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シン降ろし、水面下で進行 [新民主党]

 ブリティッシュコロンビア州バーナビー・サウス選挙区の補選が、2月25日に実施される。メインストリート・リサーチ社が1月8日、選挙区の740人の有権者に、自動音声により固定電話と携帯電話を対象に実施した世論調査は、ジャグミート・シン党首(新民主党)38.8%、カレン・ワン候補(自由党)26.3%、ジェイ・シン候補(保守党)22.0%、ローラ=リン・タイラー・トンプソン候補(人民党)8.7%という結果となった。なおワン候補は自分を「中国系唯一の候補」(※実際は中国系の無所属候補がいる)、シン党首を「インド系」(※シン党首はカナダ生まれ)と発言したため、1月16日に立候補を辞退させられ、リチャード・リー候補に代わっている。
 メインストリート・リサーチ社のキート・マギー社長は、最大のショックはむしろ保守サイドだと言う。人民党の支持率が9%近くにまで達していて、言うまでもなくそれは保守党から奪ったものだからだ。彼は、人民党のこの高支持率が総選挙当日まで続き、バーナビーにかぎらず全国的なものになるなら、保守党には全く勝ち目がないと断言した。
「この種の保守票分散は、2000年代初めを最後に見ていない。」

 シン党首は就任以来、低い支持率、低調な資金調達、議員のセクハラ疑惑への対処などについて批判にさらされてきた。彼が2018年秋に補選出馬を表明したとき、世論調査は彼が苦戦することを示していた。彼は1月20日テレビのインタビューで、たとえ落選しても党首に留まり、2019年の総選挙を指揮すると語っている。だが新民主党議員数人は、落選すれば党首に留まることはできないと、6月に彼に警告したとメディアにリークした。
 シン党首が辞任しないときは、幹部会が不信任投票を実施する。これには党首を解任する拘束力はないが、強い圧力になる。ある党役員は、匿名を条件にこう述べた。
「自ら辞任を選ぶなら、名誉ある退任を得られるだろう。だが力で追い出されるなら、悲惨な結果になる。」
 何人かの議員は、シン党首の「名誉ある退任」の具体的プランを考え始めた。彼に副党首かオンタリオ副官の名誉職を用意し、次の総選挙で州議時代の地盤であるブランプトン・イースト選挙区の候補として擁立するというものである。
 シン党首が辞任した場合、党首選をすぐに開催するプランもある。何人かは、2018年にオンタリオ進歩保守党のパトリック・ブラウン党首が辞任した後、すぐに党首選を開催した例をイメージしている。だが進歩保守党は世論調査で首位を走り、党首選が次の首相を選ぶ選挙だったから盛り上がったし、資金も集めることができた。だが新民主党は、支持率14%程度に低迷する野党第2党で、党首選で資金を使い果たしたら総選挙を戦うことができなくなる。
 そこで、幹部会による暫定党首選出というプランが浮上する。ネイサン・カレン議員とギ・カロン議員の名が挙げられているが、カレン議員は次の総選挙に出馬しない意向を表明している。
 もう一つ、党員による党首信任投票がある。これは原則として党大会で実施されるが、秋の総選挙まで党大会が実施される予定はない。党則では、新民主党役員会か、過半数の支部の要請があれば特別党大会を開催することができる。

 ブリティッシュコロンビア大学で政治学を教えるジェラルド・ベアー教授は、トルドー首相がバーナビー・サウス選挙区の補選を遅らせた理由は、新民主党へ「圧力」をかけるためだと指摘した。
「シン党首が退任したとき、彼らには新しい党首を決めるための時間が不足している。」
「自由党は選挙に勝つため、左派票を新民主党から奪う必要がある。新民主党の内紛は、自由党の利益になる。」
 シン党首は、自分が落選した場合について考えていないと語った。
「私は、自分の政治的将来を心配していない。私は、この国の将来を心配している。」
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高橋幸二

 2月25日に実施されたブリティッシュコロンビア州バーナビー・サウス選挙区の補選で、新民主党のジャグミート・シン党首が、得票率39.0%で当選した。任期は最大で10月21日まで。
 連邦議会の議席をようやく手に入れたシン党首は、これで次の総選挙の指揮を執ることを確実にした。
by 高橋幸二 (2019-02-26 17:50)