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シーア党首の二重国籍発覚 [保守党]

 保守党のアンドリュー・シーア党首は、アメリカ市民の父から生まれたのでアメリカ国籍を有していると、グローブ&メイル紙が10月3日に報じた。
 二重国籍を公表しなかった理由を問われると、彼は誰にもきかれなかったからと答えた。
「私や私の家族を知っている人は皆、父がアメリカで生まれたことを知っている。」
 彼は、アメリカのパスポートは何年も前に失効しているし、8月にアメリカ市民権を放棄するためアメリカ領事館に行ったと説明した。
「二重国籍を持つことは、カナダでは大した問題ではない。親が外国生まれのカナダ人は、何百万人もいる。」
「そのとき私は、党首ではなかった。」
「党首になったあと、こうする決断をした。」
「私は、ほかの問題に集中していた。私は党を建て直し、選挙に備えていた。」

 彼は、アメリカのいかなる選挙にも投票しなかったと断言した。だが10月21日のカナダ総選挙までに市民権放棄の手続きが完了するかどうかを、答えることはできなかった。
「私は、アメリカ大使館からの返事を待っている。」
 彼はアメリカで投票はしなかったが、所得申告はしたと認めた。だがそれが何度で、いくらの所得を申告しいくらの還付を受けたかは明らかにしなかった。
 アメリカ市民はどこに在住していようと、全ての収入についてアメリカ内国歳入庁に申告しなければならない。さらに外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)で、全てのアメリカ市民は銀行、証券会社、保険会社など外国の金融機関口座について、内国歳入庁に申告しなければならない。故意でない違反には罰金1万2921ドルが、故意の違反には12万9210ドル以下または口座価値の50%以下の罰金を科せられる可能性がある。

 シーア党首は、最後にアメリカのパスポートを使ったのはいつか思い出せないと語った。
「家に帰って調べないといけない。」
「私は大人になってからは、アメリカのパスポートを必要としなかった。」
 彼は2008年11月から2011年6月まで下院副議長、2011年6月から2015年12月まで下院議長、2017年5月から保守党党首を務めている。彼は公式野党党首(いわゆる「影の首相」)として、何度かアメリカに入国しているが、二重国籍者を含む全てのアメリカ国民は、アメリカ出入国の際にアメリカのパスポートを使用しなければならないと規定されている。

 さらに問題なのは、外国籍の有無にかかわらずアメリカ市民は、18歳になる30日前までに兵役のため登録しなければならないことだ。シーア党首は4日、登録したかどうか覚えていないと語った。だが保守党広報は、シーア党首が法律にしたがい登録したことを確認したと発表した。
 通称「ドラフト」として知られる選抜徴兵法により、18歳から25歳までのアメリカ市民男性は、いつでも徴兵に応じられるよう登録しなければならない。アメリカは、国の非常事態または軍の緊急な拡大が必要となった場合、登録リストから徴兵することができる。ただし、ドラフトはベトナム戦争以降は実施されてなく、兵役は1973年以降は志願制である。
 アメリカ政府のウェブサイトは「無国籍と二重国籍の男性は、選抜徴兵制に名前を登録しなければならない。彼らは登録する必要を免除されていない」と警告している。登録を怠ると、25万ドル以下の罰金または5年以下の禁固刑、もしくはその両方を科せられ、奨学金の受給資格を失い、連邦政府公務員になれなくなる。

 1982年にカナダが完全独立を達成してからは、公人の重国籍はしばしば問題にされた。保守党は、自由党のステファン・ディオン党首や新民主党のトム・マルケア党首の重国籍を批判した。ハーパー前首相も「私の場合は、非常に明確だ。私はカナダ人であり、かつカナダ人のみである」と言って、彼らを言外に批判した。そのとき平議員だったシーア氏は、沈黙していた。
 フランス国籍を持つミカエル・ジャン氏が2005年に総督に就任するとき、シーア氏はブログに意味深長な言葉を書いている。
「彼女が二重国籍だったら、あなたは困るだろうか。彼女がフランス国籍でなくアメリカ国籍だったら、あなたは困るだろうか。」
 彼はもちろん、自身の二重国籍には言及しなかった。

 ワシントンの移民弁護士レン・サウンダース氏は、出入国管理法においてシーア党首は完全にアメリカ人とみなされると語った。
「彼のパスポートが期限切れだというだけでは、彼がアメリカ人でないことを意味しない。」
「私は、彼がもっと以前に市民権を放棄しなかったことに驚いている。」
「もし彼が選挙に勝ったとしても、まだアメリカ市民のままだろう。何か月もかかる。」
 トルドー首相は、国籍の有無ではなく誠意を問題にした。
「二重国籍を持つことが、政治家として失格だとは思わない。ただし、3700万のカナダ人のための首相の職務を求めているなら、あなたはカナダ人に誠実でなければならないと、私は思う。私はそれが、シーア氏が答えを出さなければならないものだと思う。」
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