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ハーダー上院政府代表、辞意を表明 [自由党]

 ピーター・ハーダー上院政府代表は11月29日、今年中に職を辞すると発表した。
 ジャスティン・トルドー氏は自由党党首に就任すると、党派性のない上院を実現するため、2014年1月上院議員を自由党幹部会から離脱させ、無所属議員とした。ところがトルドー首相は、下院では過半数を握っていたため法案を通過させても、上院には自由党議員がいないため、しばしば法案が滞ることになった。そこで首相は、従来設置されてきた上院院内総務に替わるものとして、自由党系上院議員に政府への賛成投票を促す「上院政府代表」に、無所属議員のハーダー氏を任命した。だが「上院自由党」が改組改変され「進歩上院の会」となり、「自由党提出の法案を支持する義務はない」とする声明を発表したため、上院政府代表は意味を失っていた。また無所属議員でありながら自由党政権の役職に任じられたことは、保守党議員からしばしば批判された。

 ハーダー氏は記者会見で、次のように述べた。
「上院政府代表として議会で仕えたことを、光栄に思う。」
「これは、重要な変化と機関の現代化の区切りである。」
「私がこうするのは、不満からではない。」
「上院はこの4年間で、より党派性のない、より独立した評価を得たと考えている。」
「それは、より透明な説明できる機関であり、選挙された下院を補完する院としての役割を効果的に演じた機関である。」
「その証拠として、最後の議会において、上院は政府提出の88の法案を吟味し、そのうちの32において修正案を送付し、そのうちの29において政府は修正案の全部または一部を受け容れた。」

 上院政府副代表だったディアーヌ・ベルマール議員は、進歩上院の会が結成された14日に辞職し、無所属の会に入会している。グラント・ミッチェル上院政府副代表は、ハーダー代表とともに辞職する。彼は、上院改革の過渡期に働けたことは喜びだったと語った。
「我々が目の当たりにした改革は、必要であり、良いことであり、歴史的なことだった。」
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トルドー内閣改造、フリーランド氏副首相に [自由党]

 2期目を迎えたトルドー首相は11月20日、大規模な内閣改造を行った。首相を除く閣僚は、34人から36人に拡大し、男女は同数である。

総理大臣 ジャスティン・トルドー
副総理大臣兼政府間関係大臣 クリスティア・フリーランド
復員軍人大臣兼国防副大臣 ローレンス・マコーレー
政府=先住民関係大臣 キャロリン・ベネット
枢密院議長 ドミニク・ルブラン
イノベーション・科学・産業大臣 ナブディープ・シン・ベインズ
財務大臣 ビル・モルノー
外務大臣 フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ
家庭・児童・社会開発大臣 アーメド・ハッセン
運輸大臣 マルク・ガルノー
農務・農産食品大臣 マリー=クロード・ビボー
移民・難民・市民権大臣 マーコ・メンディチーノ
経済発展大臣兼公用語担当大臣 メラニー・ジョリー
歳入大臣 ディアーヌ・ルブティリエ
環境・気候変動大臣 ジョナサン・ウィルキンソン
国防大臣 ハルジット・サジャーン
天然資源大臣 シーマス・オリーガン
女性の地位・男女平等大臣兼地方経済開発大臣 マリヤム・モンセフ
公共サービス・調達大臣 アニータ・アナンド
中流階級繁栄大臣兼財務副大臣 モナ・フォルティエ
雇用・労働力開発・障害包含大臣 カーラ・クワルトロー
多様性・包含・青年大臣 バーディシュ・チャッガー
インフラ・地域社会大臣 キャサリン・マッケナ
国際開発大臣 カリナ・グールド
予算庁長官 ジャン=イブ・デュクロ
厚生大臣 パティ・ハイデュ
先住民サービス大臣 マーク・ミラー
下院院内総務 パブロ・ロドリゲス
公安・非常時対応準備大臣 ビル・ブレア
中小企業・輸出振興・国際貿易大臣 メアリー・ン
労働大臣 フィロメナ・タッシ
漁業海洋・カナダ沿岸警備隊大臣 バーナデット・ジョーダン
法務大臣兼司法長官 デビッド・ラメッティ
民族遺産大臣 スティーブン・ギルボー
デジタル政府大臣 ジョイス・マレイ
シニア大臣 デブ・シュルツ
北方問題大臣 ダン・バンダル
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 重量級閣僚では、ビル・モルノー財務大臣とハルジット・サジャン国防大臣が留任したが、今回の改造では5つの注目すべき異動がある。

 (1) フリーランド氏、副首相に
 クリスティア・フリーランド外務大臣は、副首相兼政府間関係大臣に任命された。外務大臣から政府間関係大臣への異動は、副首相の肩書きなしには降格のように映るだろう。
 彼女はトルドー政権において、まず国際貿易大臣としてCETA(カナダ・EU自由貿易協定)をまとめあげ、首相の最も信頼する閣僚の一人となり、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉を叫ぶトランプ大統領が就任すると、外務大臣に昇格した。政府間関係大臣は連邦政府と州政府の外交を担っており、アルバータ州のジェイソン・ケニー首相、サスカチュワン州のスコット・モウ首相、オンタリオ州のダグ・フォード首相など地方で続々と誕生する反トルドー政権との交渉を担うことになる。
 彼女の選挙区はトロントだが、アルバータ州ピースリバーで生まれ、少女期をエドモントンで過ごしている。彼女は1日「私のオリジナルは、誇り高いアルバータ人だ」と語っているが、アルバータとサスカチュワンから締め出され、それらの州から閣僚を任命できなくなったトルドー首相の苦肉の策でもある。
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 副首相は、現首相の父ピエール・トルドー首相によって1977年初めて任命された。ハーパー首相とジャスティン・トルドー首相は副首相を置かなかったので、副首相は14年ぶりに任命される。
 副首相には法律上の規定がなく、決まった任務もない。副首相の任務は一般に、首相が公務や外遊で不在のとき、閣議の議長を務め、議会の質問に答弁することだと考えられている。シーラ・コップス副首相は、引退後「副首相の職務は往々にして、議会での質疑応答から首相を保護することだった」と綴っている。
 アメリカで大統領が辞任もしくは死去した場合、副大統領が継承する規定があるが、カナダの副首相は首相が辞任もしくは死去した場合、その地位を自動的に継承する規定はない。不測の事態における首相職の継承については、閣僚の優先順位を定めておくことになっている。伝統的には、副首相か下院院内総務が継承順位1位になっていたが、トルドー政権では副党首のラルフ・グッデイル公安・非常時対応準備大臣が継承順位1位に規定されていた。しかしメディアは、首相の幼馴染で側近のドミニク・ルブラン氏を政権ナンバー2とみなしてきた。
 カナダの首相が、総選挙の敗北によらず突然辞任した前例は、戦後ではない。ジョン・マクドナルド首相が1873年パシフィック・スキャンダルで辞任したとき、与党保守党は下野したので自由党に政権が移ったが、自由党は党首が落選していたため、後継総理を3人の候補に断られ、4人目のアレクサンダー・マッケンジーが受諾するという難産だったが、前首相死去の2日後に総理就任している。ジョン・アボット首相が1892年病気で辞任したときは、ジョン・トンプソンが11日後に総理就任している。マッケンジー・ボーウェル首相が1896年突然政権を投げ出したときは、チャールズ・タッパーが4日後に総理就任している。
 カナダの首相が現職で死去した例は、1891年のマクドナルドと1894年のトンプソンの2度ある。前者は10日後にアボットが、後者は9日後にボーウェルが後継総理に就任しているが、辞任と死去のいずれの例においても、全党員による党首選のない時代なので、後継総理は選挙で選ばれてなく、またいずれの例においても臨時首相は指名されていない。
 現代では、現職首相が突然辞任もしくは死去した場合、党首選で次の党首が選ばれるが、それには時間がかかることから、継承順位に従い臨時首相が総督によって指名されるだろう。ただし州レベルにおいては、臨時首相を置くことなく、与党幹部会で党首選が速やかに実施され、副総督によってただちに次の首相が指名されている。
 これまで、アラン・マキーチェン(ピエール・トルドー内閣)、ジャン・クレチエン(ターナー内閣)、エリック・ニールセン(マルローニ内閣)、ドン・マザンコウスキー(マルローニ内閣)、ジャン・シャレー(キャンベル内閣)、シーラ・コップス(クレチエン内閣)、ハーブ・グレイ(クレチエン内閣)、ジョン・マンリー(クレチエン内閣)、アン・マクレラン(マーチン内閣)の9人の副首相がいた。アメリカの副大統領には決まった任務がなく、しばしば実力者を祭り上げる目的に使われることがあるが、グレイ以外の副首相全員は、副首相以外の閣僚ポストを兼任していた。
 9人の副首相のうち4人が党首選に立候補し、コップスとマンリーは落選した。党首になれたのはシャレーとクレチエンの2人で、首相になれたのはクレチエンだけである。チャールズ・タッパー、リチャード・ベネット、ジョン・ターナー、ジャン・クレチエン、ポール・マーチンの5人の財務大臣が首相になったこととは対照的で、このことから副首相は、しばしば政権内ライバルを牽制する目的で設置されていることがわかる。

