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空港客、テーザー銃で撃たれ死亡 [バンクーバーとBC]



【動画】 Vancouver Airport Taser Killing of Dziekanski by Police
http://www.youtube.com/watch?v=qHKk5qQRzL4&eurl=http://mixi.jp/view_diary.pl?id=626000868&owner_id=3384740

 ポーランドからの移民ロバート・ジーカンスキー氏が10月13日、バンクーバー空港で警察の放ったテーザー銃の電撃で死亡する事件があった。先にカナダに移住していた母ゾフィア・チソウスキーさんが、ともに暮らそうと息子を呼び寄せたことが最悪の結果となった。
 ジーカンスキー氏はポーランドから初めて飛行機に乗り、15時間かけカナダに到着し、母親との待ち合わせ場所である預かり荷物引取り所に着いたものの、英語もフランス語も話せず、近くにいるはずの母親を10時間以上も見つけることができず、コンピュータを破壊し、さらに椅子を投げてガラスを割った。警官が駆けつけ、テーザー銃を向けるとジーカンスキー氏は両手を挙げ、無抵抗の姿勢を示したが、警察はテーザー銃を発射、ジーカンスキー氏は倒れて死亡した。
 なお空港の利用客が、事件の一部始終をビデオで撮影しており、メディアで公開された。

 テーザー銃はアメリカの数百の警察と、カナダのブリティッシュコロンビア州のほぼ全ての警察に使用されているが、アメリカの8つの州と日本では販売・使用が禁止されている。
 警察で使用されているM26型テーザー銃は、圧縮ガスによりワイヤーに接続された2本の針が6.3m先まで到達する。電極針は、約5cmまでの衣服を突き抜けて体内に電流を流す事ができる。このタイプのテーザー銃は5万Vの電圧を使用し、26Wの出力を持っており、0.52mAの電流を流す。攻撃の効果は瞬時に表れ、攻撃を受けた人は倒れてしまうが、通常は数分で回復する。電極針が当った部分には赤い火傷が残るものの、その傷は数日で回復する。ただし電撃を受け転倒する際の負傷については、この限りではない。
 テーザー銃は、狙いがはずれた場合はガスカートリッジ、ワイヤー、電極を装填しなおさなければならず、連続的使用は困難で戦闘用には適さない。

 オタワ心臓研究所は、テーザー銃で人が感電死することはないと結論づけている。またカナダ連邦警察のトム・シーマン氏は「すべての検死解剖や検死官の調査は、テーザー銃が死因ではないことを示している。テーザー銃使用の99%は、全く問題がない」と語っている。
 だがアムネスティー・インターナショナル・カナダ地域開発コーディネーターのドン・ライト氏は「メーカーはテーザー銃の安全性を証明する報告書を発表しているが、これは独立した第三者による検証結果ではない。これらはテーザー銃を製造する業者による検証であり、信用することはできない」と反論した。

写真上左:テーザー銃の電撃を受けもがき苦しむジーカンスキー氏と、警官。
写真上右:写真左:息子の写真に涙ぐみ母ゾフィア・チソウスキーさん。
写真中:弁護士(左)を同伴して会見する、ビデオ撮影者ポール・プリチャード氏(右)。
図下:テーザー銃のしくみ。


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高橋 幸二

 2003年7月、メティスの男性クレイトン・ウィリー容疑者が、テーザー銃で撃たれた16時間後に死亡する事件があった。彼は手錠をかけられていたにもかかわらず、その後少なくとも2度テーザー銃で撃たれた。
 検死官ジェームズ・マクノートン博士は、容疑者は死亡時に致死量のコカインを摂取しており、これが死亡原因だと断定した。これに対し病理学者は、容疑者がテーザー銃で撃たれた20分後に心臓発作を起こした点に注目した。だがマクノートン博士は、テーザー銃が心臓発作の原因とされるなら、それはもっと短い時間の間に起こるはずだと主張した。
 容疑者の姉妹ブライナ・ウィリーさんは「彼はすでに手錠をかけられ取り押さえられているのに、なぜあえてテーザー銃を使用する必要があったのか。私には、それは携帯用電気椅子としか思えない」と語った。
by 高橋 幸二 (2007-12-02 00:08) 

