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【世論調査】自由党の再選危うし [2019年下院選]

 総選挙まであと6か月に迫った。CBCが4月16日に実施した政党支持率調査は、保守党35.2%、自由党32.7%、新民主党15.3%、緑の党8.6%、ケベック連合4.4%、人民党2.4%、その他1.4%となった。ここから導き出される予想獲得議席は、保守党158(196~115)、自由党142(198~93)、新民主党20(48~5)%、ケベック連合15(29~1)、緑の党3(1~7)、人民党0(0~1)(定数338議席、括弧内は最大と最小議席)となる。CBCは保守党の勝率58%、自由党の勝率42%と算出した。
 与党自由党はオンタリオで保守党に首位を奪われ、相当な数の議席を失いそうだが、ケベックでは首位を維持している。自由党は全国的に支持率を下げているが、その利益のほとんどは保守党のものになっており、新民主党は振るわない。新民主党のケベックでの不評は深刻で、このままではケベックの議席のほとんどまたは全部を失う。自由党はオンタリオと東部で失った議席の何割かを、ケベックで取り返すことができる。緑の党はかつてない高支持率で、初の複数議席獲得が濃厚。ケベック連合は、新民主党が不評なため2桁議席を維持し、公認政党の地位に留まれる見込み。

 1945年以降に実施された23度の総選挙のうち、投票日の6~8か月前に与党が首位でなかったことが9度あった。そのうち与党が過半数を獲得したのが2度、少数政権になったのが2度、敗北したのが5度である。いっぽう、投票日の6~8か月前に首位に立った野党は、14度のうち敗北は3度しかない。
 敗北する与党は6か月前の世論調査で、平均すると3ポイント下回っている。再選される与党は6か月前の世論調査で、平均すると12ポイント上回っている。与党自由党は現在、保守党を2.5ポイント下回っている。
 世論調査でリードされた与党が、最後に勝ったいくつかの例外を見てみよう。ジョン・ディーフェンベーカー首相率いる進歩保守党は、1962年総選挙前、野党自由党に6ポイント差をつけられていた。同党はなんとか少数政権を維持したが、翌年の総選挙で政権を失った。
 与党自由党は1967年末に、進歩保守党に9ポイントのリードを許していた。進歩保守党は1967年11月、新しい党首にロバート・スタンフィールドを就けていた。だが与党自由党も翌年4月、新たな党首にピエール・トルドーを就け、6月の総選挙に圧勝した。
 ピエール・トルドー首相は、1972年総選挙前にも進歩保守党にリードを許しているが、わずか2議席差で勝利し、少数政権を保っている。
 逆に、リードしていた与党が敗北した例もいくつかある。ルイ・サンローラン首相率いる自由党は、1957年総選挙前に17ポイントもリードしていたにもかかわらず、敗北した。ポール・マーチン首相率いる自由党は、2006年総選挙前に10ポイントリードしていたにもかかわらず、敗北した。スティーブン・ハーパー首相率いる保守党は、2015年総選挙の6か月前は僅差で首位に立っていたが、投票日が近づくと野党の支持が自由党に集中し、最終的に敗北した。

 保守党の現在の支持率35.2%は、過去のデータと比較するとほぼ平均に近い。保守が2党に分裂した1997年と2000年総選挙を除くと、総選挙の6か月前における保守党の平均支持率は34%なので、現在の支持率は悪くはないが、確実に勝てるという保証もない。
 ディーフェンベーカー首相が1962年に少数政権に転落したときの支持率が37%で、クラーク首相が1980年に政権を失ったときの支持率も37%だった。ハーパー首相が2008年に少数政権を維持したときの支持率が35%で、スタンフィールド党首が1972年に2議席差で敗北したときの支持率も35%だった。
 新民主党の現在の支持率15.3%も、過去のデータと比較するとほぼ平均に近い。同党はその前身CCFも含め、総選挙の6か月前における平均支持率は16%である。
 総選挙6か月前における自由党の平均支持率が40%であることに比べると、現在の支持率32.7%はかなり悪く、過去24度のうち21番目である。これより低い支持率は最近の3つで、2008・2011・2015年総選挙前だ。このうち2011年総選挙は、議席数においても得票率においても、過去最悪の惨事となった。だが2015年総選挙は、当初支持率3位からという前例のない低調なスタートだったにもかかわらず、結果は1949年以降で最大の勝利となった。
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補選で占う10月総選挙 [2019年下院選]

