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緑の党のメイ党首、党首辞任を検討 [緑の党]

 緑の党のエリザベス・メイ党首は8月10日、同党が対イスラエルBDS(Boycott, Divestment and Sanctions/不買・投資引上げ・制裁)支持を採択したことに抗議し、党首辞任も含め対応すると語った。
 イスラエルはパレスチナ自治区の支配を既成事実化するため、イスラエル国民の殖民をおしすすめている。これに対しパレスチナ系の圧力団体は、イスラエルへの経済制裁を行うよう働きかけてきた。ところがカナダ連邦議会は2月、対イスラエルBDSは「反イスラエルの差別」であり「カナダ国内でこれを推進するあらゆる個人・団体を非難する」という、拘束力のない対イスラエルBDS非難決議を229対51の大差で採択した。
 だが緑の党は8月7日の年次総会で、対イスラエルBDSを支持することをカナダの主要政党で初めて採択した。メイ党首によると、緑の党はコンセンサスに達するまで審議を続ける伝統があったのに、今年は短い討論のあと多数決で強引に決められた。彼女は反対理由を説明するのに4分あると思っていたのに、その前に一方的に発言を打ち切られたという。
「私はまるで、外国にいるような気分でした。それはもはや、緑の党の会議とは思えませんでした。」
 彼女はまた、イスラエルに関する論争は、地球温暖化、選挙制度改革、TPP反対などの重要な問題から緑の党を逸脱させていると指摘した。
「我々には明確な優先事項があります。そして、これはそうではありません。」
 彼女は、この決議に反対する電子メールを多数受け取り、これがとうてい党内の多数意見だとは思えないという。そこで21日か22日に緊急委員会を召集し、対イスラエルBDS支持を考え直すよう説得する。説得できない場合は、党首辞任も検討すると述べた。
 彼女は現在、郷里ノバスコシアで休暇を過ごしている。それは彼女にとって、今後について考えるいい機会となろう。
「私は委員会に、自分の将来について考える必要がある、党首辞任も含め全ての選択肢はテーブルの上に上げられたと言うことしかできませんでした。」
 彼女は、いずれにせよ次の総選挙は緑の党の候補として出馬すると語った。

 緑の党は長い間連邦議会に議席を持たず、テレビ討論から締め出されてきたが、2008年に他党を離党した議員を受け入れ念願の議席を手に入れると、その後はメイ党首がテレビ討論に出演し、圧倒的な知名度を持つに至った。以後今日に至るまで、メイ党首が唯一の議員という状態が続いている。メイ党首が辞任すれば、同党にとっては相当な痛手となるだろう。
 今年実施された世論調査では、メイ党首を支持する人は50%で、不支持33%に対し17ポイントも上回っていた。この数字は、ロナ・アンブローズ暫定党首(保守党)の+4ポイント、トム・マルケア党首(新民主党)の-5ポイントと比べ、圧倒的に良い。
 また連邦緑の党は2015年連邦議会総選挙で、アルバータ・サスカチュワン・ケベック・ノバスコシア・ニューファンドランド&ラブラドル(緑の党の地方党がない)の各州において、各州議会総選挙の得票率より大きな得票率を記録している。
 だが、別の見方をする人もいる。緑の党の支持率は、2010年初めから2011年初めにかけては、10~12%の間で好調だった。だがその後5年間はその水準に達することができず、現在は5%前後となっている。総選挙の得票率で見ると、メイ党首が初めて挑んだ2008年に記録した6.78%が最高で、その後は年を追うごとに低下し、2015年には3.45%と、全選挙区に候補を立てるようになった2004年以降では最低の数字を記録した。これらの事実から、メイ党首はすでに飽きられており、その人気にはかげりが見え始めているという意見もある。
 緑の党には現在州議が3人いるが、アンドリュー・ウィーバー(ブリティッシュコロンビア)、ピーター・ベバン=ベイカー(プリンスエドワード島)、デビッド・クーン(ニューブランズウィック)はいずれも地方党の党首である。彼らが連邦党の党首になるなら、州議を辞職することになるだろうが、緑の党が獲れそうな連邦議会の選挙区はほとんどない。
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