高橋 幸二

 バンクーバー警察は2004年6月、容疑者が滞在するホテルに踏みこんだ際、容疑者がバスルームに立てこもって暴れたため、テーザー銃を使用した。男性は手錠をかけられた後、呼吸が止まりその場で死亡した。
 ところが警察当局は、事件発生から1か月もの間テーザー銃使用の事実を公表せず、その理由を病理検査の結果を待っていたためと弁明した。そしてテーザー銃の使用は正しい判断だったと主張するとともに、容疑者が大量のコカインを使用していた事実を発表した。
 警察の苦情調査局長官は「事実を直ちに公表しなかったことで、公明正大な調査を怠っているという認識を市民に与えてしまった。またテーザー銃の使用が人命救助に寄与していると信じているが、ドラッグなどにより興奮状態にある人には、単純に5万ボルトという電圧は強すぎる可能性がある」と語った。
by 高橋 幸二 (2007-12-02 00:09) 

高橋 幸二

 バンクーバー国際空港でロバート・ジーカンスキー氏が警官にテーザー銃で撃たれて死亡した事件をめぐり、ブリティッシュコロンビア州政府は遺族に謝罪し、同事件を究明すべく全面的な公開調査を要請した。
 ジョン・レス公共安全大臣兼法務長官は州議会の質疑応答中、このような事件は絶対に起きてはならなかったものと言明し、「誠に残念だというのがおそらく全州民の心境だろう」と述べた。つい先週まで同長官およびゴードン・キャンベル州首相は、すでに調査が進行していることにふれ、それらの結果を待つべきで更なる公開調査の必要はないという立場を取っていた。しかし、ジーカンスキー氏の死亡状況を撮った衝撃的な映像が公開された今、同長官は公衆の安全と信頼を回復するために、独立した調査が必要だと述べた。同長官によると、調査委員会を設置し、同様な事件の再発防止を目標に、バンクーバー国際空港内の連邦警察官、カナダ国境業務職員、入国管理官の任務検証を含めた死因究明に努めるとのこと。またブリティッシュコロンビア州における警察官によるテーザー銃の使用を再検討はするが、同長官は今のところその使用を一時的に禁止するには至っていない。
 またレス法務長官およびキャンベル州首相は本件について謝罪の意を表明している。州首相はジーカンスキー氏の母親をはじめ遺族、友人たちに深く同情すると述べ、このような事件がブリティッシュコロンビア州で起きるとは誰も想像していなかったからこそ更なる調査が必要だと述べている。本件はすでに、RCMP(カナダ連邦警察)、RCMP苦情処理独立委員会、ブリティッシュコロンビア検視官およびバンクーバー国際空港公団による複数の調査の対象となっている。また連邦公共安全大臣ストックウェル・デイ氏は、テーザー銃の使用方針の見直しをすでに命じている。
by 高橋 幸二 (2007-12-02 00:09) 

高橋 幸二

 ポーランド検察当局は、10月14日にバンクーバー空港で起きたテーザー銃使用によるポーランド人移民の死亡事件について、駐加ポーランド大使からの報告を受け、11月22日に独自の調査を開始した。
 ロバート・ジーカンスキー氏は、カナダ在住の母親と新しい生活を始めるはずだった。しかし手荷物受取所で何時間も待ちつづけ、また英語・フランス語が話せず、今回が初の飛行だったこともあり、錯乱し突飛な行動をとり始めた。そのため4人のカナダ連邦警察官が現場に駆けつけ、少なくとも2回テーザー銃を使用、その後死亡した。事件は目撃者によってビデオ撮影され、国内外でテーザー銃使用の是非を問う議論が高まっている。現在カナダの多くの機関が調査を進めているが、ジーカンスキー氏の故郷グリヴィツェ検察局は、カナダ連邦警察の「越権行為と過失致死に至らしめたかどうか」を明らかにしたいと述べている。調査の詳細は明らかにされていないが、カナダ政府の調査とは別に行っているとのことである。カナダ政府は、連邦警察におけるテーザー銃の使用の再検討を命じている。
by 高橋 幸二 (2007-12-02 00:10) 

miomio

こんにちは、あし@からきました。昔々に在豪していた経験があって、外国がなつかしてくてこちらへ来て見ました。なくなった方がせめて英語だけでもわかれば錯乱しなくてすんだかもしれないのにと思つと哀しい事件です。銃を向けた警察官も彼が何をしゃべっているのかわからなくて撃ってしまったのでしょうか。なくなられた方も新天地での新しい生活を楽しみにしていたでしょうに。かなしいですね。
by miomio (2007-12-02 12:36) 

高橋 幸二

はじめまして。きのう始めたばかりのブログに早くもコメントがついており、驚いております。実はまだ正式には始まっておらず、工事中です。
バンクーバーはいろいろな国の人が来るので、ロシア語・ポーランド語を話せる人は探せばいたはずですが…
とにかくやり切れない事件です。
FX私もやってますよ。
by 高橋 幸二 (2007-12-02 15:11) 

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