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元メディア王コンラッド・ブラック氏に有罪判決 [犯罪・事件]

 2007年7月13日、シカゴの陪審裁法廷は元ホリンジャー・インターナショナル社最高経営責任者(CEO)コンラッド・ブラック被告に対し、郵便詐欺、司法妨害の計4件の容疑について有罪、脅迫、送信詐欺、脱税など9件の容疑について無罪を宣告した。被告側弁護団は控訴した。

 ブラック被告はアメリカの出版社に自分がオーナーの傘下グループを売却する際、買い手が売り手に渡し契約後同様の会社を設立しないと約束させる「競争禁止供託金」260万USドルを会社に入金する前に着服。詐欺、横領を謀り当時の取締役3人にも割り当てた罪でホリンジャ・インターナショナル社から訴えられていた。
 さらに2005年、警察から禁じられていたにもかかわらずブラック氏自らトロントの元オフィスに出向き、証拠隠しのため13箱の重要書類を運び出す司法妨害を行った。その一部始終はビデオカメラに収められていた。

 ブラック氏は1944年モントリオールに生まれた。当時父親は大手醸造会社兼複合企業のトップであった。翌年家族はトロントに移り、ブライドルパスにある豪邸で、幼少から召使やナニー、運転手つきの富豪の家に育つ。
 10代の頃には通っていたアッパーカナダ・カレッジで期末試験の問題を入手し、級友に売ったことが発覚して放校処分となった。25歳でケベックの地方紙の買収に始まり、メディアへのビジネス欲をみせる。
 1976年に両親が他界すると財産と会社を引き継いだが、84年オーナーであったスーパーマーケットのドミニオンを売却したときも従業員の年金用基金に手をつけたと訴えられている。
 その翌年からイギリスにある数社の新聞社を買い上げていく。90年代中ごろには105紙あるカナダの日刊新聞社のうち59紙を買収し、新聞グループ会社ホリンジャ・インターナショナルのトップは、ついに世界で3番目に大きい新聞王となった。
 彼の2番目の妻、イギリスの元ジャーナリスト、アミエルさんには不正な金で60万ドルもする真珠のブローチや260万ドルのダイヤモンドの指輪をプレゼントしている。また各界の有名人を招き、巨費をはたいてマンハッタンでアミエルさんの誕生日パーティーを開いたこともある。

 今回アメリカの裁判所が下した評決は、カナダの服役システムや刑期に比べてかなり厳しい。3件の郵便詐欺ではそれぞれ5年、司法妨害では最長20年の禁固刑と100万ドル以下の罰金刑が加えられる可能性がある。
 アメリカとの刑務所移動システムを使ってカナダの刑務所に移り、刑期の3分の1に到達したら仮釈放が認められる場合もあるが、ブラック氏の場合はそうもいかない事情がある。
 ブラック氏は新聞ビジネスを広げ、サッチャー元首相との親交が深いことから、イギリス上院の「一代貴族」に任命されている。だがクレチエン首相は「外国で貴族とされる者はカナダ市民権を保持すべきではないという1919年からの伝統的決議を変えることはできない」と主張し、裁判に発展したがブラック氏は敗訴。カナダ市民権放棄を余儀なくされた。移民局も「外国で罪を犯している人をカナダに戻すことはできない」とコメントしていることから、ブラック氏のカナダ市民権再取得は絶望視されている。


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