) 

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