 (2) 注目の4人
 フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ インフラ・地域社会大臣は、外務大臣に昇格した。中国で拘束されているマイケル・コブリグ氏マイケル・スパバー氏の解放が、彼の当面の課題である。
 当選6回のベテラン、パブロ・ロドリゲス民族遺産・多文化大臣は、下院院内総務に昇格した。安定政権から少数政権に転落したトルドー政権は、何を可決させるにも他党の協力が必要となる。下院院内総務の役割は、これまで以上に重要なものになるだろう。またケベック選出の彼は、ケベック副官も務める。
 キャサリン・マッケナ環境・気候変動大臣は、インフラ・地域社会大臣に異動する。アルバータ州のケニー首相は、マッケナ大臣を反パイプラインと決めつけ、彼女には別の任務が必要だと公然と主張した。この異動は、トルドー首相によるケニー首相への譲歩と見られる。
 シーマス・オリーガン先住民サービス大臣は、天然資源大臣に異動する。産油州のアルバータとサスカチュワンには自由党議員がいないが、彼は産油州ニューファンドランド&ラブラドル選出である。彼はまた、トルドー首相の親友として知られる。

 (3) 新入閣は7人
 スティーブン・ギルボー議員は、民族遺産大臣に任命された。グリーンピースなどの環境保護団体で活動してきた彼は、自由党の目玉候補として今年初めて立候補し、当選1回で大臣となった。彼は当然環境大臣に任命されると思われたが、それではアルバータとサスカチュワンの反発を招くため、回避したものと見られる。
 マーク・ミラー政府=先住民関係政務次官は、先住民サービス大臣に昇格した。彼は地道にモホーク語を学び、2017年に史上初めて連邦議会でモホーク語で演説した。
 マーコ・メンディチーノ政務次官は、移民・難民・市民権大臣に昇格した。
 デブ・シュルト議員は、シニア大臣に任命された。
 ダン・バンダル議員は、北方問題大臣に任命された。
 モナ・フォルティエ議員は、中流階級繁栄大臣兼財務副大臣に任命された。
 アニータ・アナンド議員は、公共サービス・調達大臣に任命された。彼女は、トロント大学で法学を教える教授である。

 (4) 閣外へ
 カースティ・ダンカン科学・スポーツ大臣は下院院内副総務に、ジネット・プティパ=テイラー厚生大臣は下院副幹事長に任じられ、閣外に去った。
 マニトバ選出のジム・カー国際貿易多様化大臣は、癌の治療に専念するため内閣から外れた。トルドー首相は、彼にいずれ中西部担当の任務を与えるつもりのようだ。
 ラルフ・グッデイル公安・非常時対応準備大臣とアマルジート・ソーヒ天然資源大臣は、落選したため閣僚ポストを失った。

 (5) 他党の反応
 保守党のシーア党首は、自由党がアルバータとサスカチュワンから締め出され、安定政権から過半数割れに転落した選挙から首相は何も学ばなかったと評した。その証拠に、彼は著名な反パイプライン活動家を入閣させたと非難した。
 ケベック連合のブランシェ党首は、ギルボー氏の処遇に不満を述べた。
「トルドー首相はアルバータと向き合う勇気がなく、アルバータと彼の政府の間でこれ以上の憎悪をひき起こしたくなかったので、ギルボー氏が環境大臣に任じられなかったと、私は信じている。」
 対照的にアルバータ州のケニー首相は、ツイッターで歓迎の意を表明した。それはあたかも、連邦政府への勝利宣言のようだった。
「連邦内閣閣僚として今日宣誓した方々全員に、おめでとう。アルバータ州政府は、確実な資源開発を通して、雇用と成長を創出し、カナダの連合において公正さを確実にするための、共通基盤をと連邦政府とともに見出せるよう望んでいる。」
「私は特に、中西部特命大臣と、政府間関係大臣と、天然資源大臣とともに働くことを楽しみにしている。」
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カナダ上院の会に2議員移籍、「進歩上院の会」政党要件失う [自由党]

 カナダ上院の会に、保守党からジャン=ギ・ダジュネ上院議員と、進歩上院の会からパーシー・ダウン上院議員が加入すると、11月18日に発表した。これにより上院勢力は、無所属の会51、保守党24、カナダ上院の会13、進歩上院の会8、無所属4、欠員5(定数105議席)となり、進歩上院の会は助成要件を失う。
 ケベック代表のダジュネ上院議員は、シーア党首がケベックに低い優先順位しか与えず、同性婚や妊娠中絶問題を軽視して「大量流出」を招いたと語り、党首への不満をあらわにした。
「我々は唯一のチャンスを逃がした。そして党首と側近たちが留任するなら、次の結果も同じことになる。」

 かつてクレチエン首相の側近として働き、自由党上院議員として務めたダウン議員は、今後も自由党を支持すると語った。
「自由党(の上院会派)の終焉は、私にとって受け容れ難かった。」
「この前の連邦議会選挙のとき書いた小切手のように、私は今後もそうし続ける。カナダ上院の会には政治活動に関する規制がなく、そうする自由がある。」
 彼は、上院自由党が公認会派の要件を失う危機に直面しているとき、それを回避する方法について提案したが、結果は彼が望むような形ではなかったという。
 進歩上院の会のデイ暫定代表は、驚きと失望を隠さなかった。
「我々が先週の木曜日に新会派を結成することを、彼は確実に知っていて、彼はその日会派を抜けることを考えていたのだ。」
「我々は、15年間いっしょにやってきた。代表である私にも、会派の他のメンバーにも、誰にも相談なしにその決断をすることは、驚くべきことであり、深く失望している。」
 進歩上院の会は、来年早々に2議員の引退を控えており、このまま9人以下で新しい会計年度を迎えれば、41万ドルの助成金を受け取れなくなる。
 「かつての同僚たちに言うことはあるか」と問われ、ダウン議員は次のように語った。
「彼らは、関心を持つ何人かの議員の名を挙げている。彼らの将来について、私が言うのはまだ早いだろう。」
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「進歩上院の会」発足 [自由党]

