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トルドー首相が内閣改造 [自由党]

 スコット・ブライソン予算庁長官兼デジタル政府大臣の辞任を受け、トルドー首相は1月14日、小規模な内閣改造を行った。
 新入閣は、デビッド・ラメッティ法務大臣兼司法長官とバーナデット・ジョーダン地方経済開発担当大臣の2名である。ラメッティ大臣はイノベーション政務次官からの昇格で、かつてマギル大学で法学を教えていた。ジョーダン大臣は、民主機構政務次官からの昇格である。
 異動は3名で、ジェーン・フィルポット予算庁長官兼デジタル政府大臣は、先住民サービス大臣から昇格し、辞任したブライソン前予算庁長官の後を継いだ。シーマス・オリーガン先住民サービス大臣は、復員軍人大臣からの異動で、フィルポット大臣が異動した後任となった。ジョディ・ウィルソン=レイボールド復員軍人大臣兼国防副大臣は、法務大臣からの異動で、シーマス・オリーガン大臣が異動した後任となった。
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 法務大臣から復員軍人大臣への異動は、通常降格と見なされる。だがトルドー首相はこれを否定し、復員軍人に奉仕することは重大な任務以外の何物でもないと説明した。ウィルソン=レイボールド大臣もホームページで、法務大臣としての業績を2000語以上にも及ぶ文書で自讃した。
「我々の働きの結果、この政府が発足したころより、カナダの司法制度はより強化されたと私は信じている。」
「最も重要なのは、カナダ人の基本的人権と自由を保護する作業が促進されたことだ。」
 そして彼女は、法務大臣のポストから外された理由については一切触れず「我々の制度では、閣僚の指名に関する決定は総理の専権事項である」とだけ述べた。
 だが何名かの閣僚やスタッフは、彼女が妥協点を探ることなくすぐ対決的になる性格を挙げ、ともに仕事をするのが困難だとメディアに語った。ブライソン長官の辞任は、内閣を改造し彼女を法務大臣のポストから外す絶好の口実となった。先週始めには早くも彼女の更迭が噂され、先住民サービス大臣のポストを提示されたが断ったという情報が流れた。
 オタワ大学で法学を教えるアミル・アッタラン教授は、ウィルソン=レイボールド前法相は自殺幇助の法制化において致命的なミスを犯したと指摘する。裁判所が定めた期限までに法案成立させられず、自殺幇助が合法でも非合法でもないグレーゾーン期間が生じてしまい、法案審議に十分な時間をかけられなかった。そしてオードリー・パーカーさんが2018年11月、まだ余命が残っているにもかかわらず医師の幇助による早期の自殺を余儀なくされたのは、法律が明確な意思表示を必要とするため、鎮痛剤によって意識不明に陥る前に決行しなければならなかったからであり、法律の不備を指摘する声が挙がった。
 だがトロント大学で法学を教えるトルド・レメンス教授は、ウィルソン=レイボールド前法相を評価した。
「国民の間の批判や、自由党内からですら批判の声が上がるなか、彼女は安楽死幇助、大麻合法化、刑法改正などの難しい局面において、個人の権利と公共の利益のバランスを巧妙に保ったと思う。」

 ジョーダン地方経済開発担当大臣には所轄の省庁がなく、無任所大臣である。自由党は今年実施される総選挙で、東部の議席を相当に失うことが予想されているが、彼女の無任所大臣就任は選挙のための箔付けではないかという疑いを、彼女は否定した。
「私の役割は、地方の経済開発を支援し、地方が発展することを確かなものにすることである。」
 だが保守党のピエール・ポワリエーブル議員は、トルドー首相が炭素税を課すことで地方経済の発展を阻害しておきながら、自ら担当大臣を任命してその解決に当たらせていると皮肉った。またエリン・オツール議員は、フィルポット大臣とラメッティ大臣は手堅い仕事をするが、その他の閣僚は頭痛の種だと評した。


写真:左からジョディ・ウィルソン=レイボールド復員軍人大臣兼国防副大臣、ジェーン・フィルポット予算庁長官兼デジタル政府大臣、シーマス・オリーガン先住民サービス大臣、デビッド・ラメッティ法務大臣兼司法長官、バーナデット・ジョーダン地方経済開発担当大臣。
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