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ハーパー首相、議会を停会 [保守党]

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 ハーパー首相は12月30日、ミカエル・ジャン総督に連邦議会の停会を要請し、同意を得た。連邦議会の停会は昨年12月から今年1月までに続き、ハーパー政権で2度目。これにより連邦議会は3月2日まで停会し、30以上の法案が廃案となる。
 新しいセッションは3月3日に召集され、この日スローン・スピーチ(施政方針演説)を行い、翌日予算案が上程される。野党はこのとき、予算案を否決することで内閣を打倒するチャンスを得るが、それ以前に議会が召集されないため、アフガニスタン捕虜虐待問題について与党を追及する機会がない。野党は解散・総選挙に打って出て玉砕するよりは、むしろ予算案を承認することになるだろう。
 連邦議会は現在クリスマス休会となっており、1月25日に再会される予定になっていた。与党保守党はこれまで、アフガニスタン捕虜虐待問題で野党の執拗な追及を受けていたが、年の瀬が迫り、議員たちが選挙区に戻り、政治評論家のほとんどが休暇をとり、人々がオリンピックのホッケーを話題にし始めたときを狙って停会を要請した。

 自由党のイグナティエフ党首は「停会の理由は、捕虜虐待問題の追及を避けるためただ一つである。ハーパー首相は、真実を隠蔽するためなら何でもする人だということは明らかだ。たとえ経済復興を犠牲にしてでも」と語り、首相の決断を批判した。
 新民主党のレイトン党首は「この種の出来事は、アメリカや他国では起こりえないものである。独裁政権下でしか耳にしない種類のものだ。これは民主主義のプロセスの否定である」と述べ、年金危機、アフガニスタン捕虜虐待問題、失業対策、コペンハーゲン気候サミットなどの懸案について迅速な対応が必要だと語った。
 ケベック連合は「施政方針演説と予算案が出るのを待って、それから党としての対応を決める」と語った。
 首相広報のディミトリー・ソウダス氏は、今回の停会はオリンピック期間中の休会として以前から予定されていたものだと強調した。同時に、首相は自由党が多数を占める上院で法案がしばしば「吊るし」に遭うことにうんざりしているが、現在5議席ある欠員を保守党員の指名で補充することで、首相は政権発足以来初めて上院での過半数を確保できるため、それまでの時間稼ぎだと説明した。
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ハーバーセンターくん

 さて、年の瀬の最後の最後にハーパー首相がやってくれました。
 2009年のカナダ政界を振り返ってみます。カナダ経済は2008年のリーマンショックから不況に陥りました。景気悪化は通常、与党に不利に働きます。1961年以降、大きな不況が1982年・1990年・2008年の3度ありましたが、前の2つはいずれも政権交代をもたらしました。
 しかしハーパー首相は、経済対策に専念しました。彼は巧妙に野党のアイデアを取り入れることで反撃のチャンスをつぶし、景気は少しづつ上向いていきました。
 いっぽう自由党のイグナティエフ党首は、昨年末に党首に就任し、今年初めに国民に不評だった連立を反故にして、御祝儀も含め高い支持率を得ました。ところが6月に内閣不信任に失敗し、10月にも仕掛けてみたものの、新民主党の寝返りにより失敗に終わりました。経済対策に専念したハーパー首相に対し、不景気のときに総選挙を仕掛けたイグナティエフ党首は総スカンを食らい、支持率は急降下します。そして11月の補選では、全選挙区で3位に沈む惨敗を喫しました。イグナティエフ党首は今や「国民は早期の総選挙を望んでいない」とアナウンスする始末で、議会は停会するしハナから戦意を喪失しています。
 新民主党のレイトン党首は、新年早々連立協定を反故にされ、支持率は低下し散々なスタートでした。総選挙しようにも資金が底を尽き、弱り目に祟り目でした。しかし彼は、世論調査のデータを正確に読み、国民が不況時の総選挙を望んでいないことに留意しました。革新政党が保守党政権を支えることは危険な賭けでしたが、失業保険改革で自党の要望を容れさせる代わりに内閣不信任投票を棄権した結果、支持率は低下しませんでした。その報いとして新民主党は、11月の補選で1議席を獲得したほか、2選挙区で次点となります。
 最近のネイノス・リサーチ社の世論調査では、レイトン党首が支持率41.2%となり、初めてイグナティエフ党首(39.0%)を上回りました。

 ここからは、2010年カナダ政治の展望です。連邦議会の停会により、バンクーバー・オリンピックはハーパー政権で臨むことが確定しました。3月まで政治関連の大きなニュースはないでしょう。3月の予算案が最初の焦点ですが、野党が解散・総選挙に追い込むことは難しいでしょう。それまでには上院議員の追加指名があり、来年は与党保守党が上下両院で第一党として臨むことになります。
by ハーバーセンターくん (2009-12-31 21:21) 

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