 上院自由党のジョゼフ・デイ代表は11月14日、会派を解消し「進歩上院の会」を結成すると発表した。デイ代表が暫定代表に、テリー・マーサー副代表が暫定副代表となり、1月の幹部会で正式な代表・副代表・幹事長を選任する。これにより上院勢力は、無所属の会51、保守党25、カナダ上院の会11、進歩上院の会9、無所属4、欠員5(定数105)となった。無所属4人のうち2人は、自由党政権の役職に任じられたピーター・ハーダー上院政府代表とグラント・ミッチェル上院幹事長で、あとの2人はジョージ・フューレイ議長(元自由党)と、保守党を除名されたリン・ベヤック議員である。

 デイ代表は記者会見で語った。
「我々は常に進歩的で、独立した無所属議員であり、今我々のグループは真にその事実を反映する。」
 会派に入会する条件は、進歩的政策と「権利と自由」憲章と先住民との和解促進を支持することだけである。党議拘束はなく、自由党政権の法案を支持する義務もなく、それ以外の政策についてどのように活動するのも自由で、他党の党員資格を持つことも可能である。

 ジャスティン・トルドー氏は自由党党首に就任すると、党派性のない上院を実現するため、2014年1月上院議員を自由党幹部会から離脱させ、無所属議員とした。しかし彼らは院内で「上院自由党」の会派を称し、事実上自由党の別働隊として活動した。
 上院議員には定年制があり、75歳で引退しなければならない。そして上院規則では、助成金を得られる公認会派は9人以上の所属議員がいなければならない。上院自由党は、デイ議員、セルジュ・ジョワイヤル議員、リリアン・ディック議員の3名が2020年に定年を迎え、年間41万ドルの助成金を得られなくなる危機に直面していた。そこであえて自由党の看板を下ろし、進歩主義を掲げることで、他会派特に無所属の会の議員を引き抜くことを目論んでいる。

 トルドー首相が任命した「党派性のない」無所属上院議員たちは、その後の投票行動などを調査すると、自由党政権に従っていることが多く、その無党派性は疑問視されている。彼らのかなり多くは、無所属の会に属している。
 無所属の会のそのような性質に対し、反発するグループは4日、会派離脱して保守系の新会派「カナダ上院の会」を結成した。11人のメンバーは無所属の会から8人、保守党から2人、無所属から1人結集した。彼らのほとんどは、ハーパー首相に任命された上院議員たちである。
 スコット・タンナス暫定代表は、無所属の会が58人に拡大し、あまりに大きくなりすぎたため、「多数派の横暴」を防ぐための多様性が必要だと説明した。そのため会派は、25人を限度とすると定めた。
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モンセフ大臣、婚約を発表 [自由党]

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 マリヤム・モンセフ国際開発大臣兼女性の地位・ジェンダー平等大臣(35歳)は、自身の誕生日である11月7日に、マット・デコーシー前下院議員(36歳)と婚約したと発表した。
 自由党はこの日、議員たちと落選した元議員たちによる幹部会を、オタワで召集した。デコーシー氏は家族とともにオンタリオに来て、彼女の地元オンタリオ州ピータボローで彼女の姉妹が経営するレストランでの祝宴に出席した。アフガン料理がふるまわれ、アフガニスタン出身のモンセフ大臣は、アフガンのドレスを着て踊った。
 二人はともに、2015年総選挙で初当選した。モンセフ氏は当選1回で民主機構大臣に任命され、デコーシー氏は下院選挙改革特別委員会委員となった。2019年総選挙ではモンセフ氏は当選、デコーシー氏は緑の党のジェニカ・アトウィン候補に敗れた。
 なおトルドー首相は、11月20日に内閣改造を行う。
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写真上:モンセフ大臣の手にキスするデコーシー氏。
写真下:右からマリヤム・モンセフ国際開発大臣兼女性の地位・ジェンダー平等大臣、キャサリン・マッケナ環境・気候変動大臣、マット・デコーシー前下院議員、メラニー・ジョリー観光大臣兼公用語・フランコフォニー大臣(2016年撮影、肩書きは現在)。
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「連邦警察長官の夫はモルノー財務相のいとこ」の噂を否定 [自由党]

 連邦警察(RCMP)のブレンダ・ラッキ長官の夫が、ビル・モルノー財務大臣のいとこであるという噂がネットで広まった。連邦警察は、これを否定する声明を発表した。
 CBCの調査によると、噂は8月26日ころ、ツイッターに書かれたものが最初だという。噂の出所は、連邦警察のトップがトルドー政権重鎮の身内だから、SNC-ラバラン問題の調査が進まないのだと主張する。これらは退職した連邦警察官からの情報だというが、根拠は提示されていない。
 ところが解散・総選挙が現実化した9月10日、噂は急速に広まった。きっかけはグローブ&メイル紙の記事で、そこにはトルドー政権が、閣僚の守秘義務の解除を拒否して連邦警察の調査を妨害していると報じられている。実際に連邦警察は、総選挙が公示されたため調査を中断していると認めた。
 いくつかの個人サイトの中には、ラッキ長官自身がモルノー大臣のいとこと断言するものもあった。そしてこれらの情報は、保守党元スタッフがフェイスブック上で運営する保守サイト「アルバータ・カナダ・キャンペーン」に16日に取り上げられることによって、既成事実化した。
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 ブランドン大学でソーシャルメディアとセキュリティを研究するクリストファー・シュナイダー準教授は、この種の噂はある人々の信念に合致するので、初めから拡散する運命にあると説明した。
「事実であるか否かにかかわらず、この種の噂がすんなり収まることができる物語の筋書きは、すでに存在する。」
「彼らはそこに、ある種の不正や腐敗があると信じたいのだ。」
 彼は、噂の詳細は信じるに困難ではないが、証明するには困難だという性質を持つため、いっそう共有されやすいという。
「大手メディアがそれを調査し、その誤りを暴露しているときでさえ、必ずしもその流布と拡散を阻止できるわけではない。なぜなら人々は『特定の状況』において、それを信じていたいのだから。」


写真:フェイスブックのページから。右からブレンダ・ラッキ長官、ビル・モルノー財務大臣、ジャスティン・トルドー首相。
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保守党議員、トルドー首相を「イモ」と呼んで注意される [自由党]

 保守党のピエール・ポワリエーブル議員は5月1日、連邦議会でトルドー首相を「ジャガイモ」と呼んだことに対し、議長から呼ばないよう注意された。
 ジャスティン・トルドー(Trudeau:トゥルドー)首相は2016年、初めて中国を公式訪問したとき、苗字が中国語でジャガイモを意味する「土豆」(トゥードー)に似ていることから、中国人に「ジャガイモ」と呼ばれた。クリスティア・フリーランド国際貿易大臣(当時)はこれを、親愛の印と受け取り「気に入っている」と語っていた。
 ポワリエーブル議員は、中国政府によるカナダ市民の抑留、キャノーラの禁輸措置を挙げ、中国の指導者はトルドー首相を「ジャガイモ」と呼んで蔑んでいるのに、当人はこれを親愛の印と受け取っていると批判した。彼が首相を「ジャガイモ」と評したのは、これが3日連続だった。
 ジェフ・リーガン下院議長(元自由党、現在は無所属)はこれを侮辱と受け取り、「ジャガイモ」と呼ばないよう要請した。だが保守党のキャンディス・バーゲン下院幹事長は、首相が「ジャガイモ」と呼ばれている事実を引用しただけで、実際に首相をそう呼んだわけではないと反論した。
 リーガン議長は、最終的に裁定した。
「私は北京語や広東語を話せない。『ジャガイモ』が中国語でどのような意味を持つかについて、私は指摘することはできないが、我々はここで英語とフランス語を話す。文脈において、それが賛辞として使われたとは私には思えない。」
「それは私には侮辱と感じられた。そして議会において、誰一人に対しても侮辱が行われていいとは私は思わない。」