 2月25日、3選挙区で実施された補欠選挙の結果は、以下のとおりとなった。

★ブリティッシュコロンビア州バーナビー・サウス選挙区(投票率29.9%)
1.ジャグミート・シン(新民主党) 8884票(39.0%)
2.リチャード・T・リー(自由党) 5930票(26.0%)
3.ジェイ・シン(保守党) 5133票(22.5%)
4.ローラ=リン・トンプソン(人民党) 2420票(10.6%)

★オンタリオ州ヨーク-シムコー選挙区(投票率19.9%)
1.スコット・デビッドソン(保守党) 8929票(53.9%)
2.ショーン・タナカ(自由党) 4811票(29.0%)
3.ジェッサ・マクリーン(新民主党) 1244票(7.5%)
4.ドリアン・バクスター(進歩カナダ党) 634票(3.8%)
5.マシュー・ランド(緑の党) 451票(2.7%)
6.ロバート・ギューツ(人民党) 314票(1.9%)

★ケベック州ウートルモン選挙区(投票率21.4%)
1.レイチェル・ベンダヤン(自由党) 6086票(40.4%)
2.ジュリア・サンチェス(新民主党) 3925票(26.1%)
3.ダニエル・グリーン(緑の党) 1889票(12.5%)
4.ミシェル・デュシェーヌ(ケベック連合) 1683票(11.2%)
5.ジャスミン・ルーラス(保守党) 1098票(7.3%)
6.ジェームズ・シール(人民党) 322票(2.1%)

 補選は総選挙に比べ投票率は低くなるものだが、冬季の補選でしかも悪天候のため、記録的な低投票率となった。それでも結果は、10月の総選挙を占うに十分な兆しを示している。

 (1) 自由党:逆風で見せた底力
 ウートルモンは1935年から2006年まで71年間、一度の例外を除き自由党が保持し続けた鉄板選挙区だった。2007年の補選で新民主党のトム・マルケア氏が当選したのは、同党がケベックで当選した史上2回目ということで話題になったが、党首となったマルケア氏は4回連続当選し、新民主党の地盤になっていた。だが自由党は今回、SNC-ラバラン疑惑でかつてない逆風の中、2位に14ポイント以上の差をつけて圧勝した。自由党は10月の総選挙で、トロント郊外の接戦選挙区の多くを失うだろうが、新民主党のケベックでの不評につけこみ、その代償をケベックで得ることができそうだ。得票率40.4%は、2004年以降で最大の数字でもあり、自由党は逆風でもケベックで勝てることを示した。
 自由党は前回総選挙より7ポイント増加しており、もしもケベックの全ての選挙区でも7ポイント多く得票するなら、新民主党は前回獲得した16議席の全てがおびやかされる。しかしバーナビー・サウス選挙区では7.9ポイント、ヨーク-シムコー選挙区では8.8ポイント減少しており、もしもカナダ全土の郊外で同じポイント減少するなら、苦戦は必至となる。

