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国歌「オー・カナダ」の英語詞、修正へ

 国歌「オー・カナダ」の英語詞を修正する法案は、6月10日下院の第三読会を通過し、与党自由党と野党新民主党の賛成で今週可決される見込みである。なお法案は、上院で可決された後総督の勅裁を得て成立する。
 法案を提出したモリル・ベランジェ議員は、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリッグ病)を患っている。2015年10月の選挙期間中に話すことが困難になり、11月には病気と診断され、公表した。彼は長年嘱望していた下院議長の地位を断念し、翌年1月に法案提出したときは、コンピュータによる電子音声で発議した。病状の進行はかなり早く、自由党は法案の後援者をアンドリュー・レスリー院内幹事に替えようとしたが、法案に反対する保守党がこれを妨害したので、ベランジェ議員は出席を強いられた。保守党は採決を遅らせるため、第二読会で徹底的に議論した。ベランジェ議員は第三読会では、何も発言せず黙って座っていた。

 法案は“in all thy sons command”の歌詞を、一部の国民の間で公然と歌われてきた“in all of us command”に公式に修正するものである。ベランジェ議員はこれを、作詞者ロバート・スタンレー・ウィアのオリジナル“thou dost in us command” により近いものだと主張する。国歌に採択された“in all thy sons command”のバージョンは1913年、第一次大戦勃発前(※勃発後ではない)の国際的緊張の高まりの中で、ウィアが軍人を称えて訂正したものと考えられている。だがベランジェ議員は、その後女性たちが選挙権と被選挙権を得て、軍隊に入り戦死するようになったにもかかわらず、国歌は国民の半分を軽視したままだと言う。
 保守党のピーター・バン=ローン元国際貿易大臣は、議会だけで決められることに反対した。
「国歌のような我々の象徴は、国民に属するものであって、我々政治家に属するものではない。我々には議論する役割があるだろうが、国家の象徴は我々の遊び道具ではない。」
 実は保守党は2010年、ハーパー首相がスローン・スピーチで歌詞を“thou dost in us command”に復する意向を表明したが、世論の反発に遭い撤回したことがある。
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