 下院では原則として、二大政党党首は「総理大臣」と「公式野党党首」と呼ばれる。だがこの日の質疑応答では、保守党議員の多くはトルドー首相を「総理」ではなく「自由党党首」と呼んだ。トルドー首相もまた、シーア党首を「保守党党首」と呼んだ。新民主党のアレクサンドル・ブレリス議員は、これらは規則に反してはいないが、相手の地位を低く見せる行為だと指摘した。
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ルブラン大臣、治療のため辞任 [自由党]

 ドミニク・ルブラン政府間関係大臣兼北方問題大臣は4月26日、治療のため内閣を一時去ると発表した。
 数週前に体調を崩した彼は、テストの結果非ホジキンリンパ腫と診断され、すでに治療を開始したという。数週で治療を終えて内閣に復帰し、次の総選挙にも出馬するという。
 彼の不在の間、臨時でビル・モルノー財務大臣が政府間関係大臣を、キャロリン・ベネット政府=先住民関係大臣が北方問題大臣を務める。
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フィルポット議員の支部で役員半数以上が辞任 [自由党]

 ジェーン・フィルポット議員の選挙区である自由党マーカム-スタフビル支部(オンタリオ州)の役員の半数以上が、4月8日に辞意を表明した。
 役員の一人であるリーア・ナットソンさんによると、8日に召集された会議において、役員16人のうち10人が辞意を表明、残る6人のうち5人は留任する意向で、最後の一人については不明だという。
 ナットソンさんは、インタビューに答えて語った。
「私にはもう、別の候補のために働く情熱がない。ジェーンは私たちにとって、スターだった。」
 彼女は、辞任は全くフィルポット議員との問題であり、トルドー首相への抗議ではないと強調した。
 同選挙区の有権者であるジョージ・スレッド氏は、たとえフィルポット議員が無所属で立候補しても投票すると語った。
「彼女はこの町に良くしてくれた。彼女はきっと、自分が正しいと信じたことのために立ち上がったのだと思う。彼女がここでもう一度立候補するなら、我々はきっとまた彼女に投票するだろう。」

 いっぽうウィルソン=レイボールド議員の選挙区バンクーバー・グランビル支部(ブリティッシュコロンビア州)は、役員全員が今年実施される総選挙に向けて邁進すると述べた。
「我々はバンクーバー・グランビル支部の役員として留まり、近日中に党本部と会談し、我々の進むべき道について話し合う。」
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ウィルソン=レイボールド氏を支持する落書きで逮捕 [自由党]

 ジョディ・ウィルソン=レイボールド議員(前法務大臣)の事務所と路上に4月8日、彼女を支持する落書きをした37歳の男性が逮捕された。
 落書きはスプレー缶を用いて、バンクーバーの事務所の窓と付近の路上に“Let Jody speak”(ジョディに証言させろ)“For Trudeau treason”(トルドーを反逆罪に)“Flush the Turd”(糞を流せ)などと書かれたもので、通報から数時間で消された。
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 事件を受けてウィルソン=レイボールド議員は、ツイッターでコメントを発表した。
「皆さんが私への支持と熱意を示したい気持ちも尊重しますが、個人のあるいは公共の資産に損害を与えることなく、また自身を危険に晒すことなくそうするよう、推奨します。」
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自称フェミニストのトルドー首相、演説中に女性たちに背を向けられる [自由党]

 「平等の声」が主催する「ドーターズ・オブ・ザ・ボート」の年次大会がオタワで開催され、338選挙区を代表する338人の若い女性有権者が、下院議場でそれぞれの選挙区選出議員の席に着き、各党党首が演説した。それは、ジョディ・ウィルソン=レイボールド議員とジェーン・フィルポット議員が自由党幹部会を除名された4月2日の、数時間後だった。
 トルドー首相は女性たちを前に、両議員除名について弁明した。
「ジョディ・ウィルソン=レイボールド(※前復員軍人大臣)とクリスティア・フリーランド(※外務大臣)のうち、どちらを信じるか決めなければならないと考えたい人は、この中にはいないということを私は知っている。ジェーン・フィルポット(※前予算庁長官)とマリヤム・モンセフ(※女性の地位・ジェンダー平等大臣)のうち、一人が正しく、もう一人が間違っていなければならないなどということを知りたい人はいない。」
「聞くべき展望は常にあるだろうが、最終的には多様性、ここにあるような多様性は、信頼があるときのみ機能する。そしてチームの中で、その信頼が壊れたとき、我々はどのように前進して行くかについて考えければならない。」
 彼はさらに、女性をターゲットにした開発援助、女性に割かれた予算、男女平等賃金、婦人団体への資金提供、男女同数の内閣を列挙し、フェミニズムに基づく政策を自負した。
「やるべきことはもっとあると、私は認める。だが、政党党首の中で誰がよりフェミニストであるかというコンテストにおいて、名を挙げられていることを誇りに思う。」
 だが女性たちのうち数十人がその場で起立し、演説する首相に背を向けた。それは、二人の女性前大臣を冷遇したことへの抗議だった。
 保守党のシーア党首の演説時には、十数人が退席した。
 緑の党のメイ党首の演説は、喝采をもって受け入れられた。
 傍聴席には、除名されたウィルソン=レイボールド議員、フィルポット議員のほか、彼女たちに同調するツイートをして幹部会を離脱したセリーナ・シーザー=シャバンヌ議員(3人とも女性)がいた。
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 ハミルトン・マウンテン選挙区のディアナ・アランさんは、ツイッターで首相に露骨な批判を浴びせた。
「我々は、会議に参加する若い女性としてここオタワにいる。そして我々は、ジョディ・ウィルソン=レイボールドとジェーン・フィルポットを幹部会から追放したあなたを、心から非難する。」
 新民主党のジェニー・クワン議員は、この日議会で演説した。
「カナダ初の先住民の司法長官を、彼女が法を守るからという理由で幹部会から追放することによって、首相は自分に逆らう女性は自由党で冷遇されるということを明らかにした。これが、自称フェミニストが2019年に見せる行為だろうか?」


・トルドー首相の演説
https://www.youtube.com/watch?v=lPB59opdwdQ
・メイ党首の演説
https://www.youtube.com/watch?v=sw-NAOdxNe8
青い服の女性は、女性初の首相キム・キャンベル氏。

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ウィルソン=レイボールド氏とフィルポット氏、自由党幹部会を除名 [自由党]

 自由党は4月2日の幹部会で、ジョディ・ウィルソン=レイボールド議員(前復員軍人大臣)とジェーン・フィルポット議員(前予算庁長官)を除名したと発表した。両議員は無所属となり、次回総選挙の公認も取り消される。これにより下院勢力は、自由党177、保守党97、新民主党41、ケベック連合10、緑の党1、人民党1、CCF1、無所属7、欠員3(定数338議席)となった。

