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エルンスト・ツュンデル、ドイツで有罪判決 [犯罪・事件]


 かつてカナダ在住でドイツに送還されたホロコースト否定論者、エルンスト・ツュンデルがドイツの法廷で有罪判決を受けた。
 彼は刑法第130条の「ホロコースト不敬罪」ではなく、刑法第131条「人種的憎悪の煽動」によって起訴され、2007年2月マンハイム地方裁判所で懲役5年の有罪判決を言い渡された。

 ツュンデルの思想は、と学会編「トンデモ本の世界」でも紹介されており、「北極には大きな穴があり、地球の内側にはナチスの残党が住んでいて、UFOはそこへ行くナチの交通手段である」と主張している。彼は地球内部のナチスの国に行く資金を集めるため、カギ十字の入ったフリスビーを通信販売していた。


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高橋 幸二

 カナダ在住のホロコースト否定論者エルンスト・ツュンデルが国外追放となり、ホロコースト否定を法で禁止するドイツに送還された。カナダは、国外で逮捕のおそれがある思想犯を送還したことになる。
 彼はアメリカでホロコーストを否定するウェブサイトを運営していた。カナダの刑法ではhate propagandaは刑事罰の対象であり、サイトの存在そのものが禁じられていたため、憲法で「表現の自由は制限されない」と定められたアメリカでサイトを運営していたのである。なお彼のサイトは2002年、カナダ人権裁判所によってカナダ人権法違反と判断され、憎悪を煽る内容を改めるよう命じられていた。
 40年以上もカナダで生活していたにもかかわらず、ネオナチの彼はカナダ市民権取得を拒否されていた。したがって彼はドイツ国籍であり、カナダ市民だったら追放されることはあり得ない。彼は2003年アメリカを旅行中、アメリカ移民局に移民法違反の容疑で逮捕され、カナダに送還された。そこでツュンデルは難民認定を受けようとしたが受理されず、2005年1月まで拘留され、3月にドイツに送還されたのである。
by 高橋 幸二 (2007-12-02 18:34) 

高橋 幸二

★ツュンデル裁判

 エルンスト・ツュンデルはドイツに生まれ、1958年からカナダに在住し、グラフィック・アーティストとして働いていた。彼はサミスダット・パブリッシングという出版社を経営し、イギリスのネオナチ指導者リチャード・ヴァーラル(リチャード・ハーウッド)の著書「六百万人は本当に死んだのか」というホロコースト否定の書物を出版していた。するとユダヤ人団体は、同書がカナダ刑法第177条「虚偽情報の流布」を禁じる規定に違反しているとして、カナダ郵便当局に同書を配達しないよう求める訴えを起こした。
 このような経緯から裁判は、同書の内容が虚偽かどうかを巡って争われることになり、シオニストの原告とネオナチの被告が、その歴史的見解の是非を法廷で論争し合うという前代未聞の展開となった。そして原告側と弁護側の双方が、自説を裏付ける証人を多数喚問しあったため、歴史家、ユダヤ人、元被収容者、化学者、航空写真専門家、火葬業者、法律家など様々な分野の人々が証言することとなった。
 1985年オンタリオ地方裁判所は、ホロコーストを否定する書物を配布・出版したのは「虚偽情報の流布」にあたるとして、被告に禁固15か月の有罪判決を言い渡した。だがオンタリオ最高裁判所は1987年、地裁判事の証拠取り扱いに過誤があるとして再審を命じた。
 そこで被告側は、フレッド・ロイヒターにアウシュビッツのガス室実地検証を依頼した。彼がポーランドに渡ってアウシュビッツ=ビルケナウとルブリンのガス室を調査した報告書が有名な「ロイヒター・レポート」である。だが裁判所はこれを証拠として採用せず1988年、被告に禁固9か月の有罪判決を宣告した。
 ツュンデルは上告し、1992年連邦最高裁判所は「虚偽情報の流布」を禁じた刑法第177条は憲法の「カナダ権利と自由憲章」が定めた表現の自由に反し違憲だと判断し、逆転無罪を言い渡した。
by 高橋 幸二 (2007-12-02 18:34) 

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