 (2) 新民主党:最大の勝者はシン党首か、それとも・・・
 苦戦の下馬評を覆し、シン党首は見事に当選した。政治生命を賭けた補選に勝利した彼こそ、この日の最大の勝者だっただろう。彼が党首に就任して以来17の補選があったが、これは新民主党が勝利した最初である。
 シン党首は前回総選挙より、3.9ポイント多く得票した。緑の党が候補を擁立しなかった利点はあったものの、緑の党は前回総選挙で2.9%しか得票していないので、シン党首は勝利を自賛してよい。
 だがウートルモン選挙区では、前回より18ポイントも減少している。この数字は、ケベックで実施された他の補選とほぼ一致しているため、有名候補マルケア氏の引退が原因ではない。ターバンを被ったシン党首がケベック全域で不評なため、彼の当選は彼が次の総選挙で指揮を執ることを確実にしたから、新民主党がケベックで大敗することは間違いなく、真の勝者は自由党ではないか、というのは言葉が過ぎるだろうか。

 (3) 保守党:鉄板選挙区を難なく勝利
 ヨーク-シムコー選挙区は、2004年からピーター・バン=ローン元国際貿易大臣が保持してきた保守党の鉄板選挙区で、彼の引退により補選が実施された。同選挙区はまた、保守党(または進歩保守党)候補が1979年以降の選挙で常に最も多く得票した選挙区でもある。保守党候補はこの日、鉄板選挙区を当然のように勝利した。主要3党の中で、保守党の勝利が最も小さな勝利だったかもしれない。
 自由党に逆風が吹く中、ヨーク-シムコー選挙区における前回よりわずか3.6ポイントの増加は、自由党からの政権奪取を目指す保守党にとって、あまりに小さすぎる数字であろう。2018年12月に実施された、リーズ-グレンビル-サウザンド・アイランド&リドー・レイク選挙区で見せた10.4ポイントの増加に比べ、勝利も色あせて見える。

 (4) 人民党:有力政党たりえず
 人民党は、初めて迎えた選挙で全敗した。
 バーナビー・サウス選挙区では、クリスチャン・トークショーの有名司会者ローラ=リン・トンプソン候補を擁立し、移民を警戒するスローガンを掲げ、右派有権者の間に食い込んで得票率10.6%と健闘した。だが彼女と保守党候補の票を足しても、自由党当選者には及ばない。
 人民党は西部はともかく、中部では有力政党ではないことを露呈した。ベルニエ党首が自分を追放した保守党に復讐するため、その票を奪い落選させることを企図しているとするなら、ウートルモン選挙区の得票率2.1%と、ヨーク-シムコー選挙区の得票率1.9%は、何ら保守党の脅威ではない。後者では、進歩カナダ党や緑の党にすら劣った6位に沈んだ。政党助成金を受け取るには、得票率2%以上に達しなければならない。
 ベルニエ党首はツイッターで、バーナビー・サウス選挙区について「期待以上の素晴らしい成果」と賞賛するいっぽう、「オンタリオとケベックでの低い数字には失望した」「もっと多くを期待していた」と綴った。

 (5) 緑の党:敗れてなお意気高し
 近年の総選挙で得票率3%台の緑の党は、各種世論調査で7%以上の支持率を示し、好調が続いている。ウートルモン選挙区でダニエル・グリーン候補は、ケベック連合候補や保守党候補をも上回り、得票率12.5%を記録した。これは、同党がケベックの過去の選挙において記録したいかなる数字をも上回っている。このままの高支持率で総選挙を迎えたら、同党は数議席上積みも夢ではない。
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トルドー首相、早期解散を否定 [2019年下院選]

 トルドーは首相は12月16日、憶測されていた来年早期の解散・総選挙を明確に否定し、法律で規定された10月21日に実施すると考えていいと語った。
 来年早期の解散・総選挙には、自由党内で反対の声があり、首相はこれに配慮してこの問題に決着をつけた。
 カナダ選挙法で総選挙は、最後の総選挙から5年目の10月第3月曜日に総督が実施すると定めているが、それにかかわらず総督は首相の助言を得て下院を解散することができるため、「5年目の10月第3月曜日」は最も遅い投票日を示しているに過ぎず、早期の解散・総選挙も可能である。
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