 この日召集された幹部会で、トルドー首相は語った。
「これら2名と我々との間にかつてあった信頼は、すでに破壊された。」
「ウィルソン=レイボールド氏とフィルポット氏が、もはや我々自由党の一員ではありえないことが明白になった。」
 両名が2月と3月、相次いで大臣を辞任して以来、自由党内では両名を除名すべきかどうかという論争が続いていた。特にウィルソン=レイボールド氏は、SNC-ラバラン問題に関する情報を長期間かけて小出しにし、この話題を引っ張り続けることで自由党の信用に打撃を与え、議員全員の再選を危険にさらしたことで、強く非難された。
 トルドー首相自身は当初「考慮中である」と語り、両名が幹部会にとどまる道を模索していたふしがあった。ウィルソン=レイボールド氏を追い詰めれば、事件の全容を暴露されかねない。
 だが彼女は無断で、枢密院職員マイケル・ワーニック氏との12月19日の電話を録音し、電子メールを記した文書とともに下院法務委員会に提出し、3月29日に公表した。これで自由党内の大勢は、両名除名に一気に傾いた。

 トルドー首相は名指しは避けたものの、電話を密かに録音したウィルソン=レイボールド氏を明確に非難した。
「我々は両名の懸念に対処するため、あらゆる努力を払ってきた。そして最終的に、両名がこのチームを信頼すると真摯に言うことができないなら、このチームの一員であるはずがない。」
「誰とのものであれ、政治家が会話を密かに録音するのは間違っている。その政治家が、公務員との会話を密かに録音している大臣であるなら、それは間違っている。その大臣が、枢密院職員との会話を密かに録音している司法長官であるなら、それは非良心的である。」
 閣僚たちからも、トルドー首相に同調する声が相次いだ。メラニー・ジョリー観光大臣は、会話の録音を「根本的に間違っている」と批判した。
 パティ・ハイドゥ労働大臣は、これまで密かに同僚議員の電話を録音したことはなく、これからも絶対にしないと断言した。
「私は、それは非倫理的であると思う。それは詐術だ。」
「もし会話を録音するなら、そしてそれが同僚との間のものなら、電話の相手に予告する責務があり、それが倫理的行動だと私は思う。」
 彼女は、両名が幹部会に残るかどうかについては首相と同僚議員たちに従うと語ったが、会話を密かに録音したかもしれない人と幹部会に同席する不快感を隠さなかった。
 フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ基幹大臣は、(ウィルソン=レイボールド氏も弁護士だが)自分が弁護士として働いていたとき、会話を録音したことは一切なかったと述べた。
 マルク・ガルノー運輸大臣は、重要な問題に関する大臣と政府高官の会話を密かに録音するのは「完全に不適切」で「不名誉な行為」だと批判した。
 キャロリン・ベネット政府=先住民関係大臣は、首相の下での一致を控えめに述べた。
「私は、チームは首相を支えていなければならない、それがここ数週の間に失われた要素だと思う。」
 自由党議員たちも、批判の声をあらわにした。ロブ・オライファント議員は、大臣が政府高官との会話を密かに録音するのは「不穏当」であり、ウィルソン=レイボールド氏の言葉は「筋書き通り」で「芝居がかった」、「職員を罠にかけた」ようなものだと吐き捨てた。
「私の望みは、政府を信頼しない人々は幹部会には要らないという気持ちで我々が一つにまとまり、幹部会が迅速に動くことだ。」
 そして、ウィルソン=レイボールド氏はトルドー首相に対する信頼を直截に示さないかぎり、幹部会から出て行くのが当然だと付け加えた。
 ウェイン・イースター議員は、ウィルソン=レイボールド氏は幹部会から出て行くべきであり、また彼女とワーニック氏との会話を「まるで台本を読んでいるようだ」と評した。
「このようなゲームを仕掛け、枢密院職員をほとんど陥れるような人に、私は敬意を払わない。」
 ニック・ホエーレン議員は、大臣が、枢密院職員から不当な圧力を受けたことを首相と共有するのではなく、それを録音し密かに保管していたことに衝撃を受けたと語った。
「それは本当に、不適切でいかがわしい。」
 彼は、トルドー首相と2人の女性たちが演じるドラマに、国民が必要以上に夢中になっていることを懸念した。
 ウェイン・ロング議員は、電話の録音を「驚いた」と語ったが、それがウィルソン=レイボールド氏への圧力を示していると語り、彼女に理解を示した。そのうえで、毎日のニュースのネタになるのを止めるには透明性がなければならない、それでこそ自由党は団結し、次の総選挙に勝つことに集中できると語った。

 ウィルソン=レイボールド氏自身も、会話記録とともに提出した書類に、電話を録音する行為は「尋常ならぬ、さもなくば不適切」と記し、認めている。ただし彼女は、そのとき「不適切な話題」が予想され、話された正確な記録が必要だと感じたが、記録する秘書が不在だったと弁明した。
「私がした会話だが・・・彼は自由党幹部会のメンバーではなく・・・私の依頼人でもない。私は、それが尋常ならぬ状況だったということを知っている。私は信頼できるアドバイザーに尋ねてみた。そして彼らの答えは、不適切で不合理な状況における適切で合理的な行動だというものだった。」
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 トルドー首相は、問題を「コミュニケーションの失敗」と語っていた。政府が一企業を贔屓して起訴されないよう司法に圧力をかけたり、罰金だけで済むよう法改正をするなど、国民にとってはその程度の問題ではないが、メインキャストの二人にとっては実際そうなのかもしれない。要請を拒否したウィルソン=レイボールド氏を、首相が司法長官のポストから外したうえで閑職に追いやったのは、徹底的に追い詰める意図はなかったことを示している。
 だが首相は、先住民だが弁護士資格を持つ彼女に、法務大臣から先住民サービス大臣への異動を提示して感情を逆撫でした。さらに「年輩の議員を平気で叱りつける」「政界に友だちもいない」などの出所不明な噂が流れ、首相はこれをすぐ非難せず、非難したのは1か月もあとだった。さらに「彼女が司法長官として行った任務の全ては、彼女一人の判断であり彼女の責任である」と述べて、彼女を決定的に怒らせた。守秘義務があるのをいいことに、責任を押しつけようとしたのだ。彼女は翌日大臣を辞任、さらに新聞がSNC-ラバラン疑惑を暴露し、野党もこれに乗じ議会で証言させたため、関係は一気に悪化する。この時点でもまだ首相は「幹部会から除名するかは考慮中」、彼女も「不適切だが違法な行為はなかった」と手加減しており、両者歩み寄る余地は残っていた。
 だがこの問題は、あまりにも長くメディアの注目を浴びすぎた。先住民との和解とフェミニズムはトルドー政権の車の両輪だったにもかかわらず、彼女は首相のイメージを深く傷つけた。自由党の支持率は保守党を下回り、議員たちは選挙の心配をしなければならなくなったのだ。
 ウィルソン=レイボールド氏には無所属で出馬する道が残されてはいるが、組織も運動員もなく、容易ではない。トルドー首相が非常に若いことを考えると、自由党への復帰はほぼ不可能だろう。引き際を誤ったため、議員たちをも怒らせてしまった。政治を続けたければ、別の党に移籍するしか方法はなさそうだ。


図:「もしもしジェーン、ジョディです。あなたも聞こえる?ノイズのような音・・・」
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またも内閣改造、予算庁長官にマレー氏 [自由党]

