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天皇・皇后両陛下が「落伍者たちの巣窟」を訪問 [バンクーバーとBC]

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 日本の天皇・皇后両陛下は7月12日、バンクーバー日本語学校を訪問する。この界隈はかつては日本人街だったが、第二次大戦で日系人は財産を没収されたうえ、強制収容所に送られた。それ以来この地域はゴーストタウンと化し、浮浪者と麻薬中毒者がたむろするカナダ最悪の「落伍者の巣窟」として知られている。
2981458 5月に日系人初のブリティッシュコロンビア州会議員に当選したナオミ・ヤマモト議員は、こう語った。
「もしも両陛下が、新渡戸ガーデンとリッチモンド・オリンピック・オーバルだけを訪問して去って行かれるなら、それは恥ずべきことでしょう。でも両陛下が日本語学校を訪問されることは、素晴らしいことです。それは、日系人が長い間この地に留まり続けたことを知らせることになるからです。そこは決してバンクーバー最良の地ではないでしょうが、そこには多くの歴史があるのです。」
 バンクーバー日本語学校理事のローラ・サイモトは、こう述べた。
「私の祖父母と両親は、収容所に送られた。他の日系人たちと同様に、彼らも全てを失った。しかし過酷な歴史にもかかわらず、我々は今もこの地にいる。この地への天皇の訪問は、私たちに大きな勇気を与えてくれる。それは私たちにとって、途方もなく大きな名誉だ。この街に来るなら、美しいものとそうでないものの両方を見るべきだ。歴史は美しくもなければ、完璧でもない。そう、この界隈は荒れているが、メディアはあまりにも否定的な報道が過ぎている。」
 ゴードン門田は、両陛下の日本語学校訪問についてこうコメントした。
「私が最初に考えたことは、両陛下はどうやってそこに行くのか、ヘイスティングズ・ストリート沿いか、それともパウエル・ストリート沿いかということだった。両陛下は、外の景色を見ることができるのだろうか?
しかし私は、両陛下が訪問されることはいいことだと思う。それもこれもみな、我々の歴史なのだから。」


写真上:パウエル・ストリートの旧日本人街(筆者が1992年に撮影)。隣組、桜荘、あきレストラン、寶島商店が見える。
写真下:ナオミ・ヤマモト議員。
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ハーバーセンターくん

●歴史隠蔽主義

 忘れもしない1991年、某日系旅行社バンクーバー支店のツアーガイドになった。ところがこの会社には「ネガティブな話はしてはならない」というルールがあった。
 バスはバンクーバー国際空港を出て、メインストリート沿いにチャイナタウンを通り、スタンレーパークへと至る。途中“Wastings & Pain”と呼ばれる、カナダ最悪の暗黒地帯を通ることになる。バスの窓から浮浪者やラリってる人が見えるが、これにコメントすることは規則によりできない。チャイナタウン及び日本人街への襲撃事件や、人頭税や強制収容についても、当然話題にできない。スタンレーパークがかつてインディアンの村だったことや、天然痘の蔓延により彼らが強制的に立ち退かせられたこと、その後天然痘の隔離施設ができたことなどは絶対にタブーである。
 カナダ在住日本人の大多数がカナダを嫌っているという事実は、あまり知られていない。先輩ガイドたちは、「旅行客は物見遊山に来ているのだからええ話だけ聞かせていればいいんだ」と言っていたが、カナダを心の底から憎悪している人たちが、マイクを握ると心にもない、歯の浮くような調子のいいことばかり語っている偽善者ぶりには、激しい怒りを覚えた。
 私が「カナダ人物列伝」を執筆したのは、歴史の真実を語ることを抑圧されただけでなく、解雇さえされたことへの憤りが発端である。今回の天皇・皇后両陛下による旧日本人街訪問は、私がかつて語ることを抑圧された日系人弾圧を、白日のもとに晒すことになるだろう。歴史は決して「ええ話」ばかりではなかったし、ええ話しか愛せず不幸な歴史に目を閉ざす者は、真に歴史を愛することはできないだろう。


「パリサイ派の人々が、イエスに向かって言った。「先生、お弟子たちを叱ってください」。
イエスは言われた。「言っておくが、もしこの人たちが黙れば、石が叫びだすだろう」。 (ルカ福音書19章)
by ハーバーセンターくん (2009-07-08 11:29) 

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