 トルドー首相は3月18日、3月では2度目となる内閣改造を行った。これは、4日にジェーン・フィルポット予算庁長官兼デジタル政府大臣が辞任したことに伴うもので、ジョイス・マレー予算庁政務次官が、新しい予算庁長官兼デジタル政府大臣に任命された。
 マレー新長官は、現在のスキャンダルから前進して、貧困を減らし、地球温暖化と雇用創出に取り組みたいと抱負を語った。そして、首相を批判して閣僚を辞任したウィルソン=レイボールド議員とフィルポット議員が幹部会にとどまっていることを「すばらしい」と賞賛した。また彼女はSNC-ラバラン問題について、トルドー首相が「コミュニケーションの失敗があった」と明確に認めたことを挙げ、これ以上ウィルソン=レイボールド氏から聞くことはないと断言した。
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 マレー長官は南アフリカのシュバイツァー=レネケに生まれ、7歳でバンクーバーに移住した。母シャーロットは婦人参政権運動のリーダーで、ブリティッシュコロンビア大学初の女性准教授になっている。マレー長官は、サイモン・フレーザー大学で考古学・言語学・経営学を学び、1977年夫とともに植林会社を設立した。この会社は2012年に10億本目の木を植え、CBCの番組で紹介された。彼女は1996年から1999年まで、ブリティッシュコロンビア森林資源勧告委員会に勤めている。
 このような活動が目に止まり、彼女はブリティッシュコロンビア自由党の候補として擁立される。彼女の持論である、持続可能なコミュニティを構築するための「緑の党から自由党まで」のスローガンを掲げて当選し、キャンベル内閣の水陸空保護大臣・経営大臣を務めた。
 だが2005年の州議会選挙で落選すると、2006年には連邦議会選挙(ニューウェストミンスター-コキットラム選挙区)に自由党から出馬するが、再び落選。選挙区を自分の住むバンクーバー・クワドラに変えた2008年からは、順当に連続4回当選し、自由党がわずか34議席にまで減少した2011年総選挙でも生き残っている。2012年には自由党党首選に出馬し、トルドー現党首に次ぐ2位となった。
 環境保護活動に長年取り組んできたマレー長官は、トランスマウンテン・パイプライン計画に反対していたが、「閣僚としては国益を考慮すべきだが、議員としては地元有権者の意向を代弁すべきだ」と説明した。


写真:左からトルドー首相、ジョイス・マレー長官、ジュリー・パイェット総督。
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フィルポット予算庁長官が辞任「耐えられない」 [自由党]

 ジェーン・フィルポット予算庁長官は3月4日、閣僚を辞任した。後任は、カーラ・クワルトロー公共サービス・調達・アクセシビリティ担当大臣が代理を務める。トルドー内閣は1日に改造したばかりだが、再び異動がありそうだ。
 フィルポット前長官は、声明を発表した。
「私は中核となる価値基準、倫理責任と憲法上の義務に従う必要がある。」
「信条に従って行動することにはリスクもあるが、それを棄てるのはより大きなリスクがある。」
 そして彼女は、大臣は公的に全ての閣僚と閣議決定を擁護することを憲法が規定していると指摘した。
「この規定と現在の状況からすると、閣僚を続けることは私には耐えられない。」
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 彼女はトルドー内閣発足以来、厚生大臣と先住民サービス大臣を歴任し、閣内で最も有能な人物の一人とみなされてきた。前長官はウィルソン=レイボールド氏と親しく、彼女が閣外に去ったときは「政界に友だちもいない」という噂を流されたが、プライベートでいっしょに舟に乗っている写真をツイッターに公開し、彼女を激励した。
「我々がともに取り組んだ法律―C14号(安楽死幇助)、C37号(ハーム・リダクション)、C45号(大麻に関する公衆衛生アプローチ)、そして多くのこと―を、私は誇りに思う。」
「あなたはきっと、カナダ人のために仕え続けてくれる。」
 ウィルソン=レイボールド氏もまた、フィルポット前長官を称えた。
「あなたは、ビジョンと強さを兼ね備えたリーダーだ。私は、あなたと寄り添って働く道を模索し続ける。」
 自由党のセリーナ・シーザー=シャバンヌ議員も、フィルポット氏に謝意を述べた。
「政治に携わる女性は、正しく判断し、正しいことのために立ち上がり、そしてそれが曲げられたときは立ち去ることが求められる。ジェーン・フィルポット、それを明確に示してくれてありがとう。」
 彼女は3月2日、次の総選挙に出馬しないと表明したが、SNC-ラバラン問題とは関係ないと強調した。
 いっぽうパティー・ハイドゥ雇用・労働力開発・労働大臣は、首相に対する変わらぬ信頼を語った。
「首相に対する私の信頼は、変わっていない。私は彼を支持し、政府を率いる彼の能力を信じる。」
「閣僚の一人が辞めるのは残念だ。彼女の最善を祈る。」
 トルドー首相は4日の集会で、次のようにコメントした。
「我が国のような民主社会において、そして我々が多様性を高く評価する地において、我々は議論も見解の相違も認められている。我々は、それを奨励すらする。」
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トルドー内閣改造 [自由党]

 トルドー首相は3月1日、小規模な内閣改造を行った。
 マリー=クロード・ビボー農務・農産食品大臣は、国際発展大臣からの異動である。ローレンス・マッコーレー復員軍人大臣は、農務・農産食品大臣からの異動である。マリヤム・モンセフ国際発展大臣は、女性の地位・ジェンダー平等大臣との兼任となる。
 内閣改造は、ジョディ・ウィルソン=レイボールド前復員軍人大臣の辞任に伴うものである。彼女の突然の辞任と証言が世間を騒がせている間のことで、新任の大臣たちは彼女への思いや首相の決断について問われた。
 マッコーレー大臣は、ウィルソン=レイボールド氏を賞賛した。
「私は、総理によって成されるいかなる決定にも耐えられる。ただ私は、ジョディが尊敬された女性だと知っている。」
 ビボー大臣も、閣内の一致を強調した。
「総理がいかなる決断をしようとも、私はそれに耐える。私はチームプレーヤーだ。」
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ウィルソン=レイボールド氏が議会で証言、トルドー首相窮地に [自由党]

 以前から「私の真実を話したい」と主張してきたジョディ・ウィルソン=レイボールド前法務大臣兼前司法長官は、2月27日下院法務委員会に招致され、首相側近や総理府スタッフらからSNC-ラバラン社を不起訴にするよう圧力をかけられたと証言した。トルドー首相は、就任以来最大の窮地に陥った。

 (1) 衝撃のウィルソン=レイボールド証言
 キャサリン・ルーセル検事総長が2018年9月、司法取引はせず裁判を続行すると決断したあと、ウィルソン=レイボールド司法長官もこれを踏襲したが、首相側近のマテュー・ブシャール秘書官やエルダー・マーケス秘書官らに、有罪になれば公共事業に10年間入札できなくなり、大量解雇をひき起しかねないため、考え直すよう説得されたと証言した。さらにその後、首相の側近中の側近ジェリー・バッツ首席秘書官や、ビル・モルノー財務大臣スタッフのベン・チン氏にも説得されたと語った。
「カナダ司法長官としての任務にまつわる私の司法判断に対し、政府内の人々による一貫した継続的な政治的干渉を受けた。」
「これらの会話の中に、SNC-ラバラン問題への干渉の要請と、DPA(Deferred Prosecution Agreement:起訴猶予取引)適用に応じない場合に起こりうる結果についての暗黙の脅迫があった。」
 なおバッツ首席秘書官は、2月18日に「倫理的に行動した」と述べて辞任している。
 度重なる圧力に困った彼女は、9月にトルドー首相に訴えたが、その答えは意外なものだった。
「会話の最中総理は、ケベックで(州議会)選挙があり、『私はケベックの下院議員だ』と強調した。」
「私は本当に驚いた。今でも鮮明に覚えているが、私は総理の目を見ながら直截に尋ねた。『総理は、司法長官としての私の任務と判断に、政治干渉なさるのですか?』すると総理は『ノー・ノー・ノー、僕らはただ、解決する必要があるんだ』と言った。」
 彼女は、首相は近く実施されるケベック州議会総選挙で、与党ケベック自由党が苦戦しており、ケベック未来連合に政権奪取されそうなことを懸念していたようだと指摘した。
 彼女は12月18日、バッツ首席秘書官から「解決を探す」ための会談を持ちかけられ、彼とそのスタッフのケイティ・テルフォード氏が、ウィルソン=レイボールド氏スタッフのジェシカ・プリンス氏と会談したが、その席で「干渉なしには解決しないよ」と言われたという。プリンス氏は「彼らは最後には、あなたへの要求に正直になった。まるで、検察の独立など問題ではない、もはや合法性を論じている場合ではないと言わんばかりだった」と報告したとウィルソン=レイボールド氏は述べた。
 翌19日には、枢密院職員マイケル・ワーニック氏から電話で、総理はこの問題について「極めて強い決意」があり、「なぜDPAが適用されないのか」「何とかしてそれを使う方法を見つけるつもりだ」と告げられた。ワーニック氏はさらに「総理は合法性の外側で何かするよう頼んではいない」とわざわざ言及した。
 彼女は「政府が危険地帯に足を踏み入れている」と感じ、警告した。
「私は司法長官として、政治的動機から党派的な行動をとるわけにはいかない。」
 すると彼は、決断はあなた一人の責任であり、そしてあなたは総理がこの問題について何を望んでいるかを察するべきだと言ったので、彼女はウォーターゲート事件を思い出し「これは土曜の夜の大虐殺だ」と思ったという。
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 新民主党のシン党首は、公聴会の開催を要求した。保守党のシーア党首は、総理の辞任と連邦警察(RCMP)の捜査を要請したが、彼女は違法性は否定した。
「私の見解では、それらは違法ではない。発言の文脈、圧力の性質に鑑み、それらは非常に不適切と言える。」
 1月14日の内閣改造1週間前に、彼女は総理から電話で法務大臣からの異動を聞かされた。
「私は、この電話または内閣改造については詳述しない。しかし理由は、SNC-ラバラン問題だと考えている。」
 自由党のランディ・ボワソノール議員が、総理をまだ信頼しているかと質問したとき、彼女は長い沈黙の後、こう答弁した。
「私は辞任した理由について、これ以外に言及するつもりはない。内閣のテーブルに座るための信頼がなかったので、私は閣僚を辞任した。」
 彼女はトルドー首相の信頼性について二度問われ、二度とも答えなかった。
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 (2) 自由党内の反応
 トルドー首相は27日、自分と総理府スタッフは「適切にかつ専門的に」行動すると述べ、ウィルソン=レイボールド氏の証言を「完全に否定する」と語った。そして「スコット・ブライソン(予算庁長官)が辞任しなかったら、ジョディ・ウィルソン=レイボールドはまだ法務大臣とカナダ司法長官だった」と説明した。彼女が自由党幹部会に残れるかどうかについては、「多少の考えがある」と回答した。
 ビル・モルノー財務大臣は28日、自分はSNC-ラバラン問題についてウィルソン=レイボールド氏に話を持ちかけたことはないが、「彼女の決断により失業保険が危うくなる」と、自分のスタッフが彼女のスタッフに「適切に」接触したと弁明した。
 クリスティア・フリーランド外務大臣は28日、トルドー首相とウィルソン=レイボールド氏のどちらを信じるかを問われ、次のように述べた。
「彼女が『私の真実を話したい』と言っていたように、彼女は『彼女の真実』を話したのだろう。」
 ウィルソン=レイボールド氏の性格を「ともに働くのが困難」とした風評については「私は彼女を、思慮深い同僚以外の何者だとも考えたことはない」と退けた。彼女は幹部会に残るべきかと問われると、フリーランド外相は「幹部会は多様な見解を持つ幅広い教会」だと述べた。
「内閣と幹部会は、密室で討論することができるが、出て来るときは団結していなければならない。」
 マリヤム・モンセフ国際開発大臣は、ウィルソン=レイボールド氏の自由党内での処遇は「最終的には首相の決定事項」と述べ、「私はその判断を信じる」と語った。
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 ウィルソン=レイボールド氏は証言を終えて、自由党幹部会に残れるかどうかを問われると、次のように回答した。
「私は、バンクーバー・グランビル(選挙区)の議員であることを誇りに思う。私は自由党下院議員として当選した。それは変わらない。」
 もし幹部会を追放されたら、それは何を意味するのかと問われると、彼女はそのような事態は想定していないと答えた。


図上:かつてトルドー首相がウィルソン=レイボールド氏を叩きのめした漫画を描いたマッケイ氏は、今やトルドー首相がウィルソン=レイボールド氏に叩きのめされ、孟晩舟氏とのダブルスタンダードを中国に指摘される漫画を描いている。
図中:仏語紙に掲載された、トルドー首相がウィルソン=レイボールド氏に叩きのめされる漫画。彼女の服装が差別的だと批判された。
図下:「カナダ国民は近いうち、誰にこの国の首相になって欲しいかという明確な選択をすることになる。」気が早い人は、ウィルソン=レイボールド氏に期待しているようだ。
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トルドー首相、ウィルソン=レイボールド氏への中傷について謝罪 [自由党]

 自由党は2月20日の朝、幹部会を召集した。その席でトルドー首相は、ジョディ・ウィルソン=レイボールド前復員軍人大臣への中傷に対し、すぐに非難しなかったことを謝罪した。
「ジョディ・ウィルソン=レイボールド氏に関し先週作られたコメント・解説・漫画について、私は明確な言葉ですぐに非難しなかったことを、今朝謝罪した。それらは全く容認しがたいもので、私はすぐにそうすべきだった。」
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 トルドー首相はフェミニストを自称し、内閣閣僚も男女同数に割り振っている。また主に寄宿学校での待遇など、先住民との和解もトルドー政権の重要な課題である。しかるに、先住民の女性であるウィルソン=レイボールド氏が検察官の守秘義務に縛られ真実を公表できないのをいいことに、首相が疑惑の全責任を彼女に押し付け、内閣から追い出し、悪口すら広めているという疑いがあり、世論調査でも首相や自由党の支持率が目に見えて低下している。
 彼女が法務大臣から外されたのは、SNC-ラバラン社立件を断念するよう要請したのを拒否したからだと、広く信じられている。その後彼女について「ともに仕事をするのが困難な性格」「他の閣僚を平気で叱りつける」「内閣の悩みの種」と中傷する記事がメディアに流れた。
 BCインディアン連合(UBCIC)のボブ・チェンバリン副代表は、これを「卓越した先住民の女性を攻撃し、信用を貶めることによって面目を保ち、自らの不正に対するダメージコントロールを開始しようとする試み」であり「心底ぞっとする」と評した。
「10月に来たるべき総選挙で、ジャスティン・トルドー首相は大きな代償を払うことになるだろう。」


図:総理府に一人立ち向かう司法長官。
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【世論調査】SNC-ラバラン疑惑、トルドー首相にダメージ [自由党]

 レジェ・マーケティング社が2月15日から19日まで、1529人のカナダ人有権者を対象に実施したオンライン世論調査は、SNC-ラバラン疑惑がトルドー首相に深刻なダメージを与えていることを示した。なお調査のほとんどは、18日にジェラルド・バッツ首席秘書官が辞任する前に実施されている。
 調査はまず「トルドー首相が、SNC-ラバラン社立件を断念するようウィルソン=レイボールド氏に圧力をかけた」という報道について知っているかを尋ねた。「よく知っている」は20%、「少し知っている」は46%、「知らない」は24%、「わからない」は9%、「無回答」は1%だった。
 「もし今総選挙が実施されたら、どの党に投票するか」という設問では、保守党36%、自由党34%、新民主党12%、緑の党8%、ケベック連合5%、人民党4%、その他1%という結果となった。同社の世論調査では、保守党が自由党を上回ったのは2015年総選挙以来初めてだった。
 「2019年総選挙で政権交代を望むか」という設問では、政権交代57%、政権継続27%、わからない&無回答16%だった。
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 「SNC-ラバラン疑惑に関し、首相は何か間違ったことをしたと思うか」という設問では、「そう思う」41%、「そう思わない」12%、「どちらとも言えない」41%、「わからない」6%だった。自由党支持者では「そう思う」10%、「そう思わない」27%、「どちらとも言えない」55%、「わからない」7%、保守党支持者では「そう思う」66%、「そう思わない」4%、「どちらとも言えない」28%、「わからない」3%となった。
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図下:ウィルソン=レイボールド氏に全責任を押し付け、切り捨てようとして奈落の底に落ちるトルドー首相。
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ウィルソン=レイボールド氏を暴行する漫画に批判 [自由党]

 SNC-ラバラン社に関する疑惑と、ジョディ・ウィルソン=レイボールド前復員軍人大臣の辞任について、多くの漫画家が女性への暴力を描写した諷刺漫画を描いたことへの批判が高まっている。
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 マイケル・デ=アダー氏は、ザ・クロニクル・ヘラルド紙に漫画を描いた。それは、リングの上で口にテープを貼られ両手を縛られたウィルソン=レイボールド氏に対し、ユニフォームを着て準備万端のトルドー首相に側近のジェラルド・バッツ氏が「殴り続けろ、彼女は検察官の特権に縛られている」と囁いているものである。
 ジョアン・バーナード元州議は、漫画の取り下げを要求した。
「ジョディの背景を考えたら、彼女は先住民の女性である。この国で行方不明になり、また殺される先住民の女性については繊細な感情があり、いかなる方法・いかなる形状においてもこのような冗談は許されない。」
 2017年の政府統計によると、先住民の女性はそうでない女性に比べ、肉体的または性的暴行に3倍、殺人事件に7倍遭っている。なおカナダでは、非実在の漫画に描かれた人物に対してであっても、暴行は刑事罰の対象たりえる。トルドー首相をボクサーにたとえるのは、彼がパトリック・ブラゾー上院議員(この人も先住民)とボクシングをやって勝ったからだろう。
 ネット上では、彼の漫画を「女性に対する暴力を軽視している」「賢明でない」「おもしろくない」「ただぞっとするだけ」と評する声が挙がり、デ=アダー氏は謝罪した。
「漫画の意図は、自由党を攻撃することであり、ウィルソン=レイボールド氏を攻撃することではなかった。それは女性を怒らせたり、家庭内暴力や先住民の問題を矮小化したりするのが目的ではなかった。私は人間であり、間違いも犯す。今後は改善するよう努める。」
 彼は、ウィルソン=レイボールド氏とSNC-ラバラン社に関する漫画は描き続けるが、今後の作品は「意図しない第二の意味」を持つことはないと述べた。
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 いっぽうグレアム・マッケイ氏は、ハミルトン・スペクテイター紙に漫画を描いた。それは「SNC-ラバラン問題」のリングの上で、両手を縛られ「検察官の特権」という足枷をつけられ猿轡で口封じされたウィルソン=レイボールド氏に、トルドー首相が圧勝するものである。こちらの漫画は試合終了後のように見え、口と手足を封じられたウィルソン=レイボールド氏は勝負にならず、暴行された形跡は見当たらないが、マッケイ氏もまた「これがおもしろいと思うなら漫画家を辞めろ」「新聞社にマッケイ氏の謝罪を要求するメールを送った」「このような漫画家たちは、暴力と憎悪を促進しているので逮捕されるべき」という批判を浴びた。だが彼は「諷刺漫画は常に笑えるものとは限らない」と反論し、批判者たちは諷刺を理解していないと語った。
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 アンディ・ドネイト氏は、トロント・サン紙に漫画を描いた。それは、トルドー首相が手拭いでウィルソン=レイボールド氏の口を封じながら「ジョディ、何が言いたいんだい、話してくれよ」と迫るものである。連合保守党のジェイソン・ケニー党首はツイッターに「漫画は時に1000語の文章より雄弁に語る。今日のサン紙のアンディ・ドネイトがそうだ」と書いたが、そのあと彼を諷刺した漫画を多数貼られた。


図上:マイケル・デ=アダー氏がザ・クロニクル・ヘラルド紙に掲載した漫画。
図中:グレアム・マッケイ氏がハミルトン・スペクテイター紙に掲載した漫画。
図下:アンディ・ドネイト氏がトロント・サン紙に掲載した漫画。
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疑惑の焦点ウィルソン=レイボールド大臣、ついに辞任 [自由党]

 ジョディ・ウィルソン=レイボールド復員軍人大臣は2月12日、大臣と国防副大臣を辞任した。復員軍人大臣のポストは当面、ハルジット・サジャン国防大臣が代理を務める。
 グローブ&メイル紙は8日、彼女にまつわる疑惑を報道した。記事によると、ケベックのエンジニアリング企業SNC-ラバラン社が、リビアで公共事業を受注するための贈賄と詐欺の容疑で起訴されそうになっているとき、ジャスティン・トルドー首相が当時司法長官だったウィルソン=レイボールド氏に、罰金だけで済ませるするよう要請したという。さらに1月の内閣改造で彼女が法務大臣兼司法長官から外されたのは、首相の要請を拒否したからではないかという噂も流れている。同社は起訴された場合、公共事業に10年間入札できなくなる可能性がある。
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 トルドー首相は11日に、ウィルソン=レイボールド大臣を「全面的に信頼する」「彼女が内閣に存在し続けるのがその証拠だ」と語った。だが「彼女が司法長官として行った任務の全ては、彼女一人の判断であり彼女の責任である」と述べてから1日も経たないうちに、彼女は辞任した。彼女は声明で、スタッフと国民と復員軍人とその家族に感謝の意を表明しているが、奇妙なことに首相に関する言及はなかった。
 彼女が法務大臣のポストから外されると、彼女はチームプレーヤーでなかった、ともに仕事をするのは困難で、政界に友だちもいなかったなどの噂が流れた。だがメリーアン・ミハイチャック前雇用・労働力開発・労働大臣は、それを否定する。
「私は彼女を友人で、卓越したリーダーだと思っています。彼女が健康でいてくれたらいいと願っています。」
 彼女はウィルソン=レイボールド氏が、安楽死幇助法案などでジェーン・フィルポット厚生大臣と協力して働いた事実を指摘した。
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 ウィルソン=レイボールド氏は、クワキュートル族インディアンとして生まれた。父ビル・ウィルソンはインディアンの活動家で、ピエール・トルドー首相に娘を首相にしたいと語ったという。彼女はビクトリア大学とブリティッシュコロンビア大学で学び、弁護士、先住民団体代表を経て下院議員となり、先住民初の法務大臣となった。彼女は総理の座を目指していたとも言われているが、今回のスキャンダルで平議員となり、失脚した。
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図上:トルドー首相の「全面的に信頼する」「彼女が内閣に存在し続けるのがその証拠だ」発言の直後に辞任するウィルソン=レイボールド大臣。
図中:「私は指示していない」と言うトルドー首相が、周囲をSNC-ラバランを含む取り巻きで固め、ウィルソン=レイボールド氏は蚊帳の外。
図下:「カナダでは行政は司法に介入しない」と建前を述べつつ、中国に譲歩し、法務大臣の口を封じるカナダ首相。
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